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 年末年始、お酒を飲む機会も自然と増えます。酒は百薬の長とも言われますが、飲み過ぎはいけません。
 適量を守って、健康のためにも、よいお酒の飲み方を心懸けましょう。
お酒


お酒と健康
【1】酒は百薬の長
【2】お酒の適量とは?〜適量飲酒のススメ〜
【3】急性アルコール中毒に気をつけよう


【1】酒は百薬の長

 アルコールは健康に悪いと言われる一方で、昔から「酒は百薬の長」とも言われています。実際はどうなのでしょう?
 本節では、お酒の健康効果を取り上げ、本当に「酒は百薬の長」なのか考えてみたいと思います。
良薬より効果あり?


良薬より効果あり?
 「酒は百薬の長」と言う言葉もあるように、適量の酒は良薬よりも効果があると昔から言われています。酒は百薬の長という言葉は元々は漢書『食貨志下』にあり、漢を簒奪した者が言ったとされる《夫れ塩は食肴の将、酒は百薬の長、嘉会の好、鉄は田農の本》という言葉から来ています。
 現在アルコールは趣向品の一つに分類されていますが、人類の長い歴史を見ると、アルコールは最古から存在する薬でもあったのです。お酒を飲むことで緊張をほぐし、ストレスから解放されることから、向精神薬としても利用されていたようです。アルコールには理性を司る前頭葉を麻痺させる作用があるので、ストレスの原因になる悩みや不安を忘れさせてくれます。お酒を飲むことでストレスから解放され、治癒効果が向上することから、百薬の長と呼ばれるようになったのだろうと考えられます。

日本酒3合までは健康促進
 上手に飲めば、お酒は健康にも一役買ってくれます。「酒は百薬の長」という言葉がありますが、この言葉をそのまま健康法として実践したいなら、何よりもお酒の適量を知っておくことが必要になります。たとえば日本人に多い脳梗塞は飲酒経験がある人の方が少ないと言われていますが、それは、アルコールで血栓を作る血小板の機能が落ちるため、脳梗塞のリスクが減るのが原因だとされています。その他にも、HDL-コレステロール(善玉コレステロール)増加や末梢の血行改善(冷えを改善)、ストレスを解消、コミュニケーションの空間を作ると言った効果が挙げられます。

 しかしながら、お酒による悪影響も当然ながらあります。たとえば食道から大腸までを含む消化管の悪性腫瘍に関しては、飲酒によってリスクが増加する傾向があります。また、飲酒直後は血管が拡張するので血圧が下がりますが、長期的に見るとそれが高血圧の原因にもなってしまいます。気になる総死亡率で言うと、飲酒しない場合と比較して、日本酒換算で3合(3単位)までの飲酒の習慣がある人は死亡率が低下し、4合(4単位)を越えて飲酒する習慣がある人は逆に死亡率が増加する傾向があると言います。
 どんなに身体によい効果があるとされるお酒でも、飲みすぎは当然ながら身体に悪影響を及ぼします。また、適度な飲酒がよいからと言って、元々飲酒習慣がない人やアルコールに弱い人が無理に飲酒をしても、より健康になれるわけではありません。そのような場合は却って飲酒がストレスの原因になってしまい、それだけでも飲酒が逆効果になっていまいます。

お酒は百薬の長
お酒は百薬の長

 アルコールは薬として利用されてきた歴史があり、ことわざにも「酒は百薬の長」「酒に十の徳あり」とあります。
 飲酒習慣のある人にとって、適度なお酒は健康にとって好ましい影響を与えることもあります。ただし、飲みすぎは健康を損ねてしまうこともあるので、忘年会や新年会などお酒を飲む機会が多くなるこの季節にはくれぐれもお酒のに見過ぎには注意したいものです。


確かによいことも
 昔から「酒は百薬の長」という、お酒好きには有り難い言葉があります。確かに少量の飲酒は血液の脂質代謝を改善し、冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)の危険性を下げるという調査結果もあります。もちろん元々飲酒習慣がない人が無理にお酒を飲む必要はありませんが、少量ならばお酒(アルコール)によって健康への好ましい効果も期待出来るということになります。なお、この少量には具体的な量が示されていて、純アルコール(エタノール)に換算して1日当たり男性が25g、女性が15g程度とされています。お酒にはアルコール度数が表示されているので、これを下に適切な飲酒量を計算することが出来ます。たとえ少量であっても、当然ながら肝疾患や膵疾患など持病を持っている場合は身体に害を及ぼすことがあるので注意が必要です。

多ければ毒
 アルコールの摂取量が多過ぎると身体に害のあることは誰でもご存じに通りです。たとえば毎日30gのアルコールを摂取すると、高血圧症の頻度が上昇します。60gを超えると血糖値が大いに乱れます。アルコールの大量摂取はアルコール依存症やアルコール性肝障害、栄養障害、更には認知症の原因となります。また、喫煙者がアルコールを大量に摂取すると、食道癌の発生率が高まるとも言われています。

無理して飲むほどのものではない
 日本人の半数は遺伝的にアルコールを分解する力が弱いこともあり、従って飲酒習慣のない人が身体によいという理由でお酒を始める必要は全くありません。

「酒は百薬の長」は事実無根!?


死亡リスク最低なのは全くお酒を飲んだことがない人
 「酒は百薬の長」と言われ、適度な飲酒は身体によいとされて来ましたが、それに疑問を呈する意見も多くあります。その証拠に、ある研究によれば適量の飲酒でも健康のためにはならないことが判明したと言うこれまでの通説を覆す事実があります。
 従来は、欧米の複数の研究からも、「過度に飲酒する人や飲酒をしない人よりも適度な飲酒をする人の方が死亡リスクは低くなる」とされて来ました。しかし、最近イギリスの研究機関では、この「飲酒しない人」には、「飲酒をしたことがない人」だけではなく、「過去には飲んでいたが、今は飲んでいない人」も含まれることに注目しました。つまり、健康状態の悪化から飲酒を止めた人も「飲酒をしない人」に含めてしまったことで、統計データの取り方に問題があったのではないかということです。そういった見解から改めて調べてみたところ、65歳以上の男性や50〜64歳の女性では「飲酒をしたことがない人」が最も死亡リスクが低いということです。今後の研究次第では、年代を問わず、「お酒を全く飲んだことのない人の方が死亡リスクが低い」という結果が導き出される可能性も浮上して来たわけです。

「少量の飲酒」は健康効果を示すデータも
 もっともその一方では、少量の飲酒による健康効果を示すデータがあることも事実です。それらの研究データでは、心臓血管疾患のリスクが低く、死亡率も低いのは、日本酒換算で1日に1〜2合弱程度のお酒を飲む人だとする研究結果が出ていると言います。適度なアルコール摂取は、HDL-コレステロール(善玉コレステロール)の増加を促すとされ、動脈硬化の予防にも繋がると言うのです。

アルコールの健康効果
適量のアルコールによる健康効果


便秘解消
 お酒には腸の蠕動運動を活発にする働きがあるので、お酒を飲むと便秘が治ると言われています。また、それによって食欲を増進させる効果もあると言われています。ただ、空きっ腹にアルコールはよくないとされるので、注意が必要です。

血行促進
 適量のアルコールには血管を拡張して血液の流れを良くする作用があります。体温が上昇して火照ってる感じがするのはアルコールの作用なので、冷え性の方にはお酒はオススメです。特に日本酒が効果が高いと言われています。

ストレス解消
 アルコールには大脳新皮質の働きを鈍くして、普段抑制されていた働きを活発にする作用があります。ただ、大脳新皮質は食欲や性欲などを司る場所で、アルコールは大脳のその部分の抑制を鈍くするので、冷静な判断は出来なくなる傾向があります。それがあの高揚感に繋がっているので、それがストレス解消にも繋がるわけですが、逆に日頃ため込んでいた鬱憤などが外に出てしまい、時に失敗するということにもなります。

お酒による効能の違い
  • ビール:
     心臓病や認知症、2型糖尿病、尿石、骨粗しょう症を予防、またフケを予防。さらに癌細胞の抑制、コレステロールを下げる、血圧を調節する効果

  • 日本酒:
     アンチエイジング効果、新陳代謝を高める、美肌効果、ダイエット効果

  • 焼酎
     美容効果、ダイエット効果、疲労回復、リラックス効果

  • ワイン:
     癌予防、認知症予防、血圧を下げる、アンチエイジング効果、美肌効果

適度に飲んで健康に〜アルコールがもたらす健康効果〜

 お酒を全く飲まないよりも、少量のお酒を飲酒する方が健康によいとされています。
 ごく少量のお酒を飲むことで、善玉コレステロールを増加させるとか血液をサラサラにする、また、血糖値を下げるなどの効果があります。更にアルコールには、心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病などの発症率が低下させるという効果もあります。また、お酒を飲むことで胃の働きがよくなるので食欲増進効果もあります。お酒を飲む時に何かを食べるのは、アルコールによる作用でもあったようです。そして、お酒を飲むと身体がポカポカして来ますが、これはアルコールが血管を拡張させ、血流改善したことで身体が温まります。更にアルコールには、疲労回復効果や血管を詰まりにくくしてくれると言った効果もあります。


アルコール飲料別の健康効果
 お酒の種類によって健康効果は様々なので、健康効果や季節気候に合わせて飲むアルコールを変えるとよいでしょう。
  • ビール
     ビールの素である麦芽にはビタミンB2が多く含まれているので美肌効果があり、ホップには女性ホルモンに似た作用をもたらす物質が含まれているので、更年期障害によって起こる肩こり改善に役立ちます。数ある酒類の中でも、ビールにはビタミンB群やカルシウム、リン、ナトリウム、カリウムなどのミネラルバランスがよく、しかも豊富に含まれています。

  • ワイン
     ワインにはポリフェノールがたくさん含まれています。ポリフェノールは抗酸化作用が高く、活性酸素と悪玉コレステロールを撃退する効果があります。特に赤ワインはポリフェノールの種類が多く、10種類以上のポリフェノールによるアンチエイジング効果に注目が集まっています。一方、白ワインには、ポリフェノールもさることながら、高い殺菌作用があります。白ワインには大腸菌やサルモネラ菌など食中毒の原因になる菌を殺菌する効果があり、腸内のバランスを整えてくれます。また、カリウムもたくさん含まれているので、余分な水分や老廃物の排出に役立ちます。

  • 日本酒
     米から製造される日本酒は栄養成分が豊富で、約700種類も含まれていると言います。日本酒には美肌を作り出すアミノ酸やコウジ酸が豊富で、シミの原因であるメラニンを抑制します。また、日本酒は他のアルコール飲料よりも血行促進効果が高いので、栄養が体全体に行き渡りやすいというメリットがあります。


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【2】お酒の適量とは?〜適量飲酒のススメ〜

 幾ら健康によい面があるからと言って、お酒を飲み過ぎては意味がありません。
 本節では、そのお酒の適量がどの程度のものなのか取り上げました。
酒に酔うとはどういう状態か?
アルコールが分解されると酔いの症状が出てくる
お酒
 口から飲んだアルコールは、喉を通って胃に入ります。本来胃は消化をするだけで、何かを吸収することはないのですが、アルコールだけは例外で、飲んだアルコールの10〜20%は胃で吸収されます。なお、その時に同時に水分も吸収されるのですが、これビールが水以上に大量に飲める理由の一つです。

 胃にもアルコールを分解する酵素があり(この酵素の活性が低い人はアルコールが直接胃に作用してしまうので、いわゆる下戸になりがちです)、胃で吸収されたアルコールは一部分解され、肝臓へ向かいます。また、胃で吸収されなかった残りの80〜90%のアルコールは小腸で吸収されて肝臓へ向かいます。こうして胃や小腸から吸収されたアルコールは、肝臓でアルコールを分解する酵素によってアセトアルデヒドになり、更にアセトアルデヒドを分解する酵素の働きで最終的にはアルコールは酢酸になります。ちなみに、アルコールを分解する酵素やアセトアルデヒドを分解する酵素には、遺伝的に人種的な差と、同じ人種でも個々人で差があります。また、遺伝的に全く飲めない人がいるのは確かなので、飲めない人に無理にお酒を勧めてはいけません。
 もちろんアルコールを飲んだからと言って直ぐに酔っ払うわけではなく、アルコールの血中濃度が上がるのに通常30分〜1時間かかります。また、肝臓では一気にアルコールを分解出来ないので、分解出来ないアルコール分はその間、身体を巡ることになります。分解されて出来たアセトアルデヒドには、血管の拡張作用や心拍数の増加、吐き気、頭痛などの作用があります。また、飲酒で顔が赤くなるのはアルコールの作用ではなくて、アルコールが分解された後のアセトアルデヒドの作用によるものです。ちなみに、アセトアルデヒドは二日酔いにも関係するとされていますが、二日酔いの時点では多くの場合、アセトアルデヒドは血中からは消失しているので、アセトアルデヒドは二日酔いの真犯人ではありません。
アルコールは脳を麻痺させる

 アルコールの作用の一つに脳を麻痺させることがあります。アルコールによる麻痺は大脳から起こります。大脳の主な作用は神経全体を抑制することなので、大脳が麻痺すると興奮状態になります。酔っ払うと気が大きくなったり、陽気になったりするのは、大脳が麻痺して、大脳による神経の抑制が取れることが原因です。

 酔いの程度は血中のアルコール濃度で決まります。血中濃度が上がると運動に支障が出て、いわゆるろれつが回らない状態や千鳥足になります。更に血中濃度が上昇すると意識がなくなり、ついに呼吸中枢が麻痺すれば呼吸が停止します。通常の飲酒ではそこまでアルコールの血中濃度は上がりません。アルコールの血中濃度が上がるのに通常30分〜1時間かかるので、アルコール濃度が高い蒸留酒(ウイスキー、ブランデーなど)を短時間で一気飲みすると意識がなくなることがあります。
お酒の中身はアルコールだけじゃない〜お酒に含まれる糖質やプリン体にも注意〜

 アルコール(エタノール)は、1g当たり7.1kcalの熱量を持っています。しかし、人間の体内で有効に利用されることはなく、身体に負担を残すだけの無駄なカロリーと考えられます。従って、食事の一部を減らして、その分でお酒を飲むような交換が成り立たないのです。食事というよりは薬物のような化学物質として捕らえた方がよいでしょう。

 問題はアルコールだけではありません。ここで注意しなければならないのはお酒に含まれるアルコール以外の成分です。たとえばビールや日本酒、ワインなどは糖質を含んでおり、これらを飲酒することはアルコール以外のカロリーを摂取したことになります。また、ビールや日本酒にはプリン体が多く、痛風の原因にもなります。
 また、アルコールに含まれるプリン体や糖質は健康に影響を及ぼす可能性がある物質です。糖質を摂り過ぎると、糖尿病やメタボの原因になります。プリン体の過剰摂取によって尿酸値が上昇し、その結果として通風になる危険性もあるのです。そのため、ビール系飲料を中心に糖質やプリン体を含まない商品も展開されています。しかし、お酒のおつまみで糖質やプリンを多く含む食品を食べ過ぎたら余り意味がありません。口に運ぶものにどんな物質が含まれるのか、日頃から予めチェックし、健康に悪影響なものを摂取し過ぎないよう注意する必要があります。
お酒を飲み過ぎるとどうなるか?

 お酒の適量を超えて、それ以上飲むとどうなるのか? 以下に段階を追って示します。


適量(0.1%)
 血行がよくなって皮膚が赤くなり、いくらか陽気になってコミュニケーションが取りやすくなる。一番いい状態であると言える。

微酔(0.2%)
 ほろ酔いの状態で、若干理性の角が取れて体温も上昇する。また、脈が早くなり、人によっては心臓がドキドキして苦しくなる。

微睡(0.3%)
 大分酔っ払って来た状態で、感情が高まって気前がよくなり、声のボリュームも大きくなったりする。記憶はまだあるものの、完全に酔っ払っている状態。

泥酔(0.4%)
 フラフラして歩けなくなり、記憶も曖昧で、吐き気も催して来て、実際に嘔吐してしまうことも多い。泥酔している状態。

昏睡(0.5%)
 脳全体が麻痺して非常に危険な状態であり、起こしても起きない。場合によっては死亡する可能性があるほど危険な状態。

アルコールの適量
お酒の適量を決めるのは血中アルコール濃度

 「お酒を飲むなら適量を守りましょう」とよく言われますが、この適量が中々分からないというのが実情でしょう。人によってその解釈も様々ですが、適量の決め手となるのは血中アルコール濃度です。

 体内に入ったアルコールは約20%が胃で、残りの80%が小腸で吸収され、血流に乗って全身を巡る途中、肝臓で分解されます。これがどんどん分解されれば酩酊せずにすむのですが、肝臓のアルコール処理能力にも限界があり、1時間で体重1kgにつき100ml程度とされています。肝臓で処理し切れなかった分のアルコールは血液中に残り、再び体内を循環することになります。また、血液中にどれだけアルコールが残っているかで酔いの状態が違って来るのですが、血流がよくなり、リラックスしたり陽気になる、いわゆるほろ酔い状態の時には、アルコール血中濃度は0.1%です。これがそれれ以上濃度が高くなると、ふらついたり、吐き気を催したりと言った具合で、いわゆる酩酊状態に陥ります。そんな訳で、お酒の適量はアルコールの血中濃度が0.1%までに抑えられる分量を言うことになります。
1日のアルコール摂取量の適量の目安


適度な飲酒量
 適度のお酒は健康によいものですが、度を越して飲んでしまうとどうなるでしょう?
 これには個人差がありますが、常習的にお酒を飲んでいる人ではアルコールに換算して1日当たり20g程度までに留めるべきだとされます。各種アルコール飲料に換算するとおおよそ次のようになります。
  • ビール(約5%):中ビン1本
  • 日本酒(約15%):1合程度
  • ウイスキー(約40%):ダブル1杯
 なお、正確なアルコール量を導くには次の式を利用して下さい。
  • 純アルコール量(g) = 酒量(ml)×度数(%)×0.794(g/ml)÷ 100
 お酒に弱い人(直ぐに顔が赤くなるような人)や女性の場合は、もう少し控えた方がよいでしょう。これについては個人差が大きいので正確な判断基準はないのですが、半分以下でもよいかもしれません。また、身体の代謝能力も加齢現象で低下するので、60〜70歳を超えた人が若い頃と同じ量を飲むというのも問題です。また、お酒の適量と言いますが、実はこれはあくまでこれくらいの量なら健康被害は問題ないという基準であって、全く無害というわけではないことも忘れてはいけません。

適量は2単位まで

 血中アルコール濃度0.1%までが適量だと言っても、実際どれくらいの量に該当するのか分かる人は少ないと思います。そこで便利なのがお酒の単位という考え方です。

 清酒1合、ビール大瓶1本、ワイン3分の1本、ウイスキーの水割り(シングル)2杯に含まれるアルコールの量は大体22g前後。体重60kgの人が30分以内に飲んだ場合、約3時間で分解される量に相当しますが、一般これを酒1単位としています。そし、医学的には「1日2単位まで」というのが定説となっています。たとえばビール1本(633ml)とワイン3分の1本(240ml)飲んだら、合計2単位といい計算になります。


酒1単位
 脳全体が麻痺して非常に危険な状態であり、起こしても起きない。場合によっては死亡する可能性があるほど危険な状態。
  • ビール1本(633ml)
  • 清酒1合(180ml)
  • ワイン3分の1本(240ml)
  • ウイスキー水割り シングル2杯、ダブル1杯(60ml)
  • 焼酎お湯割り0.6合(110ml)


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【3】急性アルコール中毒に気をつけよう!

 年末は忘年会シーズン。そして、年が明ければ新年会と、冬のこの季節はお酒を飲む機会が増えます。急性アルコール中毒による事故も当然増えてしまいます。
 本節では、健康にお酒を飲むにはどうしたらよいか、簡単ながら取り上げました。
12月は急性アルコール中毒が多い

 救急車で搬送される急性アルコール中毒患者数(泥酔者数)を東京消防庁が公表しています。それによると、飲酒運転や死亡事故などのニュースが一時期相次いだためか、最近は搬送数こそ減少していますが、それでも毎年12月は搬送者数が多くなるきらいがあります。また、金曜〜日曜日の搬送件数は他の曜日の約2倍になっています。年齢により差があるものの、全体的に女性よりも男性、年齢では20代が最も多い傾向があります。このことから、1年の中でも12月の金曜から週末にかけて20代男性が多く搬送されていることがよく分かります。
急性アルコール中毒になる飲酒量

 体重70kgの人でも、アルコールが溶け込む体積は少なく見積もると35L。ビール1缶(5%、350mL)に含まれているアルコールの量は14gなので、ビール1缶が一気に血中に入ったとすると、アルコールの血中濃度は0.4mg/mL(40mg/dL)となります。呼吸を司る自律神経が麻痺するのはこの10倍に相当する4mg/mL(400mg/dL)とされています。つまり、140gのアルコールを一気に飲むと、急性アルコール中毒になる可能性が出て来るということです。


急性アルコール中毒の危険が高くなるアルコール量(体重70kgの場合)
  • ビール(度数5%、350mL):10缶
  • ワイン(度数14%、1本750mL):2本
  • 日本酒(度数15%、1合180mL):7合(いわゆる一升酒は危険)
  • 焼酎(度数25%、1合180mL):4合
  • ウイスキー(度数40%、水割りダブル45mL):10杯(ボトル1本は危険)
※なお、上記は体重70kgの人の場合で計算しものですが、体重50kgの場合で計算し直すと、単純計算でそれぞれ50/70の量で危険な量になります。もちろん個人の体質や体調にもよりますが、缶ビール(350mL)で7缶以上、ワインで7杯以上、焼酎で500mL以上、日本酒で5合以上、ウイスキーで水割りダブルを7杯以上で、それぞれ急性アルコール中毒になる可能性が高まることになります。

急性アルコール中毒の症状とその注意点
お酒
 アルコールの主な作用は神経系の麻痺です。そのため、運動の調節が出来なくなるため、酔いが進むと、ろれつが回らなくなるとか、足下がふらつくなどの症状が出て来ます。急性アルコール中毒のレベルになると、ふらつきだけでなく、自力で立てないほどの運動障害を起こしたり、昏睡状態になることもあり、最悪の場合は呼吸停止(呼吸不全)や急性心不全が起きます。何れにせよ脳に血液が行かない状態になるため、蘇生しても重篤な後遺症が残る例が多々あるので注意が必要です。

 しかし、急性アルコール中毒で怖いのはこれらの本格的な中毒症状だけではありません。飲酒後の直接の死因は、転倒や嘔吐による窒息が殆どです。急性アルコール中毒の前の状態でも、足下がふらついて転倒したり階段から転落することで手の骨折や顔面挫傷、前歯の損傷などで医療機関を受診する人は少なくありません。特に酔った状態の階段は危険で、転落による頭蓋骨骨折で病院に運ばれて来る人も結構多くいます。転倒の危険は急性アルコール中毒を起こす半分程度の血中濃度で高まります。従って、転倒による危険を避けるためには、急性アルコール中毒になる飲酒量よりも更に少ない量、急性アルコール中毒になる飲酒量の半分程度の飲酒量に抑えないといけないということになります。つまり、体重の分のグラム相当、たとえば体重が70kgの人の場合、70gのアルコール量、飲酒は缶ビールならば5缶程度で抑えるように心懸けましょう。この量なら、翌朝にはアルコールが分解されている計算となります。
健康に良くお酒を飲むには?
休肝日を設ける

 お酒は毎日飲むのはよくないので、1週間に2〜3日は休肝日を設けましょう。つまり、飲酒をした翌日はお酒を休み、飲みたければその翌日に飲む、要は1日置きにお酒を飲むのがオススメだということになります。もちろん禁酒する方が健康にはよいとは思いますが、禁酒でストレスを感じるなら無理にお酒を止める必要はありません。2日に1回のお酒にするとよいということです。たとえ毎日飲んだ場合でも適量を超えないようにするよう気をつけましょう。
おつまみと一緒にお酒を飲む

 お酒と一緒におつまみを摂ることでアルコールによる悪影響を軽減できます。


オススメのおつまみ
  • 枝豆
  • 豆腐
  • 漬物
  • お刺身
  • キムチ
  • スルメ
  • ナッツ
  • 刺身こんにゃく

シジミ汁を飲む

 シジミにはオルニチンが含まれています。オルニチンには血中のアルコールを分解して解毒する働きがあり、肝臓の機能も高めてくれるのでオススメです。また、オルニチンにはその他にもタウリンやグリコーゲンなどの有効成分も含まれているので、シジミはかなり健康効果が期待出来るのです。シジミを摂るには当然味噌汁がオススメです。
アルコールに強い人も弱い人も

 少ししかお酒を飲んでいないのに顔が赤くなる人がいます。こういう人は、要は余りお酒に強くない人です。アルコールは肝臓の酵素によって分解され、最終的には無害な物質になりますが、しかし、日本人は海外の人と比べると元々アルコールを分解する酵素が弱いため、分解過程で生じたアセトアルデヒドという毒性の高い物質の働きで、赤面や嘔吐・吐き気といった症状が出やすいのです。また、この酵素は生まれつきのものですが、お酒を毎日続けることで多少なりともお酒に強くなる可能性はあります。その反面、お酒を毎日続けることはアルコール依存症を起こしやすく、常にお酒がないと精神的にも不安定になってしまうという危険があります。ですから、お酒が強い人もそうでない人も、出来るだけ週に1〜2日は休肝日を設けるようにしましょう。
参考文献と参考情報


◆参考図書&資料
佐藤成美『お酒の科学(おもしろサイエンス)』日刊工業新聞社
佐藤成美・著
『お酒の科学(おもしろサイエンス)』
B&Tブックス、日刊工業新聞社・2012年10月刊、1500円
味だけでなく見た目、香り、のどごしなど、さまざまな角度から楽しむことができるお酒。お酒の作り方やその飲み方にこめられている、おいしさの理由に迫ります。
水野肇『酒は飲んでも飲まれるな ストレス社会を生きるアルコールと健康』厚生科学研究所
水野肇・著
『酒は飲んでも飲まれるな ストレス社会を生きるアルコールと健康』
厚生科学研究所・2002年04月刊、1500円
アルコールとのつき合い方のポイントは、自分の酒量をちゃんと認識して、2〜3割の余力を残してやめることである。複雑なストレス社会でアルコールと身体との関係について知るべきことを記す。
『酒好き医師が教える最高の飲み方―太らない、翌日に残らない、病気にならない―』日経BP社
浅部伸一・監修、葉石かおり・著
『酒好き医師が教える最高の飲み方
―太らない、翌日に残らない、病気にならない―』
日経BP社・2017年11月刊、1400円
二日酔いの冴えない頭では、会議もプレゼンも戦えない! 付き合いで飲まなきゃいけない人も必読。酒好き医師が自ら実践している、太らない、翌日に残らない、病気にならないための「最高の飲み方」とは?
お酒と健康 - キリン
http://www.kirin.co.jp/csv/arp/
人とお酒のイイ関係 - アサヒビール
https://www.asahibeer.co.jp/csr/tekisei/
一般社団法人アルコール協会
http://www.alcohol.jp/
公益社団法人アルコール健康医学協会
http://www.arukenkyo.or.jp/index.html


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