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インフルエンザが流行しています。また、昨年末から鳥インフルエンザの発生も報告されています。今月は、通常の季節性インフルエンザの解説に加え、鳥インフルエンザについて取り上げました。
インフルエンザ・ウイルス


脅威! 鳥インフルエンザ
【1】インフルエンザとは?~その種類と症状~
【2】インフルエンザの流行とその対策
【3】鳥インフルエンザとその脅威


【1】インフルエンザとは?~その種類と症状~

 インフルエンザが流行しています。
 インフルエンザとはどのような病気なのか、本節ではその症状を中心にまとめました。
インフルエンザとは?

 この時期、毎年インフルエンザが流行していますが、インフルエンザは実はウィルス性の風邪の一種です。ただ一般的な風邪と違うのが、一気に熱が上がるという点です。普通の風邪だと、喉が痛くなって咳が出て、風邪をひいたと思ったら熱が出てくるというパターンが多いですが、インフルエンザは気づいた時には既に38℃を超えてるということが多いのです。
古代から知られていたインフルエンザ


インフルエンザの語源
 インフルエンザは突如流行し、短期間のうちに広範囲で猛威を振るい数ヶ月で終息すること、大流行が周期的にくることなどから、16世紀のイタリアでは、占星術師などによって、この病気は天体が原因であると考えられていました。そのため、「星の影響(Influentiacoeli)」を意味する言葉から、この感染症はInfluenza(インフルエンツァ)と呼ばれたのが語源です。そして、18世紀の英国での流行時にこの名称が正式に使われ、世界に広まりました。

日本におけるインフルエンザ
 日本でもこの病気は、いわゆる「はやり風邪」という名前で知られていました。古くは『源氏物語』や『増鏡(ますかがみ)』などに“咳逆”と記されており、江戸時代には、「お駒風」や「谷風」といった世相を反映したさまざまな名称がつけられました。そして、明治23年の大流行の時に新たに“流行性感冒(流感)”という名称が付けられ定着しました。

インフルエンザウイルスとは?

インフルエンザ・ウイルス インフルエンザウイルスには、大きく分けるとA型ちB型、C型の3種類があります。このうちB型は主に人の間だけで流行しているもので、C型も主に人に感染しますが大きな流行はありません。パンデミックという世界的な大流行を起こすタイプはA型で、A型インフルエンザウイルスは元々水鳥の腸管にいるウイルスです。水鳥同士、または水鳥から鶏などの家禽にも感染し、人や豚、馬、アザラシなどにも感染することが知られています。また、常に変異していることも特徴の一つです。

 インフルエンザウイルスの表面にはH(ヘマグルチニン)とN(ノイラミニダーゼ)という突起があります。ヘマグルチニンは宿主の細胞に結合するために必要な物質であり、ノイラミニダーゼは細胞から自らを切り離してウイルスが出て行くために必要な部分です。このノイラミニダーゼの働きを阻害するものが抗インフルエンザウイルス薬のタミフルです。A型インフルエンザウイルスにはHが16種類、Nが9種類あり、その組み合わせで理論的には144種類の亜型が存在します。たとえば毎年流行するH1N1やH3N2、鳥インフルエンザウイルスのH5N1、H7N7、H9N2などもA型の一種です。
インフルエンザとその種類~インフルエンザは3つに大別できる~
インフルエンザウイルスの3つのタイプと亜型

 インフルエンザウイルスはA、B 、Cの3つの型が発見されており、このうち人に感染してひどい症状をきたすのはA型とB型です。インフルエンザウイルスはその表面にタンパク質が突起のように突き出た構造をしていますが、この構造はウイルスが宿主にとりついて増殖してゆくために必要な構造です。表面のタンパク質はヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)の2種類です。この2つのタンパク質の組み合わせによるタイプ分けを亜型といいます。また、B型インフルエンザウイルスには、それぞれのタンパク質は1種類ずつのみあります。一方A型インフルエンザウイルスはヘマグルチニンが16種類とノイラミニダーゼが9種類あり、その組み合わせの数だけ亜型があります。


季節性インフルエンザ~これまで毎年流行を繰り返してきたインフルエンザ
 Aソ連型のH1N1ウイルス、A香港型のH3N2ウイルス、B型ウイルスがあります。主に冬季間に流行するのがこのタイプで、殆どの人が過去の感染や予防接種などにより基礎免疫を持っています。

H1N1型・新型インフルエンザ~2009年に発生した豚由来の新型インフルエンザ~
 2009年に発生した豚由来の新型インフルエンザです。弱毒性と言われていますが、腎臓や心臓、呼吸器系の病気や糖尿病などの疾患を持っている人、妊娠中の女性などは重症化しやすい傾向が見られますが、一方で基礎疾患がない若い人の死亡者の例も確認されるなど油断はできません。

H5N1型・鳥インフルエンザH7N7型・鳥インフルエンザなど
~鳥や豚などの間で流行していて将来ヒト型に変異する可能性のあるインフルエンザ~
 2003年以降、鳥類の間では東南アジアから世界中に流行が拡大しており、鳥から人への感染も確認されています。H5N1型・鳥インフルエンザが変異して、人から人への感染する新型インフルエンザとして大流行(パンデミック)するのは時間の問題と主張する専門家も多く、強毒性であることから確実な予防対策が必要となります。ちなみに2003年にオランダでヒトへの感染が確認されたH7N7型・鳥インフルエンザは弱毒型でしたが、1人の死亡者が発生しています。一方、強毒性のH5N1型・鳥インフルエンザは今も世界中で家禽への感染例が確認されていて、いつヒト型に変異してもおかしくない状況であり、今からパンデミックに備える必要があります。


■インフルエンザの種類と特徴
A型 B型 C型
感染する生き物 人・鳥・豚・馬など
種類 144種類 2種類 1種類
性質 非常に変異しやすい 変異しにくい 変異しにくい
時期 冬場(12~1月が多い) 冬場(2月~3月が多い) 通年
症状 38度を超える高熱、全身の症状 消化器系の症状 風邪程度、主に鼻水など鼻風邪のような症状
解熱にかかる時間 1日程度 1日半~2日 ほぼ一生(人生で2度罹ることは殆どない)
流行の状況など 毎年流行する他、爆発的な大流行がある。また、細菌性の肺炎を高率に併発するため高齢者は死亡するケースも 散発的に小流行を繰り返す(※最近は2年に1度程度の流行) 症状は通常の風邪に似ているが、通常は余り大きな流行は起こさない

参考:インフルエンザの弱毒性、強毒性

 よく耳にするインフルエンザの弱毒性と強毒性の違いは次のようなものです。


弱毒性
 弱毒性とはウイルスが人の呼吸器のみに感染するものを指し、その主な症状に上気道疾患があります。必ずしも弱毒性だからと言って軽症で済むというわけではありません。多くの犠牲者を出した1918年のスペインインフルエンザのウイルスも弱毒性だったので、弱毒性だからと言って必ずしも安心できるわけではないのです。

強毒性
 強毒性とはウイルスが人の全身に感染するものを指し、その主な症状に全身疾患と重症肺炎、サイトカイン・ストームがあります。ちなみに若者(10~20歳代)は生体防御機能が良く働くため身体の免疫機能が過剰に反応し、自分自身の様々な臓器を攻撃することから重症化しやすいと言われています。

高い致死率の強毒性
 鳥インフルエンザ(H5N1)に感染したヒトの致死率は、これまでのところ全体で約60%(2010年8月時点)と非常に高い数値を示しています。季節性インフルエンザの致死率が0.1%未満だから、これらと比べても鳥インフルエンザ(H5N1)の病原性は驚異的と考えられます。

インフルエンザの感染経路~インフルエンザはどのようにしてうつるのか?~

 新型インフルエンザは誰もが免疫を持たない新しいウイルスなので、殆ど全ての人が感染する危険性を持つと言われています。インフルエンザに感染しないようにするためにも、どうなるとインフルエンザに感染するかを知っておきましょう。
 インフルエンザに感染した人が咳をすると飛沫が飛びます。飛沫は小水滴ですが、ウイルス粒子を含み、これを浴びると鼻や口などからウイルスが侵入してゆきます。また、ものの表面などに落下したウイルスに触れた手指からも感染します。飛沫が飛ぶ距離は1m程度ですが、強い咳では周りの水分が飛散してしまい、ウイルスの飛沫核(ウイルスに塵などが付着したもの)だけになり、空気中に漂うことがあります。特に冬の場合は空気が乾燥しているために多くの飛沫核が空気中に浮遊し吸い込む機会が増えてしまいます。インフルエンザの感染経路は3種類ありますが、主に飛沫感染と接触感染が原因と見られています。


飛沫感染
 感染者がクシャミや咳、唾などの飛沫と一緒にウイルスを放出し、それを別の人が鼻から吸い込んで感染します。1~2m程度の距離でインフルエンザに感染します。

接触感染
 感染者がクシャミや咳を手で押さえ、そのまま手で周囲の物に触れるとウイルスがそこに付着しますが、それを別の人が触って目や鼻、口などに触れることでインフルエンザに感染します。電車やバスの吊革、スイッチ、ドアの取っ手等が感染源と考えられます。

空気感染
 感染者がティッシュなどで押さえずにクシャミや咳をした場合にウイルスが空気中を漂いますが、それを別の人が吸い込むことでインフルエンザに感染します。

普通のインフルエンザの感染とは?

 インフルエンザが感染する時、人間の体の中ではどのようなことが起こっているのでしょうか?。
 まずウイルスが体内に入ってしまった時、通常は呼吸器の粘膜細胞に取り付いて増殖し、粘膜細胞を破壊してウイルスが出て来て、咳やクシャミによってウイルスを含んだ飛沫粒子が体外に放出されます。それを他の人が吸い込んでしまうと、飛沫粒子は上気道に付着します。通常元気な人は粘膜の繊毛が粒子の排除を試みて、それを押し出そうとします。ところが、高齢者や乳幼児、免疫力が低下している人などは排除の力が弱く、ウイルスが細胞に侵入して増殖を始めます。そして、1~3日程度の潜伏期間を経て急な発熱が始まり、全身症状も起こって来ます。普通のインフルエンザの場合は予後が良好で、3日程度で解熱して1週間ほどで治癒します。しかし、呼吸器の粘膜細胞がウイルスによって破壊されると細菌感染が起きやすくなってしまいます。細菌感染があって抵抗力が弱い人では細菌が肺で増殖して肺炎を起こすことになります。この細菌性肺炎によって毎年多くの高齢者が死亡しています。そこで、インフルエンザの感染を防ぐために毎年65歳以上の方には季節性インフルエンザの予防接種が行なわれているのです。


ウイルスの変異と感染拡大
 インフルエンザウイルスは感染していく中で、常にそのタンパク質の構造に変化が生じています。これがウイルスの変異です。そして、タンパク質が同じ型の中で変化するものを連続変異、タンパク質が全く別の型に変化するものを不連続変異と呼びます。我々の身体は一度感染して克服したウイルスに対しては免疫を獲得し、その後そのウイルスには感染しないか、感染したとしても軽い症状ですみます。しかし、ウイルスが変異を起こし、私達が免疫を持たない亜型に変化することがあります。これが新型インフルエンザですが、新型インフルエンザは、過去に人が感染した経験が殆どない分、感染が広がる危険性が出てきます。

インフルエンザとその症状
症状は風邪と似ていても、甘く見ていると死に至ることもある恐ろしい病気

 インフルエンザとは、インフルエンザ・ウイルスの感染によって起こる病気で、主な症状として、高熱(38~40度)や頭痛、筋肉痛、全身倦怠感などの全身症状と、喉の痛みや咳・痰などの呼吸器の急性炎症症状などが見られます。また、インフルエンザは通常の風邪と比べて症状が重く、全身症状も顕著に現われるため、高齢者がインフルエンザに罹ると、肺炎を併発したり、或は持病を悪化させたりして重篤になり、最悪の場合は死に至ることもあります。なお、潜伏期間が短く感染力が強いことも特徴で、流行期の12月下旬~3月上旬にかけては毎年多くの方がインフルエンザに罹っています。
インフルエンザと風邪の違い

 インフルエンザも通常の風邪と同じだと思っている人もいるかも知れません。しかし、それは飛んでもない勘違いです。インフルエンザは通常の風邪よりも症状が重く、死に至ることもあるのです。また、短期間で大流行を引き起こすのもインフルエンザの特徴です。風邪はインフルエンザ以外のウイルスや細菌などによる病気で、多くの人は軽症で終わってしまうのに対し、インフルエンザはインフルエンザウイルスの感染が原因です。また、急な発熱や全身症状があり、普通の風邪より重症になります。感染力も普通の風邪より強く、通常は冬にはやることもインフルエンザの特徴です。


■インフルエンザと風邪の違い
通常の風邪 インフルエンザ
原因
  • ラノウイルスなどのウイルス
  • クラミジア
  • マイコプラズマ
  • 細菌
  • 寒冷刺激
  • インフルエンザ・ウイルス
感染力
  • 感染力は弱く、ウイルスは徐々に増える
  • 感染力が強く、ウイルスが気管の粘膜で急激に増加する
主な症状
  • 喉の痛み
  • 鼻がムズムズする
  • 水のような鼻水
  • 咳やくしゃみ
  • 腰痛
  • 38度以上の発熱
  • 頭痛・関節痛・筋肉痛などの全身症状
  • 鼻水
  • 喉や胸の痛み
  • 下痢や腹痛
流行
  • 感染が徐々に広がってゆく
  • 短期間で膨大な数の人に感染する
死亡率
  • 世代による変化は殆どない
  • 65歳以上の高齢者の死亡率が普段より高くなる
その他の特徴
  • 発熱もあるがインフルエンザほど高くなく、重症化することは滅多にない
  • 肺炎などを併発し、重症化することが多い
  • 小児から高齢者まで短期間で感染が広がる
  • 65歳以上の高齢者での死亡率が高まる

インフルエンザの症状の経過

 インフルエンザ・ウイルスに感染後1~3日間の潜伏期間を経て、突然38~40度の高熱が出て発病します。それと同時に、悪寒や頭痛、また背中や四肢の筋肉痛、関節痛、全身倦怠感などの全身症状が現われます。そして、これに続いて鼻水や喉や胸の痛みなどの症状も現われます。発熱は通常3~7日間続きます。なお、健康な成人であれば、インフルエンザに罹っても大体1週間ほどで治癒に向かいますが、インフルエンザ・ウイルスは熱が下がっても体内に残っているため、他人に移す恐れがあります。流行を最小限に抑えるためにも1週間は安静にしておくことが肝要です。
高齢者は特に注意してほしい肺炎

 インフルエンザの合併症としては、高齢者や呼吸器系や心臓に持病を抱えている人が併発しやすい肺炎やアスピリンとの関連が指摘されているライ症候群などがあります。また、インフルエンザと関連があると考えられていて乳幼児がごく稀に併発する脳炎や脳症も挙げられます。これらの合併症はインフルエンザによる死亡の大きな原因にもなっています。なお、乳幼児がインフルエンザに罹った場合、脳炎や脳症を併発すると、水分を摂った後直ぐに吐いてしまって元気がない、意識がはっきりせずウトウトしている、痙攣を起こすなどの症状が見られます。この場合はすぐに医療機関を受診して下さい。また、一部の解熱剤では脳炎などを引き起こしやすいと言われているので、熱が高いからといって自己判断で市販の解熱剤を服用させるのも控えましょう。これらの合併症を併発しないための対応策としては、インフルエンザが流行する前に予防接種を受けることで、そうすれば、インフルエンザに罹ったとしても症状が軽くてすみます。
インフルエンザの合併症

 風邪の場合にも肺炎や副鼻腔炎などの合併症を引き起こす場合がありますが、頻度はそれほど高くありません。これに対しインフルエンザは、乳幼児では肺炎やインフルエンザによる入院のリスクが高くなる傾向があり、脳症などの合併症に繋がる場合もあります。また、高齢者がインフルエンザにかかった場合も肺炎などの合併症を起こしやすくなります。

 インフルエンザの合併症としては特に肺炎の併発が知られています(※スペイン風邪の流行では6~8%に肺炎を合併したと言われています。一般に肺炎の合併率は2~5%)。特に高齢者や慢性呼吸不全患者では元々感染防御機能が弱っているため肺炎を合併しやすく、重症化しやすいとされます。それ以外には、心疾患(弁膜症)や糖尿病患者や妊婦でも肺炎を合併しやすいと言われます。心疾患の合併(心筋炎・心膜炎)や急性筋炎・神経合併症(急性脳炎やライ症候群、ギランバレー症候群など)も稀に報告されています。また、最近日本で深刻な問題になっている合併症として小さなお子さんのインフルエンザ脳症が挙げられます。

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【2】インフルエンザの流行とその対策

 インフルエンザに罹ったらどうしたらよいのでしょうか?
 本節では、インフルエンザの予防法と対処法をまとめました。
今年の流行は早い!?


ウイルスの変異と感染拡大
 例年インフルエンザの流行のピークは、気温が一番下がる1月~2月。昨年は気温が高めだったためか流行が遅く、3月頃までインフルエンザのピークが続きました。それでは、今年はどうでしょうか?
 2016年夏にラニーニャ現象が起こった影響で、今年の冬は例年より寒くなると言われています。そうなると、インフルエンザの流行も例年より早いと予想されてます。実際に厚労省の発表によると、10月31日~11月6日の間にインフルエンザに疾患した患者数は全国で2903名で、これは昨年同時期が533名だったのに比べるとなんと5倍以上になります。また、その前の週に定点当たりの数字が0.47だったのに対し、10月31日~11月6日は0.59になっており、また今年に入って1月9日~1月15日は定点当たり15.25(昨年同時期は4.11)に急増していることからも、インフルエンザの流行が着々と広がっていることが分かります。

今年は何型が流行?
 今年流行っているのはインフルエンザの何型でしょうか? 
 これまでで一番多く検出されているのがA香港型(AH3亜型)で、次いで新型インフルエンザ(AH1pdm09)、そして、2009年に大流行した新型インフルエンザ(AH1pdm09)の順になっています。去年最も多かったのは新型インフルエンザ(AH1pdm09)なので、去年とは違うA香港型が今年は流行っているものと考えられます。

インフルエンザの検査と治療法
インフルエンザの検査と診断


インフルエンザ検査のタイミング
 簡単な方法で行なうことができるインフルエンザの検査ですが、インフルエンザの検査は受けるタイミングがポイントとなります。なぜなら検査を受けるタイミングが早すぎると、本来はインフルエンザに罹っていても検査では陽性反応が出ない場合もあるのです。インフルエンザの検査は発症後12時間以上経ってから受けるのがよいと言われています。
 インフルエンザの簡易検査は抗原抗体反応を利用したもので、抗原抗体反応とは、抗原がそれに対応する抗体に結合する反応のことを言います。インフルエンザ検査の場合、インフルエンザウイルスが抗原、インフルエンザ検査キットの判定部に用いられているものが抗体となります。検体の中にインフルエンザウイルスが含まれていた場合、これが検査キットの抗体と反応して陽性ラインが出現するという仕組みです。この陽性ラインは、検体に含まれている抗原(インフルエンザウイルス)が少ない場合は判定できない場合があるのです。その一方でインフルエンザウイルスは、一度体内に入ると爆発的な速さで増殖するのですが、その速さは1つのウイルスが8時間後には100個、16時間後に1万個、24時間後には100万個と言われています。このため、インフルエンザが疑われる症状が発症してすぐに検査を行った場合、インフルエンザウイルスの数が少ないため検査キットでは判定できない場合がありますが、12時間以上たっていればインフルエンザウイルスは増殖して数が増えているため、検査キットで判定できるようになるのです。また、抗インフルエンザ薬は体内でインフルエンザウイルスが爆発的に増殖する前に飲んだ方が効果が高いと言われているので、インフルエンザの検査を受ける時期は遅すぎてもよくありません。抗インフルエンザ薬が有効となるのは、発症してから48時間以内に服用した場合です。

インフルエンザの検査方法
  • 鼻の奥や喉の奥を細い綿棒で拭う
  • 採取した綿棒を検体処理液に入れ、採取検体を抽出する
  • 検体処理液を検査キットに滴下する
  • 10~15分でキットに陽性ラインが出現しているかを目視判定する

インフルエンザの治療法


一般療法
 できるだけ安静にして充分な睡眠と栄養を摂り、体力をつけることが必要です。また、インフルエンザ・ウイルスの空気中での活動を抑えるためにも、室内の湿度を60~70%に保つように心懸けましょう。 また、水分を充分に補って上げることで脱水症状を予防するよう心懸けましょう。

対症療法
 発熱・頭痛・関節痛・筋肉痛などに解熱鎮痛剤、鼻水やクシャミに抗ヒスタミン剤、咳や痰に鎮去痰剤が用いられます。しかし、これらの症状は身体からインフルエンザ・ウイルスを追い出し治そうとする身体の自然な反応なので、薬で無理に抑えてしまうと却って治りが遅くなってしまうこともあります。そのため、自己判断で薬を服用せず、医師の指示に従った方がよいでしょう。なお、小児の場合は解熱鎮痛剤を使用すると、稀にライ症候群という合併症を併発することもあるので、必ず医師の指示の下に服用するようにして下さい。

化学療法
 今まで化学療法と言うと合併症の治療が主でしたが、しかし、98年にインフルエンザの治療薬として抗ウイルス薬のアマンタジンが保険の適用となりました。この薬は発病初期(48時間以内)に服用すると治りが早くなります(※ただし、A型ウイルスにだけ効果があり、B型ウイルスには無効です)。また、耐性(=薬が効きにくくなること)が知られているので、症状が軽い場合や発病後時間が経っている場合は使う必要はないでしょう。なお、インフルエンザ・ウイルスに抗生物質は無効です。合併症の肺炎を引き起こしている方や高齢者で肺炎を引き起こす可能性の高い方に予防的に使用する以外には、インフルエンザの治療では抗生物質は使用しません。

インフルエンザと解熱剤


解熱剤を使うと回復が遅れる
 インフルエンザで急に高熱が出ると、ともかく早く熱をさげようと慌てて解熱剤を服用する人がいますが、しかし、これは逆効果です。解熱剤にはウィルスや細菌をやっつける効果がないどころか、熱を下げてしまうと、ウィルスの攻撃から身体を守る力が弱ってしまうのです。そもそも熱が出るということは身体の防御反応のひとつで、発熱している状態の方が自分の細胞がウィルスと戦う力が存分に発揮されるのです。従って、解熱剤だけではなく、たとえば熱を下げるために冷たいタオルで身体を拭くといったような行為や、或は冷たい飲み物を飲むというようなことも逆効果で、回復を遅らせる原因になることもあります。そんな訳で、病院で解熱剤が処方されるのは実際は熱そのものを下げて病気を治すためではありません。高熱によって身体の消耗が激しく、熱によってよく休めない時に身体を少しでも楽にすることがその目的です。それに対して無理に薬を使って熱を下げると、ウィルスと戦う力が低下するので病気そのものの治りは遅くなります。それだけでなく、子どもの場合にはよく注意しないとライ症候群などの脳症を引き起こしてしまう可能性もあるので注意が肝要です。

インフルエンザの時に注意しなければならない市販薬
 非ステロイド系の解熱剤であるポンタールやボルタレンといった抗炎症解熱剤は、インフルエンザや 水疱瘡の子供への使用は禁忌とされていますが、これは脳症との関わりが濃厚なためで、子供でなくとも、大人の脳症での死亡例も出ています。これらは痛み止めとしても処方されますが、熱を下げるために使用するのは大人であっても注意が必要です。従って、他の病気の時に病院で処方された解熱剤を残しておいて、熱が出たからと言って慌てて子供に飲ませるなどというのは実に危険な行為なのです。

 比較的安全な解熱剤としてアセトアミノフェンがあります。子供が高熱を出した時にはどうしても熱が辛そうなので、少しでも楽にしたいと思うのが親心ですが、その場合にはこのアセトアミノフェンを少量使用するのがよいでしょう。解熱剤には抗炎症作用を併せ持つものが多いのですが、このアセトアミノフェンには抗炎症作用はありません。アセトアミノフェン以外の解熱剤は脳症の原因となると考えられ、市販薬の子供用の解熱剤では殆どがアセトアミノフェンになっています。なお、市販薬だと、総合感冒薬として熱にも咳にも効くような風邪薬の成分にアセトアミノフェンが配合されていますが、注意しなくてはならないのは、これに配合されているアセトアミノフェン以外の成分が脳症の原因となる可能性もあるということです。一般的には、病院で処方される解熱剤よりも薬局などで自分で買える市販薬の方が含有量は少なめになっていますが、中には処方薬よりも多い配合になっているものもあるので注意が必要です。風邪薬には、咳止めやクシャミ、鼻炎用の成分としてマイレン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤が配合されており、この成分は小さな子供に使われるとアドレナリンの働きがおさえられてしまい、いわゆる糖尿病の低血糖の状態になって、その結果として脳症を引き起こしてしまうことがあるのです。脳症になった子供では、解熱剤ではなく抗ヒスタミン剤が原因となった例が多くあるのです。従って、咳止めと鼻炎用の薬を一緒に服用したり、日頃から喘息やアトピー性皮膚炎のために抗ヒスタミン剤を服用しているようなことがあると、あっという間に抗ヒスタミン剤が2倍量ないし3倍量と重なってしまうのでより注意が必要です。
 そんな訳で、市販薬を購入する時には、「○○に効く」とか、風邪の症状だから風邪薬とかいうように、症状によって選ぶのではなく、その配合成分に是非目を向けるようにしましょう。ちなみに、市販薬に配合されている抗ヒスタミン剤には、ジメンヒドリナート(テオクル酸ジフェンヒドラミン)、塩酸メクリジンやテオクル酸プロメタジン、マイレン酸クロルフェニラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミンなどがあります。また、インフルエンザをはじめ、ウィルスをやっつけるような薬は一般医薬品では販売されていません。市販薬の目的は対症療法であり、辛い症状を和らげることであって、治すことではありません。解熱剤もその症状を一時的に和らげるために、本来の人間の防御反応に逆らって、中枢神経に作用して熱を下げているということを忘れてはいけません。また、脳症以外にも、市販薬の副作用被害は生薬成分以外の解熱鎮痛成分が原因となっていることが多いということも忘れてはいけません。

インフルエンザとその予防
インフルエンザの対策

マスク 毎冬のインフルエンザ対策としては、まず感染源つまりウイルスへの対策があります。ウイルスを封じ込めるために、流行ってしまったら学校や職場に行かない、咳エチケットでウイルスを飛散させないというものになります。次に感染経路の対策としては、うがいと手洗い、マスク、人混みを避けるなどが挙げられます。また、仮に感染源からウイルスがうつっても、抵抗力があれば発症することはないので、そこで抵抗力の対策も大切となります。暖かくして睡眠と栄養を摂ることや、シーズン前にワクチン接種をしておくことなどがあります。更に不幸にしてインフルエンザ罹ってしまった場合は医療対策ということになります。タミフルなどの抗インフルエンザウイルス薬の投与や乳幼児・高齢者などハイリスクの方々には手厚い医療の提供で重症化を防ぐことが重要です。
日常生活で出来る予防法


栄養と休養を充分に取る
 普段の生活の中で充分に休養を取ることで体力や免疫力を高めましょう。特に睡眠を充分に取ることが大切です。また、常日ごろからバランスよく栄養を摂ることも大切です。抵抗力を高めることでインフルエンザに感染しにくくなります。

人混みを避ける
 病原体であるウイルスを寄せ付けないすることが肝要です。飛沫感染を防ぐためにも、インフルエンザが流行してきたら、特に高齢者や慢性疾患を持っている人や、疲れていたり睡眠不足の人は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。

適度な温度&湿度を保つ
 インフルエンザウイルスは気温が低いほど、また湿度が低いほど生存期間が長いと言われています。それに、乾燥しているとウィルスも動きやすくなります。部屋の乾燥に気をつけ、加湿器などで室内を適度な湿度(50~60%)に保ちましょう。きちんとした加湿によってウィルスを半減できます。

換気を心懸ける
 部屋の中の空気が汚れていては何事にもよくありません。換気を行なうのと行なわないのとでは集中力などにも影響が出ると言われています。1時間に1回でよいから窓を開けて、新鮮な空気を部屋の中に入れましょう。

帰宅時の手洗いとうがい
 手洗いは接触による感染、うがいは喉の乾燥を防ぎます。一般的な感染症の予防としてもオススメです。

マスクをする
 ハイリスク群(注)など、どうしても予防が必要な方は厚手のマスクを着用しましょう。また、インフルエンザに罹って咳などの症状のある方は、周囲の方へ移さないためにもマスク(エチケットマスク)の着用がすすめられます。

注意:咳やクシャミのマナー~ハンカチは使わないで!~
 手の平にウイルスが付かないように、ちょうど肘の内側が鼻と口に当たる感じで鼻と口を腕の内側で覆うようにします。直ぐにティッシュを用意できる場合、ティッシュで覆ってやりましょう。この場合、咳やクシャミのかかったティッシュはゴミ箱に直ぐに捨てます。なお、ハンカチで咳やクシャミをすると、その後ウイルスが付いたままハンカチで手を拭いてしまうかも知れません。そうするとその後接触感染する危険性もあるのでハンカチは使わないようにしまましょう。

ワクチンによる予防

 かつては学校でインフルエンザの集団予防接種が行なわれていましたが、現在は「予防接種したい人が病院で接種を受ける」という形式になっています。この背景には“インフルエンザワクチンは効かない”という意識が高まってきたことがあげられます。実際、予防接種に関しては賛否両論で、インフルエンザワクチンに関してはさまざまな議論があります。しかし、予防接種を受けないでインフルエンザにかかった人の70~80%は、「予防接種を受けていたら罹らないですむか、罹っても軽い症状ですむ」という程度の有効性は証明されています。たとえば1992年の調査結果では、A型ウイルスについては67.5%、B型ウイルスについては43.7%の効果があった、とされています。やはり、最も確実な予防は流行前にワクチン接種を受けることだと言ってよいでしょう。特にハイリスク群に当てはまる人(高齢者や、心臓や肺に慢性の病気を持つ人、気管支喘息を持つ小児など)は、日ごろから予防を心がけるだけでなく、重症化を防ぐためにも医師と相談のうえワクチンを接種することが望ましいと言われています。費用は自己負担ですが、65歳以上の高齢者は一部公費負担としている自治体もあります(ハイリスク群に限り予防として承認された抗インフルエンザウイルス薬もあります)。

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【3】鳥インフルエンザとその脅威

 昨年末より鳥インフルエンザが発生しています。
 本節では、鳥インフルエンザの脅威と対処法をまとめました。
新型インフルエンザとは?

 新型インフルエンザとは、動物や鳥類が持つインフルエンザウイルスがヒトの体内で増えるように変異し、ヒトからヒトに感染して起こる疾患のことを指します。発生の予測が困難な上、新しいウイルスであるために殆どの人が免疫を持っていないため、世界中で爆発的に大流行(パンデミック)すると考えられています。

 新型インフルエンザも季節性インフルエンザと同じ機序で感染が起きますが、違うのは、新型に対する免疫は誰にもなく、ヒトからヒトへ容易に感染してしまうことです。更に重症化する人が増えることも大きな違いです。
 季節性インフルエンザでは毎年1千万ほどの罹患者が出ますが、ウイルスに対して誰も免疫を持たなければ、その数は2千万人や3千万人にまで膨れあがる可能性があります。しかも、その患者さんの中には、高齢者や乳幼児、喘息などの持病を持つ人、妊産婦などの病気弱者が必ず一定数おり、流行が大きくなればなるほどその数も増えて来ます。病気弱者の方は抵抗力も弱いためにどうしても重症化しやすく、重症者が増加すると地域の医療機関に与える負荷も大きくなります。特に夜間診療や休日診療の体制をしっかり整備しておかないと助かる命も助からなくなってしまいます。


■WHOによる新型インフルエンザの警報フェーズ一覧表
区分 段階 説明
前パンデミック期 フェーズ1:  動物のインフルエンザ・ウイルスでヒト感染を引き起こすものはまだ報告されていない
フェーズ2:  動物(飼育または野生)のインフルエンザ・ウイルスのヒト感染が知られ、そのため、そのウイルスがパンデミックの潜在的脅威と考えられる
パンデミック・アラート期 フェーズ3:  人々の間で散発的又は(幾つかの)小規模集団において疾患が発生するが、コミュニティ・レベルの大発生を支えるほどのヒト-ヒト感染には至っていない段階。限定的なヒト-ヒト感染がある環境(例:感染者と無防備な介護者との密な接触)で起こることはあったとしても、そのウイルスがパンデミック・レベルの伝染能力を得たわけではない
フェーズ4:  コミュニティ・レベルの大発生の要因となるヒト-ヒト伝染が確認される段階。かかる事態が疑われるか確認された国は至急WHOと相談すべきで、状況を共同で評価し、早急なパンデミック封じ込め作戦を実行可能かどうか判断しなければならない。ただしこの段階は、パンデミックのリスクの増大は重要である一方、パンデミックが必ずしも起こるとは限らない段階でもある
フェーズ5:  ヒト-ヒト感染がWHOの同一管区の複数の国で広まる段階。大半の国はまだその影響を受けていない段階ではあっても、フェーズ5の宣言は、パンデミックが差し迫り、鎮静手段の計画を策定・伝達・実行するための時間が短いことを強く示すものであることに充分留意しなければならない
パンデミック期 フェーズ6:  フェーズ5以外のWHOの管区の一国以上でコミュニティ・レベルの大発生に至る段階で、フェーズ6の指定は当然ながら地球すなわち全世界規模のパンデミックが起きていることを示すものである
後パンデミック期 フェーズ - :  パンデミックが終息し、発生前の状態へ急速に回復する段階で、「インフルエンザ・パンデミックの推移」(※後述)で示した「流行の消退」と「流行後」の時期当たる

■インフルエンザ・パンデミックの推移
経過 説明
亜型ウイルスの確認
  • 亜型ウイルスの存在が確認されている(例:動物のインフルエンザウイルス)
  • ヒト感染のリスクは低い、またはヒト感染は報告されていない
ヒトへの感染の確認
  • 亜型ウイルスの存在が確認されている(例:動物のインフルエンザウイルス)
  • ヒトへの感染が報告されている
  • パンデミックの潜在的脅威
限局したヒト-ヒト感染の確認
  • ヒトからヒトへの感染はきわめて限定されている(※家族や身近な接触者等)
小規模の流行
  • ヒトからヒトへの小規模感染(※単独国家内での感染)を認めるだけの証拠が存在する
  • パンデミックとなる可能性は中~高程度
大規模の流行
  • ヒトからヒトへの相当数の感染(※単一のWHO管区内における複数の国家での感染)を認めるだけの証拠が存在する
  • パンデミックへと発展する可能性が高く、早急に大流行への計画的な対策を講じる必要性がある
世界的な大規模流行
  • グローバル・パンデミック(=世界流行)の状態
  • 上記の状態に加え、当初集団発生したWHO管区とは異なる管区で集団発生が確認される
流行の消退
  • 流行のピークは過ぎたものの、流行再燃の懸念が残る状態
流行後
  • パンデミックを起こしたウイルスが通常のインフルエンザ・ウイルスと同等の状況となった状態(※ただし、パンデミックに対する警戒と備えは維持する必要はある)

H5N6型、高病原性鳥インフルエンザA(亜型)が日本に上陸


鳥インフルエンザが発生しています!
 今冬、高病原性鳥インフルエンザが相次いで確認されています。2016年11月18日、鹿児島県出水市で採取された水に高病原性鳥インフルエンザA  H5N6型が確認されました。この水は鶴のねぐらの水であり、ここから約2.4キロ離れた場所で死んだナベヅルが発見されています。鶴の死骸からはA型インフルエンザウイルスの陽性反応が出ています。
 なお、鳥インフルエンザに関する心配としては、「鶏肉や鶏卵を食しても大丈夫か?」などと言ったものが多く挙げられます。鳥インフルエンザの原因となっているウイルスがヒトの細胞に入り込むための受容体は、鳥の受容体とは異なり、またウイルスは酸に弱く、胃酸で不活化されると考えられています。更に家禽類で発生が確認された場合には、本病に感染した鶏等が市場に出回ることがないようにする家畜防疫上の措置に加え、通常の公衆衛生の観点から殺菌・消毒等の衛生管理が流通の各段階で実施されていることから、国内においては、鳥の肉や卵を食べることによって鳥インフルエンザ(ウイルス)がヒトに感染する可能性はないと考えられています。根拠のない噂やデマなどによって徒に騒いだりせず、正確な情報に基づいて冷静に対応しましょう。

H5N6型の始まりは?
 2014年4月以降、中国でヒトへの感染が確認された高病原性鳥インフルエンザウイルスAのH5N6型は、中国で15人が感染、そのうち6人が死亡しています。
 2016年11月、韓国では11月28日時点で家禽のアヒルと鶏の131万羽が殺処分されました。そして11月29日、日本の新潟において約31万羽の殺処分が始まっています。11月29日現在では日本韓国何れにおいてもヒトへの感染の報告はありません。なお、11月28日の韓国の農林畜産食品部の発表によると、韓国内で採取されたH5N6型高病原性鳥インフルエンザAを4件分析したところ、中国や香港で採取されたH5N6の遺伝子と99%一致したと言います。しかし、内部遺伝子であるPA遺伝子やNS遺伝子においては92~97%の一致だったとし、変異が見られることを明示しました。

鳥インフルエンザウイルスの変異
 ウイルス変異とは、野鳥が2つ以上のウイルスに同時に感染すると、ウイルスの遺伝子が鳥の体内で交換されてしまうことから発生するものだとされています。つまり、その結果病原性が増し、予防が困難になるということを意味しています。
 ちなみに、韓国では鳥インフルエンザには強いはずのアヒルが多く犠牲になっています。日本での殺処分は11月29日現在では鶏のみですが、青森でアヒル10羽の死亡及び9羽から鳥インフルエンザの陽性反応が出ているので、更に病原性の高まった鳥インフルエンザウイルスの蔓延が懸念されます。日本国内でもヒトへの感染、更には死亡例が発生する可能性もあります。基本的な予防対策を怠らないよう十分注意が必要です。

鳥インフルエンザの発生状況


過去の海外での発生状況
 2016年10月現在、WHO・OIEから以下の国においての鳥インフルエンザの人への感染と感染による死亡が公表されています。このうち2015年の中国では症例数135、死亡数39という多くの報告がされています。また、フランスなどの欧州でも鳥類からの鳥インフルエンザウイルスの検出が報告されており、2015年にはフォアグラの輸入禁止の措置もとられました。
  • アジア:
     インドネシア・カンボジア・タイ・中国・パキスタン・バングラデシュ・ベトナム・ラオス

  • 中東:
     アゼルバイジャン・イラク・エジプト・トルコ

  • アフリカ:

     ナイジェリア

  • 北米:
     カナダ

日本国内の鳥インフルエンザの発生状況
 人への感染が確認され、近年では世界的に危険視されるようになった鳥インフルエンザですが、鳥インフルエンザそのものは決して新しい病原菌ではなく、古くは100年以上も前から発生が確認されており、日本でも少なくとも1920年代には発生が確認されていたとされています。また、鳥インフルエンザが確認されても、高病原性(鶏に感染した場合に高確率で死亡する種類の鳥インフルエンザウイルスでA/H5,A/H7のタイプのもの)でなかったり発生規模が小さなケースだと大きく報道されない場合もありますが、日本でも毎年のように鳥インフルエンザが確認されています。
 2016年11月現在、日本国内で鳥インフルエンザが人間に感染した例は報告されていませんが、飼育された鳥や野鳥から鳥インフルエンザウイルスが検出された例は日本国内でもあります。今までに、愛知県や宮崎県、茨城県、埼玉県、山口県、大分県、京都府などで鳥類から鳥インフルエンザウイルスが検出されています。特に平成19年の宮崎県では幾つかの市町村亜おいてウイルスが検出されています。
  • 近年の主な発生状況:
    • 1996年、5N4型が日本(北海道)で確認される
    • 2004年、山口県や京都府の養鶏場でH5N1型による最大10万羽以上の死亡事例などが発生
    • 2005年、茨城県や埼玉県の採卵養鶏場などからH5N2型の陽性反応
    • 2007年、宮崎県や岡山県内の養鶏場などからH5N1亜型などの高病原性鳥インフルエンザが発生
    • 2008年、東北・北海道の野鳥の死骸からH5N1型が見つかる
    • 2009年、愛知県のウズラ飼養農場から日本で初めて高病原性の鳥インフルエンザ(H7N6亜型)が見つかる
    • 2010年、北海道で採取されたカモの糞などから検出される。また、島根県の採卵鶏養鶏所からもH5N1亜型の陽性反応
    • 2011年、兵庫県や福島県の野鳥の死骸からH5N1亜型が検出された他、宮崎県内で10例以上の H5N1亜型が確認される
    • 2016年、青森県において11月28日に高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜が確認され、12月1日にH5N6亜型と確定。その後、同年にて新潟県関川村、新潟県上越市、北海道、宮崎県川南町でも発見

2016年11月末現在の発生状況
  • 海外:
     2016年11月、韓国において野鳥の分からH5N6亜型鳥インフルエンザが確認されました。また、10月以降からハンガリーやドイツなどの欧州やインドでH5N6亜型鳥インフルエンザの発生が確認されており、多数の野鳥の死亡も報告されています。

  • 日本国内:
     2016年年11現在、国内でも幾つかの県において鳥インフルエンザウイルスが検出されています。これらの報告を受け、2016年11月21日現在、環境省は野鳥の監視体制を最も高い対応レベル3に引き上げました。今シーズンはこれまでに野鳥から19例もの鳥インフルエンザウイルス検出が報告されており、最高の警戒レベルが続いています。
    • 2016年11月15日、秋田県においてH5N6亜型が検出される
    • 2016年11月18日、鹿児島県において11月14日に採取した鳥のねぐらの水からH5N6亜型が検出
    • 2016年11月21日、鳥取県において11月15日に採取したコガモの糞便からH5N6亜型が検出
    • 2016年11月28日、青森県のアヒル農場において高病原性鳥インフルエンザの感染が確認
    • 2016年11月28日、新潟県の養鶏場においてH5N6亜型鳥インフルエンザウイルスが検出

鳥インフルエンザウイルス感染症とはどんな感染症か?


鳥インフルエンザとは?
 インフルエンザウイルスは感染していく中で、常にそのタンパク質の構造に変化が生じています。これがウイルスの変異です。そし  インフルエンザウイルスのうちA型インフルエンザウイルスは、人以外の鳥、豚などの動物も感染します。それに対して鳥インフルエンザとは、ニワトリやウズラ、アヒル、七面鳥などの家禽が持っているA型インフルエンザウイルスによる感染症で、ヒトの季節性インフルエンザとは感染症法上で区別されています。鳥インフルエンザウイルスは鳥に対する病原性の強さから高病原性と低病原性に分類され、ヒトへの感染例が確認されているものは高病原性はH5N1及びH7N7亜型ウイルス、低病原性はH9N2亜型ウイルスがあります。特に鳥インフルエンザウイルスの中で鳥に感染した時に症状が重篤で致死率が高い強毒株を高病原性鳥インフルエンザウイルスと言います。
 高病原性H5N1ウイルスのヒトへの感染は、主に生鳥マーケットへの立ち入りや病鳥の調理などの濃厚接触により、その体液や排泄物を吸飲したり、生肉を摂食することで起こります。発症後の致死率は60%です。しかし、充分に加熱処理された鶏肉や鶏卵からの感染は見られていません。現時点でヒトからヒトへの感染は確認されておらず、何れも散発例のみで、感染事例は中国、東南アジア及び中東諸国から報告されています。一方H7N7ウイルスはヒトからヒトへの伝播が確認されており、致死率は低いものの、2003年にオランダの養鶏場で起こった感染者1名の死亡例が知られています。なお、高病原性鳥インフルエンザという病名は、2006年の感染症法改正により鳥インフルエンザとされ、亜型で区別することになりました。2008年からはH5N1は2類感染症に追加され、それ以外が4類とされています。て、タンパク質が同じ型の中で変化するものを連続変異、タンパク質が全く別の型に変化するものを不連続変異と呼びます。我々の身体は一度感染して克服したウイルスに対しては免疫を獲得し、その後そのウイルスには感染しないか、感染したとしても軽い症状ですみます。しかし、ウイルスが変異を起こし、私達が免疫を持たない亜型に変化することがあります。これが新型インフルエンザですが、新型インフルエンザは、過去に人が感染した経験が殆どない分、感染が広がる危険性が出てきます。

鳥インフルエンザと毎冬流行するインフルエンザの関係
 鳥インフルエンザと毎年流行する季節性インフルエンザは一体どのような関係にあるのでしょうか? 
 鳥インフルエンザウイルスは水鳥が自然に腸管に持っているウイルスです。ただ持っているだけでは害はないのですが、これが水鳥から家禽に感染し、更に家禽から家禽へと感染が拡がると次第に強毒化してしまうことがあります。それが高病原性鳥インフルエンザで、H5N1やH7N7の中にはそのようなものがあります。元々鳥が持っているA型インフルエンザウイルスが人にうつって、更にウイルスがヒトからヒトに容易に、かつ持続的に感染できる能力を得ると、これが新型インフルエンザとなって爆発的な流行(パンデミック)が発生します。過去には1918~21年に大流行したスペイン風邪(H1N1)や1957年に発生したアジア風邪(H2N2)、1968年の香港風邪(H3N2)などが挙げられます。しかし、爆発的な流行から通常2年か3年もすると多くの人がウイルスに抵抗力(免疫)を持ち、大きな流行はなくなり、毎冬のインフルエンザとして小流行を繰り返すようになります。これが季節性インフルエンザと呼ばれるH1N1とH3N2です。

鳥インフルエンザとその脅威


忘れられた鳥インフルエンザ
 2009年4月にメキシコで発生した新型インフルエンザ(H1N1)は瞬く間に世界中に広がり、パンデミックを起こしました。その発生から1年半近く経過した翌年の2010年8月、WHO(世界保健機関)はパンデミックの終息を宣言しましたが、この間に世界200ヵ国以上で新型インフルエンザは流行し、結果的に18,000人以上もの人が亡くなりました。しかし、この数はウイルス検査で新型インフルエンザの感染が確認された例だけを集計したもので、殆どの国では早期に全例検査を取りやめていることから実際の数は誰にも分からないのが実態です。この時はある意味で幸運に助けられた側面が強くあります。ウイルスが強毒性に変異しなかったことと、タミフルに対する耐性を持ったウイルスが広がらなかったこと、そして、ワクチンの型がよく合っていたことなどが理由として挙げられます。しかし、つい最近になってこのH1N1新型インフルエンザウイルスは高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1と容易に遺伝子の交雑(交換)を行なって毒性の強い新たなウイルスを作り出しやすいという事実が明らかになりました。豚由来の新型インフルエンザ(H1N1)の出現によりすっかり忘れ去られてしまった鳥インフルエンザ(H5N1)ですが、アジアや中東などでヒトへの感染が報告され続けており、相変わらず50%程度と高い致死率となっています。H5N1は家禽や野鳥の間では既にパンデミックになっているというのが多くの専門家の意見となっているのです。

鳥インフルエンザのヒトへの感染とその実態
 一般に信じられているように、鳥インフルエンザウイルスは本当に人へ感染しないのでしょうか? 関係省庁からの通知では、感染した鳥との濃密な接触等の特殊な場合を除いて、通常ではヒトに感染しないとはされていますが、それではその「特殊な場合を除いて」とは一体どういうことでしょうか? また 鳥インフルエンザが人間に感染した場合はどうなるのでしょうか?

 H5N6は人に感染すると高率に死に追いやることは殆ど知られていません。中には「通常は感染しない」などと言う人もいるくらいです。しかし、専門家によってはH5N6型の鳥インフルエンザウイルスは日本中の家禽類に蔓延すると予測しています。実際2014年以来、2年弱で中国香港で十数名の感染者と死者が出ていて、つい先日11月21日に中国湖南省で農業に従事している女性が感染して死亡しているのです。今回の感染源はその中国やシベリアから越冬のために飛来している渡り鳥とされ、運ばれたH5N6型は人間に感染し、更に死に追いやるというのです。また、日本でも近年、鳥インフルエンザの本格的な蔓延が起きつつあります。事実、昨年12月には長野県安曇野市でも衰弱した野生のコハクチョウが発見され、陽性反応が出ています。豚インフルエンザの時と同様、鳥インフルエンザも人間にはうつらないとされていますが、有効なワクチンがないだけに、いざ鳥インフルエンザがヒトに感染した場合、非常に恐ろしいことにになる可能性も決して否定できないのです。
 インフルエンザウイルスはA型、B型、C型の3つの型があることは一般にも知れていると思いますが、鳥インフルエンザはA型に当てはまります。A型は更にH1~H16の亜型とN1~N9の亜型があり、組み合わせると144種類もその種類があるのです。中でもニワトリなどに感染する高病原性鳥インフルエンザウイルスはH7型と今回のH5型があります。通常は鳥に感染するウイルスと人間に感染するウイルスは異なり、日本国内でも人間に感染した例はなく、厚労省でもそれを強調していますが、やはり怖いのはウイルスが変異してトリからヒトへ、更にはヒトからヒトへとインフルエンザウイルスが感染し、パンデミック(世界的流行)状態になることです。

鳥インフルエンザなぜ危険なのか?

 一般に鳥インフルエンザウイルスはヒトに直接感染することはほぼないとされています。更にヒトからヒトへの感染もほぼないと考えられています。ところが、A型インフルエンザウイルスはB型に比べて変異しやすいことから、鳥インフルエンザが鳥の間で感染を繰り返すうちに、トリからヒトへ、そしてヒトからヒトへと感染を起こすタイプに変異した場合はとても危険です。なぜなら、このような変異により出現したインフルエンザウイルスは人が免疫を持たない新型ウイルスだからです。

 昨年の11月に入ってから秋田県秋田市や鹿児島県出水市、鳥取県鳥取市などで回収された鳥の死骸や水鳥の糞などから相次いで高病原性鳥インフルエンザウイルスが発見されています。野鳥観察などをしているだけで鳥インフルエンザに感染することはまずないでしょうが、念のために野鳥や野生動物の死骸を見つけても決して素手で触らないようにしなければなりません。また、同じ場所でたくさんの野鳥が死亡しているの見つけたら都道府県や市町村役場に連絡するようにして下さい。


ワクチンによる予防が困難
 これまでにヒトに感染したことがないに等しい新種のウイルスであるため、流行初期にはぴったりなワクチンが存在しません。事前予防ができないことから、鳥インフルエンザ(H5N1)をはじめとする新型インフルエンザの大流行に繋がりかねません。現在これまでにヒトに感染したケースのH5N1ウイルスで暫定的に作ったワクチン(プレパンデミックワクチン)が一定量備蓄されていますが、実際のパンデミックの際のウイルスとは型が異なることから効果は限定的と言わざるを得ないのです。

感染するとどうなるの?
 感染すると突然の高熱や呼吸器症状の他、全身倦怠感や筋肉痛などの全身症状を伴うとされています。中には軽症で済んだ例もありますが、多臓器不全や重症肺炎などにより急激に悪化して死に到るケースも報告されているため充分な注意が必要です。

重症化しやすい10~20歳代
 若者(特に10~20歳代)は生体防御機能がよく働いているため、身体の免疫機能が過剰に反応してしまうサイトカイン・ストームが起こりやすく、重症化しやすいとされています。また、妊婦や乳幼児、高齢者についても重症化しやすいことが指摘されていますので、くれぐれも感染予防を心懸け、かかりつけの医師の指導を受けることが大切となります。

5歳以下の乳幼児はインフルエンザ脳症にも注意
 インフルエンザ脳症とは、インフルエンザ発病後、急激に病状が悪化する病気で、主に5歳以下の乳幼児に見られます。この場合、インフルエンザの症状に加えて、(1)呼びかけに答えないなどの意識障害、(2)意味不明の言動、(3)持続性の痙攣と言った症状が現われるとされています。このような症状が見られた際には速やかに医療機関を受診するように心懸けましょう。

致死率が下がっているのは危険の予兆!?
 2009年以降のインフルエンザによる致死率を見ると、2008年まで70%ほどあった致死率が40~50%程度にまで低下しています。 一見喜ばしいことにも思えるのですが、パンデミックの観点から言うと単純に喜ぶわけにはゆきません。新型インフルエンザが効率よくヒト-ヒト感染を成立させ、感染拡大を起こすためには感染者が多くの人と接することが必要です。余りに致死率が高いと症状が激しく、外出することも難しくなるために却って人との接触の機会が減り、感染効率が悪いためにパンデミックのような感染爆発は起こしにくいのです。つまり、致死率が下がって来たことで、このウィルスがヒト-ヒト感染をおこすようになった時には一気に感染爆発をおこす危険性が強くなったという見方をすることも出来るということです。

鳥インフルエンザに感染した時の症状

 ウイルスの型により違いがありますが、突然の高熱や咳、全身のだるさ、筋肉痛などの症状を伴うとされています。


鳥インフルエンザの潜伏期間
 感染してから3~7日

鳥インフルエンザの症状
 症状は通常のインフルエンザとよく似ており、発熱、呼吸器症状、全身倦怠感が主症状です。更に高病原性鳥インフルエンザでは、急速な呼吸不全や全身症状の悪化、多臓器不全の合併症を起こして死に至ることがこれまでの感染事例から報告されています。また、H7亜型ウイルスでは結膜炎症状を示すことが知られています。 初期症状は季節性インフルエンザと似た症状が挙げられますが、進行は比較的早い傾向があり、重篤な場合は全身の臓器が異常を呈し、死に至ることもあります。
  • 38℃以上の突然の高熱
  • 咳などの呼吸器の症状
  • 全身の倦怠感
  • 筋肉痛
  • 下痢や嘔吐、腹痛などの消化器の症状
  • 胸痛などの呼吸器の症状
  • 鼻や歯茎からの出血

鳥インフルエンザが人に感染した場合の治療法


鳥インフルエンザの検査と診断
 鳥インフルエンザウイルスはA型インフルエンザウイルスであることから、インフルエンザ迅速診断キットで検出可能です。しかし、検出感度が必ずしも高くないことから見逃しも多く、陰性であっても感染を否定するものではありません。従って、病鳥との接触歴など疫学的な背景を考慮した臨床診断が優先されます。また、迅速診断検査では亜型の特定はできないので、陽性であっても季節性インフルエンザとの区別をするために、H5やH7及びH9亜型ウイルスの特異的遺伝子検出検査やウイルス分離による確認を行なう必要があります。

鳥インフルエンザの治療法
タミフル 今のところ効果が期待できるとされる治療は、A型インフルエンザに有効な抗インフルエンザウイルス薬のノイラミニダーゼ阻害剤(タミフル、リレンザ、ラピアクタ、イナビル)による早期治療です。感染の可能性がある場合は極力早い時期に投与することが勧められており、発症した場合は48時間以内の投与が効果的とされます。また、病鳥に濃厚に接触する可能性の高い場合は、医療用マスク(N95)やゴーグル、防護服などを着用し感染防御を徹底すると共に、抗インフルエンザ薬の事前服用が推奨されます。また、現在人のための鳥インフルエンザ予防のワクチンはありません。つまり、季節性のインフルエンザのワクチンでの予防効果は期待できないということです。しかし、幸い高病原性H5N1ウイルスの感染予防としてH5N1不活化ワクチンが開発されました。臨床研究により安全性が確認されたことから、2007年には国から製造販売承認が出され、4つの異なる系統のウイルスを用いたH5N1ワクチン3千万人分が製造され、国家備蓄されています。更に備蓄ワクチン量が限られていることからH5N1が流行した場合は、医療従事者や社会機能維持者の順でワクチン接種する優先順位が決まっています。

鳥インフルエンザとその予防
鳥インフルエンザに感染しないために


野鳥からの感染防止
 野生の鳥はインフルエンザウイルス以外にも人に病気を起こす病原体を持っている可能性があります。日頃からつぎのことに注意しましょう。
  •  衰弱または死亡した野鳥またはその排泄物を見つけた場合は直接触れないこと。もしも触れた場合には速やかにうがいや手洗いをする
  • 特に子供は興味から野鳥に近づく恐れがあるので注意が必要

感染した人からの感染の予防
 通常鳥インフルエンザウイルスは人には特に感染しませんが、もしも感染した人が近くにいる場合や鳥インフルエンザウイルスの変異により新型インフルエンザが発生した場合の予防策は知っておく必要があります。
  • マスクをする
  • 小まめにうがいをする
  • 小まめに石けんで手を洗う
  • 汚れた手で口や目、鼻などを触らない

海外での感染防止
 鳥インフルエンザ(H5N1)の予防策は、現在流行している新型インフルエンザ(H1N1)と同様、手洗い・うがい・マスクの着用が有効です。インフルエンザの流行期には、手洗いは外出後だけではなく、可能な限り頻回に行いましょう。石けんを泡立てて最低でも15~20秒以上洗い、すすぎも入念に行います。親指・爪の間・指の間・手首・手のしわなどに洗い残しが多いので注意してください。固形の石鹸は表面に細菌が繁殖したりウイルスが付着したままになりやすいので、できれば液体石鹸をおすすめします。外出から帰宅した際は、手洗いとセットのうがいを1回15秒程度で2回以上行いましょう。特に人混みに入る際には、マスクの着用によりウイルスの侵入をある程度防止する効果が期待できます。また、ウイルスは粘膜を通して感染するため、マスクを外す際などに鼻や口などを触らないように注意が必要です。目の粘膜からも感染することがあるので注意して下さい。 鳥インフルエンザの流行地域に行った場合は、以下のことに留意する必要があります。
  • 不用意に鳥類に近寄ったり触れたりしない。特に家禽が飼育されている場所、生きた鳥を販売している場所や食用に鳥を解体している場所には立ち入らない。特に子供は好奇心で野鳥などに近づく恐れがあるので注意をする
  • 万が一、感染の可能性のある鳥等に触れた場合は直ぐにうがいと手洗いをする
  • 鳥の解体や調理をしない。もしも鳥を扱った場合には必ずよく手を洗う
  • 充分に加熱された鳥肉、卵などを食べる
  • 予防策は季節性インフルエンザと同様にうがいと手洗い、マスクが有効

鶏肉や鶏卵を食べることによる感染は?
 今まで鶏肉や鶏卵を食べることで人に感染した事例はありませんが、WHO(世界保健機関)は、鳥インフルエンザの集団発生が認められる地域で鶏肉や鶏卵を食べる場合の充分な加熱調理の必要性を示しています。

予防策は通常のインフルエンザと同様にうがいと手洗い、マスクが有効

 鳥インフルエンザ(H5N1)の予防策は、現在流行している新型インフルエンザ(H1N1)と同様、うがいと手洗い、マスクの着用が有効です。インフルエンザの流行期には、手洗いは外出後だけではなく、可能な限り頻回に行ないます。石鹸を泡立てて最低でも15~20秒以上洗い、すすぎも入念に行ないます。親指と爪の間、指の間、手首、手の皺などに洗い残しが多いので注意ましょう。固形の石鹸は表面に細菌が繁殖したりウイルスが付着したままになりやすいので、出来れば液体石鹸がオススメです。外出から帰宅した際は、手洗いとセットのうがいを1回15秒程度で2回以上行ないます。特に人混みに入る際にはマスクの着用によりウイルスの侵入をある程度防止する効果が期待できます。また、ウイルスは粘膜を通して感染するため、マスクを外す際などに鼻や口などを触らないように注意が必要です。目の粘膜からも感染することがあるので注意しましょう。
鳥インフルエンザウイルス感染症に気づいたらどうする?

 ニワトリなどの病鳥との接触歴やそれに関連した職歴、鳥インフルエンザの流行地域への渡航歴の有無によって患者への初期対応は異なります。

 接触歴があり発熱などの症状が現われていて迅速診断検査でA型陽性でH5N1が同定された場合は、医療機関は2類感染症として速やかに最寄りの保健所を通して国へ届けなければなりません。報告を受けた自治体では、検査に必要な検体を確保し、インフルエンザのウイルス学的検査が行なわれます。また、患者は必要に応じて個室で入院管理されます。現時点ではヒトからヒトへの感染は起こっていませんが、医療従事者への感染防御のために使い捨て手袋やマスク、眼鏡、使い捨てガウンなどで接触感染や飛沫感染の予防策をとる必要があります。一方H5N1以外の鳥インフルエンザの場合は4類感染症として届けられます。外来管理の場合はヒトへの感染を防ぐためにマスクの着用や手洗いの励行、人混みに出ない、他の人との濃厚な接触を可能な限り避けるなどの措置が必要になります。
参考:鳥を飼っている人は要注意!

 鳥インフルエンザは鶏やアヒルの他にも色々な種類の鳥に感染することが知られていますが、国内で鳥インフルエンザが発生したために、これまでペットとして家庭や学校などで飼養している鳥が直ちに危険になるということはありません。むしろ家庭などで隔離して飼われている鳥は野外からの感染の危険は小さいといえます。「ペットのチャボが感染」との報道以来、安易に飼い鳥を手放したり捨てたりする事態も起きています。ペットは大切な家族の一員ですし、冷静な対処を心懸けましょう。


飼っている鳥への感染予防方法
 今回国内で発生した鳥インフルエンザの感染経路はわかっていませんが、専門家は日本に飛来する渡り鳥が運んできたか、人や物に付着して持ち込まれた可能性を指摘しています。飼っている鳥へ感染させないように特に次のことに注意しましょう。鳥インフルエンザウイルスは鶏(チャボ、ウコッケイ等を含む)やウズラ、キジ等の家畜に感染しやすく、鶏から鶏への伝播は容易に起こります。これらの鶏を飼っている人は特に注意が必要です。
  • ペットの鳥を渡り鳥などの野鳥に接触させない
    • 飼養ケージを点検、補修して野鳥が侵入できる穴などは塞ぐ

  • 野鳥の糞などが飼っている鳥の水や餌を汚染しないように気をつける
    • 水や餌は毎日取り替えて常に清潔なものを与える
    • 餌は野鳥が侵入しない場所に保管する
    • 野鳥が飛来する池の水を鳥の飲水に利用しない

  • 人がウイルスを持ち込まないように気をつける
    • 飼養舎に入る時は専用の長靴に履き替える。入り口に消毒液の踏み込み槽を設置するとなおよい
    • 飼い主は鳥インフルエンザが発生している地域などへの旅行、訪問は控える
    • 鳥を飼養する場所に飼養に関係ない人が立ち入らないように注意する

鳥インフルエンザに感染した鶏などの主な症状
 鳥インフルエンザに鶏が感染すると様々な症状が出て高率に死亡します。なお、鳥の伝染病にはこれらの鳥インフルエンザの症状に良く似た症状を示すものもあります。飼っている鳥に健康異常が見られたら直ぐに動物病院に受診しましょう。
  • 元気消失
  • 呼吸器症状
  • 下痢
  • 肉冠、肉垂のチアノーゼ、出血、壊死
  • 顔面の腫れ
  • 脚部の皮下出血
  • 産卵の低下
  • 神経症状

日常の正しい衛生管理が大切
 鳥インフルエンザに限らず、鳥から人に感染する病気はいくつかありますが、正しい衛生管理をしていれば無闇に恐れる必要はありません。ただし、飼い主の体調に不調を感じたら早めに医療機関に受診することも大切です。
  • 衛生管理のポイント
    • 鳥を触る前、また触った後には手を洗う
    • 排泄物は速やかに処理をして常に動物の周りを清潔に保つ
    • 排泄物の処理をした後は直ぐに手を石鹸でよく洗い、うがいをする。心配な時はマスクや手袋をする
    • 水や餌は衛生的なものを与える
    • 鳥の健康状態を毎日よく観察する
    • 鳥に健康異常が見られたら直ぐに動物病院に受信する

参考図書及び参考サイト


◆参考図書
『一生インフルエンザにかからない体質の作り方』フォレスト出版
村上一裕・著
『一生インフルエンザにかからない体質の作り方
今すぐできる!最新医学に基づく「免疫力」を強化する方法』
フォレスト出版・2009年10月刊、1,200円
世の中には「インフルエンザにかからない人」がいる!世の中には「インフルエンザにかからない人」が存在しますが、その秘密は「免疫力」です。多くの人が勘違いしていますが、「タミフル」「リレンザ」などの抗ウイルス剤ではウイルスは殺せません!本書は7000人の人生を変えた世界トップクラスの医学博士が、最新医学に基づく「免疫力強化法」を初公開!「今すぐできる!インフルエンザ対策リスト」の付録つき。
河合直樹『よくわかるインフルエンザのすべて』医薬ジャーナル社
河合直樹・編著
『よくわかるインフルエンザのすべて』
医薬ジャーナル社・2013年08月刊、2,800円
インフルエンザの基礎知識、インフルエンザと他のウイルス感染症の診断、インフルエンザの外来治療、インフルエンザの合併症、重症例と入院治療、インフルエンザに伴う異常言動、インフルエンザの予防と感染対策、新たなインフルエンザの脅威と対策
佐藤万成『インフルエンザから生活を守る―正しい知識で適切対処―』新潟日報事業社
佐藤万成・著
『インフルエンザから生活を守る
―ヘルスケアハンドブック 正しい知識で適切対処―』
新潟日報事業社・2009年10月刊、600円
「あれ?インフルエンザ?」—すぐに電話で相談を、感染拡大の防止—外出を自粛しよう、重症化リスク—万全の感染予防対策を、風邪とは何か? 風邪とインフルエンザ、インフルエンザの診断、医者にかかるタイミング、細菌とウイルス他
順天堂大学医学部『かぜとインフルエンザ―日常生活の注意、予防、治療―』順天堂のやさしい医学13
順天堂大学医学部・編
『かぜとインフルエンザ
―日常生活の注意、予防、治療―』
順天堂のやさしい医学13、
学生社・2006年04月刊、780円
「かぜ」と「インフルエンザ」の見分け方、鳥インフルエンザの予防と治療、かぜとインフルエンザに関する日常生活の注意点や予防・治療法、など第一線の医師たちが、かぜとインフルエンザのすべてを解説!疑問・不安を解決する「質問コーナー」つき。
岡部信彦『知って防ごう かぜと新型インフルエンザの基礎知識』少年写真新聞社
岡部信彦・著
『知って防ごう
かぜと新型インフルエンザの基礎知識』
少年写真新聞社・2009年11月刊、900円
かぜとインフルエンザは仲間?、体の中にウイルスが入るとどうなるの?、かぜとインフルエンザの予防と治療、新型インフルエンザについて解説。
正しい知識を持って! 「新型インフルエンザ」に備える。 - 政府広報オンライン-
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201512/1.html
新型インフルエンザに関するQ&A - 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/02.html
鳥インフルエンザに関するQ&A - 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/qa.html


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