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 今年はプール熱こと咽頭結膜熱の当たり年で、10年来の大流行だそうです。
 そこで、今月は三大夏風邪の一つであるプール熱を特集しました。プール熱の症状や特徴、そして予防法を詳しく紹介しました。


プール熱
【1】プール熱とは何か?
【2】プール熱の原因とその症状
【3】プール熱の対処法とその予防


【1】プール熱は何か?

 今年の夏はプール熱の流行しているそうですが、プール熱とは一体どんな病気なのでしょうか?
 本節では、プール熱とは何か、その特徴について解説しました。
プール熱が流行、07年以降最多

 子供に多い感染症である咽頭結膜熱(プール熱)の患者が2007年以降、過去10年で最多となっていることが国立感染症研究所の集計で分かったそうです。

プール熱 感染研によると、全国3千カ所の小児科医療機関から5月22日から28日までに報告された1医療機関当たりの患者数は0・91人で、前の週より4割も増えたと言います。昨年同時期より0・18人多く、過去10年の同時期と比較して最も多くなっています。また都道府県別では、鹿児島県を筆頭に、北海道、山梨県、奈良県、岩手県の順で患者が多いと言います。もっとも昔と違い、最近はウイルス感染を迅速に検査できるようになったお陰で報告数が増えている可能性もあるそうです。一般にプール熱は例年は6月頃から患者が増え始め、7〜8月にピークを迎えるのですが、今年は5月から既に多くなっているそうです。例年のウイルスとの違いは特に見られず、流行の理由も今のところはっきりしないそうです。
 プール熱には特効薬がなく、肺炎になることもあるそうです。小学校入学までの子どもが罹ることが多く、咳やクシャミ、タオルの使い回しで感染します。従来はプールの水から感染することが多く、そのためプール熱と呼ばれていましたが、近年は塩素消毒の効果でプールから感染が広がるのは稀になっているとのことです。ただ、咽頭結膜熱は感染力が強い感染症で、咳やクシャミなどの飛沫の他、目ヤニなどからもプール熱に感染するため、専門家は手洗いの徹底やタオルを共有しないなどの対策で予防するように呼びかけています。重症化することは稀ですが、感染力が強いため、厚生労働省でも手洗いや目を擦らないなどの予防策をしっかり行なうことを訴えています。
夏風邪とプール熱


子供の三大夏風邪に注意
 夏になると子供を中心に患者数が増える感染症が手足口病とヘルパンギーナ、そしてプール熱こと咽頭結膜熱で、これらを総称して一般に「子供の三大夏風邪」などと呼ばれています。例年6〜8月にかけてそれぞれの流行がピークを迎えるので、その特長や注意点を確認し、事前の感染対策がひつようになります。

プール熱は急な発熱が特徴の夏風邪の代表格
 プール熱は実は風邪の一種で、数ある風邪のウイルスの中でアデノウイルスに感染すると発症するのがプール熱です。プール熱は数種のアデノウイルスの感染により発症し、1年中罹る可能性がありますが、特に感染者が多く出る時期は6月〜8月です。また、プール熱の3大症状と呼ばれるのが、発熱と喉の痛み、そして結膜炎で、特に熱は風邪と異なり急に40度近くまで上がるのが特徴です。また、風邪の熱が1日〜2日で下がるのに対し、プール熱での発熱は1週間程度続きます。

実は冬も危険なプール熱
 プール熱と言うと、その名称から夏のプールの時期にだけ流行るものと思われがちですが、しかし、現在ではプール熱は冬でも流行る病気となっていて、1年中を通して危険だと言われているのです。それでは、どうしてプール熱が冬も危険かと言うと、温水プールなどが原因で、1年を通してプールに入ることが増えたからだと言われています。スイミングスクールに1年中通っているお子さんもいることでしょうが、そういったことを考慮すると、冬のプール熱にも注意が必要であることが分かると思います。プール熱はアデノウイルスが原因で、プールの水などからウイルスが口や目に入って感染します。なお、冬のプール熱は冬の初めに広がりやすいと言われています。冬場にプール熱が蔓延しやすいのは、空気が乾燥することや免疫力が落ちていることなどが原因している可能性も否定できません。まずはストレスを貯め込まず、睡眠や栄養を摂って規則正しい生活を送り、免疫力を上げることも大切です。

プール熱(咽頭結膜熱)とはどんな病気か?

 咽頭結膜熱(プール熱、pharyngoconjunctival fever:PCF)は毎年夏を中心に流行する数種類のアデノウイルスによる小児の急性ウイルス感染症で、発熱や咽頭炎、結膜炎が主な症状です。プール熱は高熱が出て目が赤くなり、喉が腫れて痛んだりする症状が出る病気です。喉が腫れて痛み出し、それと同時に結膜炎も起こして白目や瞼が赤くなり、いきなり高熱が出ます。プールなどの水を介してヒトからヒトへ感染が拡大することが多いので、日本では一般にプール熱とも呼ばれています。或は結膜炎のため、はやり眼と呼ばれることもあります。1年間を通して発生しますが、6月末頃から増え始め、7〜8月にかけて流行、患者数のピークを迎えます。また、小規模ながら冬にも流行が見られます。

 インフルエンザが冬場に多く発症し、夏に殆ど発症しないのは湿度のせいですが、このアデノウイルスは湿度に関係なく起こるため、季節を選びません。ただ、夏場にプールなどの水を媒介にして起こるので、一般に夏風邪と認識されています。ただインフルエンザと違い、これが効くといった特効薬がないので、喉の痛みや結膜炎などの対処療法をし、しっかりと水分補給をして、安静にして身体を回復させてゆく以外に治療方法がありません。なお、失われた水分や栄養素を効率よく吸収することができるので、体調不良時の水分補給には経口補水液がオススメです。
 また、プール熱に家族で罹ってしまうと、大人にも移る可能性があります。そのため、タオルや洗濯物は別にするのも予防になってよいでしょう。また、症状が終息したと思っても、幼稚園や学校へ行くためには、医師による治癒証明が必要になります。
プール熱とその特徴


風邪より強いプール熱の感染力
 プール熱は普通の風邪に比べて強い感染力を持つため、第二種学校伝染病に指定されています。第二種学校伝染病とは飛沫感染で広がりやすい病気のことで、インフルエンザやおたふくかぜ、風疹や麻疹もこれに該当します。第二種学校伝染病に指定された病気は登園・登校に制限があり、プール熱の場合は症状が完全に消えてから2日は登園・登校することができません

プール熱には何度も感染する
 プール熱は普通の夏風邪とは違い、いきなり高熱を発症します。普通の風邪なら咳や鼻水などの症状が出た後に熱が出るのですが、プール熱は高熱から始まるのです。熱が漸く下がっても、また熱が出てしまうといったことが繰り返される場合があります。従って熱が3日以上続く時は、まずはプール熱を疑って病院の診察を受けましょう。


 また、プール熱の原因となるアデノウイルスには全部で数10種類の型があり、そのうちプール熱を最も引き起こしやすいのは3型ですが、他に2、4、7、11型でもプール熱を引き起こすことがあります。インフルエンザと同様、同じ型のウイルスであればシーズン中に2回罹ることはありませんが、違う型であれば再び感染してしまう可能性があります。このように、プール熱には何度も罹ってしまう可能性がある上に、免疫力が低下している時などは長引いてしまう可能性もあります。

 法的には出席停止となる病気なので、他の人にも移さないよう、症状が治ってから医療機関を再度受診し、治癒証明書を貰うようにしましょう。このようにきちんとした対処をとることで、他の児童や園に対しても安心させることができます。

感染者の9割が10歳以下で、ワクチンはない
 プール熱には大人も感染しますが、感染者は10才以下の子供が9割以上を占めています。

 プール熱に感染するとアデノウイルスが人の身体に寄生し、約5〜7日の潜伏期間を経て、喉の痛みや結膜炎、高熱などの症状が発生します。プール熱もインフルエンザも同じく高熱を発しますが、プール熱とインフルエンザの違いの一つは、インフルエンザはワクチン(予防接種)があるのに対して、プール熱にはワクチン(予防接種)がないということです。従って、プール熱の対策としてはとにかく予防が大切であるということになります。


 プール熱を引き起こすアデノウイルスに対する特効薬は残念ながら存在しません。そのため対症療法として、現われた症状に対して発熱や喉の痛みには解熱鎮痛剤が、結膜炎には点眼薬が処方されます。そして、薬で症状を抑える対症療法を続けながら、ウイルスが排出されて症状が軽快するのを待つしかありません。その間、患者が少しでも楽に過ごせるよう、ホームケアを続けてゆく必要があります。家では安静にし、水分補給を意識して行ないます。乳幼児の場合、離乳食などは、喉が痛くても食べられる喉越しのよいものを与えましょう。ホームケアを行なっている時は、家族に感染しないよう、親御さんは充分注意しましょう。手洗いうがいを小まめに行ない、タオルや食器の共用はしないようにします。そこで、患者が触ったところは小まめにアルコールで消毒を行なうと安心です。

新生児や乳児は重症化することも
 プール熱(咽頭結膜熱)は、その典型例では喉の痛みと目の充血、高熱といった3大症状が出てくるので診断がつきやすいと言えますが、中にはこうした症状がはっきりしない場合もあります。特に新生児や乳児の場合は元々免疫力が弱いことから、ウイルスのタイプによっては重症化しやすいことも知られています。

症状が消えてからもウイルスが排出される
 症状が消えても、2日間は保育園や幼稚園に登園することはできません。これは学校保健法という法律で決められています。ただし、保育園や幼稚園の登園が許可されてからもウイルスの排出は続いているので注意が必要です。というのも、症状が消えてから1ヶ月程度は便にアデノウイルスが排出され続けるのです。その間は水遊びを控える他、オムツ替えをする時は母親も感染に充分注意する必要があります。

プール熱に罹ると危険な人
 生後14日以内の赤ちゃんがプール熱に罹ると、感染が全身に広がり、重篤になることがあるので特に注意が必要です。
 なお妊婦の場合は、たとえプール熱に感染しても、風疹のようにお腹の赤ちゃんに影響が及ぶことはありませんが、効き目の弱い解熱鎮痛剤しか使えないので、症状を和らげることが難しいことがあります。辛い症状のせいで食欲がなくなると、お腹の赤ちゃんにもよくないので、感染にはくれぐれも注意しましょう。


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【2】プール熱の原因とその症状

 プール熱はどんな症状をもたらす病気なのでしょうか。
 本節では、プール熱の症状に加え、その原因と感染経路、潜伏期間などについて取り上げ、解説しました。
プール熱とその原因

 ウイルスが口や鼻の中や喉の粘膜、または眼の結膜から身体の中に入り込んで感染します。原因ウイルスに免疫のない幼小児に好発します。多くは学童までの小児ですが、免疫がない成人にも移ることがあります。一度感染を経験すると免疫が出来ますが、原因ウイルスは複数なので、症状が1回だけとは限りません。感染経路は、多くは鼻汁や飛沫の飛沫感染ですが、プールなどでの結膜からの感染や便を介しての経口感染も考えられます。また、目ヤニから接触感染も起こすので注意が必要です。治った後もウイルスは咽頭からは発症後7日間から14日間、便から30日間ぐらい排出し続けます。咽頭結膜熱は感染力が非常に強いので、慎重に対処する必要があります。そのため、流行時にはうがいや手洗いを励行することが大切です。また、便にもウイルスがいるので、排泄後のオムツ交換時の手洗いには充分注意が必要です。さらに目ヤニからの接触感染もあるので、タオルの共用はやめましょう。プールでの感染に対しては、水泳前後のシャワーと水泳後の洗眼、うがいをしっかり行ないましょう。

 プール熱の原因ウイルスは主にアデノウイルスと呼ばれるウイルスです。このウイルスは多くの血清型に分類され、多くはアデノウイルス3型で引き起こされますが、アデノウイルス1、4、7、14型でも見られます。また1995年以降、7型と呼ばれる新しい型が流行するようになりました。アデノウイルス7型は、以前の型に比べて熱が長く続き、重症化することもあります。
 ただし、アデノウイルスに感染しても必ずしも咽頭結膜熱の症状を来すわけではありません。また、乳幼児の急性気道感染症の10%前後がアデノウイルス感染症と言われ、アデノウイルスは小児で重要な病原体です。なお、プール熱は年間を通じて発生しますが、春・夏に比較的多いとされています。幼小児期に多くが感染を受けます。
プール熱とその症状
プール熱(咽頭結膜熱)の症状

プール熱 潜伏期間は5〜7日で、まずは急な高熱で発症し、その後、頭痛や食欲不振、全身倦怠感と共に、喉の症状(咽頭炎)と目の症状(結膜炎)の両方が現われます。発熱は39〜40度の熱が3〜7日と比較的長く続きます。また、喉の症状としては、咽頭炎による咽頭痛で喉が真っ赤になり、かなり痛みがあることが多く、3〜5日ほど続きます。次に目の症状としては、結膜炎に伴い、目は痛みや痒みがあり、目ヤニが出て、羞明で眩しくなったり、或は涙が止まらなくなったりします。目の症状は一般的には片方から始まりますが、多くの場合はもう片方の目にも症状が広がります。結膜の炎症は下眼瞼結膜に強く、上眼瞼結膜には弱いとされます。眼に永続的な障害を残すことは通常はありません。また、頚部特に後頚部のリンパ節の腫脹と圧痛を認めることがあります。またその他に、頭痛や吐き気、腹痛や下痢が起こることもあります。アデノウイルスの特異的な治療法はなく、対症療法が中心となります。現在有効な薬剤の開発も進められています、抗アデノウイルス薬として入手可能な薬剤は今のところないのが現状です。

 なお、生後14日以内の新生児にウイルスが感染した場合は全身性感染を起こしやすいとされており、重症化する場合があることが報告されています。アデノウイルスの血清型のうち、7型は心肺機能低下や免疫機能低下等の基礎疾患のある人、また、乳幼児や老人では重篤な症状となり、呼吸障害が進行し、更に細菌の二次感染も併発しやすいことがあるとされています。ちなみに、検査所見として特徴的なことは、血清LDH の異常高値及び血球減少傾向、並びに高サイトカイン血症です。
プール熱の主な症状〜高熱と喉の痛み、目の充血〜

 プール熱の正式名称である「咽頭結膜熱」という名前の通り、発熱、結膜炎、咽頭炎が主な症状となります。

 プール熱に感染すると、感染後5〜7日間の潜伏期間を経て、38〜40度の高熱と共に喉の腫れや結膜炎が出てきます。喉の腫れがひどい場合は扁桃腺炎を発症することもあります。結膜炎を伴う場合は、目の痛みがあり、白目や瞼の裏側が赤く充血し、涙や目ヤニが出ることがあります。ただし、結膜は化膿したり、角膜が冒されることまではないとされています。他には、頭痛や鼻水、咳などの風邪の症状や、全身の倦怠感、下痢や腹痛、嘔吐を伴うことがあります。ただ、発熱、結膜炎、喉の腫れの3つの症状は必ずしも同時に現れるわけではなく、目がショボショボしたり眩しいといった症状と前後して高熱が出てくるケースも多くあります。


発熱
 40度前後の高熱で5日前後続きます。治るとす熱はっと下がることが多いです。

結膜炎
 結膜炎に伴い、結膜充血(眼の白みの部分が充血する)、目の痛みや痒みの症状が出ます。また、涙や眼やに(眼脂)が多くなります。

咽頭炎
 喉の痛みや、喉が腫れや赤くなる咽頭発赤が現われます。

その他
 プール熱は夏風邪の一種なので、プール熱特有の発熱や喉の痛み、結膜炎といった症状以外にも、風邪の諸症状が現われることもあります。全身倦怠感や頭痛、腹痛や下痢、食欲不振など様々な症状が併発します。ただし、時に肺炎を起こすことがあるので注意が必要です。

脱水症状に注意

 プール熱(咽頭結膜熱)の高熱は、普通の夏風邪と比較して熱が下がりにくく長引きやすいのが特徴です。熱が続く上に、喉の痛みが非常に強くて食欲が減退しそのため脱水症状を起こすこともあります。特に乳児が感染した場合は、幼児以上に脱水症状に陥りやすいので注意が必要です。また、腸間膜リンパ節炎や脳炎、呼吸器症状(重症肺炎など)といった合併症を起こすことがあります。腸間膜リンパ節炎は虫垂炎(盲腸炎)と同じような症状のために間違われることがあり、脳炎は命に関わる疾病なので、何れにしても早めに医者にかかる必要があります。
プール熱そその感染経路
プール熱の感染経路をキチンと把握しよう

 プール熱(咽頭結膜熱)の感染経路は、唾液などを介して移る飛沫感染と、近くに密着していることで移る接触感染とがあります。感染力はかなり強いため、家庭生活を共にしている兄弟姉妹間で移ることも多いです。眼ヤニなどにも感染力があり、ウイルスは喉や目から体内に侵入します。また、塩素消毒が不十分なプールに入ることでも感染が起こります。 そこで、プール熱の予防対策としては、まずはしっかり手洗いをして消毒し、感染をストップさせることを優先し、更にはマスクで感染をしっかり予防するということが必要になります。


プール熱の感染経路
 プール熱に感染した子の鼻水や唾液、便、尿などがプールの水に流れ込み、そのプールの水に含まれるウイルスが目の粘膜に感染します。
  • プール熱に感染した子とプールサイドでタオルの使い回しをする
  • 咳やクシャミによって飛沫感染する
  • 唾液が付いた玩具を触り、その手を口に持っていったり目をこすったりする

プールだけじゃない感染経路も


夏に多発するプールでの感染
 プールでプール熱に感染するのは、プール熱に感染した子どもからウイルスが水中に排出されるためです。感染した子供のお尻の拭き残しや、鼻水や涎が水中に流れ込み、その水を通じて結膜にウイルスが付着し感染します。その他、プールサイドでタオルを共用することによっても感染が広がってゆきます。

 プール熱は高熱が出るので、感染した子供はプールに入れないのではないのかと疑問に思うかもしれませんが、プール熱には1週間程度の潜伏期間があり、その間も感染力があるので、気づかずにプールに入ってしまうお子さんもいますし、症状が治まってからも1ヶ月ほどは便からウイルスが排出され続けます。そのため、感染力はあるのに、プール熱の症状がないために自覚に至っていないケースは多くあるのです。

集団感染を招きがちな飛沫感染
 普通の風邪と同様に、プール熱に感染した子供の咳やクシャミから出た飛沫が体内に入ることで感染します。

児童館では特に注意!接触感染
 プール熱に感染した子供の咳やクシャミの他にも、飛沫や涎が付いた玩具や本を触り、その手を口に持って行ったり、目をこすったりすることによって感染します。

プール熱とその潜伏期間


プール熱の潜伏期間
 プール熱の潜伏期間(ウイルスに感染してから症状が出るまでの期間)は5日〜7日という場合が多く、長い時は2週間程度かかることもあります。一般に夏に多く、幼児から学童までに多く見られます。

 咽頭炎(喉の痛み)や結膜炎(目の充血)、39℃前後の発熱が数日から1週間続く症状から咽頭結膜熱と呼ばれています。 頭痛をはじめ、食欲不振が3〜7日続くこともあり、眼の症状としては、目が充血し、涙が多くなり、眩しがることもあります。なお、潜伏期間中は全く症状が出ないため、ウイルスに感染していることに気がつかないことが多いです。

プール熱に感染するのはいつからいつまで?
 症状が出るまでの潜伏期間から感染の可能性があり、症状が消えてから1ヶ月後まではウイルスの排出があるので感染力を持ちます。つまり、潜伏期間(7日間程度)から症状が出ている期間(7日間程度)、またウイルス排出期間(1ヶ月程度)と言った具合に、トータルで1ヶ月半程度は感染する危険があります。このうち発症後の数日間が最も強い感染力を持ちます。特に症状が消えてからも尿や便にウイルスが排出されるので、世話する家族は充分に注意する必要があります。

潜伏期間中は感染する?
 感染力が最も強いのは症状が出てから数日間ですが、潜伏期間中でも感染力があります。

 プール熱は高い熱と喉の痛みがあるのになぜプールで移るのか、或は体調の悪い子はそもそもプールに入らないのではないかと思う人もいるかも知れませんが、プール熱の集団感染をプールで起こすのは、感染していることにまだ気が付いていない、要するに潜伏期間中の子がプールに入ってしまうことにも原因の一つがあるのです。

潜伏期間に入っている可能性が高い場合


潜伏期間に入っている可能性が高い場合の判断基準
 潜伏期間は症状が出ないので、潜伏期間に入っているかどうか推測するのは難しいですが、しかし、たとえば以下のようなケースでは、プール熱の潜伏期間に入っている可能性があります。特にプール熱に兄弟が罹ると、次々と他の兄弟に感染するケースがあるので注意が必要です。
  • いっしょに遊んだ友達がプール熱を発症した
  • いっしょにプールに入った友達がプール熱を発症した
  • 兄弟がプール熱に感染した
  • 兄弟が通う幼稚園や小学校でプール熱が流行している

潜伏期間に入っている可能性がある場合の注意点
 子供がプール熱の潜伏期間に入っている可能性があると考えられる時には、まず家族に感染しないように注意することが必要となります。
 大人は、子供と違って手や玩具を舐めるということがないので、子供ほどには多くの感染症には罹らないですが、つい目を擦ってしまうことはあります。プール熱は目から感染することも多いので、潜伏期間に入っている可能性がある子供ののお世話をした時などは、頻繁な手洗いやアルコール消毒を心懸け、目を擦らないように注意しましょう。また、子供が顔を拭いたタオルをそのままタオル掛けに掛けて他の家族が使ってしまうなどといったとがないように注意しましょう。


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【3】プール熱の対処法とその予防

 プール熱に罹ったらどうすればよいのでしょうか?
 本節では、プール熱の診断法と治療法、そして、プール熱に罹ってしまった場合の対処法とその予防法について取り上げ、解説しました。
プール熱の検査と診断法

プール熱 プール熱の有無を調べるためには、まずアデノウイルスへの感染を調べる必要があります。アデノウイルスの確認は迅速キットか血液検査によって行なわれます。迅速キットの場合、喉を綿棒で擦って検査を行ないます。30分程度でキットがプラス即ち陽性になれば、アデノウイルスが喉に存在することが分かります。現在は殆どこの方法で検査が行なわれています。以上の方法でアデノウイルスへの感染がわかり、更に高熱や喉の赤み、結膜充血などの症状がある場合、プール熱と診断されます。

 なお血液検査は、検査結果が出る頃には既に治っている場合が多いので、実際、現在の診療現場では使われないことが多く、肺炎などの合併症のある時に限り使われます。最初の血液検査でアデノウイルスに対する抗体が非常に上がっていると分かった場合、2週間以上空けて2回目の血液検査を行ないます。1回目よりも2回目で抗体が上がっている場合はアデノウイルスの感染であったことが判明します。ただしこの検査では、結果が出るまでに時間がかかってしまい、アデノウイルス感染症であったことを事後的に確認する検査になっています。


潜伏期間中に検査はできる?
 プール熱の診断は、基本的には症状を聞いて医師が判断します。インフルエンザのように、必ず検査キットで検査をするわけではありません。なぜならインフルエンザと異なりプール熱には抗ウイルス薬がなく、検査をしてもしなくても、処方する薬は対症療法の薬になるので、検査をする意味が大きくないためです。確定診断が必要な場合には鼻水や唾液などを採取し検査を行ないますが、潜伏期間中に確定診断をしてくれる医師は余りいないでしょう。また、潜伏期間中はウイルスの排出量は少ないため、もしも潜伏期間中に検査を行なってもウイルスを検出できない可能性が高いのです。

プール熱とその治療法
プール熱(咽頭結膜熱)の治療法

 アデノウイルスには抗生物質が効かず、残念ながら特効薬がありません。そのため、治療はそれぞれの症状に対する対症療法が中心となります。また、結膜炎が強い場合は眼科での治療が必要になります。

 家庭での経過中の注意としては、充分な水分と栄養が摂れるようにすることです。喉が痛くなることが多いので、食欲不振による脱水症には特に注意が必要です。出来るだけ刺激の少ない固くない食物(ヨーグルトやプリン、ゼリー、アイスクリームなど)や水分を充分に摂れるように配慮してあげましょう。なお、学校保健法ではプール熱は第二種伝染病に位置づけられており、登校基準については、症状がなくなった後2日を経過するまでは出席停止となります。登園・登校については主治医とよく相談してから決めるようにして下さい。


病院で処方される治療薬
  • 高熱で辛い場合:解熱薬 ※時間が経つと再び発熱する
  • 喉の痛みがある場合:うがいや鎮痛薬
  • 眼脂や眼球結膜充血している場合:抗生剤やステロイドの点眼薬
  • 眼の痒みが強い場合:抗ヒスタミン薬やステロイドの点眼薬

自宅で気をつけること
  • 安静と十分な睡眠で免疫力が落ちないようにする
  • 水分補給を行なう

特に大事なこと
 特に脱水を防ぐための水分補給は大切です。喉の痛みがあるので、喉越しのよい飲料で、出来れば電解質を含む飲料がオススメです。下痢などの症状がない場合は、喉が痛くて飲みにくいことがあるので、喉越しのよい少し冷たい飲料の方がよいでしょう。また、発症後は特効薬がなく、自然治癒を待つしかないので、症状を抑えることと免疫力を高めることが大切です。普段から手洗い、うがいで予防を心懸けるようにしましょう。

プール熱の治療法とその注意点

 プール熱の初期症状が現われたら、まずは病院で受診し、医師が診断を行ないます。そして、診断では高熱や喉の炎症、目ヤニ、目の充血といったプール熱の初期症状を確認した上で、通っている教育機関などでプール熱が流行していないか確認します。また、喉を綿棒で擦って粘膜にアデノウイルスが付着しているか確認したり、時には血液検査を行なうこともあります。こうして医師の診察でプール熱と診断されたら、学校などへの出席を停止し、次のような対処法を行ないます。


熱への対処
 プール熱は40℃近い高熱が出ることがあり、辛いですが、身体は熱を出すことでウイルスを排出しようと努力しているbので、解熱剤の使用は極力控えます。そして、少しでも寝やすくなるように、エアコンで部屋の温度を適温に設定し、通気性のよい衣服に着替えて横になり、安静に過ごすようにします。

水分補給
 プール熱でウイルス性胃腸炎に罹り、嘔吐や下痢をすることがありますが、脱水症状の危険性が出るため、水分補給には充分注意する必要があります。また、脱水症状対策には水分補給だけでは不充分で、塩分を共に摂ることが大切です。そのため、出来れば経口補水液がベストなのですが、それがない場合は、スポーツドリンクや麦茶などと共に極力塩を摂ることを意識するようにします。

量より質の食事
 喉の痛みで食事を摂ることも辛くなるため、喉越しの優しい食材を選び、消化もよいものを選びます。たとえばアイスクリームやプリン、ゼリーでも水分補給にはなりますし、良質なタンパク質で免疫力を上げるため豆腐や味噌汁なども身体の回復を助けます。そして、患者が辛い時には無理して食べさせずに、量より質を意識して、最低限の量でも身体の栄養に繋がるような食材で食事を摂らせることを心懸けます。

入浴
 高熱でぐったりしている日は入浴は控え、あせも予防のために塗れたタオルで汗と汚れを拭き取ってあげる程度にします。もちろん熱が下がった後は普通に入浴できますが、お風呂を介して家族内へ感染してしまうため、患者は最後に入れるか、シャワーのみにするとよいでしょう。また、身体や顔を拭いたタオルの共用だけでも感染してしまうため、タオルは使ったら破棄するようにし、手洗いやうがいも小まめに行なうことが必要です。

プール熱とその予防
プール熱は予防が大切

 夏にプールで流行することが多い のでプール熱とも呼ばれるアデノウイルスを原因とした咽頭結膜熱ですが、感染経路の多くは患者からの飛沫感染です。その他に手指を介した接触感染、タオルなどを共用したことによる感染があります。そして、何度も繰り返しますが、プール薬には特効薬がないため、予防がとても大切になります。

 感染の予防には患者との接触を避けること、流行時にはうがいと手洗いをしっかりと行なうことが大切です。また、プール熱の原因であるアデノウイルスの感染力が強く、手による接触感染や唾液などにより飛沫感染するため、第一に感染者との接触を避けることが大切になります。また、喉への感染なので、うがいも大切です。特にプールの際は、水泳前後のシャワーとプールの後の目洗いやうがいを徹底することが大切です。更に治ってから暫くの間は 便の中にウイルスが排泄されているので、 配膳前と食事前、排便後、オムツ取り替え後の手洗いの徹底が重要です。また、当然ながらタオルや寝具などの共用も避けた方がよいでしょう。更に身の周りの消毒が大切で、手洗いや手指消毒と言ってアルコールや石鹸で指の間までしっかりと洗浄消毒します。子どもの場合は、玩具など触れるものへの消毒も可能ならしておいた方がよいでしょう。なおプールで感染しないようにするためには、水泳前後の シャワーや洗眼、うがいも大切になります。
プール熱の予防法

 アデノウイルスは感染力が強く、体外でも数日生き延びることができるため、簡単に拡散することとなります。従って、プール熱が回復しても、家族内で家族に感染する可能性が残っています。プール熱に感染している期間中は、当然マスクや手洗い、うがいなどをしっかり行ばっているとは思いますが、回復して元気になった途端、誰しも予防を怠ってしまいがちです。実際、家族の誰かが感染してほっとしたら自分も感染してしまったなどという話もよく聞きます。それぐらいアデノウイルスは感染力が強いウイルスなのだということをこの際心に止めておきましょう。出来るのであれば毎日しっかり予防をするのが理想ではありますが、少なくとも回復しても1〜2週間は感染時と同じようにしっかり予防を行なうよう心懸けるようにしましょう。そんな訳で、次のことに気をつけて予防することが大切です。


手洗いとうがいをする
 家族内に感染者がいる場合など家族間で感染が起きないよう、石鹸や流水による手洗い、うがいを頻繁に行なうことが大切です。感染源はプールに限らないことに留意しましょう。

プールに入る前後にはシャワーをしっかりと浴びる
 プールに入る前後にはきちんとシャワーをしてプールの水を流します。

タオルや洗面器、食器は共有しない
 アデノウイルスは接触感染するので、同じタオルや洗面器の共有を避け、洗濯も別にする必要があります。入浴の順番も感染者を最後にするなどの配慮が必要となります。目ヤニなどを拭いたティッシュも感染源となるので、ゴミや汚れものの取り扱いには特に注意して下さい。

オムツ交換に気をつける
 感染者の症状が消えた後も2週間ほど(場合によっては1か月以上)は便や唾液の中にウイルスが存在します。そのため、暫くの間は排便後の子どもの手洗いを徹底させることが必要となります。また、乳児が感染した場合は、オムツ交換の後には石鹸でよく手を洗うなど排泄物等の取扱いには充分ば配慮が必要です。

感染者の分泌物(鼻汁や唾液など)との接触を避ける
 接触感染や飛沫感染があるので、ウイルスの感染を防ぐためには、それらとの接触を避けることが必要となります。ウイルスは鼻水や唾液等に多く含まれるので、手洗いうがいを徹底し、ウイルスが口から侵入しないようにすることが肝要です。

プール熱の家庭内感染を防ぐ方法


プール熱の一般的な予防法
 まず体力を低下させないよう栄養や睡眠をしっかり摂ります。そして、手洗いとうがいはもちろん、公衆の場所にあるタオルは共用せず、個人のものや使い捨てのペーパーなどを使うようにします。また、大勢の人が集まるような場所に出かける時は、マスクの着用も念頭に入れて常に持ち歩くことをオススメします。

プール熱の家庭内の予防法
 もしも家族の誰かがプール熱に感染してしまった場合は、共有スペースはもちろん、特にトイレの使用後の便座や手摺りなどの消毒を行ないます。また、食器やタオルを共有しないことも重要です。

 アデノウイルスには 消毒用エタノール80%(手指などの消毒)や次亜塩素酸ナトリウム濃度0.02%(トイレ内の消毒)が有効です。次亜塩素酸ナトリウムの消毒液はノロウイルスにも有効です。アデノウイルスだけに限らず、普段から石鹸による十分な手洗いとうがい、アルコール消毒の徹底が必要です。なお、マスクや携帯用アルコール消毒液を持っていると、公共の場所でも安心してトイレや施設などを利用することができます。

念入りに行なおう!赤ちゃんと家族のプール熱感染対策
赤ちゃんと家族のプール熱感染対策

 赤ちゃんがプール熱に感染すると、喉の痛みで食事や水分が摂れなくなり、脱水症状を起こすこともあるなど、辛い症状を引き起こします。家族に感染して、赤ちゃんの世話する人がダウンしてしまうと大変なので、感染対策はしっかりと行なう必要があります。
 プール熱が流行る季節にはあらゆるものにウイルスが付着している可能性があります。プール熱の原因となるウイルスは感染力が強いため、手に触れるものや口に入るものは念入りに消毒をしましょう。また、普段の行動にも注意が必要です。


なるべく触らない、触ったら手を洗う場所
  • スーパーやショッピングセンター:エレベーターのボタンや階段やエスカレーターの手摺り、トイレ内のチャイルドシートや買い物カゴ、買い物カート
  • 児童館や子育て支援センター:玩具や絵本、ベビーベッド

プールでの感染と感染の拡大を防ぐには

 プールで遊んだ後は、念入りにシャワーを浴び、手洗いうがいも行ないましょう。また、ドライアイの原因になるため、現在では目を洗うことは推奨されていないので、プールに入る際は目に水が入らないよう、サイズのぴったり合ったゴーグルを使うようにしましょう。ただし、もしもプールの水が目に入ってしまった場合は目を洗います。更に友達とのタオルの共用は厳禁です。必ず自分のタオルで身体を拭きましょう。

 プール熱は、自分が感染しないための対策だけでなく、感染させない対策も大切でし。症状がなくても、潜伏期間中である可能性があります。他のお子さんに移してしまわぬよう、プールに入る前にお尻をきれいに洗う習慣をつけましょう。
手洗いは30秒以上が目安

 手洗いとうがいは感染予防の基本です。手洗いは30秒はじっくりと行なって下さい。手の平と指の間、爪、更に肘までていねいに洗います。大人の感染予防には、手洗いをした後で更にアルコール消毒を行なうとより効果的です。
目を擦らないように注意する

 目の粘膜はウイルス感染しやすい場所です。普段から赤ちゃんが目を擦らないように注意して見てあげましょう。特に公共の場にいる時は色々なものに触りがちなので、菌が手に付着しがちです。菌が付いた手で目を擦ると、結膜から感染してしまいます。
家族への二次感染を防止する方法

 もし赤ちゃんが感染してしまった場合は、以下に挙げるルールを守って、家族への二次感染を防ぎましょう。


家族ははお家でもマスクを忘れずに
 飛沫感染を防ぐため、常にマスクをして世話をします。

オムツ交換の際は要注意
 アデノウイルスは、おしっこやうんちから排出されます。プール熱に感染してしまった赤ちゃんのオムツ交換をする際は、手袋を着用するとより安全です。そして、オムツ交換の後は、手洗いとアルコール消毒も念入りに行ないます。

タオルや食器の共用を避ける
 タオルには結膜からのウイルスが、食器には唾液からのウイルスが付着しやすくなっています。タオルや食器は共用せず、しっかりと消毒を行ないましょう。
 タオルや食器は熱湯消毒または次亜塩素酸ナトリウムで消毒を行ないます。熱湯消毒の場合、85度以上の熱湯に1分間以上浸して消毒します。なお、アルコールでも消毒は可能ですが、アデノウイルスは他の菌やウイルスと比較してアルコールに強いと言われています。また、直接ウイルスが付着しやすいタオルや食器は、やはりアルコールよりも更に殺菌効果の高い次亜塩素酸ナトリウム(※ハイターやミルクポンといった商品名で売られているもの)がオススメです。哺乳瓶や離乳食食器の消毒に使っていた消毒剤が余っている場合は、アデノウイルスの感染対策に役立つので捨てないで取っておきましょう。なお、次亜塩素酸ナトリウムを消毒に使用する時は換気をしっかり行ないましょう。

入浴は最後に
 プール熱に罹っても、元気があれば入浴も可能です。ただし、入浴の順番は最後にしましょう。入浴後は風呂場を洗剤できれいに掃除します。風呂場も次亜塩素酸ナトリウムで消毒するとより安心です。

目ヤニは家族の手で取らないように
 目ヤニにはウイルスが含まれているので、直接親御さんなどの手で取らないようにしましょう。ティッシュペーパーや清浄綿で優しく拭き取り、使ったら直ぐに廃棄します。

プール熱の感染を拡大させないための対策
プール熱は感染しない・させない

 プール熱は、生後間もない赤ちゃんでなければ重篤な状態になることは殆どない病気ですが、目が開かないほど腫れてしまったり、目ヤニでいっぱいになったりする姿は、傍らで見ていて辛いものがあります。

 プール熱に感染しないことはもちろんですが、感染させないことも大切です。たとえば兄弟が通う幼稚園や小学校でプール熱が流行っていたら、赤ちゃんもプール遊びはお休みするようにしましょう。何れにせよ、プール熱は日頃の注意で充分感染を予防できる病気なので、対策をしっかり行なうことで赤ちゃんをプール熱から守ってあげましょう。
プール熱の予防&二次感染予防

 咽頭から2週間、便から30日間ウイルスが排出されますので、オムツなどの交換後に汚染された手指を介して感染が広がります。そのため、オムツの取扱いにも充分注意して、オムツ交換後の流水及び石鹸による手洗いの実施が重要です。また、目ヤニが感染源となるため、ハンカチやタオルではなく、ティッシュなどの使い捨てのもので拭き取って直ぐに捨てましょう。更にタオルなどは家族とは別のものを使うようにします。また、ウイルスは熱や有効な消毒剤で不活化されますが、目ヤニや唾液がたくさん付着したタオルは、洗濯機で洗剤を使用して洗っても感染する場合があるので、分けて洗うことをオススメします。更に症状が出ている人や発病して日の浅い人の感染力は強いので、入浴の順番を最後にするといった心配りも感染拡大予防に役立ちます。
プール熱の感染対策


手指消毒
 プール熱(咽頭結膜熱)は飛沫や手指を介して感染するので、充分な手洗いと手指消毒が肝要です。また、回復後も便にウイルスが排出されているので、トイレ後やオムツ交換後は手洗いと手指消毒を徹底しましょう。

健康管理
 外から帰った後や空気が乾燥している時などには、うがいやマスク着用の習慣を持ち、予防に努めましょう。

周囲の清掃
 家庭内感染を防ぐために、手がよく触れる場所などは小まめに洗浄・除菌を行ないましょう。

プール熱に罹った時の登園&登校とその判断
プール熱に罹った時の登園&登校の判断

 プール熱に罹った場合、登園や登校の判断には、初期症状が治ってから2日ほど空けて、再度病院で受診し、医師の許可が必要になります。特にオムツ交換が必要な乳児の場合は、感染から1ヶ月後まで便からウイルスが排出される場合があるため、最低でも1ヶ月は自宅で安静にするように言われることが多いです。また、保育園や幼稚園によっては個別の基準を設けている場合があるので、入園の際の決まりを必ず確認し、守るようにしましょう。更にスイミングスクールの再開についても、医師の診断を仰ぐようにし、また、感染した場合は施設へその旨を連絡しておくと、施設側の対処で更なる感染を防ぐこともできます。なお、社会人がプール熱にかかった場合は、特に出社停止に関する明確な基準は設けられていないのですが、少なくとも症状が治るまでは自宅に安静にするとよいでしょう。
潜伏期間中、保育園や幼稚園は行ってもいい?

 アデノウイルスは潜伏期間中でも感染力があるので、保育園や幼稚園には登園しないことが本来は望ましいのですが、潜伏期間中には症状が出ないので、実際は潜伏期間であることに気づかずに登園してしまうことが大半でしょう。たとえば兄弟がプール熱に感染し、そのことに気が付かずにお風呂にいっしょに入ってしまったとか、明らかに潜伏期間に入っていると考えられる場合には、保育園や幼稚園の登園を控えることが望ましいです。なお、乳児健診の予定がある場合には、たくさんの赤ちゃんが集まるので、スケジュールを変更しましょう。予防接種も、念のために潜伏期間が明けてからの日程に変更した方がよいでしょう。
プール熱(咽頭結膜熱)の出席停止の期間

 アデノウイルスは感染力が強く、プール熱は学校保健法で第二種伝染病に指定されているため、感染が分かった場合は、発熱や咽頭炎、結膜炎などといったプール熱の主症状がなくなった後、2日を経過するまでは出席停止の措置が取られることが学校保健法で定められています。すなわち、プール熱が一応回復しても、直ぐに学校に出席してもよいというわけではないのです。ちなみに出席停止とは、学校教育法第35条(第49条)または学校保健安全法第19条(旧・学校保健法第12条)の規定に従って行なわれる措置のことで、出席停止期間の基準は感染症毎に個別に定められています。出席停止となった日数は学校に登校しない状態であっても、欠席には当たりません。
 プール熱の症状は4〜7日間は続きますが、それに加えて2日必要なので、発症して最低1週間程度は学校に行けないと思ってよいでしょう。なお、主に診療現場では、解熱して2日後に出席可能とされています。そんな訳で、元気になって子供が学校に行きたがっても、そこは何とかしっかり話して我慢させる必要があります。もしもプール熱に感染してしまった場合は、まず学校に連絡して、プール熱に感染したので出席出来ないことを伝えます。なお、証明書の受け取り方等については、電話する際に予め聞いておくとよいでしょう。
プール熱に罹った後は治癒証明を

 学校保健法では伝染病の対処方法が決められていますが、これによるとプール熱は第2種伝染病に分類され、飛沫感染で移る病気とされています。プール熱の潜伏期間は5〜7日間で、その後高熱を発するようになります。潜伏期間が長いので、原因を特定しづらいのも感染を広げる原因になってしまいます。プール熱の登園の目安は、熱が下がって、喉の痛みや結膜炎がなくなった後、2日を経過してからと定められています。

 プール熱のウイルスであるアデノウイルスは感染力が非常に強いウイルスなので、団体で生活させる時にはやはり心配になるものです。幼稚園でも、こうした感染症が広まるのは好ましくないので、プール熱と診断された場合、直ぐに幼稚園に連絡をすることが大切になります。
 プール熱は一般に夏風邪と言われていますが、普通の夏風邪とは違って、いきなり高熱を発症したりします。また、何度もぶり返して熱を出してしまう可能性もあるので、完治した証明のためにも、幼稚園などに登園する場合には治癒証明を取るようにしましょう。また、プール熱はただの風邪ではなく、第2種伝染病に分類されているので、幼稚園や学校によっては登園する際に治癒証明が必要な場合があります。そのため、幼稚園や学校にそれぞれ個別に問い合わせる必要があります。
プール熱に罹ってしまったら?
プール熱(咽頭結膜熱)に罹ってしまったらどうするか?

 プールでプール熱に感染しないようにするには、水泳前後のシャワーや洗眼、うがいが大切です。しかし、プール熱に罹ってしまった場合も、うがいや手洗いが大切なことに変わりはありません。登園や登校については主治医とよく相談して決めましょう。ちなみに学校保健法では、症状がなくなった後2日を経過するまでは登校できない決まりになっています。

 アデノウイルスに対する特効薬はありませんが、喉の痛みにはうがいや鎮痛薬、また、目ヤニや結膜炎(充血)には抗生剤やステロイドの点眼薬を使い、眼の痒みが強い場合には抗ヒスタミン薬やステロイドの点眼薬を医者から処方されることがあります。また食事等は、喉に痛みがあるのでオレンジジュースなどのような刺激のあるものは避け、たとえば麦茶や牛乳、冷めたスープなどといった喉越しのよい少し冷たい飲みものがオススメです。また食べものは、たとえばゼリーやプリン、冷めたおじやや豆腐などといった、刺激が少なく、噛まずに飲み込めるものがよいでしょう。
「プール熱に感染したかも?」と思ってから1週間は要注意

 プール熱の潜伏期間は1週間程度の場合が多いので、「もしかして感染したたかも?」と思ってから約1週間は注意深く患者の様子を見守る必要があります。
学校に登校しても2週間はプールに入らない

 たとえプール熱が回復しても、直ぐにプールに入らないようにすることが大切です。というのも、体調が回復しても体内にはウイルスがまだ残っており、二次感染する恐れがあるからです。

 二次感染期間は、発症してから2週間程度です。つまり、回復しても1〜2週間程度は便やクシャミなどによってウイルスが排出されるのです。幾ら元気であっても、ウイルスは完全には存在しなくなっているわけではないということを頭に入れておきましょう。従って多少多めに見て、2週間はプールに入らないようにするとよいでしょう。
参考:プール熱に似たはやり目とは?

 プール熱(咽頭結膜熱)に似た症状で、はやり目と呼ばれる流行性角結膜炎という病気があります。

 はやり目もプール熱と同様アデノウイルスによって引き起こされますが、プール熱とは違う8、19、37型(稀に4型11型)による感染で発症します。プール熱の症状に似ていますが、症状はプール熱よりも更に目の症状は重く現われます。白目が真っ赤に充血し、目が開かないほどに腫れ、涙や目ヤニがたくさん出る結膜炎症状が出ます。その一方で、発熱や喉の痛みといった症状は殆ど出ません。
 プール熱同様、感染力が強いため周囲に感染している人がいたら注意が必要です。はやり目は、プール熱と異なり全世代に幅広く流行するため、人が触れる様々な場所(ドアノブや手すりなど)にウイルスが付着します。ショッピングセンターなどの公共の場で多くの人が頻繁に触る場所に触れ、その手で目をこするなどして感染するケースが多いです。なお、1才未満の子が罹ると、細菌感染を同時に併発し、角膜が破れる等の重篤な症状となることもあります。何れにしても、早期に医師の診断を受けることが大切です。


咽頭結膜熱と流行性角結膜炎は何科を受診すればよいのか?
 結膜炎や角膜炎など目の症状のみが出ている場合は眼科を受診するのがよいでしょう。やはり専門医なので、適切な治療をして貰えます。ただ、感染性が疑われる場合には他の患者にウイルスを移してしまったり、或は感染者が帰った後は病院中を消毒する必要があるなど、病院に寄っては出入り口を分けていたりすることもあることから、事前に電話で連絡をして確認してみることがオススメです。一方、発熱や喉の痛みなど他の症状がある場合は、内科や小児科、耳鼻咽喉科がよいと思います。こちらでも抗生剤や目薬なども処方してもらえますし、もしも専門医の診察が必要と判断されたなら紹介をしてくれます。なお、アデノウイルスは抗ウイルス剤がないので、治療は全てそれぞれの症状を緩和させる対症療法になります。

参考:ウイルス感染症に関する参考情報


◆参考図書
『小児感染症のイロハ 感染看護に必要な知識と対策』日総研出版
尾崎隆男+吉川哲史+伊藤嘉規・監修
『小児感染症のイロハ 感染看護に必要な知識と対策』
日総研出版・2013年08月刊、3600円
種類の多い小児感染症の看護と対策、疾患、予防接種の知識を網羅。小児科必須の代表的な感染症の最新知識と感染対策を一冊に!
『子どもの感染症・アレルギー』子どもと健康95、労働教育センター
「子どもと健康」編集
『子どもの感染症・アレルギー』
子どもと健康95、
労働教育センター・2012年07月刊、1771円
子どもの感染症―診療の現場からみた「実際の感染症」、子どものアレルギーなどを概説。
『子ども医学館 キッズ・メディカ安心百科』小学館
横田俊一郎+渡辺博・編
『子ども医学館 キッズ・メディカ安心百科』
小学館・2002年10月刊、4000円
病気やけが・事故のくわしい解説や症状から病気がわかるチャートなど、わかりやすいと信頼を得ている本書が、応急手当の改訂等、別冊付録「医者からもらう子どもの薬安心BOOK」を付けて、充実改訂しました。子どもの病気解説書の決定版と好評の本書に、応急手当の改訂や別冊付録「医者からもらう子どもの薬安心BOOK」を付けて、充実改訂。本書のおもな特色は、以下のとおり。1.新生児から思春期までを対象に、子ども特有の病気やけが・事故をくわしく解説。2.気になる症状から疑わしい病気が、チャートですぐわかる。3.皮膚、便、口の中の状態をカラー写真で示し、症状がわかりやすい。4.病気は、症状、原因、治療法、家庭でのケアまでくわしく解説。5.けがや事故の応急手当は、2色図解で見やすく、わかりやすい。6.体と心の発達と日常ケアも年齢別にくわしく解説。7.生まれてくる赤ちゃんの健康を考え、妊娠中の病気についても解説。8.使い方や保存法など、薬のことが付録としてひとつにまとまり安心。
咽頭結膜熱について - 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou17/01.html
ワンポイントアドバイス 夏風邪
http://www.yamato-gr.co.jp/ans/12-08/index.html
ワンポイントアドバイス 手足口病
http://www.yamato-gr.co.jp/ans/14-07/index.html
ワンポイントアドバイス ヘルパンギーナ
http://www.yamato-gr.co.jp/ans/14-08/index.html


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