1stサービスヤマト生活情報館
ヤマト生活情報館 インデックスページに戻る
こちらもチェック 水のトラブル プロが教える自分で出来る修理法
Presented by Yamato Group
今月のワンポイントアドバイス


 全国民が利用していると言っても過言ではない携帯電話。
 携帯電話は日々に進化し、それが非常に魅力的で利便性のあるツールであることは論を俟ちません。けれども、過剰な携帯電話の利用に警告を発する声が多方面から挙がっている事実に鑑み、今月は若者の携帯電話への依存の実態について詳しく考察してみました。

 あなたは携帯電話の奴隷と化した生活を送ってはいませんか? 

携帯電話依存症
【1】携帯電話会社の戦略と若者〜現代日本の携帯電話事情〜
【2】青年期の友人関係と携帯電話〜携帯依存社会における人間関係〜
【3】携帯電話依存症〜ネット依存症の実体とその症状〜


【1】携帯電話会社の戦略と若者たち〜現代日本の携帯電話事情〜

 携帯依存症の問題を解説する前に、本項では、その背景となっている携帯電話の普及と携帯電話会社の市場戦略について、参考までに以下で取り上げ解説しました。
普及が生んだ問題

 既に触れた通り私たちの暮らす日本は携帯電話の普及率が非常に高いことはご存知のことだと想いますが、携帯電話の普及は以下の現象を引き起こしたと言えます。よく知られているように、先頃「携帯電話のマナー」の特集でも取り上げた通り、それは、(A)「公共の場における社会規範を無視するかのような携帯電話の利用」と、(B)「目の前にいる相手とのコミュニケーションよりも携帯電話でのやりとりを優先する」といった“作法”です。そして、特にこの現象を目の当たりにする年齢層こそ「若者」たちなのです。そして、この現象により若者の中で次々と文化生活の秩序が壊れて行っていることも紛れもない事実なのです。
日本だけではない〜携帯先進国が故の問題〜

携帯電話先進国が故の問題

 携帯電話依存症の発端としては、日本という社会にも問題があることは間違いない事実です。日本は携帯電話の先進国なのです。機能面やデザイン性からしても、日本の携帯電話は世界中から注目されています。大体、高機能になればなるほど、それだけ携帯電話に依存してしまう若者が増えるのも仕方がありません。何れにせよ、日本が携帯電話先進国だからこそ携帯依存症などが問題になる事態になっているので、社会問題となってもおかしくない現実なのです。
日本だけの問題ではない

 携帯電話依存を問題視する国は何も日本だけではありません。
 インターネットの普及は、利便性の向上と共にメディアへの依存をもたらす可能性もあるのが現状で、実際にアメリカや韓国といったインターネット先進国では、インターネット依存者がインターネット利用者の約6%を占めていると言われ、インターネット依存によって社会的不適応を引き起こす人々の増加が大きな問題となっている模様です。これは利便性溢れるツールが招いた悲劇だと言ってもよいかも知れません。
進化し続ける携帯電話〜携帯電話会社の戦略と踊らされる若者たち〜

携帯電話 ここ最近で携帯電話会社の料金プランがどんどん求めやすい値段になり、快適に携帯電話を利用出来るようになりました。昔からすると考えられない出来事だと言えるでしょう。昔は携帯電話の利用を誰でも必要最低限に抑えていたものですが、ところが、今は逆に使った方がお得という風潮にすらなっているのです。相当に大きな利用をしない限りは、月々に支払う料金は大体1万円前後でしょう。むしろ1万円もゆかない人も多いかも知れません。そして、これも携帯電話覚者による競争の為せる業で、この携帯電話の料金プランが安くなったことで若者の携帯電話依存も生じて来たのわけです。
 本節では、その携帯電話会社の戦略について参考までに以下で取り上げ解説しました。
進化し続ける携帯電話

 最新の携帯電話はとにかく多機能なものばかりです。たとえばワンセグ実施されたことにより、最早携帯電話にはテレビが標準装備されました。さらにはチャット機能も搭載、相手の携帯電話を追跡出来る機能などもあります。その他アプリケーションも充実する一方で、デザイン面も向上して来ました。要するに携帯電話ひとつで様々なツールを楽しむことができるようになったのです。もはや携帯電話は娯楽ツールへと方向転換したのだ言っても過言ではありません。
依存のスパイラル

 携帯電話の料金プランが安くなったことに加えて、ネット利用の定額制なる料金プランが出たことによって、料金の問題も、たとえ使いすぎても一定の料金を支払えば問題なくなりました。それによって、今まで極力使うのを避けて来た様々な携帯電話の機能を多く使うことが出来るようになったのです。そのため、多くの携帯電話ユーザーが携帯電話に執着し始める傾向を生み、また、一部の人々が限度を知らずに携帯電話にのめり込んで携帯電話依存に陥っている、という実情を生んでいるのですのです。
パケット料

 主に定額制はパケット料金を一定に抑えるための料金プランです。要するに通話料は別で、メールやインターネットをする際にパケット料金が発生するわけです。なお、携帯電話に執着している人々は当然のように携帯電話の料金に関する知識も持ち備えていますが、或は通話料が別であるために電話を避ける傾向を生んだという背景があるのかも知れません。だからこそ電話よりもメールを利用するという昨今の風潮となって今日に至っているのかも知れないのです。
増え続ける機能

 料金が安くなるだけに留まらず、携帯電話会社は常に斬新さを追及していますが、その斬新さから生まれた数々の機能は携帯電話ユーザーにとってはさぞかし溜まらない存在でしょう。しかし、忘れてはいけないのが、機能が多くなればなるほど、それにのめり込んでしまう利用者が必ず存在するという事実です。なお、人々のニーズに応えている形を取ってはいますが、携帯電話はあくまで「携帯することが可能な電話」であって、本来は娯楽のためのツールでは無かったはずで、そこを忘れてはいけないと思います。
生き残りと争奪戦

 携帯電話会社はそれぞれ機能面の充実や求めやすい料金プランなどでより多くの顧客を獲得しようと様々な試みをしています。携帯電話に敏感な若者は、この情報を照らし合わせて、最も適合していると思う携帯電話を選定するのです。そして、また新たな魅力的である機能などを他社が発表すると、ユーザーはそちらに移動してゆくことになります。ある意味で利用者は携帯電話会社に踊らされ、コントロールされているのだと言ってよいのかも知れません。
若者の社会性と携帯電話

親の躾の問題

 携帯依存の問題で最も関連性のある原因として挙がるのは、多分親の躾の問題ではないかと考えられます。現在の家庭内の調査からみても、「与えるものを与えて、後は本人に任せる」という親御さんが非常に多いことが窺われます。よく言えば放任主義、悪く言えば「放ったらかし」なのです。生きてゆく上で大事な常識を教えない親が増えて来ている背景こそ、たとえば携帯依存の現状に繋がっているのではないでしょうか。常識を知らず、我慢するということを知らないまま育てばどうなるかは一目瞭然。社会で全く通用しない人間になってしまうのです。
ネット社会の誤った情報

 インターネット上には有益なサイトもたくさんありますが、その反面で有害なサイトもたくさん存在します。携帯依存となってしまうことで、そういったインターネット・サイトの情報にどんどん集中することになります。ジャンルは本当に多岐に渡っており、どのような情報を信じているのかも分かりません。たとえば簡単に「日本の社会を共に変えよう!」などといったカルト紛いの訴えかけを行なうサイトなどの情報を真に受けてしまうこともあるでしょう。 そして、こういった背景こそが秩序を壊していっているので、現在はインターネット・サイトは星の数だけ存在し、一つひとつ取り締まることは不可能なのです。
まだまだ認知されない携帯電話依存症

大袈裟な話?

 携帯電話依存は気持ちの問題だという声をよく聞きます。これは精神病患者に対して「気合で何とかしろ!」と言うことと何ら変わるところがありません。簡単には抜け出すことが出来ない状態だからこその「依存症」なので、こういった理解がまだまだ浸透せず、何の対処を取られないことも大きな問題だと言ってよいでしょう。とにかく携帯電話依存者は、それこそ寝食さえも忘れて携帯電話に集中してしまうので、これはどう見ても「異常」としか言いようがないのです。
まだまだ認知されない

 携帯電話依存は「依存症」とは言うものの、精神医学分野で明確な研究は特に行なわれていないという現状があります。この点から見ても、携帯電話依存症の重みがまだ充分に行き渡っていないのです。たとえばメディアにおいても携帯電話を持つ若者の特集が時折り組まれますが、真意に迫っているとは必ずしも言えないのが現状です。このように「携帯電話依存症」は多くの人々にはまだまだ認知されていないのが実情なので、或はこれも恐ろしい現実のひとつだと言ってよいのかも知れません。

[ ページトップ ] [アドバイス トップ]


【2】青年期の友人関係と携帯電話〜携帯依存社会における人間関係〜

 携帯依存には、現代の若者の抱える人間関係の問題があると考えられます。
 少し議論が難しくなってしまったきらいがありますが、本項では、現代の中・校生の友人関係と携帯メールの依存性の関連について考察することでこの問題に迫ってみました。
女性に多く見られる携帯電話の過度の利用

女性同士のコミュニケーション 携帯電話依存症の傾向が見られる若者の中でも、特に女性にその傾向が多いと統計的なデータでも示されていると言います。女性ほど携帯電話に執着する傾向があり、そのため情動的となり、携帯電話の過度な利用と共に、対人コミュニケーション上の問題を抱えていると言われます。事実、町を歩けば携帯を見ながら歩く若者を目にしますが、その中でもやはり女性が多いはずです。それはレストランやショッピング施設などでも同じだと言えましょう。

 何れにせよ、“近年盛んに取り上げられる自己防衛的友人関係が、爆発的な普及を見せる携帯メールへの依存に影響しているのではないか”との懸念が多くの人によって表明されて来ました。そして、一部の専門家の最近の研究の詳しい研究によって、その懸念は特に若い女性においてはほぼ証明されたと言ってよい結果が出たと言います。すなわち、特に若い女性においては、自己防衛的な友人関係が携帯メール依存に影響していることが明らかとなったのです。もちろん携帯メール依存には女性ばかりでなく男性にもパーソナリティとしての公的自意識の関わりが明らかで、男女ともに携帯依存の問題はのっぴきならない現代社会の抱える問題であると言わなければなりませんが、その特徴がより女性に多く表われているというのです。。
様変わりした携帯電話利用率〜高校生の携帯電話利用とその実情〜

 10年ほど前に行なわれた高校生の友人関係に関する調査によれば、当時は高校生の間では携帯電話はまだ殆ど浸透していかったことが分かるのに対して、最近の高校生の携帯電話所持率は88.6%(そのうちメール使用率は97.1%)とかなり効率を示しています。要するに、僅か10 年の間に高校生のコミュニケーションに関する環境が様変わりしていることがこれでハッキリと表われてると言ってよいでしょう。

 もちろん携帯電話の利便性については誰もが認めるところですが、とかく携帯電話はネガティブな話題で取り上げられることが多くあります。特に若年層においては出会い系サイトなど悪質なサイトを利用した凶悪犯罪との関連がしばしば指摘されます。たとえば04年6 月には警視庁が設置した「青少年問題調査研究会」による「青少年の意識・行動と携帯電話に関する調査研究」の幾つかの項目内容において、一般少年と非行少年、携帯電話の所持者と非所持者、出会い系サイト利用者と非利用者などを対比した結果、概ね携帯電話が非行に関連する傾向にあるとの報告がなされました。しかし、“携帯通話や携帯メールのシステムそのものが、それを使用する人間の心的側面や行動様式、とりわけ青少年の非行にどう繋がってゆくのか”という科学的根拠が示されないままに、このような調査結果が世の中に伝えられてゆくことは、やはり偏見や憶測に社会が歪められてゆく原因となりかねません。何れにせよ、多くのこのような多少曖昧さを感じる調査になってしまう背景には、携帯電話やメールにおける人間関係や青年の心理について議論や実態報告がなされるようになって来たものの、未だその利用行動・意識・性格特性等の相互関連に関する研究が多くないことが挙げられるでしょう。今後この分野の研究が社会問題化した携帯電話のデメリット緩和への糸口となる可能性は大きいと考えられます。


■携帯電話でのメールの利用レベル

青年期の友人関係〜希薄化しつつある人間関係〜

 専門家によると、若者の友人関係について、アイデンティティ形成に関わるような親密な関わりがある一方で、自他を傷つけ合わない、群れていることの安心感から成り立つ元来は自己中心主義的な友人関係があるとしています。また別の専門家は、最近の青少年の中には友人との全人格的な融合を避けて距離を保ち、一面的で部分的な関係に止めようとする疎隔的部分的な志向性が現われていると言います。要するに分かりやすく言うと、これは、仲間に対して明るく接している青年たちが、一方では対人関係が親密になることを避けているように見えるということで、これは、青年期における友人関係が、やはり全体として希薄化・表面化の方向に向かいつつある証左だと考えてよいと思われます。要するにこれは、「自分が傷つかないようにする自己防衛的な付き合い方」であると言ってよいでしょう。具体的に言えば、自分が非難されたり相手との相違点が顕在化しないよう自己を開示しないか、するにしても明るく楽しい自分を演技することで、つまり、ありのままの自分をさらけ出さないことで関係の親密化を避けているのだと言ってよいのです。また、或は若者に特徴的な人間関係の在り方として、たとえば相手の行動や相手との関係性に気配りをし、相手の気分を害さないようにする傾向も当然ながら考えられるでしょう。


■現代の若者に特徴的な人間関係の構造図
若者の人間関係構造図

青年期の友人関係の構造とパーソナリティ

 上で述べた自己防衛的友人関係が若者の人間関係の大きな特徴のひとつであるとした場合、対人関係における青年の心の目は多くの場合、自己に向けられる傾向にあると考えられますが、その場合、現代青年の友人関係に関わるパーソナリティとしてその自意識に注目することが出来るでしょう。そして、自分自身に意識が向きやすい傾向を示す自意識特性は、(1)「他者の目に映る自分自身に目が向きやすい傾向(=公的自意識)」と、(2)「自分自身の内面に注意の向きやすい傾向(=私的自意識)」とにこれを分けることが出来ます。


 いささか難しい議論になりますが、参考までに続けます。

 他者から自分がどのように認識されるかを客観的に把握する側面である「公的自己」は、感情や好みなど直接的な内的体験の認識である「私的自己」よりも自己把握が困難であると考えられます。また、他者把握においては、表出された観察可能な行動を認識することの他に、直接には観察不可能な他者の内的過程を推測する過程があり、私的自己の方がより困難であると考えられます。そして、「他者が自分をどう認識するか?」についての把握は、自己把握であると同時に他者の内的過程への推論でもあり、これは他者の感情に対する共感性、他者の立場に立って物事を理解する能力が前提となります。このように、他者の視点取得を前提とする公的自己が形成されて初めて「理想の自己」が形成され、現実の自己との照応が可能となるのです。そして、そのことを別の言い方で表現すれば、青年期までの自己の発達は、同性同年代の友人関係との同一化に基づいた理想の自己像の形成と、他者の視点から見た公的自己(=現実の自己像)を確立し、両者を照合した自己への評価感情(=自尊心)を持つことが出来るようになる過程である考えられます。
 また、青年期は一般に、家族や学校、仲間集団を通して自己概念を漸進的に進化させる時期であると考えられていますが、その証拠に有名な臨床心理学者エリクソンも青年期を「アイデンティティ確立の時期」としています。そして、この自己概念の構成要素について詳しく見ると、それは、(1)自己の現状の認知と規定、(2)自己への感情と評価、(3)他者から見られている自己、(4)過去の自己についてのイメージ、(5)自己の可能性と未来についてのイメージ、(6)自己に関する当為と理想、という大別して6つのカテゴリーに分けることが出来ます。つまり、自尊心は自己概念の構成要素の(2)に該当するものです。また、自己概念の形成要因については、(1)他者からの評価や承認による気づき、(2)同一視に基づく取り入れ、(3)役割遂行や様々な経験による気づき、という3つが挙げられます。つまり、自己概念は自己と他者とのコミュニケーションの在り方によって作り上げられるものであり、自己概念を構成する一側面としての自尊心もその例外ではないことになります。

 従って、これを分かりやすく言うと、「青年期の友人関係により自尊心が形成されてゆく」のだと言い換えることが出来るでしょう。以上のように、青年期において自己が発達する過程では、友人関係を経験する中で自意識を確立し、それによる自尊心の獲得が重要な役割を担っていると考えられます。そして、今後の研究の課題として、それら自意識及び自尊心と携帯メール依存の関連を検討することで、友人関係の特徴により育まれたどのようなパーソナリティが携帯メール依存に関わるかを明らかにすることも出来るわけです。
携帯電話と若者の友人関係

 よく言われるように、若者たちにとって携帯電話はもはや友人との関係を保つための必需品ですが、その一方では「他人に煩わされたくない」という志向も若者には強いように見受けられます。これらのことから、携帯電話は友人との親密性を高めるための道具ではあるけれど、その一方で、若者たちは「自分の領域にまで他人に余り踏み込んで欲しくない」というある意味で矛盾した気持ちを常に持ち合わせていると考えられます(なお、この矛盾した気持ちとは、先に「現代青年の友人関係」で指摘した「自己防衛的友人関係」と同質のものと考えられます)。このように、携帯電話や携帯メールの急激な普及の背景には、青年期の友人関係の構造的な特徴が何らかの形で関わっているのではないかと推測することが出来るわけです。
自己防衛的友人関係と携帯依存

 ある調査では、男子では、自己防衛的友人関係が高まると携帯メール依存性が低下することが示されたそうですが、これは、「自分が傷つくのを恐れ、本音を出さずに友人関係を持とうとする傾向が高いほど携帯メール依存性が低下する傾向」と言えます。ところが、それに対して女子では、自己防衛的友人関係の高まりが公的自意識を促し、それに伴って携帯メール依存性が高まってゆくことが確認されたのだそうです。これは、間接的ではありますが、「自己を護ろうとする傾向が高くなるほど携帯メール依存性が高くなる傾向」であると理解することが出来るでしょう。要するに、一般的な友人関係において、男子は女子よりも相手の領域に余り踏み込まない自立した付き合い方を持とうとする傾向にあるのに対して、女子は男子よりも相手に本音を表わし、より積極的に接してゆく傾向にあると考えられるわけです。何れにせよこれは、一般的な高校生の友人関係の特徴が携帯メールでのコミュニケーションにも同じ形で現われていると考えることが出来るでしょう。

[ ページトップ ] [アドバイス トップ]


【3】携帯電話依存症〜ネット依存症の実体とその症状〜

 本項では、インターネット依存症の特徴的な症状とそのチェックリストを紹介することで携帯電話依存症を含むインターネット依存症の実体について詳しく解説し、最後に対処法についても簡単ながら説明しました。
携帯電話依存症とは? 

 携帯電話依存症とはインターネット依存症の一種で、携帯電話のメールやインターネット・サイト、ゲームなど様々なアプリケーションに依存してしまうことを言います。普通の人々であれば、それらのツールも適度に使いこなしてゆけるかも知れませんが、携帯電話依存症の人々には、限度というもの知らず、時間に関係なく、だたひたすら携帯電話と向かい合ってしまいます。これは携帯電話の世界の中に完全に居座ってしまう状態で、彼らは、常に携帯電話を所持していないと不安になり、場合によっては何らかの生体反応を及ぼす場合すらあると言われます。
子どもの携帯依存傾向

 最近は小学生ですら2割近くが「メールの返事が来ないと不安になる」と言います。メールへの依存傾向がそれなりに高く、数字が跳ね上がる中学生になると、その不安はますます高まってゆく様相が見て取れます。たとえば絵文字の多用など単に携帯電話そのものへの依存度が高まるものに加え、メール着信が無いことによる不安や、食事中など一家団欒の最中でも携帯電話などを手放せない、勉強中や授業中でも携帯電話などが気になってしようがないなど、昨今「依存症」と表現した方がよいような問題が小・中学生において明らかに増加している様子が窺われる状況です。

 本節では、子どもの携帯電話依存の問題の種々相につて以下で詳しく紹介・解説しました。
携帯依存と若者
小学生ですら!?〜メールの返事が来ないと不安〜

 日本PTA全国協議会の「子どもとメディアに関する意識調査」では、小・中学生が携帯電話などを利用する上で起きることとして、「料金の使いすぎ」や「絵文字で気持ちを伝える」、「メールの返信がないととても不安」などが上位に挙げられているそうです。このように、小・中学生の間にも「携帯依存」の傾向が強まっている雰囲気が見受けられます。

 参考までに、小学5年生と中学2年生のそれぞれの携帯電話利用時に起こること(≒心配していること)で「ある」と答えた項目の多いもの(10%以上)を挙げると、次の通りとなります。


■携帯電話の悩みと不安【小学5年生】
絵文字で気持ちを伝えることが多い 41.7%
メールの返信がないととても不安になる 18.0%
思わず使用料金を使いすぎてしまう 17.5%
ついつい長電話をしてしまう 12.4%
友だちにも相談出来ないことがある 11.5%
深夜でも構わずメールのやりとりをしてしまう 11.2%

■携帯電話の悩みと不安【中学2年生】
絵文字で気持ちを伝えることが多い 54.0%
深夜でも構わずメールのやりとりをしてしまう 51.4%
親の知らないメル友がたくさんいる 34.9%
思わず使用料金を使いすぎてしまう 34.7%
メールの返信がないととても不安になる 24.3%
食事中や団欒中でも携帯電話を手放せない 21.1%
ついつい長電話をしてしまう 19.5%
公共マナーをつい破ってしまうことがある 18.5%
勉強中や授業中でも携帯電話などが気になってしようがない 16.3%
友だちにも相談出来ないことがある 14.0%
直ぐに返信しないで友だちにキレられたことがある 11.9%
友だちの許可無く他の人に番号やアドレスを教えたことがある 11.6%
会ったことのないメールだけの友達が5人以上いる 11.6%
フィルタリングについて聞いたことがある 10.2%

小学生が携帯電話を持つ時代

 昔のことを考えれば信じられないことですが、防犯その他の理由も与って、現在では小学生でさえも携帯電話を持ち歩く時代となってしまいました。 もちろん中には犯罪を少しでも防ぐという効果、または追跡機能があるから携帯電話を持たせるという親御さんもいます。これは確かに有効な携帯電話利用と言えるかも知れません。でも、実際はお子さんは親御さんが期待する以外の携帯電話の利用をしているのが大半でないかと思われます。とにかくゲームやメール、インターネットの全てが利用出来る携帯電話は、子どもたちにとっては最高のツールだと言ってよいでしょう。


■携帯電話のメリットとデメリット
携帯電話の持つメリットとデメリット

ゲームやアダルトサイトの問題

 お子さんが小さい時期は、何かに夢中になると限度というものを知りません。そして、それが携帯電話だった場合どうなるでしょうか?  友人などと簡単なメールや電話でのやりとりならまだしも、問題はゲームとインターネットの存在です。無料で出来るゲームが多く、1日じゅう家からも出ずにゲームに縛られるケースは意外に多いのです。さらに、インターネットにはアダルトサイトが溢れています。もちろん携帯電話会社としても、アダルトに関するサイトの閲覧を無効にする設定などを施していますが、これも多寡が知れています。
携帯電話が友だち

 これは小学生だけに言えることではありません。携帯電話の世界に夢中になっている人ほど対人コミュニケーションに大きな問題があると云われています。 たとえインターネットの掲示板やメールでは自分の思うことを正直に言えられたとしても、実際の人とのコミュニケーションには逆に大きなギャップを感じてしまい、対人関係を極端に嫌う傾向になってしまう虞もあるのです。 幼い頃から携帯電話を使っていて、まるで携帯電話が社会とのコミュニケーション・ツールであるかのようになってしまった場合は、この傾向になる若者はとても多いと考えられています。
常識が分からなくなる

 さらに、何事かに依存してしまうと他の物事への関心が全く無くなってしまう虞もあります。そして、これは大人もそうですが、人の目を気にせず、たとえば電車内で平気で電話が平気で出来るといった具合に、常識という概念が消え去ってしまうのです。これは「携帯マナー」の問題でもありますが、若者ばかりでなく、こういった人たちには、特に悪気があるわけではないので、何れにせよ自分にとっては「当たり前」のことをしたまでだと思っているのです。
情報を鵜呑みにしてしまう

 若い人にとっては特にそうですが、大人が週刊誌の情報を鵜呑みにしてしまうように、若者にとっては携帯電話の存在は絶対的で、だから携帯電話から見る携帯電話向けのサイトも絶対的に思えてしまうのでしょうす。 もちろん最初のうちは簡単な検索サイトや普通の情報サイトを眺めているだけなのですが、どんどんとのめり込んでゆくことによって、有害なサイトへと踏み込んで行ってしまう虞があるわけです。そして、全く信憑性のないデタラメな文章に大きく心を動かされ、その情報を鵜呑みにしてしまうことになるのです。
参考:子どもとインターネットをめぐる状況

 以前、「子どもの安全」の特集中で「ネット環境と子どもの安全」を特に取り上げましたので、興味のある方は参考になさって下さい。


■子どもとインターネットをめぐる状況
子どもをめぐるインターネット環境

インターネット依存症とその症状

 携帯電話依存症も広義にはインターネット依存症のひとつです。大体、依存症の類の病症は自分では中々気がつかないもので、他人から指摘されたり、或は第3者的な客観的な立場から自分を見直すことで初めて自分の依存傾向に気がつくということも多いでしょう。

 そこで本節では、携帯電話に留まらないインターネット依存症の症状リストとチェックリストを以下で紹介しました。この機会にそれらをご自分でも見直し、鏡の中の自分の姿をじっくりと見つめ直してみるのもよいかも知れません。
携帯電話と化する人間関係
アルコール依存や薬物依存と同じような症状が・・・

 インターネット依存症と言っても広い概念で、その中にはゲーム依存症やケータイ依存症など複数の問題が含まれています。そして、本節で挙げる症状が起きると、他の社会的行動にも多大なマイナスの効果をもたらし、様々な影響が生じて来ます。そして、それらの症状はアルコール依存や麻薬などの薬物依存とほぼ同じような症状だと言ってよいのです。


 一例を挙げれば、たとえば、
  • 自分の意志でインターネットや携帯を止めることが出来ない
  • 日常生活に支障を来すようになる
  • ネットをしていないと不安になる、イライラする
  • 自分が何をしているのか分からなくなる
  • 幻聴・幻覚に悩まされる
  • など
 その他、鬱病や解離性人格障害などを誘引するキッカケになったりする危険性も考えられます。


 これらの症状に早期に周囲が気づいていれば家族の力でも現実に戻すことはできるでしょうが、ひどい場合は治療に何年も費やす可能性が考えられます。何れにせよ、依存症の兆候に早期に周囲が気づくためにも、1人でも多くの人がインターネットに関する知識をつけることが大事だと言ってよいでしょう。
インターネット依存症の症状


■インターネット依存症、その26の症状
上にゆくほど軽く、下へゆくほど重い症状であると考えられています。
 1□ 携帯のメールを何度もチェックする(=メールが来ていないと寂しい)
 2□ 特に目的も無いのに毎日インターネットをしてしまう
 3□ 携帯禁止と書いてあるところでも、携帯メールが出来ないと我慢出来ない
 4□ チャットに嵌る、オンライン上に特定の友だちがいる
 5□ 掲示板に書き込む、書き込みの反応などが気になる
 6□ 1日1時間以上ネットに繋ぐ(※仕事などの目的と自己責任があればOK)
 7□ 成りすましになって人を騙す
 8□ 早く家に帰ってオンラインゲームをしたい
 9□ ゲームやチャットに夢中になってつい夜更かしをしてしまう
10□ 気がつくとフレーミング(=相手を挑発して楽しむ)をしている
11□ ネットをしている時は楽しいが、他の生活は退屈
12□ 残酷なこと言い合ったり、罵り合ったりする
13□ 家族や友だちといるよりもネットをしている方が楽しい
14□ ネットをしていない時もネットのことを考えてしまう
15□ ネット上で知り合った人と会う(※事件に巻き込まれる可能性がある)
16□ 意味もなく攻撃的になる
17□ 自分が考えていることがよく分からない
18□ インターネットをしていない時でも始終イライラする
19□ インターネットをしていて邪魔されるとイライラする
20□ インターネットをしていることを家族や友だちに隠す
21□ 何をおいてもインターネットを優先してしまう
22□ 1日の大半をインターネットで過ごす
23□ ネットの無い生活が考えられない
24□ もっと刺激を求める
25□ 幻聴を聞いたり幻覚を見たりする
26□ 殺人や自殺への衝動が見られる

インターネット依存症のチェックリスト


■インターネット依存症、その13のチェックリスト
 1□ 家族や友だちといるよりインターネットをしている方が楽しいと感じるようになる
 2□ 気がつくと何時間もインターネットをしている
 3□ 隠れてネットをする(親がいない時に携帯などで)
 4□ インターネットを止めるように言われると腹が立つ
 5□ インターネットをしていない時もインターネットのことが頭から離れない
 6□ 普段の生活よりもインターネットをしている方がホッとする
 7□ しなくてはならないことがあっても、ついインターネットを優先してしまう
 8□ インターネットをしている時、自分が変わったように感じる
 9□ ネットで知り合った人の方が現実の友だちや親よりも大事になる
10□ ネット以外の生活に興味が無くなる
11□ 人間の生死の意味が分からなくなる
12□ ネットの相手をわざと挑発したくなる
13□ ネット無しでは生きてゆけないと思う

インターネット依存の種々相

 上でも書いたように、インターネット依存と言っても、依存する内容は様々です。ネットの進化と共に増え続けるサービスを利用しているうちに、知らずにネット&ケイタイ依存になってしまうこともあるでしょう。先にも書いたように、くれぐれも自分や家族が依存して苦しむことのないよう、予防としても依存に対する知識を持っておくことが肝要です。

 なお、ここでの「依存」とは日常生活(仕事や学校、家庭生活)に支障があるほどその対象に嵌ってしまい、自分の意思では止めることが出来ない(=コントロール出来ない)ことを意味します。また、そのことによって家族や周囲の人に心配や迷惑をかけてしまったり、または自分の心身の健康を損ねてしまうことを指しています。
携帯依存症とその精神病理的な背景

 携帯電話依存症を含むインターネット依存症は、アルコール依存症や薬物依存症のように厳密な意味での疾病と言えるかどうかという議論もあります。本節では、携帯電話に依存してしまう若者たちの心理的な問題として、その神経症的・精神病理的なな背景について考察しました。
人間関係からの引きこもり

 前にも特集したことがあるように(⇒「イジメについて考える〜イジメの実体とその克服〜」)、現代においてイジメに対する問題は非常に深刻になっています。イジメで不登校になる若者や、或は自殺してしまう若者が年々増え続けています。そして、このようなイジメによって、被害者は人間をを信じられなくなり、人を恐れるようになります。そして、これをキッカケとして、心を許せる時と場所を携帯電話やインターネットの世界にに求めてしまう傾向があるのです。なお、最近では学校裏サイトなどの掲示板による仲間外れなどのイジメも報告されていますが、それによって、さらに現実世界から逃避し、別のインターネットの世界に安心出来る空間を求めて引きこもってしまう、という悪循環も産まれます。こうして、元々はそれほど活用してなかった携帯電話も、イジメをキッカケにして嵌ってしまうということもあるわけです。
無気力の中の唯一の希望

 ストレスや対人関係から発症した神経症には様々な種類がありますが、その中でも多く報告されているのが、自律神経失調症と欝です。急に無気力になり、何においても力が出なくなります。そして、常に心の中がもやもやし、曇った状態が続くと共に、人間関係を避けるようになるのです。そのような状態の人にとって希望とも思えるものが携帯電話の存在です。それは、何も恐れることなくコンテンツを閲覧出来、その世界を眺めることが可能だからです。
メールという存在がもたらす不安

 一度人間関係において大きな心の痛みを抱えているような場合は、面と向かっての確かな表現が困難になるケースが多いようです。そこで、少々安全な位置であるメールという存在に身を預けるのです。
 ただ、メールでのやりとりだけで相手を判断してしまう危険性のあるのも事実で、少しでも返信が遅いと不安になり、相手から来たメールの内容が簡単な返事だと不安になり……といった具合で、こうなると、メールに逃避したとしても、残念ながら抱える不安は変わらないということになります。
孤独感を埋めるあがき

 神経症など同じ症状の人々が集まるサイトの存在があり、その中で社会についての叫びなどを書き込みあってコメントを出し合ったりしている人たちが結構存在します。彼らは、そうすることで孤独感を少しでも埋めようとしているのですが、そして、それはよいことでもあるのですが、しかし、そのサイトの存在が生きる証のように思えてしまい、結局は依存してしまう危険性があるのです。それだからこそ、携帯電話という存在が絶対的になってしまうという悪循環を産んでいるのです。
荒らし行為の意味

 インターネットの掲示板などにゆくと、中傷ばかりを行う輩がよくいますが、こういった行為を一般に「荒らし」と言うのですが、中には神経症者やインターネット依存症の人々が行なっているケースが結構多く存在します。それは、対人関係のもつれなどから来る猛烈なまでの憎悪がそうさせているのだとされています。そうすることで、彼らは心の痛みを消し去ろうとしているのです。そして、この「荒らし行為」も止められなくなり、日課となってしまうのです。 中にはこのような依存のケースの人も存在するのです。
何事も仲間が欲しいがために・・・

 いくら神経症的だからと言って、何から何まで対人関係を避けるわけではありません。人間は誰であっても孤独を嫌いますが、このように人間は少しでも寂しさを埋めたい生き物です。そこで、インターネットの中に仲間を求めて依存してしまうケースが多くなるわけです。現実世界の人間との対話がまだ困難なために、ネット社会で対話を試みるわけで、彼らにとってはネットが使えるツールである携帯電話やパソコンが手放せない存在となってしまうのです。このように、葛藤は常に続いてゆくわけです。
最後に〜携帯電話への依存から逃れるために〜

携帯電話とと現実社会

 インターネットや携帯電話以外にも世の中には楽しいことがたくさんあります。常にインターネットや携帯電話という日常生活の中で、その人が得ている情報はあくまで情報にしか過ぎません。実際に何かを知って、それを本当に自分のものにするためには、その事柄を自分の目や耳で、そして身体で体感しなければなりません。これは残念ながらバーチャルなネット社会では無理な相談です。もっと真相を自分の身体で動いて確かめるようにしましょう。そして、そのためにこそこの現実社会があるのです。
友人を想う心

 メールというツールばかり当てにせず、真正面から友人と接する有機が必要です。心から相手を信頼出来るようになり、何事も相手と面と向かって話せるようになりことが大事です。
 出来ないとは言いませんが、メールや掲示板の文面だけで相手の本音を読み取ることはやはり至難の業です。文章も大事かも知れませんが、最も相手に伝わるツールは、やはり自分の言葉で相手に面と向かって伝える行為ではないでしょうか。ですから、メールでのやりとりは必要最低限にして、生身の人間と実際に対話することを心懸けることが大事になります。ネット依存の人は、今それをやれと言われても直ぐには出来ないかも知れません。けれども、徐々にそれを変えてゆくこと、その心懸けが何よりも大切なのです。
私的自意識と公的自意識の相互作用

 最後に少し難しい話になりますが、先にも触れた私的自意識によって私的自覚状態を生じさせる要因として、内省や瞑想、日記を書く、小さな鏡に向かうことなどが挙げられますが、改めて考えてみると、現代社会において、また特に中・高校生などにおいては、こういった私的自意識を働かせるようなゆったりとした時間や空間に恵まれていない、という現状があります。とにかく、情報化・スピード化の時代にあって、また、他者の目に晒される機会の多い現代社会において、ゆったりとした時間の中で、私的自意識を中心とした自己の振り返りの時間が今こそ必要とされているのです。公的自意識と私的自意識のちょうどよいバランスこそが、複雑化する社会に適応しつつも、情報化・スピード化に翻弄されずに主体的に生きてゆくことを可能にするのではないかと考えられます。

[ ページトップ ] [アドバイス トップ]


YAMATO GROUP
112-6 Kashiwa-cho Asahi-ku Yokohama-city
1STサービスヤマト管理(有)・(有)ヤマト興業
(有)アメニティー・ワイ・(株)ヤマトプランニング


Copyright (C) 2000 02 01.Yamato Gr.
Dezin By JCM inc.,

お気付きの点、ご意見等がございましたら下記までお寄せください。

yamato@yamato-gr.co.jp