【1】ヒアリとはどんな外来種なのか? |
最近ヒアリという強い毒を持つ南米原産の蟻であるヒアリが神戸港をはじめ国内で相次いで発見され、連日メディアで取り上げられて騒がれています。
本節では、ヒアリとはどんな毒を持つ蟻なのか、そのヒアリの特徴を取り上げました。
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波紋広がるヒアリ発見 |
今年5月にヒアリが兵庫県で見つかって以降、愛知や東京など各地で相次いで発見されています。刺されると、時にアナフィラキシーショックを起こして生命を落とすこともある上、繁殖力が強く、定着してしまうと根絶するのが難しいとされており、各地の港やその周辺などで大規模な駆除が進められています。そのため、各地のドラッグストア等では蟻に効く殺虫剤のコーナーが設置され、通常の5倍の売り上げになっているところもあるそうで、一般生活の中でもヒアリに対する警戒感が高まっています。
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神戸港の路面の亀裂部分に強毒のヒアリが100匹も!? |
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神戸市は今年6月18日、強い毒を持つ南米原産の外来種の蟻であるヒアリが神戸港(神戸市中央区の人工島ポートアイランド)のコンテナヤード(約14ヘクタール)で見つかったと発表しました。尼崎市に着く前に保管されていたヤードを環境省と神戸市が調べたところ、アスファルト舗装の亀裂から約100匹が見つかったと言います。
環境省によると、今回はヒアリが国内初確認されたコンテナが最初に荷揚げされた神戸港の一時保管場所から20~30メートルほど離れた複数箇所で発見されたということです。アスファルトが割れ、土が露出した部分に集団でいたのを6月16日に見つけ、18日にヒアリと確認、殺虫剤を撒くなどの緊急防除をしました。幸い人的被害はなく、また、女王蟻や卵は確認できなかったということです。ちなみに環境省と神戸市がコンテナ保管場所や周辺を調査したところ、約30メートル離れたヤード内3カ所で酷似した蟻を捕獲し、ヒアリと確認されたと言います。侵入ルートはまだ不明ながら、コンテナには直径数ミリの換気口があり、コンテナから外に出た可能性もあるとのことです。 |
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環境省が方針転換、毒餌を設置する港を限定 |
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環境省は7月11日、68港に対し今月中に毒餌を配布する方針を示しました。しかし、その準備の過程でアリに詳しい専門家らに意見を求めたところ、毒餌によって在来種も死んでしまい、却ってヒアリの侵入を加速させる恐れがあるとの専門家の指摘を受けて、環境省は7月14日、外国との定期コンテナ航路がある68港に一律に毒餌を置く方針を撤回することを明らかにしました。もっとも在来蟻がいなければ毒餌を置くべきだとする専門家の意見も配慮し、当面は捕獲用の粘着トラップを置いて各種のアリの生息状況を調べた上で、在来種に影響がない港などに限って毒餌を置く方向で対策を考えているということです。 |
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参考:大阪に女王アリの死骸、国内繁殖の可能性も!? |
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ヒアリはブラジルやアルゼンチンなど南米中部の内陸部が原産地の特定外来生物で、これまでに兵庫県尼崎市と神戸港、名古屋港でヒアリの働き蟻が確認されています。雑食性で、何度も刺す強い攻撃性を備えているとされています。それに対して、今度は7月になって環境省は、大阪南港(大阪市住之江区)で、強い毒を持つヒアリの女王蟻と見られる死骸を1体見つけたと発表しました。これまでに神戸港などで見つかったヒアリは何れも働き蟻で、女王蟻と確認されれば国内で初めてのことです。ヒアリの女王蟻は1日に2000~3000個の卵を産むとされ、現地で定着して繁殖していた可能性も考えられます。なお、大阪南港ではヒアリとは別の特定外来生物のアカカミアリが見つかったため、6月末に周辺を駆除したところ、その結果、7月初めにコンクリートの割れ目などからヒアリと見られる死骸約50体を回収したと言います。そのうちの1体は、その形状(体長は約1センチ、働き蟻は2.5~6ミリ)などから女王蟻と見られています。 |
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ヒアリ(火蟻)とは?~赤茶色の身体で腹部が黒っぽいアリには要注意~ |
ヒアリとは、外来生物法に指定されている強い毒を持つ蟻のことで、この蟻に刺された場合、重症な時はアナフィラキシーショックで死亡する危険性もも指摘されています。今年の6月、神戸港の中国コンテナにてヒアリが発見されたのに続き、名古屋港でもヒアリが確認されました。赤茶色で2.5~6mm程度の大きさのヒアリは、攻撃的な性格もその特徴とされます。
ヒアリは南米原産で赤茶色で体長が2・5~6ミリ、毒針で何度も刺すほど攻撃性が高く、人が刺されると火傷のような激痛が走り、痒みや動悸などが引き起こされ、アレルギー反応のアナフィラキシーショックで死亡する例もあると言います。一度定着すると根絶は難しく、米国以外にも、中国や台湾、マレーシア、オーストラリアなどに生息域が広がっています。ヒアリに刺されると、その毒によって時にアレルギー性のショックを起こすこともあり、米国では年間100人以上が死亡しているという情報も一時は流れました。日本でも2005年にヒアリを外来生物法に基づく特定外来生物に指定、輸入や飼育を原則禁じるなどして侵入を警戒してきたところです。
ヒアリはの学名はSolenopsis invictaで、別名アカヒアリとも呼ばれていますが、漢字では「火蟻」と表記されます。その名の通り赤茶色をしており、体長は2.5~6mm程度で、腹部は濃い黒に近い赤色をしています。お尻に毒針を持っているのですが、攻撃的な性格のため、この毒針で積極的に刺して来ます。
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ヒアリの特徴 |
ヒアリが注目され、危険視されているのはその強い毒性です。ヒアリに刺されれば火傷のような痛みがあります。この強い毒により、場合によってはアレルギー反応の中でもアナフィラキシーショックを起こすことが懸念されています。もっとも、ヒアリが生息している地域での死亡例は必ずしも多いとは言えず、一般的に少ないと言えます。たとえばヒアリに刺されることが5割以上あっても、致死率は0.001%だそうです。ただし、それでも警戒を怠ることは出来ません。
ヒアリに刺されても軽い場合は、強い痛みや痒みがあり、症状が重くなるとジンマシンなどの症状が出る場合があります。その際は、病院等で診てもらった上で、なるべく安静にし、体調が悪くならないかを注意しながら日常生活を送ってゆくとよいでしょう。ただし、症状が一気に進む可能性もあるので、病院を受診した場合は「アリに刺された」ことを伝えるようにして下さい。
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ヒアリの大きさ |
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ヒアリの大きさは、2.5~6㎜で、その大きさにはバラつきがあります。身体は赤茶色で腹部は濃い赤色で黒っぽく見え、お尻の部分に毒針があります。 |
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ヒアリの見分け方 |
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ヒアリの大きさは2.5~6㎜で、赤茶色をしててお腹が黒っぽかったらヒアリと判断してほぼ間違いないでしょう。ただし、ヒアリらしき蟻を見分けている間にその場を離れる方が、ヒアリの被害に合わない確率は高いので、その辺はくれぐれも用心して下さい。ヒアリの被害を拡げないためにも、その場で専門機関に連絡の上、ヒアリかどうかの判断をしてもらって、その後の処理は専門家に任せた方がよいと思います。何れにせよ、普段見かけるような黒い蟻ではなく、初めて見るような蟻であれば警戒した方が無難です。なお、現状では港湾関係での発見(一部例外あり)に留まっているので、今のところ海外からのコンテナ等の管理体制次第でヒアリの流入を防ぐことも可能でしょう。 |
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ヒアリはなぜ強い? |
なぜヒアリは怖いのでしょうか? ヒアリの攻撃力の高さもさることながら、その最大の武器は増殖力の強さだと言われます。
日本でよく見かける蟻の多くは、数百から千匹程度が1つの巣を作りますが、ヒアリは多いもので100万匹にもなると言うのです。そして、女王蟻も、日本の蟻は1つの巣にせいぜい数10匹なのに対し、ヒアリは数百匹から数千匹にもなるのだそうです。従って、次々と数を増やすことができ、餌の奪い合いなどで有利に立つことができるのです。
なお、ヒアリ以外に強い蟻と言えば、餌の80%が他の蟻とも言われるこれも南米原産のグンタイアリが挙げられますが、その強さの秘訣は数万匹単位で行動する性質にあります。そして、そのグンタイアリに唯一対抗しているとも言われるハキリアリも、同じように大群で生活する性質があります。しかし、これらの蟻がヒアリと遭遇した場合にどうなるかは残念ながらデータがなく、今のところよく分かっていません。
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【2】ヒアリに遭遇した時の対処法 |
ヒアリとは漢字では火蟻と書きます。その字の通りヒアリに刺されると火のような痛みを覚えると言われます。
本節では、そのヒアリに出逢った時の対処法を取り上げ解説しました。
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ヒアリに刺されるとどうなるのか? |
ヒアリに刺されるとどうなる? |
米国では年間100人もの人がヒアリに刺されて亡くなっているという情報は間違いである可能性もあるそうですが、それでも大きな被害が出ていると言われれいます。ヒアリはものすごく攻撃性が強く、巣を刺激しようものなら
その相手に対して大群で襲ってくるので注意が必要です。大顎で噛み付くと何度も何度も毒針で刺しまくって来ます。また、人間だけではなく、家畜や飼い犬、ペットなども被害を受けている報告が多数あるのです。従って、ヒアリらしき蟻を見かけたら、自分で対処しようとしないで、まずは地方環境事務所に連絡しましょう。自分で駆除しようとして刺されたら危ないので、専門家に任せた方が安心です。なお、日本にはまだヒアリがさほど多くは存在していないと考えられますが、それも時間の問題かも知れません。
ヒアリは漢字で火蟻と書くのですが、ヒアリのお尻にはまるで蜂のような毒針がついていて、その毒針に刺されると、火蟻という名の通り、刺された瞬間に火傷のような強い痛みを感じます。その後、痛みが引いたとしても、刺された場所が水疱状に腫れたり、痒くなってゆきます。これで症状が収まればよいのですが、刺されてから数10分程度経過して、悪いことに更に症状が進む可能性があります。そうなると部分的または全身にジンマシンが現われる場合もあります。明らかなアレルギー反応ですが、これが更に重症化すると、呼吸困難や激しい動機、目眩、血圧低下などのアレルギー特有の症状が現われてきます。また、ヒアリ毒のによるアナフィラキシーショックで死に至る可能性もあるのです。ちなみに、たとえばスズメバチに一度刺されて体内に抗体が出来ている場合に、もう一度スズメバチに刺されると、その抗体が暴走して命の危機を伴う反応を起こすと言われています。ただし、ヒアリに一度も刺されたことがないから安心とばかりも言っていられません。というのも、ヒアリの毒はアルカロイド系のソレノプシンやハチ毒にも含まれるホスホリパーゼ、ヒアルロニダーゼなどであって、以前にハチに刺された経験がある場合、ヒアリに刺されてもアナフィラキシーショックが発現する可能性はあるからです。
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ヒアリ毒の危険性~アナフィラキシーで死亡するリスクも~ |
ヒアリの毒は窒素元素を含む塩基性の有機化合物であるアルカロイド系の毒素、ソレノプシンというものが主成分です。この毒素で刺された場合、激しい痛みと、刺された部分が水を持ったような感じになる水疱が生じます。ヒアリ毒には、この他にも様々なタンパク質が含まれていて、そこにはハチ毒に共通する成分であるホスホリパーゼやヒアルロニダーゼなども含まれています。このタンパク質に対してアレルギー反応を起こしてしまった場合、全身のアレルギー反応であるアナフィラキシーが起こります。ハチアレルギーがある場合、ハチに刺された場合と同様、適切な処置が速やかに行なわれなければ死に至ることもありえます。そのため、ハチ毒アレルギーのある人は特に注意が必要です。米国ではヒアリの毒に対するアレルギー反応が年間1500件ほど報告されていると言います。
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ヒアリに刺された時の対処法 |
ヒアリに刺された瞬間は、熱いと感じたり、激しい痛みが走ったりすることが多く、次第に刺された部分に痛みや痒みが出て、更に半日もすると虫刺されの膿が出てきます。少し症状が強くなると、刺された部分から腫れが広がり、全身に盛り上がった痒みを伴うジンマシンが出て来ます。重症の場合、刺されて数分から数10分で、ジンマシンだけでなく、息苦しさや声が嗄れるなどの呼吸困難や動悸、目眩などの血圧低下、更に意識を失う意識障害を起こします。いわゆるアナフィラキシー反応や、或は血圧低下があれば、アナフィラキシーショックなので、速やかな処置が必要になります。
直ぐに刺された場所を水で洗うとか消毒液を塗るなどと言った一般的な対処法は殆ど意味がありません。直ぐに病院に行って「ヒアリに刺されたかも知れない」「アナフィラキシーショックの可能性があるかもしれない」と、状況を正確に医師に伝え、適切な対処をしてもらうようにしましょう。何れにせよ、ヒアリに刺された場合の症状は、人によって個人差があるものの、特にハチアレルギーのある人は要注意です。基本的には早急に医療機関を受診するのが大切です。
ヒアリの毒に対する反応は人それぞれですが、ヒアリに刺された直後の対処法としては、まずは動き回らず、最低20~30分は安静にして、体調に変化がないかどうか観察して下さい。激しい運きなどをして全身の血流が増加すると、アレルギー症状が酷くなる場合があるからです。そうやって安静にしておいて、体調の変化がなければ、ゆっくりと歩いて近くの病院を受診するのがよいでしょう。当然ながら症状が悪化してゆくようなら、救急病院に早急に飛び込む必要があります。
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ヒアリを見つけた時の対処法 |
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まずは地方環境事務所に通報を |
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もしもヒアリを見つけた場合、まず大切なのはとにかく刺されないようにすることです。また、本当にヒアリなのかを専門機関に確認してもらう必要があります。その上で、ヒアリがそのまま定着してしまうことを防ぐために、地方環境事務所などに通報するのがよいでしょう。決して刺されないように素手で触らず、熱湯や殺虫剤で処理した上で、セロテープを貼りあわせた中に閉じ込めたり、ピンセットで軽く摘まんでアルコールの入った小瓶に入れたりして専門機関に送りましょう。何れにしても、無理をして刺されると非常に危険なので、ヒアリを発見したら、まずは熱湯や殺虫剤で確実に死んだ状態にした上で、地方環境事務所などに連絡するのがよいでしょう。 |
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ヒアリを見つけたら近づかない |
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茶色っぽい蟻を見かけたら絶対に近づかないで下さい。ヒアリは大変攻撃的な性格なので、間違っても殺虫剤を片手に戦おうとしてはいけません。ヒアリを見つけた場合は、決して自分で駆除しようと思わず、速やかに近くの地方自治体や環境庁に連絡した方が無難です。 |
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ヒアリの駆除方法 |
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熱湯をかける |
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他の虫と同じく熱湯を直接かければ蟻は死にますが、蟻塚の深い部分にいるヒアリまでは駆除できません。 |
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殺虫剤などの液剤を撒く |
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蟻塚に液剤を撒けば、液剤が浸透した部分のヒアリは死にます。しかし、上手く液剤を使用しないと、ヒアリが駆除できなかいばかりか、他の昆虫への影響も出てくるため、使用には注意が必要です。 |
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顆粒やゼリー状の毒餌を設置する |
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時間がかかりますが、蟻塚にいるものも含めて駆除はしやすくなります。 |
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