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 ブラジルの首都・リオデジャネイロでオリンピックが来月より開催されますが、現在ブラジルをはじめ、中南米諸国を中心にジカ熱が大流行しています。デング熱と同様、蚊を媒介として感染するジカ熱は、これに妊婦が感染すると小頭症の子どもが生まれる危険性が極めて高く、世界的な流行が懸念されています。日本での夏以降の流行の危険性は決して否定出来ません。今月はこのジカ熱について取り上げ、広く注意を喚起したいと思います。 ジカ熱


日本でも感染症に注意!ジカ熱
【1】ジカ熱とは?〜ジカウィスルの流行〜
【2】ジカ熱の流行とリオデジャネイロ・オリンピック
【3】ジカ熱の治療法と予防&対策
【4】妊婦とジカ熱


【1】ジカ熱とは?〜ジカウィスルの流行〜

 中南米諸国を中心に、デング熱と似たジカ熱が大流行しています。
 本節では、そのジカ熱とはどのような感染症なのか、その危険性や日本での流行の可能性を取り上げ解説しました。
ジカ熱はどのような病気なのか?

 ジカ熱はジカウイルス感染症とも呼ばれ、ジカウイルスを持ったネッタイシマ蚊やヒトスジシマ蚊に刺されることによって感染する病気で、現在ブラジルを中心に中南米で感染が拡大中の感染症です。このウイルスは、2014年に感染が相次いだデング熱のウイルスと同じ仲間で、症状はデング熱と似ています。主な症状は、発熱や発疹、結膜炎、筋肉痛、頭痛などです。もっとも、感染しても症状がないか、症状が軽いため、気づきにくいこともある病気です。蚊に刺されてから2〜7日程度の潜伏期間の後、デング熱とよく似た軽度の発熱や発疹、結膜炎、筋肉痛、関節痛、倦怠感、頭痛などの症状が2〜7日間程度続き、症状は自然に治まります。今のところジカ熱はウイルスに感染したヒトを蚊が吸血すると、蚊の体内でジカウイルスが増え、その蚊が別のヒトを吸血することでジカウイルスが伝播する感染メカニズムで、感染したヒトから他のヒトに直接感染するような病気ではありません。


 これまでにジカ熱は、アフリカや中央・南アメリカ、アジア太平洋地域での発生が確認されており、特に近年は中南米で流行していますが、どの流行においてもジカ熱による死亡者は出ていません。また日本では、海外で感染して国内で感染が分かったというケースが2013年と2014年に合わせて3例ありますが、日本国内で感染したという例はまだありません。ただし、本来ジカ熱は主に西太平洋地域で感染が確認されている感染症であるため、日本ではジカ熱の感染と言うものは存在していなかったのですが、海外渡航者が増加することで海外でジカ熱に感染した感染者が国内に入国することにより国内感染も確認された感染症となってます。

 WHOによると、中南米を中心に30か国以上に感染が広がっているということで、ブラジルでは妊娠中に感染した母親から小頭症の子どもが生まれていると言われます。小頭症は脳の発達が遅れる病気で、最近はブラジル保健省においても妊娠中のジカ熱感染と胎児の小頭症に関連がみられるとの発表をしているものの、現時点でその感染メカニズムはまだ分かっておらず、また、ジカ熱が原因で小頭症になったと科学的に証明されたわけではありませんが、ただ、2015年11月以降ブラジルでは疑い例も含めて小頭症の赤ちゃんが4000人以上報告されています。そして、小頭症の赤ちゃんの血液や羊水からジカウイルスが見つかっています。こうしたことからWHOはジカウイルスの感染と小頭症の関連が強く疑われるとしています。
 現在ジカ熱を治すための治療薬や特効薬と言うものは存在しておらず、感染した場合の治療方法が確立されいません。発熱には熱を抑える薬を投与するといった対症療法を施すということになりますが、一般にデング熱より軽症で、2日から1週間程度で症状は治まるということです。また、ジカ熱に有効なワクチンはなく、感染者は今後400万人に上る恐れがあるということで、WHOは緊急の委員会を開いて協議し、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。要はジカ熱に感染しないための予防が最も重要なこととなるわけで、もしもジカ熱に感染した場合には症状が治まるまで耐えるしか方法がないということになります。蚊による感染拡大が広がりやすいため、日本の場合は特に夏場に注意が必要となります。なお、近年では暖房設備などの拡充により冬でも蚊が発生する場合もありますので、その点でも今後は注意が必要と言える感染症となります。


ジカ熱自体は重い病気ではない〜余り不安になりすぎなくても大丈夫〜
 ジカ熱は、ウイルスに感染しも症状が出るのは感染者の約2割だとされています。従ってジカ熱は、ウイルスに感染した全ての人が発症する病気ではありません。ジカ熱はデング熱と比較すると症状も軽く、たとえ発症したとしても多くの場合重症化せず、2〜7日続いた後で治ることが多いとされます。主な症状としては、微熱や頭痛、関節痛、発疹、目の充血があり、これらに加えて下痢や筋肉痛、手足のむくみなどが見られることもあります。潜伏期間はまだはっきりとは分かっていませんが、感染してから発症するまでは数日から1週間程度だとされています。ただ、ジカ熱にはワクチンや特効薬がないため、発症した場合は対症療法が採られることとなります。ジカ熱自体が重症化することは殆どありませんが、稀にギラン・バレー症候群を発症することや、ジカ熱の流行地域で小頭症の赤ちゃんが増えていることが問題視されています。もっとも、 幸い今のところは日本国内でジカ熱が感染する可能性は殆どありませんし、流行する恐れも少ないとされています。今後、海外からジカウイルスが持ち込まれないための対策も進んでいくとされているので、余り不安になりすぎないようにしましょう。

ジカ熱とその症状〜症状が出ないことも〜

 ジカウイルスに感染してから症状が出るまでの潜伏期間(曝露から発症までの時間)は、米疾病対策センター(CDC)の報告によると2〜7日(※3〜12日という記載も多く見られ、正確な期間は明らかにされていません)とされています。ジカウイルス感染症の症状はデング熱など他のアルボウイルス感染症の症状と類似しており、主な症状として、まず軽度の発熱(38.5℃を超える高熱は比較的まれです)と斑状丘疹性発疹、関節痛・関節炎が半数以上の症例に認められており、以下、半数弱に結膜充血や筋肉痛・頭痛、また、約4割に後眼窩痛などが認められています。その他に目眩や下痢、腹痛、嘔吐、便秘、食欲不振などを来す場合もあるとされています。また、その他に血小板減少などが認められることもありますが、一般的に他の蚊媒介感染症であるデング熱やチクングニア熱より軽症と言われています。通常これらの症状は幸いにして軽く、ジカ熱を発症しても、通常は2〜7日で自然軽快します。

 また、ジカ熱に罹っても症状の出ない感染が感染者の約8割を占めるとされています。ジカ熱は、ウイルスに感染しても症状がでないことが多くあり、感染して発症するのは5人に1人くらいだとされているのです。このように感染しても症状がでないことを「不顕性感染」と呼びますが、要するに蚊に刺されてウイルスに感染したとしても、その約8割は症状がでないということになります。また、ごく軽い症状ですむことも多いため、本人さえも気づかない場合もあります。このようにジカ熱の多くは無症状か軽症であり、全体で見れば健康的に大きな問題となることは少ないということを知っておきましょう。
ジカ熱とその危険性〜中南米諸国その他で大流行!〜
中南米諸国を中心にジカ熱が流行中

 2013年にフランス領ポリネシアで、2015年にブラジルで、それぞれに大規模な感染流行が発生した時に、国家保健当局がジカウイルス感染症に潜在する神経学的合併症及び自己免疫合併症を報告しました。最近ブラジルでは、地域の保健当局が公共の場で全般的にジカウイルス感染症が増えているだけでなく、ブラジル北東部において小頭症の新生児が増えていることを確認しました。ジカウイルス感染症の発生を調査する政府機関は、ジカウイルスと小頭症との間に関連する証拠がどんどんと増えていることを気づいています。しかし、私達が新生児の小頭症とジカウイルスとの関係を理解するまでには更に多くの調査が必要となります。また、他に可能性のある原因も検討されています。

 ジカ熱に感染した場合の症状としては、軽度の微熱や頭痛が数日間続く程度で症状は治まるため、ジカ熱に感染した場合でも気づかない間に完治しているということも十分考えられます。眼球が充血したり関節痛や筋肉痛と言った症状も出ますが、これらの症状は風邪や近年感染が確認されたデング熱などの感染症とも非常に似た症状のため、中々ジカ熱に感染したと気づきにくいのもジカ熱の特徴となります。
 基本的に感染した場合でも症状が非常に軽く、健康な成人の場合はまず重篤な症状になるということはありません。子どもが感染した場合でも大人同様にそれほど症状が悪化することはないですが、感染に注意しなければいけないのは妊婦が最も危険性が高くなります。これはジカ熱に感染した妊婦ではなく、妊婦のお腹の中にいる胎児に対して非常に大きな影響が及ぶためで、ジカ熱に妊婦が感染した場合には、お腹の胎児が小頭症と呼ばれる状態で生まれて来てしまう可能性が極めて高くなるとされているのです。小頭症は頭が異常に小さく生まれてしまう病気のため、生まれた子どもの脳の発育が上手くゆかず、知能障害などの発達障害になってしまうため非常に注意が必要な病気と言えます。もっとも小頭症とジカ熱との関係性が100%確率されているわけではありませんが、ジカ熱に感染したことがある妊婦から生まれた子どもに小頭症の子どもが多いため、ジカ熱が何らかの影響を与えている可能性は否定できません。そのため、ジカ熱の症状が幾ら軽いからと言って、それによる弊害が確認されているわけですから、感染しないように注意しなければいけない感染症であることに変わりありません。もちろん症状が軽いと言っても、感染した場合にはその人を媒介とした二次感染もあり得ますので注意が必要です。
ブラジルで始まった流行は重篤化するタイプのものだった
〜元々風邪レベルの余り怖くない病気だったジカ熱が凶暴化!?〜

ジカ熱感染源 ジカ熱はもともとそれほど怖い病気ではありませんでした。蚊によって伝染し、感染し発症すると、盛り上がった小さな発疹が出ますが、感染者の内四分の一くらいしか発症しません。最初は軽い頭痛と発疹に始まり、やがてそれほど高くない発熱に繋がります。そして、発症してからおよそ1週間で症状は消えてしまい、後遺症も残らないのが普通でした。症状としてはデング熱に似ていますが、重篤化することもなく、ブツブツのできる風邪レベルなので、これまで余り警戒されて来なかったのです。

 ブラジルで最初のジカ熱感染者が確認されたのは2015年5月で、それが2015年11月末の発表では、ブラジル国内だけでも1人が死亡、6人が重態、そして、感染した妊婦さんから生まれた赤ちゃんに1248例もの先天性異常が見つかったのです。ジカ熱の感染はその後、中南米を中心とした諸国に拡がってゆきました。現在WHOがアラートを上げているのは、ブラジルやコロンビア、エルサルバドル、フランス領ギアナ、グアテマラ、ホンジュラス、フランス海外県マルティニーク島、メキシコ、パナマ、プエルトリコ、パラグアイ、スリナム、ベネズエラといった国々です。ジカ熱の発生からたった半年で、これだけの国々にWHOがアラートを上げる必要があるくらい感染が広がってしまったのです。メキシコが警戒区域に入っているということはアメリカも油断できない状況だということで、これはもうブレイクと呼ぶにふさわしい感染爆発としか言いようがありません。
WHOが緊急事態宣言〜ジカ熱の感染者が最大400万人に!?〜

 ジカ熱は、今後も更に中南米を中心に流行拡大することが予想され、感染者は最大で400万人にも達する恐れがあると懸念されています。このことに危機感を募らせていた世界保健機関(WHO)は、2016年2月1日、ついに「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。これは、2014年8月にエボラ出血熱に出して以来のことです。
 ジカ熱を発症しても多くの人は軽症で済みますが、ただし、妊婦が感染すると小頭症の子どもが生まれる可能性があることが指摘されています。WHOはこのことも考慮に入れて、今回の流行を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」であると宣言したのです。
WHOの出す緊急事態宣言とは〜WHOから緊急事態宣言が出されるということの意味〜

 ジカ熱の感染は中南米を中心とした諸国に拡がっています。現在WHOがアラートを上げているのは、ブラジルやコロンビア、エルサルバドル、フランス領ギアナ、グアテマラ、ホンジュラス、フランス海外県マルティニーク島、メキシコ、パナマ、プエルトリコ、パラグアイ、スリナム、ベネズエラといった国々です。ジカ熱の発生からたった半年で、これだけの国々にWHOがアラートを上げる必要があるくらい感染が広がってしまったのです。メキシコが警戒区域に入っているということは、アメリカも油断できない状況だと言うことです。これはもうブレイクと呼ぶにふさわしい感染爆発なのです。

 WHO(世界保健機関:World Health Organization)は国際連合の専門機関であり、「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目標とした団体です。簡単に表現すると、世界の保健所みたいな存在であり、世界中で発生している病気に対して目を光らせています。そのWHOが出す緊急事態宣言とは、早急に対処が必要な問題が発生したことを世界中に宣言することです。それは、その事態に対して世界各国で協力して対処することが重要であることを知らしめる目的で為されるものでもあるのです。
 世界中の各国で流行している病気を監視しているWHOは、特に危険と思われる病気が確認された場合、発生国に対して助言など様々な対策を行ないますが、新型の感染症や感染スピードが速い病気では一国だけでは対応できないこともあります。特に発展途上国では衛生状態も悪く、疾病対策が思うようには進まないことが多くあり、さらにこれを放置することで病気が隣国へと広がり、最終的には世界的な流行をもたらす結果を招く危険性も否定できません。そこで、感染率が高い病気が発生し、対策を行なったにも拘わらず収束の兆しが見えない場合、他国に対して支援を要請する意味で「緊急事態宣言」を出すことがあるのです。最近では2013年に西アフリカで流行したエボラ出血熱において緊急事態宣言が出されており、各国の支援によって2015年末に終息宣言が出されています。このことから、WHOの緊急事態宣言は、たとえば感染率の高く症状の思い病気が発生することや発生国だけでは収束させることが難しいこと、放置することで隣国ないし世界中で流行する可能性があること、さらに他国の支援が必要と見られること等々といった条件で発動されるものだと言えます。WHOの緊急事態宣言は他国の積極的な支援を要請する意味合いがありますが、しかしながら、WHOから緊急事態宣言を出されることは、反対にその国に対応力がないと思われることから国のイメージがダウンすることにも繋がるのです。そして、衛生的なイメージが低下した国では、経済的な投資が減少したり株価が下がったりするなど経済的なダメージも大きく、緊急事態宣言を嫌がる国も少なくありません。実際、過去にはWHOが緊急事態宣言が必要と判断したにも拘らず、当事国の猛烈な反対により宣言を断念するケースもありました。WHOの緊急事態宣言とはそれくらいに重いものなのです。
今後ジカ熱は拡大するのか?

 ブラジルは2016年夏のオリンピック開催地です。選手だけではなく応援に大勢の観光客が訪れるため、オリンピック後に感染者が増えることが予想されています。
日本におけるジカ熱〜ジカ熱は日本で流行するか?〜
今年に入って日本人がジカ熱を発症!?


中南米で流行後の国内初のジカ熱感染
 本年2月下旬、ブラジルに滞在して帰国した神奈川県の10代の男性が、中南米で流行が広がるジカ熱に感染していることが厚労省によって明らかになりました。これまで国内では東南アジアなどから帰国した計3人の感染が確認されていましたが、昨年5月以降の中南米での流行拡大を受けた世界保健機関(WHO)による緊急事態宣言以後は初めてのことです。なお、これまで国内での感染例はありません、2013〜14年、ポリネシアやタイで感染した日本人旅行者3人が国内で発症した例はありました。
 ジカ熱は感染者の血を吸った蚊が別の人を刺すことで感染が拡大する感染症で、2〜7日の潜伏期を経て軽度の発熱や関節痛、頭痛などの症状が出て、通常は2〜7日程度で治まります。症状は軽いものの、妊娠中に感染すると、先天的に頭部が小さく脳の発達が遅れる小頭症」の子どもが生まれる可能性が指摘されています。また、ジカ熱の治療薬はまだなく、症状を軽くする対症療法が中心となります。もちろん日本に生息するヒトスジシマカもジカウイルスを媒介しますが、当時は冬で活動しないため、幸い当時点では国内感染が広がる可能性は低いと見られています。ただし、昨年5月以降、ブラジルなど中南米でジカ熱の感染が広がっているとして、WHOは2月1日、「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」を宣言しています。また、ブラジル国内の感染者数は150万人にも上ると推計されています。また、厚労省も本年2月になって、ジカ熱を4類感染症に指定した上で、感染者が出た場合に保健所への届け出を医師に義務付けた他、検疫所で発熱などの症状がある人にウイルス検査をできるようにするなど検疫体制を強化しました。また、妊婦や妊娠予定の人は流行地へ行かないよう呼びかけている他、已むを得ず渡航する人には長袖の着用や虫よけ剤を使うなど蚊に刺されないよう注意を促しています。

4月にはオセアニアに滞在千葉の男性がジカ熱感染
 今年の4月下旬、ジカ熱が流行するオセアニア太平洋諸島に滞在したあと帰国した千葉県の10代男性がジカ熱に感染していることが今度は明らかになりました。渡航先で感染したと見られてています。今年に入ってから国内で感染が判明したのはこれで5人目になります。男性は同諸島に約1年3カ月滞在した後、今月20日に帰国しましたが、同日38度の発熱と発疹が出て、21日に医療機関を受診して感染を確認したということです。幸いその後熱は下がり、自宅で療養しているということです。男性は現地で蚊に刺されたそうです。なお、この時も厚労省は、幸い国内では蚊が活発に活動する時期ではなく、感染が広がる恐れは極めて低いと判断しています。

国内6例目、横浜市の20代女性がジカ熱感染
 今年の5月下旬、今度は、中南米から帰国した横浜市の20代女性がジカ熱に感染していることが明らかになりました。中南米での流行拡大以降、国内での感染確認はこれで6例目になります。女性はブラジル以外の中南米の流行地域に約6カ月滞在し、5月中旬に帰国した後、37.3度の発熱や発疹等の症状が出たため、20日に医療機関を受診したとのことです。幸い現在は熱が下がり、容体も安定し、自宅で療養しているとのことです。

デング熱を媒介したあの蚊が今回も犯人に

 ジカ熱はジカウイルスというウイルスを蚊が媒介する感染症で、熱帯地方ではネッタイシマカという蚊が媒介します。ただ、そんな蚊は日本にはいないから大丈夫だとばかりは言えません。日本にいっぱいいるヒトスジシマカ(通称「ヤブ蚊」)もジカウイルスを立派に媒介するからです。記憶に新しい東京を中心に広がって大騒動となったデング熱は、2014年夏にこの蚊が媒介したものです。
日本でのジカ熱の流行はあるか?

 ブラジルでジカ熱の発生が初めて報告されたのは2015年5月でしたが、その半年後には数多くの小頭症の新生児が報告されています。リオ五輪をキッカケに複数の国で同じ悲劇が起きることが強く懸念されています。それでは、日本でジカ熱が流行する可能性はどのくらいあるのでしょうか?


 日本でも2013年1月と2014年1月に、それぞれフランス領ポリネシアからの帰国者がジカ熱を発症した症例が知られています。また、2014年8月にタイのサムイ島から帰国した日本人がジカ熱と診断されています。タイ国内ではこれまでにジカ熱と診断された症例は報告されていないものの、タイ帰国後の輸入ジカ熱症例がドイツおよびカナダでそれぞれ1例ずつ報告されているで、タイでも潜在的にジカ熱が蔓延している可能性が考えられます。

 これに関しては、同じように蚊が媒介するデング熱を参考にするとよいと思います。2014年には日本国内でジカ熱と同じ蚊を媒介とするデング熱の流行が見られました。2015年以降もデング熱の国内発生には注意することは当然ですが、デング熱と同じく蚊媒介性感染症であるチクングニア熱とジカ熱もヒトスジシマカによって媒介されうるため、デング熱と同様の警戒が必要だと厚労省は考えていると言います。現在ジカ熱の原因となるウイルスを媒介するヒトスジシマカは日本国内では青森県の南端まで分布していることが分かっており、この地域までは国内発生のデング熱やチクングニア熱、ジカ熱が発生する恐れがあることになります。ジカ熱にしてもデング熱にしても、そのどちらもネッタイシマカとヒトスジシマカがウイルスを運びます。日本の多くの地域ではヒトスジシマカが常在しています。従って、代々木公園を中心としてデング熱が国内発生したように、ジカ熱も国内で流行する可能性は否定できないということになります。また、昨年は幸い国内発生がなく、ュースにもならなかったデング熱ですが、流行地への渡航帰りにデング熱を発症した人は多く報告されています。このように仮に国内での流行は起こらなくても、流行地へ旅行して帰国した日本人や流行地から日本へやってきた外国人が国内でジカ熱を発症するという例は今後増えてくる可能性があります。
 先年、日本でもデング熱のウイルスを持った蚊が東京で発生し、何人かの方が感染したように、今後ジカウイルスを持った蚊が日本でも発生しないとは限りません。オリンピック時期の夏は日本でも多く蚊が発生するため、ジカ熱流行の可能性は否定できません。ウイルスを媒介するヤブカ属のヒトスジシマカは日本の殆どの地域でられます。従って、流行地で発症した日本人帰国者ないしは外国人旅行者が国内で蚊に刺され、同じ蚊が偶々他の人を刺した場合ジカ熱に感染する可能性は考えられることです。ブラジルやポリネシア諸島など今もジカウイルスを持つ蚊が発生している地域は多くあり、それらの国へ渡航し感染後、日本に帰国した人を刺した蚊が他の人を刺せば、デング熱同様に感染者が増える可能性もあるわけです。ただし、日本と現在ジカ熱が流行している地域とは蚊が生息する環境が違うため必ずしも大流行するとは限りません。また、その蚊が冬を越えて生息することは少ないため、日本国内での感染はさほど心配しなくてよいでしょう。もっとも、日本のある研究チームはジカ熱が今年末までに日本で流行する確率は16.6%だと結論づけているそうです。これは決して高くない数字ですが、この推定は今年1月末までのデータを使用したもので、リオ五輪の開催による人の移動というファクターを加えればその確率が更に上がる可能性も否定できないのです。リオ五輪が開催される8月はブラジルでは冬に当たりますが、その時期もネッタイシマカに刺される危険性はあります。リオデジャネイロの平均最高気温は8月でも25.6℃、最低気温も18.9℃と、東京の6月や9月とほぼ同等だからです。また、日本にはネッタイシマカは存在しませんが、ヒトスジシマカは青森以南に広く生息しています。ブラジルでジカウイルスに感染した人が日本に入国し、ヒトスジシマカに刺された場合、その蚊を媒介してジカウイルスが拡散される可能性は十分にあるのです。何れにせよ、感染流行の可能性に関しては心配するに越したことがないことはその通りです。オリンピックだけではなく、中南米へ渡航する予定がある人はジカ熱感染に十分気を付けることが大切です。何れにせよ、現在はジカ熱に対する特効薬がまだ見つかっていないため、まずは感染を食い止めることが最優先されます。
厚生労働省によるジカ熱に対する勧告

 ジカウイルスの伝播がある地域等との間の渡航や貿易についての一般的な制限は現在のところありませんが、厚労省はもとより、WHOもまた、ジカウイルス感染に関するリスクの性質や期間についての情報と共に渡航についてのガイダンスを定期的に更新しています。特に妊婦はジカウイルス感染症が発生している地域への渡航をしないよう厚労省は勧告しています。ジカウイルス感染症が発生している地域に住んでいるか、または渡航するパートナーのいる妊婦は、妊娠期間中は安全な性行為を確保するか性行為を控える必要があります。また、ジカウイルス感染症が発生している地域へ渡航する人は、可能性のあるリスクや蚊による刺咬の可能性を低くするための適切な措置についての最新の勧告を入手し、帰国後は伝播のリスクを下げるため、安全な性行為を含めた適切な対策を取る必要があります。


国立感染症研究所が発表したジカウイルス感染症のリスクアセスメント
 2016年、国立感染症研究所がジカウイルスの感染についてリスクアセスメント(危険に対しての回避方法)を発表しました。それによると、日本では、ジカウイルス感染症は感染症法上の4類感染症と検疫感染症に追加されており、また、「蚊媒介感染症の診療ガイドライン」(第2版)が公表され、診療体制の整備が進められています。また、妊婦及び妊娠の可能性がある人の流行地への渡航は控えると共に、流行地への渡航者に対してはジカウイルス感染症の情報提供及び防蚊対策の徹底をより一層周知することが重要となることが書かれています。さらにその他に、日本人の症例はジカウイルス感染症の流行地への渡航が原因であること、流行地に滞在中、また帰国後には男女共に性的な接触については慎重になるべきことが述べられています。

先進国の責任として国内の蚊は徹底駆除を
 人口が密集している先進諸国で感染爆発が起こった場合、他の国との往来も多いだけに世界中に病気をばらまいてしまう可能性は途上国に比べてより大きなものになります。これは何もジカ熱に限ったことではありませんが、これを一つの契機として国内での衛生状態の改善に一層力を入れたいものです。特に蚊の駆除は先進国の責任です。


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【2】ジカ熱の流行とリオデジャネイロ・オリンピック

 中南米諸国を中心にジカ熱が大流行しています。特にブラジルのリオデジャネイロでは夏にオリンピックが開催され、世界各国から旅行者が集中することで、それらの人がジカ熱に感染して世界的な大流行になることが懸念されています。
 本節では、海外でのジカ熱の流行の状況と渡航時及び帰国後のジカ熱に対する対処法について取り上げ解説しました。
ジカ熱とその歴史
ジカ熱とその変遷

 ジカ熱は近年では、2007年にミクロネシア連邦のヤップ島で流行しています。更に2013年にはフランス領ポリネシアで約1万人の感染が報告されました。また、2014年にはチリのイースター島、翌年の2015年にはブラジル及びコロンビアを含む南アメリカ大陸での流行・発生があます。WHO(世界保健機構)によると、2015年以降2016年第2週までに、中央及び南アメリカ大陸、カリブ海地域ではボリビアやブラジル、コロンビアなどの20の国や地域から症例が報告されています。なお、日本でも、2013年12月にフランス領ポリネシアで感染して帰国後に発症した2名と、2014年7月にタイのサムイ島から帰国した人の計3名の感染例が知られています。

 ジカ熱の最初期の記録は、1947年にウガンダのジカ森で樹上生活を営むアカゲザルの歩哨に確認されたもので、このアカゲザルから初めてジカウイルスが分離されました。ウガンダで行なわれた1940年代の調査では6.1%が陽性反応を示していたと言います。一方、人間の最初の発症例は1954年のナイジェリアで、また、流行の記録は熱帯地方のアフリカと東南アジアで少数が残されていますが、インド亜大陸では感染の記録が存在していません。インドの健康体の人が有する抗体の存在から過去には感染例があったことが示されていますが、他のフラビウイルス科による交差反応性である可能性も存在しています。
 系統学的にアジアの血統を分析すると、ジカウイルスは1945年に東南アジアに入っていることが分かります。また、1977年から1978年にかけてインドネシアで発症の記録が残されています。最初の流行は、2007年のヤップ島でジカ熱が流行し、108件がポリメラーゼ連鎖反応や血清学によりジカ熱と診断され、72件がジカ熱を疑われるケースとなりました。この時の症状は、皮疹や発熱、関節痛、結膜炎で、死者は出ませんでし。この時はヤブ蚊の一種が媒介者となりましたが、ウイルスがどこから来たのかは不明ながら、感染した蚊か先祖に東南アジア出身者を有するウイルス血症に罹患した人間経由と想定されています。これはアフリカ・アジアの何れからも離れたジカ熱の報告でした。ちなみに、ヤップ島の流行以前は人間の感染例は14件です。また、近年では2013年にフランス領ポリネシアでも流行が発生していますが、この時のウイルスはアジアから入ってきたものと考えられています。また、2015年にはアメリカ大陸で流行が発生しました。2014年には感染例が報告されており、太平洋を跨いでフランス領ポリネシアとイースター島に、また、2015年には南米、中米、カリブ諸国へと西に感染が広がり、シンガポールにまで及んだため、一部でパンデミックと見られています。なお、2016年2月1日、WHOはジカ熱の流行について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言、日本政府も同5日の閣議でジカ熱を感染症法上の第4類感染症に指定し、検疫法上の検疫感染症にも指定することとしています。
元々マイナーな存在だったジカ熱
〜ジカ熱はジカ熱は従来中南米でも余り知られていない病気だった!?〜

 一般にジカウイルスはフラビウイルス属に分類されていますが、フラビウイルス属と言うのは遺伝情報を一本のRNA(リボ核酸)状に持っていて、それを取り囲むエンベロープと言う構造を持ったものです。日本脳炎ウイルスやデング熱ウイルス、西ナイル熱ウイルスなどもこのフラビウイルス属です。また、野口英世博士で有名な黄熱病ウイルス(febre flava virus)はこのフラビウイルス属の名前の由来になったものでもあるのです。このように、フラビウイルス属に属している他のウイルスが重い病気を呼ぶメジャーなウイルスだけに、ジカウイルスは本来余り目立たない存在だったのです。しかも、こうした病気はややもすると熱帯地方では普通の病気のように思われがちですが、実は余り一般的ではない病気だったのです。デング熱やチクングニヤ熱がよく知られた中南米の地域でも、従来はジカ熱の知名度は低かったのです。しかしながら、これまではマイナーでも、このような大流行が見られ、今後パンデミック(世界的流行)が予測されるかも知れない状況になっていることは由々しき事態だと言わざるを得ません。
 最近ではデング熱など熱帯性の病気や再興感染症のマラリアやジカ熱など、蚊の媒介する病気がよく話題に上ります。私たちも蚊のいない環境を作るよう意識することを今一度心懸ける必要があるようです。
ジカ熱は蚊が媒介する伝染病
〜媒介蚊はデング熱と同じヒトスジシマカやネッタイシマカなどのヤブカ属の蚊〜

 ジカ熱は、2014年に大流行したデング熱などと同じように蚊を媒介して感染する病気です。また、ウイルスに感染したとしても全員が発症するわけではなく、症状が出ない、ないしは軽症であるために気づかない場合もあります。ジカ熱は一般にアフリカや中南米、アジア・太平洋地域などで発生する病気で、最近では特に中南米での流行が多く見られます。日本国内での感染例は今のところありませんが、海外で感染し、発症した例が幾つか知られています。直近では2016年2月末頃、ブラジルから帰国した川崎市の男子高校生がジカ熱に感染したことが確認されています。なお、ジカ熱は基本的に蚊を通してのみ感染し、感染した人から他の人へと直接移ることはないとされていましたが、しかし、今年の2月にアメリカのテキサス州でジカ熱がヒトからヒトへ感染したとの報告がありました。新たな感染者は感染地域への渡航歴がなく、感染地域に渡航した人との性交渉を通じてウイルスが感染したとのことです。WHOの米地域事務局である汎米保健機構(PAHO)は「ジカ熱が性感染することを確認するためには一段の事例が必要」としていますが、今後もこのような例が確認された場合、更なる感染拡大が懸念されます。

 ジカウイルスを媒介する蚊は、デング熱と同様ヒトスジシマカやネッタイシマカなどのヤブカ属の蚊です。ヒトスジシマカは日本では秋田県や岩手県以南に広く生息し、体長4.5ミリ程度、背中に1本の白い線があり、活動時期は地域によって異なりますが、5月中旬〜10月下旬頃までです。ヒトスジシマカの行動範囲は生息環境で異なりますが、飛行範囲は50〜100メートル程度と言われていますが、ヤブなど蚊の移動に適した場所ではそれよりも大きな範囲での移動も考えられます。しかし、蚊だけではなく、感染した人が移動することで、遠く離れた別の地域にウイルスを持ち込む可能性があります。移動先でヒトスジシマカに刺された時に、その人が血中にウイルスを保有していたら、蚊がウイルスを持つ可能性もあり、その蚊の体内でウイルスが増殖した後に更に他の人にウイルスを移すことも考えらなくありません。また、もう1種の媒介蚊であるネッタイシマカは、1970年代以降、日本国内から消滅したとされています。ただし、ネッタイシマカは熱帯及び亜熱帯に広く生息しているので、そうした地域に渡航する人は、ネッタイシマカの媒介によりジカウイルスに感染する可能性があります。
ジカ熱の原因と感染経路

 ジカ熱の病原体はジカウイルス(Zika virus)です。ジカ熱はジカウイルスに感染することにより起こる感染症で、主にジカウイルスを持った蚊(ネッタイシマカ・ヒトスジシマカ)に刺されることで人に伝播します。この蚊はデング熱やチクングニヤ熱、黄熱病を伝播する蚊と同じです。ジカウイルス感染症の発生は2007年及び2013年に太平洋(それぞれヤップ島とフランス領ポリネシア)で初めて報告され、2015年にアメリカ大陸(ブラジルとコロンビア)、アフリカ(カーボベルデ)でも報告されています。また、アメリカ大陸では13を超える国がジカウイルスの急激な地理的拡大を示す散発的なジカウイルスの感染を報告しています。なおその他に、ジカ熱の感染経路は蚊による媒介以外にも、輸血や性行為によっても感染することが確認されています。また、先天性ジカウイルス感染症は母体から胎児への感染によって起こることが知られています。


蚊からの感染
 ジカウイルスは、デングウイルスの近縁種の蚊を宿主とするフラビウイルス科のウイルスです。もっとも蚊は媒介者でもあって、本来の宿主は未知ですが、血清学上は西アフリカのサル及びネズミ目であると考えられています。媒介者である蚊は日中に動く蚊で、代表的な感染源と指摘されているものはネッタイシマカ(Aedes aegypti)ですが、一方、数種のヤブカ属からもウイルスが検出され、どちらも10日間の潜伏期間を持っています。ジカウイルスの潜在的な社会的リスクは、それを運ぶ蚊の種の分布で区切ることができ、その中でも特に活動範囲が広いネッタイシマカにより主に媒介されているとされています。ジカ熱の伝染は、ヤブ蚊(主としてネッタイシマカ)に刺されることによるものです。たとえば2007年にヤップ島で発生した流行の場合、ヤブカ属のある蚊が媒介者であり、2013年のフランス領ポリネシアではポリネシアヤブカが媒介者となっています。アフリカのヤブカであるヒトスジシマカ ・ アフリカヌスや、日本を含む温帯地域にも生息するヒトスジシマカも媒介者としての役割を果たしています。

母子垂直感染
 ジカウイルスRNAが羊水から検出されたことから、母子感染を引き起こす可能性があるとされており、今のところ文献に残る事例は僅かながら、小頭症を引き起こすと考えられています。たとえば2015年11月、北東地域で羊水検査によって羊水中にジカウイルスが存在した2件の事例を下に、ブラジル保健省はジカウイルスと小頭症の関連性について警告を発しました。2016年1月5日に発表されたこの2例の胎児に対する超音波所見は、2つのケースが何れとも脳の異なる部分を破壊されることによって小頭症を発症したことを示しています。一方の胎児は目に石灰化が生じ、小眼球症を併発していました。ブラジル保健省は11月に警告したジカウイルスに感染した妊婦と小頭症の関連性について、疑わしいケースが2015年12月中旬の段階で少なくとも2400例に達し、乳児29人が死亡していることを明らかにしています。また、今年の4月中旬になって、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)はジカウイルスを小頭症など先天異常の原因だと結論付けています。

性的接触からの感染
 2016年2月の時点で、性行為感染症に関する事例が5件報告されています。たとえば2016年2月の時点で、 アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、精液からの感染が推定される報告があることから、帰国後の性交渉、特に妊娠に関わる場合に数日の余裕を持つよう通達を出しています。なお、今のところ女性から男性への感染は今のところ不明です。

輸血や血液製剤による血液感染
 他のフラビウイルス科のウイルスと同様に血液感染の可能性があり、感染が発生した幾つかの国では、献血者を診断しふるいにかける戦略を構じています。血液感染のケースは、血精液症による感染が1例が報告されており、輸血による感染が2例報告されています。

ジカ熱とオリンピック
五輪後、日本でもジカ熱感染拡大の危機!?

 この夏にはリオデジャネイロでオリンピックが開かれます。現地へ観戦に出かけてジカ熱に感染する危険性は十分にあると言ってよいでしょう。そして、帰国後にヤブ蚊の媒介でジカ熱が流行し、妊婦にも感染が広がるという最悪のシナリオも想定されます。デング熱騒ぎの時には、公園などでヤブ蚊に刺されて感染が拡大しました。屋外の木陰は蚊にとっても絶好の安息場所です。この夏以降、あの騒ぎの再来が現実のものとなる可能性があるのです。
WHO緊急委はリオ五輪でのジカ熱の拡大リスクは低いと結論

リオデジャネイロ・オリンピック 世界保健機関(WHO)は6月14日、主に中南米で感染が広がったジカ熱について緊急委員会を開き、8〜9月のリオデジャネイロ五輪・パラリンピックの延期を求める専門家がいることに対し、「五輪の開催でジカ熱が更に世界に広がるリスクはとても低い」として、延期の必要はないと結論づけました。

 緊急委は五輪の開催期間がブラジルでは冬に当たり、ウイルスを人に移す蚊の繁殖が落ち着くことを指摘し、ブラジルが感染の拡大を抑える対策を取っていることもリスクを下げる理由に挙げました。ジカ熱は妊婦が感染すると児童が小頭症を患う疑いがあり、WHOは2月の緊急委員会で感染拡大を「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」と宣言、3回目となる今回の緊急委で五輪の開催延期を勧告するかどうかが注目されていました。
リオ・オリンピック開催は非倫理的〜ジカ熱リスクで専門家らが発表〜

 ジカウイルスはまた性行為で伝染する場合もあります。ジカウイルスは稀にギラン・バレー症候群などの麻痺状態を引き起こす可能性があります。また、妊婦の場合は胎児が小頭症などになるリスクが大きいとも言われています。そのようなジカ熱が広がるブラジルでのオリンピック大会は「倫理に反する」として、ひと月ほど前に150人以上の専門家たちが開催地の変更や延期を求めました。それに対して世界保健機関(WHO)はオリンピックの開催に問題はないと考えているとされます。

 150人以上からなる様々な国の公衆衛生専門家のグループによれば、ジカウィルスを運ぶ蚊が群飛するブラジルが、2016年8月に開催されるオリンピック大会のため外国からアスリートと観客50万人を迎え入れるのは不必要な健康リスクをもたらすものであり、完全に「倫理に反する」と主張しています。このグループは、世界保健機関(WHO)の陳馮富珍(マーガレット・チャン)事務局長への公開書簡で、2016年のオリンピック大会の開催地の変更もしくは延期を強く主張しました。そして、書簡の付録では、WHOと国際オリンピック委員会(IOC)との「過度に密接な関係」が非難されています。書簡では、WHOがジカ熱を公衆衛生上の世界的な緊急事態だと宣言した数日後にWHOエグゼクティヴ・ディレクターがオリンピック大会を応援する発言を行なったことが引用されています。要するにアスリートや来場者がジカウイルスを媒介する可能性のある蚊に直接晒されることになる上に、たくさんの人が母国に帰国することになるので、ジカウイルスがブラジル以外に広がるリスクが増大するかも知れないと言うのです。
 しかし、WHOと米国疾病管理予防センター(CDC)は、オリンピック大会が公衆衛生を脅かすという見方に反対しています。WHOは5月末に発表した声明で、「現在の評価に基づけば2016年のオリンピック大会のキャンセルや開催地の変更を行っても、ジカウイルスの国際的な拡大に大きな影響はない」と述べています。また、米疾病対策センター(CDC)も、リオ・オリンピックにゴーサインを出すWHOの姿勢を支持しています。CDCのトム・フリーデン所長はBBCのインタヴューで、妊婦は旅行を避けるべきだし、オリンピック大会から帰った男性はセーフセックスに努めるべきだが、大会を予定通りに開催しないという理由はないと主張しました。同氏はオリンピック大会がジカウイルスをさらに拡大する可能性があるという懸念には根拠がないとし、「オリンピック以外にも、人々は元々世界中を行き来しており、それを変えるつもりはない」と述べ、最後に、必要なのは健康への脅威を早く見つけて食い止めるシステムを整えることだと付け加えたと言います。


第31回 オリンピック競技大会(2016 リオデジャネイロ) - JOC
http://www.joc.or.jp/games/olympic/riodejaneiro/
NHK 全力応援!ソチオリンピック
http://olympic.nhk.or.jp/

流行地域へ行く人への注意点
ジカ熱の流行の最新情報を事前に確認しておこう!

 ジカ熱は2016年5月現在、中南米及びカリブ海地域、オセアニア太平洋諸国、東南アジア等で発生しています。特にブラジルなど中南米及びその周辺で大規模な流行が見られるので、流行地域に渡航する人は注意が必要になります。事前にジカ熱の流行の最新情報を確認し、現地では蚊に刺されない対策を。妊娠中の人や妊娠の可能性のある人は流行地域への渡航は控えましょう
渡航についての警告

 ジカ熱と小頭症の関連する証拠が増加したため、危険情報が出されるケースが発生しました。特に妊婦及び妊娠の可能性がある方は、可能な限り流行地への渡航を控えましょう。已むを得ず渡航する場合は、主治医と相談の上で厳密な防蚊対策(蚊が多い時間や時期、場所を避ける、肌の露出を最小限にするため長袖及び長ズボンを着用する、防虫剤を適切に使用する、蚊帳を使用するなど)を講じることが必要です。

 ちなみに2016年1月15日には、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)から妊婦に対する渡航延期勧告が行なわれました。対象となったのは、カーボベルデやカリブ地方(バルバドス、キュラソー島、ドミニカ共和国、ハイチ、グアドループ、ジャマイカ、プエルトリコ、マルティニーク、セント・マーチン島、アメリカ領ヴァージン諸島)、中央アメリカ(コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、パナマ)、メキシコ、太平洋諸島(サモア、トンガ、アメリカ領サモア)、南アメリカ(ボリビア、ブラジル、コロンビア、エクアドル、フランス領ギニア、ガイアナ、パラグアイ、スリナム、ベネズエラ)といった地域で、また、妊娠を予定している女性にも渡航前に医師との相談を考慮するよう示唆されました。また日本の国立感染症研究所も、可能な限り妊婦の流行地への渡航は控えた方がよいとする見解を発表しています。


ジカウイルスに対する各国の対応
 ブラジル保健省は、妊娠中のジカウイルス感染と胎児の小頭症に関連がみられるとの発表しています。 米国では2016年1月中旬には、妊娠中のジカウイルス感染と小頭症との関連についてより詳細な調査結果が得られるまでは流行国地域への妊婦の方の渡航を控えるよう警告し、 妊娠予定の女性に対しても主治医と相談の上で厳密な防蚊対策を推奨しました。続く1月下旬には、欧州疾病対策センター(ECDC)は、流行地域への妊婦及び妊娠予定の方の渡航を控えることを推奨しています。また、世界保健機関(WHO)は2月1日に緊急委員会を開催し、小頭症及びその他の神経障害の集団発生に関する「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(PHEIC )」を宣言しました。

海外流行時に注意!〜虫除けとそのポイント〜
 虫除け剤を使用する際は、添付文書に書かれた使用法を必ず守るようにしましょう。また、日焼け止めと併用する場合、日焼け止めを先に塗ってから虫除け剤を使用します。子どもへの虫除け剤の使用については小児科医とよく相談し、使用できない場合はベビーカーにぴったり合うサイズの蚊帳を取り付けるとよいでしょう。もっとも全ての蚊がジカウイルスを保有しているわけではないので、もしも蚊に刺されたとしても神経質になる必要はありませんが、出来るだけ蚊に刺されないように対策を取ることはやはり必要です。また、妊娠の可能性がある人はジカ熱の流行地域への渡航は極力避けるようにしましょう。已むを得ず渡航する場合は、主治医とよく相談した上で厳密な防蚊対策を取るよう心懸けましょう。
  • 長袖のシャツや長ズボンを直用し、出来るだけ皮膚の露出を少なくする
  • 出来るだけ網戸がしっかり取り付けられているか、エアコンが備わっているか、蚊をしっかりと駆除しているホテルに滞在する
  • 屋外に出たり、網戸が取り付けられていない建物にいたりする時は、皮膚の露出部にディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫除け剤を2〜3時間おきに点ける

ジカ熱の流行地域

 ジカ熱はセネガルやウガンダ、ガボン、タンザニアなどのアフリカ大陸,カンボジア、インド、インドネシア、マレーシア、パキスタン、フィリピン、シンガポール、ベトナムなどのアジア大陸、ミクロネシアのヤップ島、ニューカレドニア、クック諸島などで見つかっています。しかし、実際のジカ熱に罹ったという報告は、これまでにウガンダやナイジェリア、カンボジア、マレーシア、インドネシアからの報告があります。これまでは大規模な流行の報告はありませんでしたが、2007年のミクロネシア連邦のヤップ島での集団感染があり、約300名の感染者がでたと報告されています。また、2013年9月よりフランス領ポリネシアで始まったジカ熱の大流行はニューカレドニアやクック諸島にも波及し感染者は3万人以上にも上ると推計されています。


主な流行国&地域(※2016年5月末)
  • 中南米及びカリブ海地域
     アルゼンチン、アルバ、バルバドス、ベリーズ、ボリビア、ボネール、ブラジル、コロンビア、プエルトリコ、コスタリカ、キューバ、キュラソー島、ドミニカ国、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、仏領ギアナ、グレナダ、グアドループ、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、マルティニーク、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、ペルー、サンバルテルミー島、セントルシア、セント・マーティン島(仏領サン・マルタン及び蘭領シント・マールテン)、セントビンセント及びグレナディーン諸島、スリナム、トリニダード・トバゴ、米領バージン諸島、ベネズエラ

  • オセアニア太平洋諸島
     米領サモア、フィジー、ミクロネシア連邦コスラエ州、マーシャル諸島、ニューカレドニア、パプアニューギニア、サモア、トンガ

  • アフリカ諸国
     カーボベルデ

  • アジア地域
     タイ、フィリピン、ベトナム
※ただし、上記の国及び地域のうち標高2000m以上の地域はリスクが低いとされています。

海外渡航を予定している人の注意すべきこと


中南米への旅行は避けるのが賢明
 米疾病管理予防センター(CDC)では現在、ブラジルやコロンビア、メキシコ、プエルトリコ、ベネズエラ、グアテマラなどジカ熱感染が認められた中南米など24の国と地域に旅行注意報を発令しています。ジカ熱が大流行中のブラジルでは今年オリンピックが開催されますが、蚊に刺され、ウイルスを自国に持ち帰る可能性も否定できず、それが原因で世界各地への感染拡大も考えられますので、旅行計画には十分注意しましょう。妊娠中または近い将来妊娠する可能性がある人、これらの国や地域への旅行を避けるのが賢明です。

妊娠中の人や妊娠の可能性がある人は
 流行地域への渡航及び・滞在を可能な限り控えましょう。世界保健機関(WHO)は2016年3月、妊婦は流行地域への渡航をすべきでないと勧告しています。已むを得ず渡航する場合は主治医と相談の上で厳密な防蚊対策を講じて下さい。

渡航先では
 ジカウイルス感染症の流行地域に渡航する人は、虫除けスプレーなどを使ったり肌の露出を控えたりするなどの対策をして、蚊に刺されないようにして下さい。

帰国後は
 帰国時に軽度の発熱や発疹などジカウイルス感染症を疑う症状が見られた場合には、まずは空港や港の検疫官に相談しましょう。空港や港では、ジカウイルス感染症などの感染症の患者を発見するため、帰国者を対象に検疫所においてサーモグラフィーを日常的に使用し発熱者などを発見し、診察や健康相談などを実施し、必要に応じて検査を実施しています。特に流行地域から帰国した人は、症状の有無に関わらず最低2週間程度は特に蚊に刺されないように注意しましょう。また、流行地域から帰国した男性は、ジカウイルス感染症の症状の有無に関わらず最低8週間程度はパートナーが妊娠中の場合は、妊娠期間中、性行為の際はコンドームを使用するか、性行為を控えて下さい。流行地域から帰国した女性も最低8週間程度は妊娠を控えて下さい。

あなたはそれでも渡航しますか?〜オリンピック観戦で感染しないために〜

 日本ではマスコミが大きく取り上げているジカ熱も、一般的な認識はまだまだ低いと言わざるを得ません。まあ大丈夫だろうと甘く見ていたら大変な事態を招いてしまう可能性も決して否定できないのです。リオデジャネイロはブラジルの中でも今回のジカ熱流行地域の一つです。オリンピックを観戦しに行くことはさすがに止めませんが、くれぐれも蚊に刺されないよう厳重な注意をしてから出かけるよう心懸けて下さい。何れによ}、新婚旅行など妊娠される可能性のある時期には、オリンピック観戦を含め、アラートの上がっている地域への渡航は避けた方がよいでしょう。

 当初WHOは渡航自粛を出していませんでしたが、一方で米疾病管理予防センター(CDC)は、アメリカ国民に対して当該地域への渡航制限を早期に勧告しています。アメリカでは、自国民に対してしっかりと渡航制限を勧告していたのです。そして2016年2月16日のWHOの会見において渡航に関する警告が漸く出されました。これは「妊婦に対して感染拡大地域への渡航延期を検討する」ように求めた警告です。オリンピックに行きたい気持ちは分かりますが、危険を冒してまでオリンピック観戦に出かけて、ジカ熱に感染しては洒落にもなりません。


海外に行く人へ〜最新の感染症の発生状況を確認しよう〜
 海外では、ジカウイルス感染症の他にもデング熱やマラリア、チクングニア熱、黄熱など、蚊が媒介する様々な感染症があります。海外で蚊に刺されることによって感染し、日本で発症する例が毎年報告されています。マラリアを媒介するハマダラカや、デングウイルスやチクングニアウイルスを媒介するヒトスジシマカは日本にも存在しています。2014年のデング熱患者の発生と同様、国内感染が広がる恐れありますので、海外でも国内でも蚊に刺されないよう、しっかりと対策をしておくことが重要となります。また、海外では日本にはない感染症があり、蚊による感染症だけでなく、マダニや動物、水や食べ物などを介する感染症も多く発生しています。渡航先の感染症の発生状況に関する最新の情報や注意事項を確認しましょう。


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【3】ジカ熱の治療法と予防&対策

 デング熱と似た症状が出ると言われるジカ熱ですが、私達はそれに対して一体どのような対処をしたらよいのでしょうか?
 本節ではジカ熱の治療法や予防法、また、個人でも出来る対処法を取り上げ解説しました。
ジカ熱とその診断
ジカ熱の潜伏期間

 ジカ熱の潜伏期間は大体3〜12日で、発症すると、症状は通常4〜7日間続きます。ただ、不顕性感染率は約8割とされているので、10人中8人は感染しても発症せずに過ぎてしまうとされています。
ジカ熱の診断

ジカ熱の診断 ジカ熱の診断は、病原体の検出あるいは抗体検査などによります。ジカウイルスは血液検体からリアルタイムPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査法またはウイルスの分離によって診断されます。血清学的検査による診断は、ウイルスがデング熱、西ナイル、黄熱病など他のフラビウイルスと交差反応することがあるので困難です。ちなみに感染症法では、ジカ熱は4類感染症として定められており、診断した医師は直ちに最寄の保健所に届け出ることが義務付けられています。ただ、残念ながら通常の病院やクリニックで行えるようなジカ熱の簡易検査は今のところなく、今後は都道府県にある衛生研究所などの一部の検査機関でのみ検査の対応が行なわれることになります。診断にはウイルスの遺伝子を検査するという特殊な検査を必要とするため、症状のない人にまで検査を行なうこともありません。あくまでも一定の定義を満たした対象者のみにジカ熱の検査が行なわれることになっています。

 ジカ熱が発症する地方では、その地方独特のアルボウイルスによる病気によるものに紛れるため、兆候や症状を基にした診断は困難です。それというのも、症状を下にジカ熱と診断するための対象が、デング熱の他にも、レプトスピラ症やマラリア、リケッチア、風疹、麻疹、パルボウイルス、エンテロウイルス、咽頭結膜熱、アルファウイルス感染症(チクングニア熱、マヤロウイルス、ロスリバーウイルス、バーマフォレストウイルス、オニョンニョンウイルス、シンドビスウイルス)に至るまで広範に渡るからです。それに加えて、蚊によって媒介される他の病気との同時感染の可能性も否定できないため、ジカ熱の正確な診断は更に厄介なものになります。
 ジカ熱の診断は、血液検査や尿検査、唾液検査によってウイルスのRNAを検出することで行なわれます。逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)により診断が可能ですが、ウイルス血症の期間は短いため、世界保健機関では、発症後1〜3日の血清か、3〜5日の唾液または尿を診断に用いることを奨めています。その後は血清学的手法によりジカウイルスの抗体である免疫グロブリンMと免疫グロブリンGをELISAまたは蛍光抗体法で検出することで診断が可能になります。免疫グロブリンMは、発症後3日で検出が可能です。また血清学的交差性は、同じフラビウイルス科のデングウイルスやウエストナイルウイルスのような同じフラビウイルス科のウイルスに加え、フラビウイルス科に対するワクチンとも同様に密接な関連があります。幸い最近になって抗体の商業用検出キットが開発されましたが、残念ながらアメリカ食品医薬品局の認可は得られていないのが現状です。
ジカ熱の血液検査

 ジカ熱の診断は、デング熱やその他の症状が似ている病気との鑑別が必要なため、通常血液検査を行ないます。血液検査上は特に特徴のある所見はありません。デング熱やチクングニア熱に見られる白血球減少や血小板減少は少ないと言われていますが、日本でのフランス領ポリネシアからの輸入ジカ熱の2症例共に何れも軽度の白血球減少と血小板減少が認められています。
ジカ熱の皮疹

 ジカ熱の皮疹は通常頸部から四肢に広がります。ジカ熱と似た病気のデング熱では解熱の時期に前後して皮疹が出現することが多いですが、ジカ熱では発熱期から皮疹が出現していることが多いとされます。
個人によるジカ熱のチェック

 ジカ熱に感染した場合には、二次感染を防止するためにも自分がジカ熱に感染しているかどうかを確認する必要があります。ジカ熱の場合、症状が軽いため感染に中々気づかないこともあるので、自分でもジカ熱チェックを行ない、自分がジカ熱に感染しているかどうかを把握することも時と場合によっては必要になります。チェック項目を見てジカ熱かどうかを正しく判断しましょう。特に海外渡航者に関しては渡航先でジカ熱が流行していたかを確認する必要がありますし、海外で蚊に刺された可能性がある場合や輸血や性行為を行なった場合にもジカ熱感染の可能性が否定できないので、医療機関を受診して詳しい検査を行なう必要があります。二次感染を防ぐためにも、特に海外渡航者の場合は、症状が出ていなくても検査をすることをオススメします。


ジカ熱判定のチェック項目
 以下のチェック項目を確認して当て嵌まる数が多い場合はジカ熱に感染している可能性がある場合が考えられます。
  • ジカ熱が流行している地域に渡航した
  • 海外渡航後に発熱などの症状が出た
  • 海外から帰って来て体調に異変を感じた
  • ジカ熱流行地域で蚊に刺された
  • ジカ熱流行地域で輸血した
  • ジカ熱流行地域で性行為を行なった
  • 海外渡航者と性行為を行なった
  • 蚊に刺された後に発熱などの症状が出た

ジカ熱とその治療
ジカ熱の治療

 ジカ熱は通常は比較的症状が軽く、特別な治療を必要としません。ジカ熱に罹った人は、十分な休養と十分な水分を摂り、そして、市販の鎮痛解熱薬でも対処が可能なので、ジカ熱の症状が悪化した時に医療機関に助言を求めることがよいでしょう。

 ジカ熱の治療は、痛みや発熱、痒みに対する対症療法を行ない、患者を支援するものとなります。ジカ熱に特別な治療法はありませんが、アセトアミノフェンは症状の緩和に有効であるとされています。ただし、一部の専門家はアスピリンや非ステロイド性抗炎症薬の使用は、他のフラビウイルス科によるものと同様の出血症候群の危険性が高くなるため回避を推奨しています。さらに、ライ症候群の危険性から、子どもに対してはアスピリンの使用は回避されています。なお、2015年の流行以前にはジカウイルスに対する知見が乏しく、特別の治療法は存在しせんでした。妊婦に対する助言も、一般的な感染症に対するものと同様に感染を避けることと、感染した場合の治療支援を越えるものではなかったのです。試験管レベルでは一般的なウイルス感染症と同様にインターフェロンの有効性は知られていましたが、人間や動物での試験は行われておりませんでした。
ジカ熱のワクチン

 ジカ熱の直接的な治療方法はありません。また今のところ、ジカ熱に適応できるワクチンもありません。前述のようにジカ熱自体で症状が重くなることは稀ですが、妊婦が感染した場合、胎児の発育に大きな影響が出て取り返しのつかない事態になる恐れもありますので、とにかく蚊に刺されないように最大限のケアをすることが大事です。

 ブラジルには海外旅行で日本から大勢の人が訪れると思います。2月にはリオのカーニバルがありましたし、2016年8月から9月にかけてはリオデジャネイロ・オリンピック、パラリンピックが開催されます。ちょうどオリンピックの頃は、地球の裏側のリオデジャネイロの季節は冬ですが、蚊は活動しています。ブラジルをはじめ中南米と日本の間を行き来する人が一段と多くなることが予想され、それだけジカ熱が日本に入って来るリスクも高くなっています。ジカ熱から日本国内、特に妊娠している女性やお腹の赤ちゃんを守るために一層実効性のある対策を検討することが求められています。そのためにも対策として進めなければならないのがワクチンの開発です。ジカ熱のウイルスは70年ほど前に見つかっていますが、ワクチン開発はこれからといったところです。ジカ熱は症状が比較的軽く、小頭症との関連を強く示唆されたのも2015年11月頃のことで、病気に対する危機感が高まらなかったことがジカ熱のワクチン開発が進んでいない背景にあります。今後はワクチンの研究開発を国際協力で進め、早期に実現させることが必要になってきます。
ジカ熱の予防とその対策
ジカ熱の予防と対策

 蚊とその繁殖地はジカウイルス感染の大きな危険因子となります。最も可能性が高いのは蚊による感染拡大なので、ジカ熱に感染しないための予防対策としては、蚊を如何に発生させず、蚊を出来るだけ寄せ付けないこと、また、蚊をどのようにして駆除するかがジカ熱の予防方法としては重要になります。

 ジカ熱の感染の予防と制御は、やはり感染源の削減(繁殖地の除去および環境改善)によって蚊を減らし、蚊と人との接触機会を減らすことにかかっています。これは虫除け剤を使用することと出来るだけ身体の多くの部分を覆う(できれば明るい色の)服を着ること、遮蔽幕やドアや窓の閉鎖などの物理的な障壁を利用すること、そして、蚊帳の中で眠ることなどで実現できます。また、バケツや植木鉢、タイヤなどの水が溜まる場所を空にし、いつも清潔を保ち、蓋をして蚊が繁殖できる場所を減らすことも重要です。なお、感染流行の発生中は保健当局が殺虫剤を散布することを奨めることがあります。WHOの農薬評価事業計画によって推奨されている殺虫剤が比較的大きな貯水容器の幼虫を処理するための殺虫剤として使われることもあります。
 とにかく蚊を発生させないためには、家の周りに出来るだけ水溜まりや水の貯まる場所をなくすということが重要となります。これは、蚊の発生原因となるボウフラの生息場所をなくすために有効な手段で、ボウフラは水たまりなどで繁殖し蚊になるため、庭先などに水を貯めている場所があるとその場所で蚊が大量に発生しやすくなります。それに加えて、庭の草なども綺麗に刈り取り水が溜まり難い状態を作ることも必要です。当然、蚊を寄せ付けないための対策も必要で、長袖や長ズボンを着用して蚊に刺されないようにすることや、虫除けスプレーなどを使用して蚊を寄せ付けにくくすることなども、ジカ熱に感染しないために必要な対策となります。また、蚊を家の中に入れないようにすることも重要で、蚊に効果がある防虫剤を継続的に使用することも蚊を駆除するためには有効な手段となります。基本的に家の中に蚊を入れないことや、外出時に蚊を寄せ付けないようにすることは最低限必要となる対策です。なお、幼児や高齢者、病人のように自分では十分に身を守ることができない人には、普段から特別に注意を払い、介助が行なわれる必要があります。また、 旅行者は、蚊に刺されることから身を守るために、ここに述べた基本的な予防策を取ることが重要です。
ジカ熱予防のポイント

 ジカ熱には有効なワクチンはなく、蚊に刺されないようにすることがジカ熱に対する唯一の予防方法となります。


妊婦及び妊娠予定の人
 妊娠中のジカウイルス感染と胎児の小頭症との関連があるとされているため、世界保健機関(WHO)は2016年3月8日、妊婦は流行地域への渡航をすべきでないと勧告しています。日本にでも外務省から感染症危険情報が出されており、特に妊娠中ないしは妊娠を予定している人は、ジカ熱の流行国ないし流行地域への渡航及び滞在を可能な限り控えることが勧告されています。已むを得ず渡航する場合は厳密な防蚊対策を講じることが必要となります。

渡航中
 流行地域では長袖と長ズボンを着用して、蚊の忌避剤を使用し、蚊に刺されないように注意することが必要です。また、症状の有無に関わらず、性行為の際にコンドームを使用するか性行為を控えることが推奨されています。

帰国後
 性行為感染の予防については、流行地域から帰国した男性は、妊娠中のパートナーがいる場合は、妊娠期間中に性行為を行なう場合にコンドームを使用するか、性行為を最低8週間は控えることが推奨されています。また、母体から胎児への感染リスクを考慮し、流行地域から帰国後の女性も、帰国後8週間は妊娠を控えることが推奨されています。ちなみにWHOのガイダンスでは、渡航中または帰国後8週以内にジカウイルスの症状(発疹、熱、関節痛、筋肉痛又は結膜炎)がある場合には、男性は最低6か月間はより安全な性行動を取るか、性行為の自粛を検討することが推奨されています。なお、症状の出ない感染者から感染伝播するかについては分かっていないため、国内の蚊の活動期(概ね5月中旬〜10月下旬頃)に流行地から帰国した場合は、症状の有無に関わらず、蚊に刺されないための対策を少なくとも2週間程度行なうことが推奨されています。また、輸血による感染伝播を予防するため、同様に献血も自粛した方がよいでしょう。

ジカウイルスの感染を防ぐには?
〜「蚊に刺されない対策」と「蚊の発生を抑える対策」を〜
ジカ熱は蚊を避ければ感染のリスクが低くなる

 現在ジカウイルス感染症を予防するワクチンや治療薬はなく、治療法は対症療法が主となります。そのため、ジカウイルスの感染を防ぐためには、媒介する蚊に刺されないこと、また、蚊の発生を抑えることが重要な対策となります。

 ジカ熱は世界中で様々な対策が出されていますが、国内では主な感染源である蚊を避けることが自己防衛の手段です。しかし、警戒は必要ですので今後海外へ渡航される人は蚊に刺されないようにするなどの対策が必要ですし、女性は自分が妊娠している可能性があるのかも知ることが大事です。旅行の計画を立てる前に自分の身体も調べて安全対策を取ってから出かけるように心懸けましょう。
対策1:蚊に刺されない

 自分がジカ熱に感染しないために、そして、他の人にジカ熱の感染を広げないために、蚊に刺されないようにすることが大切です。特に妊娠中の女性は普段から蚊に刺されないように注意しましょう。日本でも見られるヒトスジシマカは日中(特に日の出前後の明け方と夕暮れ時から日没後1〜2時間の間が特に活発になる)に藪や木陰などで活動しますが、場合によっては家の中に入って来たり、夜間に血を吸ったりすることもあります。その一方で、海外で見られるネッタイシマカは昼間も活発に活動し、家の中に入って来て血を吸うことが多いとされています。蚊が発生している地域や場所では、出来るだけ次のような対策をしましょう。


蚊のいるような場所に行く時
  • 素足でのサンダル履きを避ける
  • 白など薄い色のシャツやズボンを選ぶ(※蚊は色の濃いものに近づく傾向がある)
  • 肌を露出しない長袖や長ズボンを着用する など

蚊を近づけないために
  • 虫除けスプレーなどを使用する(定期的に塗りなおすなど適切に使用する)
  • 蚊取り線香などを使用する など

対策2:蚊の発生を抑える

 ジカウイルスを媒介する蚊の発生を抑えることも大切です。ジカ熱に有効なワクチンと治療薬の開発という中長期的な対策に加えて国内での流行に備えるという観点からは、ジカウイルスを媒介する蚊の駆除も有効な予防の一つになります。殺虫剤の使用の他、ベランダの植木鉢の受け皿など蚊の繁殖地となりうる水溜りをなくすなど、明日からできる身近な対策もあります。

 日本にも生息するヒトスジシマカは主に藪や墓地、公園などに生息し、日中に活発に活動します。水中に産卵しますが、沼や池のような広い場所よりも狭い水溜まりのような場所を好みます。たとえば屋外に置かれた植木鉢の受け皿や空き缶、ペットボトルなどに溜まった水、野積みされた古タイヤに溜まった水などにも好んで産卵し、孵化した幼虫はそこで成長します。こうした生態からも分かるように、家の周囲を点検して不要な溜まりをなくすことがヒトスジシマカの発生を抑え、ジカウイルスの感染拡大を防ぐことに繋がります。なお、当然ながらこれらの対策は2014年に日本でも流行したデング熱対策にもなります。さらに近年では、遺伝子操作を行なった蚊を放出して通常の蚊を減少させる取組みなど革新的な取組みにも注目が集まっています。
参考:どのような虫除け剤を選ぶべきか?

 屋外で活動するときは必ず虫除け剤を使い、2〜3時間おきに塗り直すことが大事です。虫除け剤において最も忌避効果が高いとされているのがディート(DEET)という成分です。現在日本で認可されているディートの最高濃度は12%で、残念ながら医薬品にしか認められていません。より効果が高く長持ちする虫除け剤を使いたいなら、有効成分に「ディート12%」と表示されているものを選ぶとよいでしょう。

 また、肌質が弱い人や子ども(生後2カ月以下の赤ちゃんには使用できない)にディートを使うことに抵抗がある場合は、2015年に新しく有効成分として承認されたイカリジンを使用した虫除け剤がオススメです。こちらは肌により優しく、小さな子どもにも使うことができます。

 次に、屋内用の虫除けグッズの選び方にも注意が必要です。適用害虫に「ユスリカ、チョウバエ」とだけ表示された「置くだけ・吊すだけ」系の製品は、蚊には効き目がありません。必ず「蚊成虫の駆除」「蚊成虫の忌避」と書かれたものを選ぶようにしましょう。
日本でのジカ熱対策

 日本でのジカ熱の対策は、まずはジカウイルスを国内に入れないこと、蚊を増やさないことと、蚊に刺されないことに尽きます。もっとも、蚊を一匹もいないようにすることはできないので、蚊の季節になったら蚊に刺されないように肌を露出しないということが大切です。

 ジカウイルスを国内に入れないためには、水際で感染者を見つけることが必要です。厚労省では、空港の検疫所で中南米から入国する人に発熱や頭痛などを訴える人がいないかどうか確認する水際対策を強化しています。ただ、水際対策には当然ながら限界があります。ジカ熱の潜伏期間は、WHOによると2〜7日とされており、そのためジカ熱に感染したばかりで症状が出ていない人を水際でチェックできない可能性があります。さらに厄介なことに、ジカ熱に感染しても症状が出ないという人もいます。症状が出ていないと、水際では止めるのは難しくなりますから、そうなると今度は、ウイルスを広める蚊を増やさないことが重要になります。これは蚊が活動を始めるようになってからの対策になりますが、2014年に同じヒトスジシマカが媒介するデング熱が流行した時から始めた対策を思い出せばよいでしょう。
 ヒトスジシマカは、小さな水溜まりを好んで卵を生みます。個人で出来ることとしては、植木鉢の皿や空き缶、タイヤなど水の溜まりやすいものを取り除いたり、溜まった水を捨てたりすることが挙げられます。その一方で、自治体では、デング熱が相次いで以降、人の集まる公園など感染拡大のリスクの高い場所を選出して、草刈りや水が溜まるような場所を作らないようにするなど計画的に対策を行なうようにしています。もっとも、自治体が対策出来るのは規模の大きな公園などに限られます。ですから、たとえば地域の町内会などが自治体と連携して、個人と自治体の中間にあたる小さな公園などで水が溜まるような場所がないようにするとか、側溝にゴミが溜まって水が滞留していないか点検するなど、蚊やボウフラを繁殖させないためにどのようなことが効果があるのか検討し、実行に移すことが必要です。
ジカ熱に対して私たちが今できること


もしも心配な症状が出たら
 海外にいる間に発熱などの症状が出た場合は、出来るだけ早く現地の医療機関を受診しましょう。また、帰国の際に心配な症状が見られた場合も、検疫所の担当者に相談するようにしましょう。症状が中々改善しない場合は近くの医療機関を受診するようにして下さい。どの場合においても、相談・受診の際には渡航先や渡航期間、また、渡航先での活動などについて詳しく伝えてるようにしましょう。

性的接触による感染はどう防ぐか
 性的接触による感染については更なる証拠が必要とされますが、現時点での予防策として、ジカ熱に感染した恐れがある人の精液には触れないということが挙げられます。他の性感染症の予防にも繋がるので、性的交渉の際にはコンドームを使用するよう心懸けましょう。

ジカ熱に感染した時の対処法
 日本でのジカ熱感染者は2014年の夏にタイ・サムイ島に旅行した男性が帰国後に発症した例以外に報告はありませんが、今後日本にジカ熱の流行が訪れる可能性はゼロとは言えません。もしもジカ熱に感染した場合、或は感染の疑いがある場合、一体どのようにすればよいのでしょうか? ジカ熱には直ちに人の生命を危険に陥れることはありませんが、妊娠中にジカ熱に感染すると、胎児が小頭症で産まれる可能性が高まると言われているので、感染の疑いがあったら速やかに病院へ行き、2次感染を防ぐため完治するまでは外出を控えましょう。
  • 海外旅行後1カ月以内に発熱を確認した場合
     近くの医療機関へ行き、必ず海外旅行をしたと医師に伝えます。

  • 海外で蚊に刺された形跡がある場合
     日本に入国する際に空港ないし港の検疫所で健康相談が行なえます。心配であれば帰宅前に相談しましょう。

  • ジカ熱の疑いがあると言われたら
     完治するまで外出を控えます。場合によっては入院を奨められることもあります。

ジカ熱に感染しないために守りたいこと


妊娠中はジカ熱が流行っている国へは渡航を控える
 妊娠中や、或はこれから妊娠を考えている人は、可能な限りジカ熱が流行している地域(主に中南米)への渡航は控えるようにしましょう。厚労省では、平成28年1月15日時点で次の国をジカ熱の流行地としています。ブラジル、コロンビア、エルサルバドル、仏領ギアナ、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラス、マルティニーク、メキシコ、パナマ、パラグアイ、プエルトリコ、スリナム、ベネズエラ。これらの国への渡航は避けるようにするのが安心です。

海外に行く時は蚊に刺されない対策をする
 已むを得ぬ理由により妊娠中もしくは妊娠を考えている人がジカ熱が流行している国に渡航する場合は、必ず蚊に刺されない対策を取ることが必要です。有効とされている対策には以下のものがあります。
  • 洋服は長袖と長ズボンにしたり帽子を被るなどして肌の露出を極力少なくする
  • 小まめに虫除けスプレーをつける(※ディートという有効成分が含まれているものを使うとよいと言われます)
  • 滞在するホテルは蚊をしっかり駆除しているところ、部屋にクーラーや網戸があるところを選ぶ
  • 寝る時は部屋を閉め切り、出来れば蚊帳の中で寝る

海外で蚊に刺されて発熱した時は必ず病院を受診する
 ジカ熱の感染が報告されている国に渡航して発熱した場合は注意が必要です。現地で出来る限り早く病院を受診するようにしましょう。また、蚊に刺された覚えがなくても、発熱した時は念のために受診することがオススメです。また、帰国中に発熱や心配な症状が出た場合は検疫所で必ず相談するようにします。なお、潜伏期間が1週間近くなることもあるので、帰国後の発熱も警戒するようにし、気になる時は直ぐに病院を受診するようにしましょう。

性交渉によっての感染を警戒する
 基本的にはウイルスに感染した蚊に刺されない限り発症しないジカ熱ですが、アメリカやフランスでは性交渉による人から人への感染の可能性が報告されています。ジカ熱に感染している男性と性交渉をしたことによって、渡航していなくても感染してしまう可能性が考えられるので、その点も妊婦はしっかりと警戒するように心懸けましょう。

ジカ熱を疑う症状がある時は?
〜直ちに医療機関への受診や保健所、検疫所などに相談を〜

 ジカウイルス感染症の症状は実はデング熱よりも軽症です。また、約8割の人は症状が出ないため、感染しても気づきにくいとされています。現われる症状も様々ですが、主な症状としては軽度の発熱や発疹、結膜炎、筋肉痛、関節痛、倦怠感、頭痛などがあるとされています。


流行地域から帰国した人は
 渡航中に軽度の発熱や発疹、結膜炎、筋肉痛や関節痛などの症状が現われた時は直ぐに医療機関を受診して下さい。帰国時に発疹など心配な症状のある人は空港や港の検疫所に相談しましょう。帰国後に発症した場合や症状が改善しない場合は、近所の医療機関を受診したり、保健所に相談して下さい。医療機関を受診する時は、医師に渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて詳しく伝えましょう。また、流行地域に渡航した男性との性行為があった場合は、相手の渡航先や渡航期間なども伝えましょう。


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【4】妊婦とジカ熱

 元々ジカ熱は感染しても通常はそれほど重篤な症状が現われるものではなく、概して心配のない感染症でした。ところが、妊婦がジカ熱に感染すると、生まれてくる子どもが小頭症になる危険性が高いことが最近になって分かってきました。
 本節では、妊婦がジカ熱にどのように対処したらよいか、また、小頭症とはどのような病気なのかについて、ジカ熱との関連からまとめました。
症状は軽いけれど、妊婦がジカ熱に感染すると・・・
妊婦に対してジカ熱流行地域への渡航を控えるよう厚労省が呼び掛け

 ジカ熱に感染しても、発熱や発疹、頭痛、関節痛がある程度で、一般に症状はそれほど重くないのが普通です。ただ問題は、妊婦がジカ熱に感染した場合に脳の発達に遅れが出る小頭症の子ども生まれる可能性があることです。いま危機感が渦巻いているのは、2015年5月にブラジルで患者が確認されて以来、中南米の20カ国以上に急速にジカ熱の感染が広がっていることで、感染者の急増と歩調を合わせるように、ブラジルでは4000人近い小頭症の赤ちゃんが生まれているという事実です。これに関しては、日本においても厚労省がジカ熱に対する啓発のためのリーフレットを出し、妊婦にジカ熱流行地域への渡航を控えるよう呼びかけています。リーフレットには「妊婦の方の流行地域への渡航を控えたほうがよい」と書かれています。
妊婦に対するジカ熱の感染

ジカ熱と妊婦 妊娠初期から妊娠後期にかけてのどのタイミングでジカ熱に感染すると危険なのかについてはまだよく分かっていないのが現状です。ジカ熱に感染後でも症状が治癒した後なら妊娠しても大丈夫なのかについてもまだよく分かっていないので、国ごとによって方針が異なってきます。1か月〜半年程度は妊娠を慎重に考えた方がよさそうなのですが、データがないだけに、独身女性であっても将来を考えると不安は残ったままということになります。とにかく一番問題なのは、ジカ熱の症状が出ない人が8割もいるということです。感染症法の四類感染症で検疫法の検疫感染症に追加され、発見された場合は、医師による保健所への届け出義務が必要になりましたが、症状がなければ病院には受診しませんから、ジカ熱感染の無無が判断出来ません。要は、不顕性感染つまりジカ熱に感染してウイルスは持っているものの症状が出ない人からの感染はあるのかということです。不顕性感染のキャリアが感染源となるのかにいて、また、どれだけの期間体内に入ったウイルスが持続するかについても全く分かっていないのです。ただ、他の疾病や妊娠中感染症などから考えても、妊娠初期の感染が危険度が高いのではないかと考えられます。
 なお、蚊に刺される以外のジカ熱の感染経路として挙げられているのは輸血や性行為からの感染です。また、胎児への胎内感染の発生が複数認められていて、輸血や性行為による感染が疑われる事例も報告されています。そのため、日本でも流行国から男性が帰国した場合に妊娠中の相手と性行為を行なう時はコンドームの使用を推奨しています。また、輸血による感染を予防するため、海外から帰国した日から4週間以内の献血を自粛することも呼びかけています。
ジカ熱は妊娠後期に感染しやすいって本当?


妊娠後期だけ注意すればいいの?
 妊娠後期になるとジカ熱に罹りやすいという一部間違った情報もあるようですが、妊婦は妊娠全期を通して予防が必要です。妊娠前期、後期関係なくジカ熱に罹る可能性はあります。
 ジカ熱に感染すると胎内感染により胎児の脳の発達障害がおこるリスクが高くなると言われています。ジカ熱と小頭症の関係は科学的な根拠がはっきりしているわけではありませんが、何かしらの相関関係があると考えられています。実際に感染した妊婦さんから小頭症の赤ちゃんが生まれているケースが海外では大変増えています。日本で確認されたケースはほんの僅かですが、ジカ熱がいつ日本で大流行するか分からない、今から注意が必要です。

妊娠していなければ大丈夫?
 妊娠していない人がジカ熱に感染したらどうなるのでしょうか? まず発熱や頭痛など一般的な風邪のような症状が出ます。不安な場合はすぐに医療機関で診察をしてもらいましょう。それにまた、ジカ熱に感染したことで、妊娠ができなくなったり将来的に胎児に障害がでるという報告はありません。妊娠していない人にとってジカ熱は、身体を安静にして治療をすれば1週間前後で治る病気です。ましてやジカ熱で亡くなったというケースも報告も殆どないので、早期発見して正しい治療を行なえ安心です。また、万が一ジカ熱に感染した場合は、必ず保健所に届けを出してジカ熱の報告をしましょう。また、妊娠を計画している人はジカ熱が流行している地域に行くことは避けましょう。

ジカ熱に感染しないために注意すべきこと
 妊婦は特にジカ熱から自分の身を守ることが必要です。何か月もの間お腹の赤ちゃんの健康を維持するためにもジカ熱対策を忘れずに行ないましょう。特に注意をしなければいけないことは、やはり蚊に刺されることです。特に夏になると増える蚊から刺されないようにするためには、肌を露出しないことがポイントです。やぶ蚊が多い森林などもなるべく避けるようにます。また、汗をかいていると蚊に刺されやすくなるので、暑い季節は身体を清潔にしておきます。窓を開けたまま寝てしまうことも蚊に刺される危険があるので、エアコンを入れるなどして窓を開け放さないようにしましょう。さらに虫除けスプレーなどを使って日頃から十分に蚊に刺されないよう注意をしておくようにすることも大切です。妊娠中は肌が敏感になる場合もあるので、虫除けスプレーは刺激の少ないオーガニック系などを使うとよいでしょう。

ジカ熱と小頭症
ジカ熱の影響のうち最も危険性が高いのは胎児の小頭症

 ジカ熱が流行している中南米で現在小頭症の新生児が増えているとの報告があります。今回のジカ熱の感染爆発でも、最も重視されているのがこの小頭症という先天性異常です。一般的には軽症の感染症とされるジカ熱ですが、妊婦が感染した場合には小頭症の赤ちゃんが生まれる可能性があることが指摘されて問題となっています。

 ブラジル保健省は、妊娠中のジカ熱感染と胎児の小頭症に関連が見られるとの見解を示しています。ブラジル保健省は、ジカ熱が大流行している2015年10月から16年11月までの間に例年を大きく超える3500例以上の小頭症患者が発生していると報告しました。そして、その一部の母親や赤ちゃんからジカウイルスが証明されていることで、ジカ熱と小頭症との関連が疑われているのです。もっとも、この関連についてはまだ明確には証明されておらず、現在も調査が続けられている状況ですが、ジカ熱と小頭症との関連についての調査は現在も進められており、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、詳細な調査結果が出るまでは妊婦の方の流行国地域への渡航を控えるようにと警告を出しています。また、これまでの報告と流行状況を考慮して、日本を含めた各国からも「妊娠している女性は流行地への渡航を控えるように」という注意喚起がだされています。また、この流行の中で、ギラン・バレー症候群という手足などの筋肉が麻痺を起こす神経疾患の増加についても報告されており、この神経症状の合併についても調査が行なわれているところです。
小頭症とは?

 小頭症は生まれてくる赤ちゃんが発症する病気で、脳の発育に障害があるために脳が十分に大きくならない病気です。具体的には脳の発達が遅れたり完全に停止したりします。小頭症では、脳の発育が阻害されることで頭の大きさが同じ月齢の赤ちゃんと比較して著しく小さくなり、その結果として知能の発達障害を伴ったりします。そのため、小頭症の赤ちゃんは知的障害を発症することが多く、中には慢性的な痙攣発作を起こす場合もあります。また、小頭症の患者には興奮しやすい特徴が見られ、これも脳の発育に障害があることが原因だと考えられています。

 頭蓋骨は、たくさんの骨が咬み合って脳を囲んでおり、通常赤ちゃんの頭蓋骨は脳に合わせて徐々に発達し、大きくなってゆきますが、しかし、何らかの要因でこの縫合が早いうちにくっついたり、きちんとくっつかなかったりすることがあります。また、頭蓋骨そのものが通常よりも小さい場合もあります。これらの場合は脳が発育しても頭蓋が大きくならないために脳や神経の発達に障害が起こり、視力や聴力に問題が発生することもあるのです。このように、小頭症は赤ちゃんが極端に小さい頭で生まれるか、出生後に頭の成長が止まる稀な疾患です。小頭症の赤ちゃんは、成長につれて癲癇や脳性麻痺、学習障害、難聴、視覚障害などを起こす可能性があり、小頭症に対する特別な治療法は見つかっていません。小頭症の原因は不明のことが多いですが、母親が妊娠中に何らかの感染症に罹ったり、有毒な化学物質を摂取してしまったりすることなどが関連すると考えられています。これまでの研究から、WHO(世界保健機関)や米国CDC(疾病予防管理センター)は、ジカウイルスが小頭症の原因になることがあると結論づけています。
小頭症の症状


小頭症を発症した場合の一般的な症状
  • 頭蓋骨が小さい
  • 額の位置が後ろにある
  • 顔のバランスが歪んで見える
  • 夜鳴きが酷い
  • 癇癪を起こしたような泣き方をする
  • 知的発達が遅い(反応が薄い)
  • 食欲がない
  • 痙攣発作を起こす
  • 低身長など発育が遅い など
 小頭症の中でも上記に紹介した症状を「先天的な小頭症」と呼ぶことがあります。これは頭蓋骨の生育不良によって脳の発達が阻害される「狭頭症」を「後天的な小頭症」と呼ぶことがあるからです。しかし、小頭症と狭頭症は完全に区別されており、本来小頭症は先天的な病気を意味しています。

小頭症の治療法

 小頭症は骨の成長の異常が原因なので、後から成長を促進させられるような根本的な治療法はなく、症状に対する対症療法となります。知能発達の遅れなどに対し、環境整備や知能訓練などが行われてゆくことになります。
小頭症の原因はウイルスだった!?

 小頭症は母親の胎内にいる時点で発症しています。エコーなどの画像をコンピュータで解析することで診断は可能ですが、実際には妊娠後期まで見つかりにくいのが現状です。小頭症の発症原因は妊娠中の妊婦の状況にあると考えられており、発症要因については、遺伝的な遺伝子異常や妊娠中の酸素や栄養が赤ちゃんに不十分だったこと、化学物質の中毒、 薬物やアルコール、喫煙、体内感染その他が疑われています。たとえば妊娠中に胎児に対して十分な血液が送られていないと酸素不足や栄養不足を起こしますが、そうなると胎児は十分に成育できずに小頭症が発症する可能性があります。また、妊婦がアルコールや麻薬などの化学物質の中毒症状を持っている場合も胎児の成育を阻害してしまいます。

 今回WHOが緊急事態宣言を行なったのは、ジカウイルスによる胎内感染です。つまり、妊婦がジカウイルスに感染することで胎児が小頭症を発症してしまうことが強く疑われているのです。小頭症を発症した赤ちゃんの母親からはジカウイルスが検出されており、更に小頭症を発症した赤ちゃんからもジカウイルスが検出された例もあります。このことから今回のブラジルの小頭症の増加はジカウイルスが原因との認識がされたのです。しかし、現状ではジカウイルスによって小頭症が発生する科学的根拠は見つかっておらず、現状証拠で判断する以外に方法はありません。そのため、WHOでも両者の関係を「強い疑われる」的な表現で関係付けています。
小頭症以外にも恐ろしい病気をもたらすジカ熱


ジカウイルスは脳組織も破壊する!?
 ジカウイルスによる感染は胎児の小頭症だけでなく、胎児の脳細胞を破壊することが観察され、外見では分かりにくい脳の発達障害や認知障害を患う恐れもあるという研究結果が発表されています。

 米疾病管理予防センター(CDC)は4月1日、アトランタにある同センター本部において、蚊によって媒介されるジカウイルス感染症(ジカ熱)の米国本土における集団発生に備えるため、300人以上に及ぶ地方と州、連邦政府の当局関係者および専門家を集めました。専門家達は、感染による小頭症は胎児に起こりうる問題の一つにすぎないと懸念しています。子宮内でジカウイルスに晒された胎児は、外見では分かりにくい発達障害や認知障害も患う恐れがあると、米疾病管理予防センター(CDC)のトム・フリーデン所長は言うのです。この懸念は、ジカウイルスと小頭症の繋がりを深く示唆する最近のデータによるもので、一部の研究によりジカウイルスは発達中の脳細胞を大量に死滅させることが明らかになったのです。なお、ジカウイルスはヤブカ属の蚊、特にネッタイシマカとヒトスジシマカによって媒介されます(後者の媒介は前者より少ない)が、これらの蚊は米国の一部地域に生息しており、デング熱やチクングニア熱などのウイルスも媒介します。チクングニア熱とデング熱の小規模な流行が毎年、特定の地域(とくにテキサス州とフロリダ州)で突発的に発生していますが、公衆衛生の専門家達はジカ熱も同じような動きを見せる恐れがあると推測しています。

末梢神経の麻痺をもたらすギラン・バレー症候群
 ギラン・バレー症候群は、自己免疫異常により末梢神経を抗体が攻撃してしまうことにより起こる疾病で、その結果として手足などの四肢に力が入らなくなり、痺れ感が出た後、症状が末端から徐々に全身に広がる疾患です。比較的急速に進行することが特色で、発症後1日〜2週間で筋力低下が全身に及びます。重症の場合は中枢神経にも障害が出て、場合によっては呼吸不全を起こす難病です。目立つ症状としては、声が出にくいとか、食べ物が飲み込みにくい、呼吸が苦しいといった症状を起こし、場合によっては人工呼吸器が必要になることもあります。症状が軽い場合は自然に回復することもありますが、多くの場合は入院治療が必要になります。今のところ原因は不明ですが、一般に感染症や医薬品の副作用の影響が疑われています。ジカウイルス感染症の流行地域で、小頭症以外にもギラン・バレー症候群の患者が増えており、WHOはジカウイルス感染によりギラン・バレー症候群が発症することがあるとしています。

参考:ウイルス感染症に関する参考情報


◆参考図書
『子ども医学館 キッズ・メディカ安心百科』小学館
横田俊一郎+渡辺博・編
『子ども医学館 キッズ・メディカ安心百科』
小学館・2002年10月刊、4000円
病気やけが・事故のくわしい解説や症状から病気がわかるチャートなど、わかりやすいと信頼を得ている本書が、応急手当の改訂等、別冊付録「医者からもらう子どもの薬安心BOOK」を付けて、充実改訂しました。子どもの病気解説書の決定版と好評の本書に、応急手当の改訂や別冊付録「医者からもらう子どもの薬安心BOOK」を付けて、充実改訂。本書のおもな特色は、以下のとおり。1.新生児から思春期までを対象に、子ども特有の病気やけが・事故をくわしく解説。2.気になる症状から疑わしい病気が、チャートですぐわかる。3.皮膚、便、口の中の状態をカラー写真で示し、症状がわかりやすい。4.病気は、症状、原因、治療法、家庭でのケアまでくわしく解説。5.けがや事故の応急手当は、2色図解で見やすく、わかりやすい。6.体と心の発達と日常ケアも年齢別にくわしく解説。7.生まれてくる赤ちゃんの健康を考え、妊娠中の病気についても解説。8.使い方や保存法など、薬のことが付録としてひとつにまとまり安心。
日本経済新聞科学技術部『感染症列島』日経ビジネス人文庫
日本経済新聞科学技術部・編
『感染症列島』
日経ビジネス人文庫に4‐1
日本経済新聞出版社・2006年07月刊、714円
ペットを介した細菌感染、抗生物質が効かない耐性菌による院内感染、続発する新型インフルエンザなど、急速に広がりつつある感染症の脅威から身を守るにはどうすればよいのか、その知識と対策をやさしく紹介する。
『感染症日本上陸』阪急コミュニケーションズ
濱田篤郎・監修/邊靖彦・著
『感染症日本上陸
―新型インフルエンザだけじゃない!今、感染症のグローバル化が始まった―』
阪急コミュニケーションズ・2010年11月刊、1,600円
新型インフルエンザだけじゃない。今、感染症のグローバル化が始まった。国境を越えて日本へ上陸している多様な病気と対処法を解説。
『アジア旅行者のための感染症対策』連合出版
本田徹+金子明・編
『アジア旅行者のための感染症対策』
連合出版・2003年11月刊、1,500円
本書は、アジアという、日本にとっては文化的にも地理的にも、身近な地域を旅行されるあなたに、そこで一般的に存在する感染症や、SARSのようないわゆる新興感染症について、実際的で役に立つような、知識と情報を提供し、安全で、安心な旅をしていただくことを目的として編まれています。執筆した人は、すべて医師で、臨床や研究、JICA(国際協力機構)やNGOの活動で幅広くアジアを含む海外に渡航し、みずから感染症にかかった体験をもっていたり、そうした患者さんの治療にあたってきた人たちです。ですから、分かりやすく、実際に旅行する方の身にもなった、本づくりを十分に心がけました。
中原英臣『ウイルス感染から身を守る方法』河出書房新社
中原英臣・著
『ウイルス感染から身を守る方法』
河出書房新社・2013年11月刊、1,400円
新型インフル・がん・肝炎・風疹・ヘルペス…身近な感染症の予防から変異する新ウイルスの実態まで、これだけは知っておきたい!!軽視できないウイルスと病気の必読情報が一冊に!
ジカ熱に関するQ&A - 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000109899.html
ワンポイントアドバイス 日本でも感染症に注意!デング熱
http://www.yamato-gr.co.jp/ans/14-10/index.html
ワンポイントアドバイス エボラ出血熱
http://www.yamato-gr.co.jp/ans/15-06/index.html


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