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今月のワンポイントアドバイス



 風疹が近年稀に見るほどの流行を見せています。今月は風疹について気を付けるべき転などを取り上げ解説しました。
風疹の症状


風疹
【1】今年は風疹の当たり年!
【2】風疹とはどんな病気?
【3】女性と風疹
【4】風疹と似た病気


【1】今年は風疹の当たり年!

 風疹が大流行しています。
 本節ではその近年にない風疹の大流行の実態について簡単に説明します。
今後も流行拡大が懸念〜疹患者が昨年通年の3倍、1000人超す〜

 妊娠初期の女性が感染すると、赤ちゃんに障害が残ることがある風疹が流行しています。患者報告数の増加スピードは過去最悪のペースだそうです。患者の中心は成人男性で、職場感染や夫から妻にうつる場合もあります。ちなみに風疹は実は昨年から感染が増えており、流行は2〜3年続くため、現在流行していない地域でも充分な注意が必要だと言います。なお、無料で予防接種を受けられるのは一定の年代の子どもだけですが、専門家は、接種歴や罹患歴が分からない人は積極的に接種するようすすめています。


風疹の流行 風疹患者は今年、兵庫県や大阪府など関西地方で流行が始まり、東京都や神奈川県などでも増えてきました。通常ならば初夏までに下火になるものが、今年は風疹の患者が却って夏に入って急増し、7月以降も東京都やその周辺を中心に患者が増え続けており、今年初めからの累計が1016人に達したことが8月14日、国立感染症研究所のまとめで分かりました。これは前年同時期の既に約3倍だそうです。また、患者数は都道府県別で多い順に、東京都235、大阪府199人、兵庫県191人と続いており、特に都市部で流行しています。なお、確認されていないのは東北や九州などの7県だけだそうです。なお、実は昨年も日本では風疹が流行し、感染研などが注意情報を出したのですが、今年の流行は全数集計が始まった2008年以降で最多で、昨年の371人は既に超えてしまいました。このような流行拡大を受けて、東京都保健福祉局も7月12日に改めて注意情報を発表しました。東京都の風疹患者数は前例のない数に達しており、今後も流行拡大が懸念されるとして、定期・任意の予防接種を受けるよう呼び掛けています。

 風疹は、咳やクシャミによる飛沫感染が大半で、発疹や発熱、リンパ節の腫れが主な症状でが、稀に脳炎などの合併症を引き起こすこともある病気です。大人が罹ると子どもより症状が重くなりがちで、関節痛がひどいことが多いようです。特に注意が必要なのは妊娠の可能性がある女性で、妊娠初期で風疹に罹ると、胎児が風疹ウイルスに感染し、難聴や心疾患、白内障、発達の遅れなどの先天性風疹症候群になることがあります。もっとも、妊婦が感染しても必ず先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれるとは限りませんが、妊婦さんは心配でつらい思いをするし、うつした方もつらいものです。
 風疹は予防接種で充分な免疫がつけば罹らないとされています。記憶している人がいるかも知れませんが、日本の風疹ワクチンは1977年から女子中学生を対象に始まりました。その後何度か制度が変わり、現在は1歳と小学校入学前1年の計2回、麻疹と風疹を防ぐMRワクチンを接種します。免疫が不十分な人が多い世代への対策として2008〜12年度の期間限定で、中学1年と高校3年相当年齢の者への追加接種も実施されています。なお、今年の風疹報告患者453人のうち350人が男性で、うち20代と30代が6割を占め、女子中学生だけが対象だったり、接種率が低かったりした世代と重なります。実際20代後半の男性の10人に1人、30〜50代前半の男性の4人に1人は風疹への免疫がありません。女性も接種の機会が1回しかなかった20代以上で、免疫のない人が5%ほどいるとされます。なお、近年は出張先のアジアなどで風疹ウイルスに感染した男性が職場内で広げたり、妊娠中の妻にうつした例も報告されています。
神奈川県内でも風疹が流行

 首都圏や関西で風疹が流行する中、神奈川県内でも横浜市や川崎市を中心に風疹患者の届け出件数が増加しています。県衛生研によると、今年初めから7月15日までに県内で報告された患者数は48人。春は西日本を中心に流行していましたが、県内も6月頃から患者数が増加しており、患者の全数調査が始まった2008年以降、最多だった昨年1年間の64人に迫る勢いです。年齢別にみると、20代と30代がそれぞれ11人(23%)、40代が12人(25%)。男女別では、男性が34人(71%)、女性が14人(29%)となっています。特に横浜市では、15日時点で昨年1年間(15人)の約1・4倍となる21人が感染。川崎市も15人と昨年1年間の11人を既に上回り、何れも調査開始以来最悪のペースとなっています。また、患者全体の約8割が男性で、20〜40代が目立ちます。これは、かつて風疹の予防接種は女子に限定されており、この世代の男性は定期接種の機会がなかったり、或は接種率が低かったりして免疫のない人が多いためです。家族や職場など周囲に妊娠中の女性がいることが多い年代でもあり、予防は欠かせなません。このように流行の中心は定期予防接種の機会が少なかった20〜40代の男性ですが、一方、妊娠初期の女性が風疹に感染すると、難聴や心疾患などの障害のある赤ちゃんが生まれる可能性があるため、県衛生研究所などでは早めのワクチン接種を呼びかけています。
 風疹は風疹ウイルスによって起こる感染症で、発疹や発熱、リンパ節の腫れなどが主な症状です。大人が罹ると発熱や発疹の期間が長くなることが多いとされ、また、妊娠初期の女性が感染すると、出生児に先天性風疹症候群と呼ばれる障害を引き起こす可能性があります。風疹ワクチンの定期接種は、1977年に中学生女子のみを対象に開始し、95年から男女共に接種対象となった経緯があります。そのため、現在20〜40代の男性は予防接種の機会が少なく、免疫を持たない可能性があります。特に流行の中心となっている20〜40代は妊婦が身近にいる可能性が高く、しかも妊婦はワクチンを接種できないので、周囲の人が予防接種を受けるなどして感染を防いでほしいものです。
参考:WHOも警告!風疹は生涯にわたる病気

 世界保健機関(WHO)においても、今月に入り世界の麻疹(はしか)と風疹制圧に関する2020年までの世界的計画を発表、予防接種率を上げて、「麻疹関連死」と「先天性風疹症候群」をなくすための中長期的目標を掲げています。それによると、WHOは3年後の2015年までに「世界の麻疹関連死を2000年と比べ少なくとも95%減少」と「各地域の先天性風疹症候群の制圧目標を達成」することを掲げています。また、2020年までの目標として、「麻疹・風疹(MR)ワクチンの2回接種率を高めること」と「予防接種活動の積極的な推進、有効な動向調査や流行時の緊急対応などに関わる体制づくり」などを挙げています。
 風疹の症状は一般的に重くはないものの、妊娠初期の人が感染すると、約90%という高い確率で胎児に感染することが分かっており、風疹制圧の最も大きな要因とされています。胎児が感染した場合、先天異常をもたらすことがありますが、これが先天性風疹症候群です。WHOは、先天性風疹症候群に罹った場合、難聴や視力の低下や心臓の欠損、自閉症や糖尿病、甲状腺機能不全など生涯にわたる病気を負い、病気の多くは高額な治療費を必要とすると警告しています。ただそ、唯一の予防策である風疹ワクチンは40年前から使用されており、安全性や有効性が確立しています。予防接種率の高いWHO米州地域では、風疹の自然感染が2009年以降ゼロの状態が続いていると言いますが、予防接種率の低い地域では先天性風疹症候群の発症率が高いことが分かっている他、世界でも現在も年間11万人の先天性風疹症候群患者が報告されています。

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【2】風疹とはどんな病気?

 風疹とは一体どんな病気なのでしょうか?
 本節では風疹の症状や治療法について簡単に説明します。
風疹とは

 風疹とは、三日はしかとも呼ばれる感染症です。麻疹(はしか)に似た小さな赤い発疹が首から広まり、熱が出たり咳やリンパ節の腫れなどの風邪症状を伴うことがあります。風疹は子どもの病気としては軽い方ですが、妊婦が風疹に罹るとお腹の赤ちゃんに影響するので、予防接種は必ず受けておくようにすすめられています。
風疹の症状

 風疹は麻疹(はしか)と症状が似ています。小さく細かい赤い発疹が首から出始めて全身に広がります。顔にも発疹が出て、時に軽い痒みを伴いますが、3〜5日で消えてゆきます。麻疹の発疹よりも赤みが薄めです。熱は38度前後で、3日程で落ち着きます。発熱は必ずあるわけではなく、4人に1人は発熱がなく発症します。耳の後ろのリンパ節が腫れやすく、鼻水や咳、喉の痛みといった風邪症状が現われます。稀に色素沈着を残す場合もあると報告されています。なお、発熱は短期間で落ち着くものの、リンパ節の腫れは発疹が落ち着いても数週間続くこともあります。しかし、風疹は麻疹や水疱瘡よりも症状自体が長く続かない病気だと認識されています。赤ちゃんの場合は体中の発疹を見て突発性発疹と間違えやすいようです。
風疹の原因

 風疹の原因は風疹ウイルスです。クシャミや咳で飛沫感染して、喉や粘膜から体内に広がります。しかし、感染力としては水疱瘡や麻疹よりも弱く、1度罹れば2度と罹らない特徴があります。潜伏期間は1〜2週間で、赤ちゃんの場合は母体から譲り受けた免疫が消える生後6ヶ月〜1歳頃からが罹りやすく、小学生の子どもに多く発症します。兄弟のいる家庭では赤ちゃんにうつさない注意が必要です。
風疹の治療

 風疹の治療は自宅で安静にすることが1番です。風疹ウイルスに直接作用する薬は開発されていません。発熱がある場合は、首もとや脇を冷やして楽にさせてあげますが、38度程度では解熱剤を使う指示が出ないことが殆どです。あまり高熱になっていない状態で解熱剤を使うことは控えた方がよく、風疹の発熱なら数日で落ち着きます。また、発疹の痒みには痒み止めが処方されることがあります。顔にもできるので、子どもが気にして掻かないように爪を短く切ってあげたり、何か持たせて気をそらすようにしましょう。お風呂は熱が下がってくれば大丈夫です。治療自体は安静にすることで治ってきますが、発疹が出てから1週間ほどは感染力があるので外出は控えた方がよさそうです。赤ちゃんや妊娠している人にうつさないよう配慮しましょう。
風疹の予防接種

 風疹の予防には風疹ウイルスを弱めた生ワクチンが使用されます。現在は2006年4月に改訂されて、風疹と麻疹は混合ワクチン(MR)を接種するようになりました。赤ちゃんは、母体から譲り受けた免疫がなくなる頃(目安は1歳)に1期を受けます。その後、小学校就学を目安に2期を受けます。どちらも注射を1回受ける形ですみます。また、予防接種の副反応は微熱や発疹、軽いリンパ節の腫れが確認されています。1〜2日で治まりますが、念のため副反応が出た時は再受診しましょう。深刻な副反応は殆ど起こっていません。

風疹の予防接種 風疹に罹りやすいのは赤ちゃんから小学生の子どもですが、そのため予防接種を受けようと思ったら、まずは麻疹・風疹の予防接種から始める赤ちゃんが多いようです。流行してから接種しても既に潜伏期間の可能性も考えられるので、流行の有無に関係なく早めに接種するとが安心です。ただし、ここで最も注意したいのは赤ちゃんよりも、母親の風疹の予防接種履歴の有無です。大人が風疹に罹ると子どもよりも症状が重症化しやすく、特に妊娠初期の母体ではお腹の赤ちゃんにウイルスの影響があると注意を喚起されています。子どもが風疹の予防接種をする際には親も予防接種をしているか確認しておきましょう。特に2人目以降の妊娠を考えている場合は必ず親子で接種しておきましょう。妊娠してからでは予防接種は受けることができません。さらに予防接種後は2〜3ヶ月は避妊をすすめられるので、妊娠を考えている時はよく相談しましょう。
 なお、予防接種は時々接種方法が改正されることがあります。たとえば平成20年4月1日から5年間の期限付きで、麻疹を排除する目的で麻疹・風疹の予防接種に第3期と4期が追加されました。第3期は中学1年生に相当する年齢、第4期は高校1年生に相当する年齢が対象です。予防接種は安全面からも常に見直されて改正されていくことがあるので、接種時にはよく確認しましょう。
風疹検査について〜風疹検査は妊娠初期の女性は必ず行なうこと〜

 まず妊娠初期には様々な検査をすると思います。その中でも風疹検査(風疹抗体価検査)は、風疹の免疫があるかどうか産婦人科では必ず行なわれる検査です。それでは、どうして妊娠初期に風疹の検査をするのかと言うと、免疫のない妊娠初期の妊婦さんが風疹に感染してしまうと胎児も感染してしまうからです。胎児が感染してしまうと先天性風疹症候群になる心配もあります。従って、できれば妊娠する前に風疹ワクチン接種をして、しっかりと免疫を獲得しておくことが大切です。しかし、抗体は時間がたつと段々低くなったり、稀に抗体ができにくい体質の人もいるので、妊娠初期の妊婦さんは全員検査します。
 母子健康手帳には、検査名として風疹抗体検査、風疹抗体価検査、風疹HI検査などと記載されます。検査では、血液検査で風疹ウイルス(HI検査)の抗体の有無を調べます。検査結果は8未満を最低数値として、8、16、32のように8の倍数で示されます。なお、この検査結果の数値について、どう見ていいのか分からないお母さんも多いのではないでしょうか。陰性(8倍未満)または8倍、16倍以下は免疫がない、もしくはあっても不充分と見られます。32〜126倍は適度な免疫がある、256倍以上は最近風疹に感染した可能性も否定できないと判断します。なお、これらの数字だけでなく、風疹患者と接触したかどうか、発疹があったか、なども重要な診断要素なので、お医者さんにしっかり伝えて下さい。
参考:先天性風疹症候群
先天性風疹症候群とは?

 免疫のない女性が妊娠初期ないし娠前半期に風疹ウイルスに感染すると、風疹ウイルスが胎芽ないし胎児にも感染し、そのことにより出生児に先天性風疹症候群(CRS)と総称される障害を引き起こすことがあります。先天性風疹症候群は、症状として白内障または緑内障や心疾患、感音性難聴(3主症状)、精神運動性発達遅滞などが見られます。先天性風疹症候群の発生頻度は妊婦が風疹に感染した時期により異なり、妊娠4週までは50%以上、5〜8週は35%、9〜12週は15%、13〜16週は8%とされています。妊娠8週までの罹患では、白内障や心疾患、難聴の2つ以上の疾病が出現し、それ以降20週までの罹患では難聴のみのものが多く、妊娠後半の罹患では、胎児に感染は起こっても先天異常は出現しません。従って、風疹のワクチン接種は先天性風疹症候群の予防を第一の目的に考えられています。
疫学

 風疹の流行年と先天性風疹症候群の発生の多い年度は完全に一致しています。また、この流行年に一致して、かつては風疹感染を危惧した人工流産例も多く見られました。従来、風疹は主に春に流行し、従って妊娠中に感染した胎児の殆どは秋から冬に出生しています。流行期における年毎の10万出生当たりの先天性風疹症候群の発生頻度は、米国で0.9〜1.6、英国で6.4〜14.4、日本で1.8〜7.7であり、国による差は殆ど見られません。母親が顕性感染した妊娠月別の先天性風疹症候群の発生頻度は、妊娠1カ月で50%上、2カ月で35%、3カ月で18%、4カ月で8%程度です。成人でも15%程度不顕性感染があるので、母親が無症状であっても先天性風疹症候群 は発生し得ます。1993年を最後に全国規模の風疹流行はなくなったので、それに対応して先天性風疹症候群の発生数も年間数例に減少し、1999 年4月施行の感染症法の元での届け出は2例のみでした。発生がゼロになる日も近いと思われていましたが、今年の流行になったため発生が心配されます。
病原体

 先天性風疹症候群の病原体は風疹ウイルスで、ウイルス株による病原性の差は特に認められていません。発生段階の初期(特に3カ月以内)に胎児内である量以上のウイルス増殖があれば先天性風疹症候群を引き起すと考えられています。
臨床症状

 CRSの3大症状は先天性心疾患と難聴、白内障ですが、このうち先天性心疾患と白内障は妊娠初期3カ月以内の母親の感染で発生するものの、難聴は初期3カ月のみならず、次の3カ月の感染でも出現します。しかも高度難聴であることが多いとされます。なお、3大症状以外には網膜症や肝脾腫、血小板減少、糖尿病、発育遅滞、精神発達遅滞、小眼球などその症状は多岐にわたります。
病原診断

 病原体である風疹ウイルスの検出には、ウイルス分離よりもウイルス遺伝子の検出の方が感度もよく、また時間的にも遙かに短期間でできると言われていますが、それはウイルス遺伝子RNAを逆転写PCR で増幅して検出する方法です。
 CRSを罹患した児童からは、出生後6カ月位までは高頻度にウイルス遺伝子が検出されます。検体として検出率の高い順から述べると、白内障手術により摘出された水晶体や脳脊髄液、咽頭拭い液、末梢血、尿などです。また、CRSの診断としては、症状及びウイルス遺伝子の検出以外に、臍帯血や患児血からの風疹IgM抗体の検出が確定診断として用いられています。IgM 抗体は胎盤通過をしないので、胎児が感染の結果産生したものであり、発症の有無に関わらず、胎内感染の証拠となります。なお、胎児が感染したか否かは、胎盤絨毛や臍帯血、羊水などの胎児由来組織中に風疹ウイルス遺伝子を検出することで診断できます。母親が発疹を生じても胎児まで感染が及ぶのは約3分の1で、またその感染胎児の約3分の1がCRSとなるとされています。
治療及び予防

 CRSそれ自体の治療法はありません。心疾患は軽度であれば自然治癒することもありますが、手術が可能になった時点で手術することになります。白内障についても 手術可能になった時点で濁り部分を摘出して視力を回復させます。摘出後、人工水晶体を使用することもありますが、何れにしても遠近調節に困難が伴うことになります。また、難聴については人工内耳が開発され、乳幼児にも応用されつつありますが、今までは聴覚障害児教育が行なわれてきました。このように先天性風疹症候群に対する特異的な治療法はありませんので、個人防衛としては女性が妊娠前にワクチンによって風疹に対する免疫を獲得すること、社会防衛としては男女共に風疹ワクチンの接種率を上げることによって風疹の流行そのものを抑制し、妊婦が風疹ウイルスに暴露されないようにすることが重要です。

 なお、予防で重要なことは充分高い抗体価を保有することであり、既に自然感染で免疫を獲得していることが明らかな者以外は風疹ワクチンで免疫をつける必要があります。現在風疹ワクチンは標準的には男女の幼児(1〜3歳)に接種されています(※予防接種法の対象年齢は1歳〜7歳半まで)。なお、2001年11月7日の予防接種法見直し以降、1979年4月2日〜1987年10 月1日生まれの未接種者が接種可能になる経過措置が取られています。この経過措置は2003年9月30日までの期間とされているので、対象年齢で未接種者は早めの接種が望まれます。なお、この年齢以外の希望者には任意接種となります。また、妊娠可能年齢の女性で風疹抗体がない場合には、積極的にワクチンで免疫を獲得しておくことが望まれます。ただし、妊娠中のワクチン接種は避けなければなりません。もっとも、たとえワクチン接種後に妊娠が判明したとしても、過去に蓄積されたデータによれば障害児の出生は1例もないので、妊娠を中断する理由にはなりません。また、極めて稀ではありますが、低い抗体価を保有していながら再感染によってCRSを発生した例はあります。

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【3】女性と風疹

 風疹は子どもの病気だと思われていますが、大人も風疹に罹ります。
 本節では風疹と大人の女性の関係について解説し、併せて妊婦が気をつけるべき点を取り上げ解説しました。
風疹は子どもだけでなく大人も罹る

 風疹は子どもに多い病気だと言われています。中には風疹は子どもだけが罹るものだと思っている人もいるかも知れません。風疹は確かに子どもに多い病気なのは間違いないのですが、しかし、最近では思春期や成人が占める割合が高まっています。また、特に冬から初夏にかけて患者数が増加する傾向が強いとされます。

 風疹と麻疹(はしか)は似ていますが、全く別の病気です。麻疹よりも風疹は感染力が弱いので、風疹に罹っている人と接触しても(風疹は鼻や喉などにいるウイルスの飛沫感染だと言われています)感染しない幼児も多いです。そのため、大人になって初めて感染したり、或は大人になっての風疹生涯免疫が出来ていない人もいるようです。風疹は比較的軽い疾患だと言われていますが、大人になってから罹ると症状が重くなる傾向があり、重くなると、時に髄膜炎や脳炎を起こすこともあります。特に気をつけなければならないのは妊婦さんで、妊娠初期の女性が感染すると、胎児が風疹ウイルスに感染してしまいます。なお、風疹ウイルスに感染後14〜21日の潜伏期間があり、発熱と同時に全身に赤色の細かな発疹が出ます。発熱は大抵37度程度のもので(稀に高熱になることもあります)、発疹も発熱も通常は3日ほどで消えるので「三日ばしか」とも呼ばれています。耳の後ろや首筋のリンパ節が発疹が出る前の数日前から腫れるので、発疹とリンパ節の腫れがあった場合は風疹だと思ってよいでしょう。なお、発疹だけの場合だと、他の病気の可能性もたくさんあります。
女性と風疹
忘れた頃に流行する

 三日はしかとも呼ばれる風疹は、主に幼児や学童期の子どもたちが罹りやすい伝染性の病気です。1年のうち春から初夏にかけて不規則に流行します。大きな流行は5〜6年おきに見られ、近年では1992年に大流行しました。
妊娠3ヵ月までは気をつけて

 風疹の症状ははしかに似た発疹です。1〜2日で熱も発疹も治まるというように比較的軽い症状で回復します。ところが、妊娠している女性が風疹に罹ると、流産や先天性の病気を持った子どもが産まれる危険性が高くなるので、症状は軽くても怖い病気です。特に妊娠3ヵ月までの初期に風疹に罹った場合、胎児への感染率が高く、先天性風疹症候群と呼ばれる白内障や心疾患、聴力障害、発達障害などの障害児が生まれる確率が高くなりますが、5ヵ月以降の妊娠後期だとその頻度は減少します。
1度罹れば一生得られる免疫

 風疹ウイルスに感染すると、発症するまでの潜伏期間はおおよそ2〜3週間で、発病後3日目くらいから抗体価は急上昇し、7〜10日目で最高値に達します。症状は発熱や発疹の他、リンパ節が腫れて痛みを伴うことも少なくありません。その後、症状は消えても抗体価は1〜2ヵ月ほど最高値のままで、それ以降は徐々にゆっくりと下がってゆき、抗体は終生維持されます。なお、稀に抗体価が下がると再感染を起こすこともあります。
一番の予防はワクチン接種

 妊娠の可能性がある人ya妊娠を希望している人は,風疹に罹らないような予防が大切です。抗体検査をして、もしも免疫がなければ、妊娠の前に風疹ワクチンの接種を受けましょう。なお、妊娠中はワクチンの接種は受けられません。また、ワクチン接種後2ヵ月間は避妊することも忘れないようにしましょう。
妊娠初期の風疹
妊娠初期の女性と風疹

風疹と妊婦 妊娠を考えている人は、当然ながら普段以上に体調にも気をつけているでしょうが、特に妊娠前に風疹の予防接種をしているか確認するとより安心できると思います。風疹は三日はしかとも呼ばれている通り、大体3日で症状が落ち着く病気ですが、妊娠初期に風疹に罹ると胎児に影響しやすいと言われています。
 風疹ははしか(麻疹)に似ていて、赤く小さな発疹が首から始まり、全身に広がる病気です。熱は38度前後ですが、4人に1人は発熱もないと言われています。罹りやすいのは母体からの抗体がなくなる6ヶ月〜1歳の赤ちゃんから10歳前後の小学生までです。季節は冬よりも春に発症しやすいようです。感染は咳や唾液の飛沫感染、ウイルスがの出や粘膜について体内に広がります。その影響でリンパ節が腫れるた場合は腫れが治まるまで数週間かかります。症状としては麻疹よりも軽く、3日程度で落ち着くので3日はしかと呼ばれていますが、軽い症状で済むのは子どもだけです。大人が風疹に罹ると子どもよりも症状が重くなりがちです。さらに妊娠初期の女性が風疹に罹ると、胎児に危険な影響を及ぼす可能性があるので注意が必要です。
妊娠初期に風疹に罹ると

 妊娠初期に風疹に罹ることは一体どのように危険なのでしょうか? 

 まず先天性風疹症候群という症状がありますが、これは妊婦が感染した後でお腹の赤ちゃんもウイルスに感染して起こる症状です。心臓や視覚、聴覚などに障害を残す可能性があります。具体的には、目では白内障や緑内障、精神発達の遅れが確認されています。中でも多く診断されているのは白内障や心奇形、難聴です。また、低体重児の可能性もあります。これらの症状が赤ちゃんに出た場合、必ずしも風疹だけが原因とは言えませんが、もしも妊娠初期に風疹に罹っていたなら大きく影響していると考えられます。なお、妊娠4週までに感染した場合、6割前後の確率で障害が発生します。しかし確率は徐々に減ってゆき、妊娠21週以降の感染では、風疹に感染しても妊娠が続行できることが殆どです。このことからも、特に妊娠初期の感染が危険だと分かります。
妊娠前に予防接種を受けよう

 子どもの頃に風疹の予防接種を受けていれば効果は継続しているので問題ありません。接種の有無は自身の母子手帳で確認できると思います。母子手帳の記録もなく、ご両親や家族の記憶も定かでなければ風疹ウイルスの抗体検査を受けると安心できると思います。 そこで、これから風疹の予防接種を受けなければいけない時は必ず妊娠していない時に済ませておきましょう。予防接種のワクチンは風疹ウイルスを弱めた生ワクチンですから、妊娠してからでは接種できません。予防接種後も2〜3ヶ月は妊娠を控えるように指導されます。いざ妊娠してからでは、風疹の予防接種は受けることができません。ですから、風疹の予防接種は妊娠・出産の準備の1つとして忘れずに確認したいものです。
赤ちゃんと風疹
どんな病気?

 全体的にはしかに似た症状が出るため、俗に三日ばしかと呼ばれています。はしかに似た症状で発疹も全身に出るものの、はしかほど重くなく、熱は1〜2日、発疹も3〜4日で消えることから、こう呼ばれるようになったのです。はしかの場合、高熱が出て3〜4日してから発疹が出てきますが、風疹の場合は熱と同時に発疹が出るのも特徴です。原因は風疹ウイルスで、クシャミや咳などで飛沫感染します。潜伏期間は2〜3週間。4〜10才くらいの子どもに多く、集団生活をしない赤ちゃんが罹ることはあまりありません。


発熱や発疹と同時に首や耳の下のリンパ腺が腫る
 この病気は、発熱と同時に小さな赤い発疹が首から始まって全身にパラパラ広がります。熱は多くの場合37〜38度程度ですが、時には40度近くなることもあります。熱や発疹と同時に、首や耳の下のリンパ腺が腫れ、触れると小指の先くらいのグリグリが出来ているのがわかります。これも風疹の大きな特徴です。この他、白目が赤く充血したり、喉が赤くなって痛んだり、軽い咳が出ることもありますが、熱は数日で下がりますし、発疹などの症状も4〜5日目には軽くなります。


罹っても症状が出ないことも
 風疹は、一度罹れば免疫ができます。また、軽い時は熱も殆ど出ず、発疹も僅かなため、ウイルスに感染したことに気づかないで終わってしまうこともあります(不顕性感染)。そのため、健康に育っている子どもにとってはそう怖くない病気ですが、稀に発症後4〜5日か、回復期に入ってから脳炎を起こすことがあるので、決して油断はできません。また、小学校高学年以上の子どもや大人が罹ると症状が重くなりがちで、頭痛や関節炎の他、皮下で内出血して紫斑が出てくる場合もあります。特に妊娠4ヶ月までの妊婦が感染すると、生まれてくる赤ちゃんにはトラブルが起きる心配があるので、特に注意が必要です。なお、人にうつりやすいのは発疹の出る数日前から、発疹の出た後5日間ぐらいです。従って、保育園などの集団生活はお休みして、外出も控えるようにしましょう。感染している子どもは妊婦に近づけないのがマナーです。

ケアは?

 風疹ウイルスに効く薬はないため、症状に応じたケアをします。熱が高い時には脱水症状に気をつけて水分補給を心懸けて下さい。発疹は多少の痒みを感じることがありますが、強くかきすぎると点状出血斑が出たりしやすいので注意が必要です。汗をかくと痒みも増すので、冷たいタオルで患部を冷やしてあげると汗も止まり、痒みも軽減します。また、子どもの場合、合併症は殆どなく、軽くすむことが多いのですが、熱がなくても、発疹が消えるまでは外出を控え、自宅で静かに過ごしましょう。

 風疹で特に気をつけたいのは母親自身です。子どもが風疹に感染した時、過去に風疹に感染したと確信を持てず、現在妊娠しているお母さんは、かかりつけの産婦人科に一度相談してみましょう。また、妊娠していなくても、これから妊娠する可能性がある女性で、以前風疹に罹ったかどうか分からない時には血液検査で抗体値を調べておきます。免疫がない時には予防接種を受けておくことをオススメします。なお、赤ちゃんも1才までは予防接種を受けることができます。接種すると1〜2週間は接種した子どもの喉からワクチンのウイルスが外に出てゆくことがありますが、この風疹ウイルスは弱毒化してあるので、他人には感染しないと言われています。ですから、予防接種を受けた子からお母さんに風疹がうつる心配はありません。
妊娠前に抗体の有無検査を

 ワクチンは複数回接種しても大丈夫なため、流行している今年は、妊娠する可能性がある人やその夫などは、免疫(抗体)の有無を検査する手間を省き、接種してもよいでしょう。ただし女性はワクチン後2カ月間は避妊する必要があります。問題なのは、無料で受けられる接種期間中に受けていない子どもがいることです。たとえば最も接種率が高い1歳児でも、2008〜10年度に未接種だった子どもは全国で計18万人にも上ります。特に高校3年相当年齢では81万人にもなりと言います。対象となっている子どもは予防接種をなるべく早く受けてほしいものです。

 感染が最も心配されるのは妊娠している女性で、現在では、初期の妊婦健診の血液検査に風疹に対する免疫があるか調べるHI抗体検査が含まれています。特にHI抗体の値が16以下の場合は、免疫が低いために注意が必要です。抗体が低かった人は、妊娠5ヶ月までは人混みに入らず、家族はワクチン接種を受けるようにしましょう。なお、妊婦自身は予防接種を受けられないため、出産後直ぐに受けることをオススメします。なお、妊娠前に抗体の有無を調べる検査や予防接種は医療機関によって価格が違い、数千円ほどします。最近は、結婚前の人が自費で受ける健診(ブライダルチェック)に風疹抗体検査が含まれている場合もあるそうです。
 なお、ワクチンを2回接種しているか、或は過去にかかったことがあれば他人にうつすことはありません。ただし、風疹に罹ったことがあると思っていても、実際は風疹ではなく症状の似た別の病気だったケースもあります。予防接種を受けたかどうか、記憶が曖昧な人も多いでしょう。医療機関で風疹の免疫があるかどうかを調べることができますが、免疫がない場合、自費だが大人でも予防接種を受けることができます。妊娠を希望する女性も早めに受けたほうがよいでしょうが、ワクチンには病原性を弱めたウイルスが入っており、接種後2カ月は避妊する必要があります。既に妊娠している人は雑踏を避け、家族ら周囲の人にワクチンを接種してもらうのが効果的です。

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【4】風疹と似た病気

 風疹と麻疹は似た病気です。本節では風疹と似た病気について取り上げ、簡単に解説しました。
はしかと風疹は違う病気

 はしかは麻疹と書きます。風疹とは違う病気ですが、風疹のことを三日はしかと書くことでも判るように、症状などが非常によく似た病気です。はしかの原因は麻疹ウイルスですが、風疹は風疹ウイルスによる感染症です。
 風疹もはしかに同じく飛沫感染で広まりますが、潜伏期間は2〜3週間です。また、はしかと同じく1度罹患すると免疫ができて2度と罹らないと言われていますが、長年月を経て免疫が薄れると罹患することもあるとされます。初期の症状は、鼻水や咳の他に薔薇色の斑点が口蓋に表われます。この時点では痛みはありません。その後顔が赤くなり、頭部から首や身体、手足に発疹が広がります。この発疹は3日程度で消えますが、三日はしかの別名はここから来ています。発病者の25〜50%が発熱し、38〜39度の熱が数日間続きます。また、重い場合には発疹が消えた後も耳介後部や後頭部、頚部でリンパ節が腫れて、1ケ月程度続きます。なお、はしかと風疹は共に初期症状が風邪に似ていることから、患者が軽視して病院にゆかずに放置して、そのため周囲の感染者への対処が遅れて流行を招くことがあります。どちらも予防接種で免疫を作れるので、通常は幼少期に予防接種を受けますが、このとき麻疹ウイルスと風疹ウイルスの混合予防摂取を実施します。そのため、風疹の流行は日本では1996年以降発生してしません。なお、風疹ウイルスの感染力は水痘やはしかウイルスより弱いため、大きな流行になることが少ないと考えられています。


■参考:風疹、麻疹、突発性発疹の比較
風疹 麻疹 突発性発疹
原因 風疹ウイルスがのどや鼻から入る はしかウイルスがのどや鼻から入る ウイルス(主にヒトヘルペスウイルス6,7)
発病しやすい年齢 小学生、3日はしかのこと 5歳以前、特に1歳児はしかのこと 生後4ヶ月〜2歳(乳幼児)
発疹 バラ紅色麻疹よりも薄い 紅いブツブツができ、次第に暗褐色のシミになる。バラ色、暗赤色、こげ茶色のシミになる ピンク色〜紅色
出やすい体の場所 体全体の皮膚 体全体の皮膚 身体から出て全身に広がるが、手足に出ることは少ない
大きさと広がり 麻疹に似た細かい発疹 米粒からえんどう大のポツポツ。ポツポツ同士がくっつくことが多い 少し盛り上がっている。散らばっているが時にくっつく
予後 3日ほどで消え痕を残さない 1週間ほどで消える 1〜3日ほどで消え痕を残さない
発熱など あっても軽度
首のリンパ腺が腫れる
感染しても4人に1人は発病しない
38℃以上の高熱
咳、目やにが、強く出る
急に高い熱が出る
熱は急に下がってその後発疹が出る熱は1〜4日で下がりその後に1〜3日で消える発疹が続く
罹患日数 3日ほどで治る
1度かかれば二度とかからない
7〜10日で治る
1度かかれば二度とかからない
熱が3〜4日で下がるその後に1〜3日で消える発疹が続く
治療 対症療法(氷のうで熱を下げ水分を十分に与える、痒みに対して抗ヒスタミン剤、関節炎に対してアスピリンの投与) 抗生物質、解熱剤、咳止め高熱のある時は、安静に寝せてください。高熱のある時は、氷枕などで冷やしてください食べ物は制限せず口当たりの良いものを与えましょう 対症療法(氷のうで熱を下げ水分を十分に与える、など)ひきつけが5分以上続く場合、一晩に2回以上繰り返す場合は救急車を呼んでください
予防方法 予防接種を1〜3歳までの間に一回受けて下さい予防接種の対象年齢生後=12〜90月未満注2参照のこと 感染して6日以内ならγグロブリン注射で発病予防できることもある
予防接種を一回受ければ一生はしかにかかりません。対象年齢生後=12〜90月未満、標準的な接種年齢=12〜24月
他の人にはうつらない
特に予防はいらない
潜伏期間 約2週間 約10日間
合併症 ほとんどない。
まれに紫斑病、肺炎、関節炎が起こる
肺炎や中耳炎が時々起こる(10%)。まれに脳炎が起こる(0.1%)。肺炎、脳炎をおこした場合は入院が。頻繁に受診して下さい まれに高熱によってひきつけを起すことがあるまれに脳炎・脳症(不機嫌になり、ぐったりする)となる
学校へ登校できる時期など 発疹が消えたら、医師の許可を得て登校してかまわない 熱が下がって3〜4日したら、医師の許可を得て入浴や登校してもかまわない

麻疹(ましん、はしか)
麻疹とは?

 麻疹とは、38度以上の高熱が続き、鼻水や乾いた咳を伴います。砂粒程の小さい白斑が頬粘膜にでき、赤い発疹が広がります。麻疹は「ましん」とも「はしか」とも読みます。
麻疹の症状

 38〜39度前後の高熱が3〜4日続きます。風邪症状に似て、鼻水や涙目、目ヤニ、乾いた咳が特徴です。大きな特異点は頬の内側に出来るコプリック斑という麻疹特有の小さい白斑です。このコプリック斑を見落とすと風邪と勘違いしやすいので注意が必要です。コプリック斑は数個しか出ない子どももいれば、沢山出来る子どももいます。このコプリック斑の有無は医師の診察において重要な判断材料になりますです。
 3〜4日続いた高熱は一時的には下がりますが、麻疹の場合、2度目の発熱があります。2度目の発熱では赤い発疹が顔や首、お腹から手足に広がります。この時が高熱のピークで、40度まで上がる場合もあり、子どもが最も辛い時期。特に赤ちゃんは体力も抵抗力も低いため、直ぐ脱水症状になります。発疹は次第に体全体に増え広がり、色を増して紫色になります。発熱も3日程で落ち着きますが、紫色は残ることもあります。たとえ色素が残っていても、1ヶ月も経てば自然と消えてゆきます。また、高熱によって脱水症状に陥った赤ちゃんは体力も衰えています。中耳炎や肺炎、引きつけ等で更に体力を落とすと危険な状態になるので、くれぐれも注意が必要です。
麻疹の原因

 感染力の強い麻疹ウイルスが原因で、非常に感染経路が単純で強いのが特徴です。咳、鼻水やくしゃみで飛沫感染します。逆算すると、発疹の現われる4日前には感染していると言われています。麻疹は風邪と違い、1度感染すると一生涯免疫ができますが、この免疫のない人なら、年齢に関係なく感染する可能性があります。
麻疹の治療

 麻疹に感染してしまったら、特効薬は定められていません。症状の経過に応じた軽減措置と体力保持、他の症状の併発予防に努めます。特に肺炎の併発は危険な状態になるので安静が第一です。場合によっては入院も必要になります。特に高熱が出て食欲がなくなると、体力の消耗スピードが速まります。脱水症状に注意して小まめに水分補給をし、食べられる好きな食べ物を用意しましょう。特に子どもは1度に消化できる量が少ないので、時間に拘らずに欲しがったら与えます。高熱で喉が痛い時は飲み込みやすい調理で、無理なら水分補給を怠らないことが大切です。また、離乳食を始めたばかりの赤ちゃんは、母乳やミルクに戻るかも知れません。しかし、それで母乳やミルクを飲むのなら与えましょう。本人が苦にならない栄養補給が大切です。なお、高熱で汗をかいて放っておくと身体が冷えるので、その場合は着替えて汗を取り除きます。昔は「麻疹は冷やすな」という言葉がありましたが、一概にはそんなことはありません。逆に無理に暖めて脱水症状にならないよう注意しましょう。
麻疹の予防

 現在、麻疹は治療する病気ではなく、予防する病気と考えられています。日本では麻疹の予防接種が普及したため、患者はかなり減少しました。しかし、世界ではまだ麻疹で命を落とす赤ちゃんが多く存在します。このことからも分かるように、赤ちゃんはなるべく早い時期の接種が好ましいとされます。
 ただ、生まれて間もない赤ちゃんは母体からの免疫を充分持っています。そこへ予防接種しても、母体から貰った抗体が予防薬を受け付けないこともあります。そのため、よく1歳の誕生日がきたら麻疹の予防接種をすると言われます。また、1歳前に何らかの理由で接種した赤ちゃんは1歳過ぎに追加接種することもあります。
麻疹患者と接触したら

 まだ麻疹ワクチン未接種の赤ちゃんが保育所や病院で接触した場合は注意が必要です。飛沫感染のため、接触した可能性が少しでもあれば早急に受診しましょう。早ければワクチン接種をすすめられます。1歳以降は72時間以内なら効果が期待できます。
水疱瘡(水痘)
水疱瘡とは?

 水疱瘡とは別名を水痘(すいとう)と呼びます。水疱瘡は体中に赤い発疹が現われ、やがて強い痒みを伴ってカサブタになります。一生に1度罹れば免疫ができるので2度と罹りません。しかし、1度も罹らない人もいます。また、予防接種を受けると、罹っても軽く済む傾向があります。
水疱瘡の症状と潜伏期間

 潜伏期間は11〜20日、長くても3週間で発症します。中心に水泡を持つ赤い発疹で強い痒みを伴うのが特徴です。身体の皮膚の柔らかい部分から発症しやすく、次第に全身に広がります。米粒大の真っ赤な発疹をかき壊すと、水泡のウィルスが更に広がります。季節にもよりますが、最初の水泡は早くて半日で乾燥し始めます。しかし、さらに新しい発疹ができるので常に痒みでイライラします。この赤い発疹の中心は膿のような白く濁った液を含んでいます。そして、かき壊して液体の膿が肌に触れると、そこからまた感染して発疹が出てしまいます。キビを潰すと跡が残るように、この発疹もかき壊すと跡に残る時があるので注意が必要です。なお、発疹が乾燥してくると、水疱瘡特有の黒い色をしたカサブタになってゆきます。黒いカサブタになれば感染の心配もありません。10日程度で自然とはがれ落ちます。ここで無理にカサブタを剥がすと、完全に乾燥していない部分が跡に残りがちです。見た目は伝染性軟属腫と似ていますが、水疱瘡の発疹は引っ掻いただけで壊れます。また、中心が少しへこんでいるのが特徴なので、ここで見分けがつきます。痒みでイライラしてつい掻き壊したり、服の袖で強くこすったりしがちです。瞼や陰部にも出来るため、常に痒くて不機嫌になってしまうので、何らかの形でお子さんの気を紛らわせてあげるとよいでしょう。
水疱瘡の原因

 水疱瘡の原因は、水痘帯状疱疹ウィルス(水痘ウィルス)が感染することです。咳やクシャミの小滴や空気で感染しますが、大変感染力が強い特徴があります。水痘ウィルスは知覚神経から侵入し、脊髄後根神経節に潜伏します。これが再活性化されて皮膚上に現われ、水疱瘡となります。発症2日前から感染者の近くにいるだけで移る可能性があり、これが子どもなら一緒に遊ぶだけでうつる可能性があるので注意が必要です。ただし、大人になってから水疱瘡にかかると大変なので、小さいうちに発症してしまった方がよいとも考えることが出来るかも知れません。
水疱瘡(水痘)の予防接種

 水疱瘡の予防接種は1歳以降を目処に効果を発揮します。乳児は初めは母親から貰った抗体がワクチン代わりになります。もしも接種しても母親からの抗体がワクチンを侵入者と捉えて撃退してしまうのです。
 水痘ワクチンによって感染はほぼ防げるとされていますが、保険適用外です。特に流行している時期の接種は既に潜伏している可能性もあります。そのため、高価な接種費用を費やしても、潜伏していたら発症してしまいます。接種のタイミングは医師に相談してからお願いすることをオススメします。
水疱瘡(水痘)の治療

 たとえ水痘ワクチンを接種していなくても、早期診療で症状は軽減されます。水疱瘡に感染した可能性があると思われる時から72時間以内が条件で、72時間以内にアシクロビルを投与すれば症状は軽減されます。それ以降の投与による効果は期待できないので、早期受診を心懸けたいものです。しかし、服用せずとも軽く済む場合もあり、水疱瘡のは1度経験すれば体内に抗体ができます。予防に必死になるよりも、体調を崩した時に備える体力作りも考えておきましょう。なお、水疱瘡に解熱はほぼ必要ありませんが、発熱した際は肌の発疹が悪化する恐れがあります。発汗から肌の発疹が荒れないように常に発症部分の清潔には心懸けたいものです。なお、アスピリンは他の危険性から水疱瘡には禁忌とされているので要注意です。

 また、水疱瘡が発症した際に気になるのは、体中の赤くて痒い発疹です。我慢できずに掻き壊すと跡が残ることもあるので心配です。なお、 赤ちゃんにも処方されるのはカチリという白い少し粘土状のクリームです。これは痒みを軽減して引っ掻き防止の役割を果たしますが、嫌がる子には使用しません。カチリは症状の軽減化を目的とするので、無理に使って機嫌が悪くなるなら控えても大丈夫です。また、マキロンやカラミンローションで優しく肌を拭き取るだけでも痒みは軽減されるのでオススメです。局所の皮膚体温を下げれば一時的でも痒みを抑えられ、赤ちゃんの機嫌も落ち着きます。これが少し大きいお子さんなら、少量をコットンに含ませて自分で軽く叩かせましょう。外に出れないイライラを少し紛らわせることができるかも知れません。発疹ができた肌の表面を冷やすと気持ちよいものです。それでも子どもが皮膚を引っ掻いたり発疹を壊してしまったら、完治後に皮膚科を受診して相談しましょう。特に腹部や太もも等は肌が柔らかいので湿疹ができやすく、自分でも手の届く部位です。大人になってから肌に残った跡が気にならないようにケアしてあげましょう。

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