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以前2000年問題が騒がれましたが、産業界では数年前から「2007年問題」が騒がれるようになりました。
2007年問題を早くから認識していたのはIT業界で、それが徐々に製造業でも問題視されるようになり、
現在に至っています。今回はこの2007年問題を特集します。

2007年問題
団塊の世代と2007年問題
2007年問題と国際競争力の低下
技術の伝承と2007年問題
少子化と2007年問題


団塊の世代と2007年問題

 2007年問題とは、2007年における団塊の世代の一斉退職に伴い、発生が予想される問題の総称を言います。特に2007年が注目される理由は、1947年(昭和22年)生まれを中心とした団塊の世代の退職者が最も多く発生するのが2007年といわれているからです。
団塊の世代とは

 団塊の世代(だんかいのせだい)とは、第二次世界大戦直後の日本において1947年から1949年にかけての第一次ベビーブームで生まれた世代です。作家の堺屋太一氏が1976年に発表した小説『団塊の世代』によって登場した言葉で、「団塊世代」とも言われます。人口約1000万人、前後の世代より約200万人上回り、グラフにするとその部分だけがヘビが卵をのんだように膨れていることが命名の由来だと言われます。

 第二次世界大戦が終わって数年後のこの時期、日本は第一次ベビーブームといって、赤ちゃんが大勢生まれました。他の世代に比べて特に人数が多いため、作家の堺屋太一さんが団塊(多くの物が集まってできたかたまり)にたとえ、自分の本のタイトルにしたことからこの呼び方が広まりました。現在約690万人いて、その多くが2007〜09年度、60歳で定年退職します。47都道府県の職員だけでもこの3年間で12万5946人が退職し、退職金は3兆4645億円に上ることが毎日新聞の調査で分かりました。04〜06年度よりも約4万7000人、1兆2900億円も多い。団塊の世代の退職で自治体や企業の出費が集中したり、経験豊富な働き手がいなくなることを「2007年問題」といいます。
2007年問題とは

 2007年問題とは、団塊の世代、中でもこの世代でもっとも多い1947年生まれの労働者たちが、2007年に60歳を迎えて定年退職することにより、企業活動に大きなダメージを与える、という問題を指します。団塊の世代で一番多いとされる1947年生まれの人々が60歳となり、定年を迎える“2007年”に象徴させて表現しているわけです。
 なお、この問題は2005年度版の『ものづくり白書』でも取り上げられ、全産業の約22%、特に製造業では約31%の企業が危機感を感じているとの意識をもっているとされています。

 団塊の世代の大量リタイアがもたらすダメージのうち、日本企業で基幹系システム(大型汎用機やオフコンによるレガシーシステム)を最初に構築し、これまで運用・保守を行なってきたベテラン・エンジニアが揃って定年を迎え、今後の企業システムのメンテナンスが困難になることが特に危惧されています。そして、IT分野以外でも、団塊の世代が持つ高度な技術力やノウハウ、経験が下の世代に継承できるかと言った問題、また単純に熟練労働力の減少といった労働問題を語る際にも「2007年問題」という言葉が使われるようになっています。


※ちなみにこの言葉は、元々はCSKの有賀貞一副社長が使ったもので、有賀氏自身は、単に団塊の世代の引退を意味するだけではなく、社会構造の成熟に伴って情報システムが抜本的に再構築されるべき時期が訪れるが、今後期待されるシステムは途方もなく巨大で複雑なものとなるため、従来的なシステム構築の在り方(企業の情報システム部門だけではなくIT業界全体の在り方)にも変化が求められると解説しています。

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2007年問題と国際競争力の低下

 2007年問題としては現在、下記の問題が指摘されています。
(1)労働力不足の問題

 約300万人といわれるこの世代の労働者が一定期間の中で大量にリタイアしてゆくことで、深刻な労働力不足に陥ることが予想されています。日本企業は現在、労働力の不足を免れるために積極的に新規採用を行なっています。一時期よりも採用市場が好転したのはこのことも要因のひとつであると考えられます。
(2)ノウハウ・技術継承の問題

 ベテラン労働者の大量リタイアは、今日まで培われてきた高度な技術やノウハウの継承を途絶えさせる危険があります。欧米企業と比較して組織内で“仕事が人に就く”属人的な働き方をする労働者が多い日本企業では、ノウハウを持つベテラン労働者がリタイアすると、その労働者と共にノウハウや技術が企業から失われてしまいます。また、経験から得られたいわゆる「暗黙知」についても同様です。これらをいかに企業の資産として残すかという課題に企業は取り組んでいますが、そのためには多くのコストを要し、困難を極めているというのが現状です。
(3)企業体力低下の問題

 大量に退職者が出ることに伴い、上でも触れた通り、企業が支払う退職金も増加します。このことで企業は自身の体力が奪われ、設備投資など積極的な戦略がとりづらくなってしまいます。
(3)少子化やニートの問題

 最後にこの問題は、少子化やニートといった労働市場における問題とも連動し、日本企業に多大な影響を与えることが予想され、各企業の国際競争力の低下が危惧されています。

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技術の伝承と2007年問題

 何年か前に2000年になった時にコンピュータが誤動作するという2000年問題というのが騒がれました。その時は危惧されていたほどの問題は幸いにして起こりませんでした。2007年問題も2000年問題と同じようにシステム全体に波及する問題ですが、こちらはプログラムでなく、システムを作り上げてきた人間の問題になります。
 ここでは狭義の2007年問題を取り上げ、なぜノウハウが伝承されなかったのか考えてみます。
2007年問題は「2007年から問題」〜IT問題を例に〜

 経験豊かな団塊世代の従業員が産業界から大量にいなくなることで、具体的には、たとえば数年前に派生した大手都銀合併時に発生した口座の二重引き落しなどの口座振替システムにおけるようなトラブルが多発することが予想されています。ここでポイントとなるには技術面の問題よりも、過去の経緯やいきさつなどから現在に至るまでの業務の流れです。

メインフレーム ちなみにこの例で言えば、元々口座振替自体はごく基本的な業務なので、処理量自体は大変多い反面、処理内容はオンラインで足し算引き算をするだけなので余り複雑ではありません。しかしながら、口座振替データの書式やデータベースなどが完全に標準化されておらず、各金融機関は電力会社の電気料金における口座引落しや自治体の処理(住民税などの引き落とし)要求に合わせて個別に処理をしている部分も少なくありません。こうした個別的な例外処理のため、長年業務に精通し保守を手がけてきたベテランでないと仕様の漏れが生じてシステムを修正できない状態にあると言えます。
 経験豊かなベテランの大量リタイアによって、2007年以降、このような問題が多発するのではないかと懸念されているのです。

 また、ITの世界では、システム開発の主流は汎用機からオープン系へ移行しているため、若手エンジニアで汎用機やCOBOLやフォートランの知識を持っている人は多くありません。システム開発・運用の現場では、ベテラン・エンジニアがレガシーシステムを担当し、若手がクライアント/サーバシステムやWebシステムを取り扱うケースが多いため、技術的にも業務知識的にもノウハウの継承ができていないことが殆どです。
 このため、企業にとっては今後もレガシーシステムを使い続けるのはリスクとなる可能性があるのですが、簡単に止めることの出来ない銀行のシステムなどのように、先人の知恵がつまった信頼性・安定性に優れているレガシーシステムを簡単に捨てるわけにもゆかないのです。

 一時的には再雇用などで経験豊かな団塊の世代の従業員を確保することで問題を回避することも出来るでしょうが、それも一時しのぎでしかありません。2000年問題は2000年になった時の問題でしたが、2007年問題は「2007年から問題」でもあるのです。
技術はなぜ伝承されなかったのか?

 それでは、どうしてノウハウの伝承が今まで遅れてきたのでしょうか? 

 幾つか理由が挙げられます。

  1. バブル崩壊から10年ほど既存の情報システムを継ぎ足しながら修正・運用していることから、若手などのヒトの増員・カネといった余力がなかったため。

  2. 90年代初頭に実施したコンピュータのダウンサイジング(汎用機からオープン技術へのシフト)によって汎用機を主体としていたSEが数多くリストラされたことから、残留した社員などがノウハウをあえて教えなかった。

  3. 特に金融機関自身は元来人事異動が多いことから、「システム畑」から離れることを嫌い、ノウハウを独占するように努めた。金融機関に限りませんが、先にも述べた“仕事が人に就く”属人的な働き方をする労働者が多い日本企業では、そうした「聖域」を設けて、人事部などから手を出せないようにし、保身などの材料とした。
 などといった形で、外的な要因・内的な要因双方から、ノウハウの伝承が遅れていると言えるでしょう。


 今後の日本社会全体の競争力などを考えると、この問題は極めて憂慮しなければならないものと言えるのではないでしょうか。日本企業は、今後ノウハウの継承に努めていく必要があるといえるでしょう。

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少子化と2007年問題

 以上の問題と共に、2007年問題は少子化の流れと相俟って日本経済にも打撃を与えることが心配されています。一言で言ってしまえば、少子高齢化の問題を極めて象徴的に表わしているのが「2007年問題」でもあるわけです。
少子化とは?

 世界保健機構(WHO)によれば、合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子供の数)が2.08人(人口置換水準)を下回ると総人口は減少に向かうとされ、この数字を目安として少子化と呼ばれることになっています。現在の減少傾向がこのまま続けば、日本の人口は2004年をピークとし、以後は減少すると予想されています(厚生労働省、国立社会保障・人口問題研究所が2002年に公表した予想)。現実に2005年度は戦後初めて人口が自然減少しました。

 なお、少子化という言葉は最近になって作られた造語で、1992年度の国民生活白書で使われたことで一般に広まりました。子供の数が高齢者人口よりも少なくなった社会を「少子高齢化社会」と呼びます。日本は1997年に子どもの数が高齢者人口よりも少なくなり、少子化社会となりました。
 ちなみに少し専門的な話しをすれば、近代化に伴って人口転換が起こるとされ、医療水準の向上から多くの国は、多産多死から多産少死を経た後、出生率が低下して少産少死への過程をたどります。多産少死の時に人口爆発現象が起こります。こうした人口転換に伴う多産から少産への変化による子供数の減少で少子化が起こるのです。今の日本の人口を維持するためには、出生率を2.07にする必要があると言われます。
少子化の問題に拍車をかける2007年問題

 上で触れたように、少子化による人口減少も既に始まっています。国立社会保障・人口問題研究所は、2002年に「日本の全国将来推計人口の概要」を発表しています。それによると、日本の人口は2006年に1億2774万人でピークに達した後に、長期の人口減少過程に入ると予測、2013年にはその統計を発表した2002年とほぼ同じ1億2693万人に戻り、2050年には1億60万人、最小推計値では9203万人にまで減少することが予測されています。
 そして、この発表は極めて由々しき問題の指摘です。太古の昔より右肩上がりで増加し続けてきた日本の人口が初めて減少に転じ、それに2007年問題が重なる。これによって、かつてのような右肩上がりの経済成長がおぼつかなくなるからです。

 然るに政府の取り組みは遅く、厚生労働省は2005年7月にようやく「人口減少下における雇用・労働政策の課題」をまとめています。「2007年には人口が減少に転じ、団塊の世代が60歳代に到達するなど、我が国の経済社会が大きな転換点を迎えることとなり、それに的確に対応した雇用、労働政策が求められている」というのがその主旨です。
 それに基づき、同省は雇用政策研究会による研究会を組織し、「2030年までの我が国将来を展望した上で、団塊の世代が65歳以上となり、本格的な引退時期を迎える今後10年程度の間を対象とした政策の方向性について検討を重ね、今般、報告を取りまとめたところである」として報告書をまとめたのです。
 何とも悠長な話です。しかも、その人口減少は既に2005年に始まってしまいました。国の政策は後手に回っています。

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