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 昨年4月の電力自由化に続いて、いよいよ今年の4月からもガスの自由化が始まりました。今回は電力自由化に続くガス自由化について、そのメリットとデメリット、また効果的なガス会社乗り替え法に関して特集しました。
ガス自由化


ガス自由化
【1】ガス自由化とその目的
【2】ガス自由化のメリットとデメリット
【3】ガス会社乗り替えとその手順


【1】ガス自由化とその目的

 昨年4月の電力自由化に続いて、いよいよ今年の4月からもガスの自由化が始まりました。
 本節では、ガス自由化とは何か、その目的や意義について解説しました。
ガスの自由化とは何か?

 今までは、ガス(都市ガス)を供給してもらうためには、東京なら東京ガス、大阪なら大阪ガスといったように、それぞれ住んでいる地域のガス会社からのみガスの供給を受けられる仕組みになっていました。この仕組みは、ガスを安定して消費者に供給できるように今までガス事業法という法律で決められてたのですが、今後都市ガス自由化されると、その状況が一変することになります。
 各家庭へのガスの供給は、従来はそれぞれの都市ガス会社が所有しているガス管を使用して供給して来ましたが、このガス管を他の業者も託送料金という使用料を払うことで共同で使用することができるようになりました。そうなると、自分の地区の都市ガス会社以外にもガスの供給を受けることが出来るようになるので、自由化後は契約したい会社と契約することが出来るようになるのです。

 先月の4月1日からガス自由化がスタートしました。ガス自由化と言っても、上でも指摘したように、正確には都市ガスの小売り全面自由化ですが、これは、どこからガスを買うかを今後は消費者が自由に選べるということです。もっとも、実はプロパンガスの販売は既に自由化されていますし、また、工場など大口向け都市ガスも既に自由化されています。今回変わるのは一般家庭向けの都市ガス販売です。
 これまで一般家庭向けの都市ガス供給は地域のガス会社が独占していて、たとえば東京都の23区内に住んでいる人は、自動的に東京ガスからガスを買っていたわけですが、今後は新規参入する複数のガス会社が、地域のガス会社が所有するガス菅を共同利用することになります。従って、東京23区内の一般家庭がガスの購入先を東京ガスから新規参入のA社に変更すると、A社は東京ガスに託送料金を払ってガスの託送を依頼することになります。そのため、ガス漏れなどがあった場合、A社からガスを購入していたとしてもも、今まで通り東京ガスが駆け付けて対応することになります。変わるのは、ガスの販売会社が東京ガスからA社に変わるということで、ガス料金を支払う会社がA社になるというだけで、新たなガス管工事は必要ありません。契約先を変更したい人は、まず地域のガス会社に連絡し、検針票に書かれた契約名義や顧客番号などを伝えて手続きすることになりますが、その手続きは、電話の他、インターネットでも行なうことができ、所要時間は10分程度です。なお、新しいプランに切り替える場合も申し込みが必要になります。
ガス自由化とその基礎知識


自由化がされるのは都市ガス
 一般にガス自由化と言いますが、ガスにも都市ガスとLPガス(プロパンガス)の両方があり、2017年4月に自由化がされるのは、このうちの都市ガスのことを指しています。要するにガス自由化とい言った場合は都市ガス自由化を意味しているのです。なぜ都市ガスだけ自由化するのかというと、実はLPガスは既に自由化がされていてるからです。

そもそも都市ガスとは?
 都市ガスとは、ガスの製造工場において作られたガスを地下に埋設されたガス管を使ってそれぞれの家庭にガスを供給しているタイプのガスのことを言います。都市ガスの原料はメタンを主な成分とする天然ガスで、国外から輸入している液化天然ガスが大半を占め、現在約90%が輸入に依存している状況です。また、都市ガス大手として、東京・大阪・東邦・西部の4社、準大手として北海道・京葉・北陸・中部など9社、その他の地方におよそ200社ほどの都市ガス会社があります。なお、都市ガスを使う家庭用器具では、ガス給湯器やガスコンロなどが一番身近なところで、ガスファンヒーターやガス炊飯器、また最近は電気とお湯を同時に作れるエネファームやエコウィルなども普及しています。

都市ガスとLPガス(プロパンガス)の違い
ガス自由化 ガスの種類には都市ガスとLPガスがあり、その違いは大きく分けると2つに分けられす。まず第一はガスの供給方法で、都市ガスは地下に埋設されたガス管を使用して供給され、LPガス(プロパンガス)はボンベにつめられたガスをガスを使用する家まで運び、そのボンベから供給されます。第二は空気にと比較した場合の重さで、都市ガスは空気よりも軽く、LPガスは空気よりも重い性質を持っています。そのためガス漏れ警報器は、都市ガスは部屋の上の方に設置し、LPガスは下の方に設置します。

 技術的なことを省いて除いて、両者の違いをごく簡単に説明すると、大都市に住んでいれば使用しているガスは都市ガスであると言ってほぼ問題ありません。都市ガスがガス管を通して各家庭に運ばれるのに対して、LPガス(プロパンガス)はガスボンベにガスが充填されて各家庭に供給され、ガスボンベの中のガスが空になった場合はガスボンベを交換してもらうことになります。従って、ガスボンベに入っているのがLPガスで、最近はおしゃれなLPガスボンベも増えていると言います。そして、都市ガスは地下に埋められているガス管を通って各家庭に供給されるのに対して、LPガスはガスボンベでガスが供給されます。また、その成分としては、都市ガスは液化天然ガス(LNG)を主な成分としており、LPガスはプロパンやブタンを主成分としています。都市ガスもLPガスでもその原料は輸入に頼っています。もちろん使い方としては料理や給湯などがメインで、両者とも全く変わりません。また、LPガスは既に自由化されており、誰でも自由にガスの販売をすることが可能ですし、消費者も自由にLPガスを会社を選べるようになっています。

電力自由化とガス自由化の違い
電力・ガス自由化の共通点


事業者間の競争が期待できる
 電力もガスも自由化によって消費者が事業者を自由に選択して電気及びガスを買うことができるようになることがその共通点です。このことにより事業者間での価格競争が起こり、消費者にとっては以前よりお得にガスが買えるようになることが期待されているのです。

セット割引など価格以外のメリットが増える
 既に電力自由化で明らかになっているように、ガス会社も自社の強みを生かしたセット割引や特典を提供し、消費者がガスの価格以外でもメリットを得られるようになることが考えられます。たとえば新電力の場合であれば、電気とインターネット、ガソリン、携帯電話、コンビニなど様々な割引を組み合わせたものがあり、より強いお得感が得られるようになりました。各種カードにポイントが貯まるサービスなども魅力的です。自由化されたガス市場でも当然このような動きが見られることでしょう。もちろん電気とガスのセット販売のように、エネルギーを一括でお得に契約できるサービスも増えることが考えられます。

きちんと比較・検討を行なう必要性が出てくる
 電気の場合もそうでしたが、自由化の後は多くの新参業者が現われて選択肢が増え、消費者が自力でガス会社を選ぶのが難しくなることが当然ながら考えられます。そこで必要になってくるのが電力やガス会社の比較を行なうサービスで、世帯人数や使用量、環境への配慮など様々な観点から最適な電力及びガスの料金プランを提示するサイトが参考になります。

電力・ガス自由化の違い


都市圏間の融通が利かない恐れがある
 電気の場合、配電網は全国に繋がっているため、都市圏間での電力のやり取りがスムーズに行なえます。そのため、たとえば東京電力でも関西エリアに電気を供給することができます。また逆に関西電力や東北電力が関東エリアに電力を供給することも可能になるのです。それに対してガスの場合は都市圏間でのパイプラインが完全に整備されておらず、地域を跨いでガスの販売を行なうことが難しい状況となっています。そのため、関東エリアの家庭は関東のガス会社から選び、関西エリアの家庭は関西の会社から選ぶという風に電力ほどの選択肢は増えないかも知れず、また、都市ガスのパイプラインは大都市圏に集中しているため、地方都市では自由化の後もガス市場の動きは活発にならないことも考えられます。また、電力のように発電と配送電を自由に行なうためにはガス導管の分離を行なって、現在大手ガス会社が所有しているガスの配管を自由に使えるようにする必要があるのですが、その法制面の整備が未だ出来ていないのが現実です。

市場規模の違い
~電力とガスの市場規模にはかなりの差があります~
 ガスの場合、基本的に都市ガスとLPガスという区分が存在し、都市ガスはシェアの65%、LPガスは343%強程度を占めています。LPガスは既に自由化されているため、今回のガス自由化は都市ガスの販売を自由化するという意味です。従って、電気の場合とは異なり、ガス自由化の市場規模は電気のものより小さくなると予想されています。電力自由化の市場規模が8兆円程度とされていたのに対し、ガス自由化の市場規模は2.4兆円と比較的小さなものになっています。

自由化前の状況の比較
 電力の場合、自由化以前は全国大手10社にシェアが集中し、それぞれの地域に主要な電力会社がありましたが、ガスの場合は更に数少ない会社に集中しています。都市ガスの場合は東京ガス・大阪ガス・東邦ガスの大手3社だけで70%の市場シェアを占めており、新規参入業者にとってはこの大手3社のシェアを如何にして切り崩していくかがポイントになって来ます。

ガス自由化とその目的
ガス自由化で何が変わるのか?

 ガス自由化により、今後は消費者が都市ガスの事業者を自由に選べるようになります。要はライバルが生まれることで競争原理が働き、サービスや価格が改善されることが期待されているのです。

 従来ガス会社は地域独占の都市ガス大手1社と契約するか、都市ガスがない場合はプロパンガスか簡易ガス(団地ガス)から供給を受けるのが普通でした。特定の事業者が独占を続けると供給は安定するかも知れませんが、当然価格は高くなりがちでした。今まで都市ガスは独占状態が続いており、資源エネルギー庁の調べでは東京ガと大阪ガス、東邦ガスの3社で全国のガス販売量の7割を占めています。しかし、自由化に伴って都市ガスと簡易ガスに新規参入が認められるようになりました。ガス自由化は競争を促すことによって料金を抑制し、技術革新を創発させることが目的となります。
 自由化されるのは電力自由化と同じく小売の分野です。エネルギーの供給には<作る><送る><売る>といった流れがありますが、今回自由化されるのは、このうちの<売る>の部分になります。ガス導管は今まで都市ガスが使っていたものと同じものなので、安全性には特に問題はありません。また、乗り換えに当たっては新たな工事やメーターの交換なども必要ありません。
ガス自由化の目的

 都市ガス自由化が行なわれる目的は様々ありますが、まとめると2つに絞られます。

 一つ目の目的は、都市ガスの料金を今よりも値下げするという目的です。元々日本の都市ガス料金は他国と比較しても高いと言われており、今回の自由化では、複数のガス会社が価格を競い合うことで、より料金が値下がりすることが期待されています。
 二つ目の目的は、顧客へのサービスの向上に関して、原価が決まっているガスの価格は幾ら競争しても限界があるため、各社とも顧客獲得に様々な付加価値を付けたサービスを提供してくることが考えられます。既に電力自由化で新規参入会社が行っているサービスでは、たとえば電気とガスのセット割引きや、ケータイ電話料とのセット割引、使用量に応じてポイントを付与したりするなど様々なサービスが提供されています。従って、電力自由化で見られるようなサービスが、都市ガス自由化によってガス業界においても見られるようになることが考えられます。

 このように、一つの会社だけではありえなかったガス料金の値下げとよりお得なサービスの提供などが、ガス自由化の最大の目的と言えるでしょう。
ガス会社のメリット

 ガスの自由化は、既存の都市ガス会社にとっては、今まで独占していた販売の権利を失うことになり、デメリットだと思われがちです。しかしながら、これは企業にとっても新しいビジネスチャンスと考えられます。今までガスを提供・販売するエリアが限定されていたのに対して、市場が自由化されることで、今後は広範囲にガスを提供・販売することが可能になり、逆に顧客を今までよりも増やすことも可能になります。たとえば東京ガスは、電力自由化に伴い、新規顧客開拓や現顧客の囲い込みの目的もあって、大規模な電力販売に力を入れています。たとえば電力会社が都市ガスを販売することも考えれますし、石油系の企業がガスを都市ガスの小売り事業に参入することもあるかもしれません。そうなれば周辺のビジネスにも影響がありますので、日本経済の活気づけとなる可能性もあります。このようにただ黙っていては顧客は減るばかりですが、逆にアイデアや工夫によっては今まで以上に顧客を増やす事が出来るのがガス自由化の最大のメリットと言えるでしょう。
都市ガス自由化はいつから始まるのか?


今年の4月より都市ガスの自由化が始まった
 今年の1月から新しいガス会社の予約受付が開始され、ガスの供給元が切り替わるのは2017年4月1日以降から本格的にガス自由化が始まりました。電力自由化の時と同じように、2017年の年明け当たりから新規参入業者が続々と誕生し、それぞれの特徴を生かして、付加価値を付けたより魅力的な料金プランが発表されていくことになります。

自由化は90年代から開始
~都市ガス自由化は既に行なわれていた!?~
 ガス自由化という言葉自体、最近になって初めて聞いたという人が殆どでしょうが、しかし、日本でも1990年代から都市ガスの自由化が少しずつ進められてきました。
 都市ガスの自由化が今年の4月から行なわれていますが、実は家庭用を対象としていて、既に大口の工場などは1995年から自由化が開始され、1999年と2004年、そして2007年と段階的に自由化が行なわれてきているのです。このように大規模なところから徐々に段階を踏んで自由化が進められてきたのです。今回の今年4月からの家庭向けのガス自由化は、都市ガスの自由化の最終段階としてとなり、これによって都市ガスは完全自由化されたということになります。従って、今回の家庭向けの自由化は都市ガス自由化の総仕上げ的な意味合いを持っています。なお、既に自由化されている部分については、新規の参入企業(関西電力など)が15%のシェア(2012年度)を獲得しています。ほぼ同じ時期に、同じような形で自由化された電力事業では、新規参入企業(新電力)のシェアは全面自由化時点でたった5%程度でした。私達の知らない間に、ガス自由化は着々と進んでいたのです。

2022年の導管分離にも注目
 上記の完全自由化も小売に関する部分でのものです。それに対して、2022年には導管分離が行なわれる予定です。導管分離というのは、ガス大手3社(東京ガス、大阪ガス、東邦ガス)からガス管を管理する部門を分離して別会社にする改革です。導管分離がしっかりと実行されることで、新規参入のガス会社がより魅力的な料金プランを出せるようになるかも知れません。この改革が行なわれて、ようやく都市ガスの完全自由化か完了することになるのです。

参考:ガスの小売り自由化までの日本のガス事情
 ガスの原料と言えば、液化天然ガスが現在はメインですが(日本はその殆どを輸入に頼っています)、昭和40年頃までは主に石炭系ガスや重油、軽油、ナフサを改質して作られた石油系ガスがメインで使用されていました。これは日本に限ったことではなく、更に時代を溯れば石炭を蒸し焼きにして作ったガスがガスの元祖で、イギリスで初めて使われるようになりました。しかし、天然ガスの方が石油系ガスに比べて熱量も高く、安全性も高いことから、天然ガスの導入が進められ、昭和44年から液化天然ガス(LNG)の輸入が開始されました。
 日本でガス事業が始まったばかりの時期は、1つの会社が取り扱うガスの販売量が多ければ多いほどコストが下がるため、より効率的に都市ガスの普及が望めるという理屈の下、限られたガス事業者に地域独占権を与えてガス事業を進めてきました。ガス会社を規制しておくことの方が、自由競争ではないというデメリットよりも効率よくガスを整備できるというメリットの方が大きかったわけです。けれども、今日でも主なガス導管も日本では整備が進み、十分に効率的にガスが供給出来るようになりました。こうして特定のガス会社に限ってガス事業を行なうことに以前ほどの利点は認められなくなり、大口需要家から徐々にガスが自由化されて来たわけです。

ガス自由化に参入する企業

 まず都市ガス自由化に伴っての新規参入会社の中でもガス会社の最大のライバルとなるのは、東京・関西・中部などの大手電力会社です。電力会社は多くの発電所を所有していますが、火力発電の燃料には都市ガスの原料でもある天然ガスを使用しているために、以前より多くのガスの取り扱いを行なっています。電力自由化によって、ガス会社からは1年早く電気の販売を行なわれ、顧客を奪われて来ただけに、今度は逆にガスを販売して巻き返しに必死になってくることも予想されます。
 一方、昭和シェルやENEOSなど電力自由化にも参入している石油元売会社の参入も予想されます。石油元売も電力会社同様に元々多くの天然ガスの取り扱いを行なっているので、ガスの販売に不安はありません。
電力自由化の時にも何かと話題になったau・ソフトバンクなどの携帯電話会社も参入を検討していると思われます。
 また携帯電話会社は、ガスのノウハウはないものの、自社での圧倒的な顧客数と全国各地にあるショップが活用できるのが強みです。その他にも様々な業種からの参入が予想され、それぞれの強みを生かしたサービスを提供してくれることでしょう。


ガス事業に早速新規参入を表明している電力会社
  • 東京電力
     東京電力が輸入するLNG(液化天然ガス)の量は日本企業としては1位です。国内最大のガス会社である東京ガスの2倍を超える取扱量があり、国内輸入量の3割を東電が占めているので、安定した供給が出来ると考えられます。

  • 中部電力
     都市ガスの主原料であるLNGの調達量で見ても、中電は東邦ガスの4倍以上と圧倒的で、火力発電で使うために膨大な量のLNGを取り扱ってきたからこそ都市ガス自由化への参入は当然の結果と言えるでしょう。

  • 関西電力
     関電はガス自由化に早い時期から参入し、実績を上げてきました。大口顧客向けのガス販売は2000年から開始し、売上高が754億円という大きな事業に育て上げています。新規参入のガス会社としては国内最大の販売量(大口向け)を持ち、ガスの取り扱い量では国内4位の規模です。

  • 九州電力

     都市ガスの主原料でもあるLNG輸入量で、九州電力は西部ガスの4倍以上という圧倒的な設備をを持っています。規模が大きければその分、料金が安くなると思います。都市ガスには全くの新規参入とは言え、コスト競争力は充分に持っています。

  • HTBエナジー

     HTBエナジーはハウステンボス株式会社などが設立した長崎県の電力会社で、一般家庭や企業に向けて電力を供給しています。「電気代一律5%オフ」という料金プランを掲げて1万6千件の契約を獲得しており、ガス事業にも新規参入すると発表しています。


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【2】ガス自由化のメリットとデメリット

 ガス自由化には様々なメリットが挙げられます。しかし、当然のこととしてそこにはデメリットも存在しています。
 本節では、ガス自由化のメリットとデメリットについて解説しました。
ガス自由化で月1000円の節約につながる可能性も!?

 今年の4月から都市ガスが自由化されました。都市ガスの小売業者を消費者が選択できるようになることで、ガス代の節約にも繋がりそうです。
 大体、都市ガスが自由化されても、料金が同じなら今のガス化会社をわざわざ変更する必要はありません。それだけに当然新規参入会社は既存の会社のガス料金よりも僅かでも安く提供して新規契約の獲得に乗り出すはずで、その競争が激しくなるほどガスの料金は安くなる可能性は高くなるわけです。それならば、当然昨年4月の電力自由化によって電気代が下がった家庭も多いかと言うとさにあらず、実際に切り替えた家庭は僅か4~5%程度なのが現状だと言われます。電力の小売り事業者を変えることで電気代が安くなると分かっていても、切り替える家庭が少ないのはその認知度の低さにも原因があります。というのも、電力全面の自由化について細かい内容まで知っている人は大体4割程度で、安くなると分かっていても、手続きが面倒だったり、保安面での不安がある人が多いことが伺えます。しかし、このまま切り替えを検討しなければ、小さな損が積み重なり、結果的に家計に影響する可能性も否定出来ません。切り替えによる節約は、会社やプラン、ライフスタイルによりますが、標準的なご家庭で月々1000円程度だと考えられます。とはいえ、光熱費は日々何十年も払い続けるものですし、切り替えなければ10年で12万円近く損することにもなりかねません。手続きが面倒と言われますが、切り替えはネットや電話一本でも住むので、当然ガス会社を切り替えた方が得だと言えます。手続きの手間と節約を天秤にかけたら、どちらが得か一目瞭然です。ガスと電気はセットで切り替えると更に割引率が上がるケースもあるので、この際、ご家庭の光熱費を見直してみてはどうでしょうか。


自由化する前の都市ガスの平均的な値段はどのくらいなのか?
 2012年のデータによると、一般家庭の都市ガスの年間消費量は平均で約400㎥とされています。1ヶ月当たりにするとおよそ33㎥となり、現在の東京ガスの20㎥~40㎥の基本料金は1,026円で、これに利用料単価は1㎥当たり130円56銭×33㎥=4,308円48銭を加えると6,413円76銭となります。これを現在の平均的な世帯構成で、夫婦2人に子供1人の3人家族で考えた場合、およそこの6413円76銭という金額が都市ガスの平均的な値段と言えると考えられています。

予想ではどのくらい値段が変わるか?
 現時点では正確に幾ら安くなると言うことは断定できませんが、しかし「10%以上今のガス料金よりも安くなる可能性がある」と言うような話も既に業界関係者からは聞こえてきており、他社への乗り換えによって10%程度の削減幅になる可能性が高いのではないかと考えられます。

ガス自由化で消費者にはどんなメリットがあるのか?

ガス自由化 消費者にとってガス自由化のメリットは何でしょうか? ガス自由化のメリットを消費者の立場から見た場合、消費者にとって最大のメリットは自由に好きな都市ガス会社を選べるようになりことです。もちろんガス料金に注目して1円でもやすいガスを提供しているガス会社を選ぶことができますし、或はその都市ガス会社の方針に共感できるものがあるのであれば、ガス料金以外の面を考慮して選ぶこともできます。分かりやすいガス料金プランを提供する会社、定額制のガス料金を販売する会社、既に電気も販売している会社であれば、ガス・電気のセット割なども選べるようになるでしょう。更に今後ガス会社が増えれば当然競争が起こりますし、そのため、魅力的なガス料金を提供するため、分かりやすいサービスを提供するため、各ガス会社が切磋琢磨してくれるはずなので、消費者にとっては嬉しい変化が起こることが期待できます。
 このような理由から、ガス自由化によって、ガス会社間の競争に伴う料金引き下げや多様な料金メニューが出て来る可能性が高いと考えられています。そのため、消費者はこれまでよりも安くガスを購入できる可能性が高いです。具体的にはセット割引で、携帯電話やケーブルテレビ、インターネット接続などあらゆる分野に広がっています。ガス自由化でも様々なセット販売が更に増えるものと考えられています。もちろん電力にしてもガスにしても、切り替えによる節約効果は、世帯人数や契約プラン、ライフスタイルによって大きく異なって来ます。仮に月々500円の差額が生まれているとすれば、10年たてば6万円の損をするということになる。光熱費は日々何十年も払い続けるものです。これは電気代にも当然言えることですが、「切り替えるのは面倒くさそうだから」などと億劫になっていると、知らずに損をしてしまうことになりかねません。

 ちなみに、現在のガス料金は総括原価方式と呼ばれる方法で算出されており、これは、設備投資費や人件費、燃料費等、ガス事業を行なうためのコストに一定の利益率を乗せて計算するもので、ガス会社の経営が安定する一方で料金が割高になる特徴があります。自由化により料金設定も各事業者に委ねられるため、料金の低下が期待できます。それに加えて、これまでになかったサービスが登場する可能性が高く、たとえば電力会社によるガス・電気の同時加入による割引や通信会社による携帯電話やインターネット接続サービスとのセット割り、通販会社によるポイント優遇などが考えられます。
 さらに、自由化によって都市ガスの普及率の向上が見込まれています。経済産業省はガス事業法の運用規則を改正することによりガスの導管網を整備しやすい環境を整えることを決定しました。現在都市ガスの普及率は約50%にとどまり、普及が進まない原因は導管網の敷設が遅れていることにありますが、整備が進めば都市ガス事業者の数も増え、消費者の選択肢が広がるのではないかと期待されています。


ガス自由化のメリット
  • 好きな都市ガス会社が選べるようになる
  • 競争によりガス料金が安くなる可能性がある
  • 競争によりガス会社のカスタマーサービスが向上する可能性がある
  • 消費者の意見がガス会社に届きやすくなり、より消費者目線のガス料金やサービスが提供されるようになる
  • 周辺ビジネスも盛り上がり、日本経済の活気がよくなる

参考:これからはガス+電気のセット割の時代に

 昨年4月の電力自由化に伴い、ガス会社が電力へ参入し、様々なガス+電気のセット割プランを打ち出しましたが、今年の4月からはガスの自由化がいよいよ始まります。今度は電力会社がガスへ参入し、新たなガス+電気のセット割が発表され始めています。


ガス+電気のセット割とは?
 昨年4月の電力自由化に伴って新電力へ多くの新規参入企業が参入し、激しい顧客争奪戦が繰り広げられています。その競争の中で勝ち抜くために各事業者が取り組んでいる戦略の一つがセット割です。それは、ただ単に電気代の値下げを図るのではなく、電力とガスのサービスをまとめて販売することで割引を提供するプランです。既に多くの顧客を獲得しているガス+電気のセット割ですが、これは電力自由化に伴って既存の電力会社から顧客が流出した状態です。各事業会社は、既にガス自由化を見越して顧客の囲い込みを図っていたのです。そしれ、今回はガス自由化に伴って電力会社がガス+電気のセット割を打ち出す形になっています。

これからはセット販売が当たり前に
 これまでガス会社については、それぞれの居住地域によって当然のように業者が決まっているような状態で、特に意識をすることありませんでした。自由化以前の電気代と同様、安いのか高いのかという概念もなく、これまではその使い方によって節約を考えるような状態でした。それに対して、これからはガスの自由化に伴ってこれまでの概念が大きく変化します。既存のガス会社だけでなく、他業種からの新規参入企業が加わることで様々なサービス・料金体系が生まれることが予想されていますが、ガス+電気のセット割もこの中の一つです。このように、ガスも自由に選べる上に、電気も自由に選べるとなると、電気料金やガス料金だけではなく、付加サービス(セット割など)で大きな割引率を提示する会社も現われてくることでしょう。これからはよりお得で安くなる会社を選べるようになるのです。

ガス+電気のセット割は契約しやすさがポイント
 セット割とは、同じ会社で契約することによりお得になる割引サービスですが、ガス+電気の相性はバッチリです。たとえば携帯電話やネット回線などは、2年間継続前提で契約しているなど解約時期を見極めないと契約解除料が発生してしまうパターンが多いです。新しい機種が出たとか引っ越ししなきゃならないなど、様々なタイミングで契約見直しを検討することになります。また、ガソリン・スーパー・クレジットカードなどは、既に使用している場合には検討の余地がありますが、使用する予定がないのにセット割のために新規契約するのも手間です。

 電力自由化の際には各企業が様々なセット割を発表しました。電気+ガスに加えて、それ以外にも、たおえば電気+携帯や電気+ガソリン、電気+ネット回線などと言った具合で、100社以上が存在する新電力ならではのプランが続々と登場しました。もちろん、お得になるのは消費者にとって嬉しいことですが、契約を変更するのにはタイミングなども重要なポイントとなっていました。 それに対して、ガスは現代社会で私たちが生活していく上でなくてはならない必需品で、解約時期に解約手数料が発生する恐れもありません。また、引っ越しの際にはまとめて一緒に解約・新規契約すれば今よりも手続きが楽になります。契約しやすいのは有難いですし、セット割を検討しやすくなるというわけです。

ガス自由化ではデメリットも忘れてはいけない

 ガス自由化にもメリットだけでなく、当然ながらデメリットもあります。多くの消費者はガス自由化に対して、料金値下げをはじめとしてよいイメージばかり抱いていて、デメリットとも言える悪いイメージは忘れ去っている感があります。しかしながら、世の常として、何事にもメリットがあればデメリットも存在しているものなのです。


ガス自由化のデメリット
  • 地域によって事業者数にばらつきがある
  • ガス料金選びが面倒になる
  • 価格が不安定になる可能性がある
  • 日本には既に都市ガス会社が200社以上存在するため、思った以上の競争が生まれない可能性がある
  • 特に期待したほどの変化は起きない可能性が高い
  • ガスの自由化に便乗した詐欺が起こる可能性がある

ガス自由化とそのデメリット
ガス自由化のデメリット


地方だと選べるガス会社が限られる
 新規参入業者が導管網の整備された都市部に偏り、地方によっては自由化の恩恵が受けられない恐れがまず考えられます。これは電力自由化でも見られた現象で、電力事業者を乗り換えた世帯の8割弱は、大都市圏である東京電力・関西電力管内でしたが、ガス自由化にも同様の現象が起こる可能性は高いと考えられています。

為替変動その他によって価格が安定しなくなる
 安くなることが期待されるガス料金ですが、安定性は必ずしも保証されなくなります。都市ガスが自由化されれば、価格競争によって料金は一時的には安くなるでしょう。しかし、ガスの原料の価格は常に変動し続け、外国から原料の殆どを輸入している日本の場合、特に国際情勢に大きく左右されてしまいます。ガスの原材料の多くは液化天然ガス(LNG)で、LNGの調達は97%海外からの輸入に頼っているため、原材料費や為替相場の影響を受けやすいのです。これについては日本より遥か先に自由化された欧米を見ればよく分かります。欧米のガス料金はLNG(液化天然ガス)の価格の変動に伴ってガス料金の料金は不安定になっています。なぜならガス料金は燃料の国際価格に連動するからです。日本にも同様の結果がもたらされると予想されています。もっとも、これは自由化以前も同じだったのですが、従来はガス料金が頻繁に変更されると消費者への影響が大きいため、ガス会社が料金を変更するには国の認可が必要でした。しかし、ガス自由化後はそういった規制が撤廃されるため、最初は安めに抑えてあった料金も、輸入コストの上下によってはガス料金が不安定になることが心配されているのです。そのため、自由化によって多くの新規参入の会社も、原料の変動に対応できなくなると価格が今までよりも変動しやすくなり、不安定な状況になる危険性があります。

ガス会社間での競争が思ったほど活発化しない可能性も
 デメリットとまではいえるか分かりませんが、都市ガス会社は既に日本に200社以上あり(電力会社が10社しかなかったことを考えると都市ガス業者の多さがよく分かります)、既にある程度競争状態にあるため、自由化になっても料金やサービスに変化は起こらないのではないかという懸念も存在するのです。

その他のデメリット
 その他にはガス導管の使用料の公平性の問題なども考えられますが、全国のガス導管の約50%を所有している東京ガスと大阪ガス、東邦ガスの3社がガス導管分離を行なうことも既に決められているのす。そのため新しい都市ガス小売り会社でも大手の都市ガス会社と公平な条件でガス導管を利用できるようになります。この法整備は2020年の予定となっています。

ガス自由化後の複雑な料金体系に消費者は混乱しないか?

 ガス自由化で料金が引き下げになるのは大変結構なことなのですが、果たして喜んでばかりいてよいのでしょうか? と言うのは、自由化で参入してくる多くの業者は既存のガス会社と提携して新しい料金体系で市場に臨もうとしているからです。そうなれば当然業者の数に応じてセット割プランの数が多くなるでしょう。少し増えるだけなら問題はないのですが、どうもそうではなさそうで、メニューが大量に増えると予想されています。そのため、ユーザーがどれを選べばよいのか選択に迷う心配も当然ながら出て来ます。つまり、選択肢が多すぎるため混乱を招く可能性が高いということです。何となればそれも当然で、既存の電力会社だけを見ても、その殆どがガス販売を強化しようとしているからです。たとえば東京電力一社を取ってみても、提携先はガス会社や携帯電話会社、有線放送会社など多岐に及んでおり、それら各社と新しい料金体系を組んで新料金として打ち出して来るわけです。それだけではありません。ポイントサービスの名の下に、クレジット系のポンタやTポイント、リクルートなどとも提携して新しいポイントサービスを企てているのです。今後消費者は、これだけ多くの中から新たな料金を選択することになるのです。これでは混乱を招くのが当然といえるかもしれません。
ガス自由化では消費者が損することもある


選択肢の多さに惑わされてはいけない
 ガス自由化に際して参入してくる業者の数を考えて下さい。既存の電力会社及び700社以上に及ぶ新電力と呼ばれる会社が自由化に伴ってガス市場にどっと参入してくるのです。ガス自由化では既存のエネルギー会社の事業拡大と他業界から新たに参入する会社が入り乱れて新しい料金体系の商品が売り出されます。それだけに大変な数の新料金プランが生まれることが予想されますが、当然ながら数が多ければ選択が難しくなります。これでは混乱するなという方が無理かも知れません。ユーザーは新料金プランを選ぶに際しては極力冷静になって混乱を起こさないよう注意する必要があります。

プラン内容の不透明さを見破らなければいけない
 今回の自由化は、ガスだけの自由化ではなく、電力の自由化も含めた総合的なエネルギーの自由化で、それ故に電力会社がガスも供給でき、ガス会社が電力も供給できるようになるのです。ということは、既存の会社だけでも取扱商品が2倍になるということを意味しています。これに他業界から新しい業者が参入してくるわけです。これだけでも自由化後の市場の混乱が容易に予想できます。心配なのはこの混乱に乗じて料金や内容で透明性の怪しい商品が出回ることです。従って、消費者は料金が安くなると喜んでばかりいてはいけません。今後は消費者自身が確かな選択眼をもって、そうした怪しいサービスを見抜かなければならないのです。

ガスの自由化の課題と問題点

 当然ながらガスの自由化にも幾つかは課題があります。まず都市ガス会社は日本に200社近くあり、そのうち赤字の都市ガス会社が50社近くあると言われています。今後は電力会社とも競争してゆかなくてはいけないことを考えれば、このような小さな都市ガス会社が生き残るのは難しいでしょう。また、ガス導管は繋がっていない箇所も多くあり、隣接ガス会社でもガスのパイプラインが整備されていない箇所があります。ガス導管の整備拡大と拡充が今後の課題となっています。

 都市ガスの最大の目的としているところは現在のガス料金を今よりも安くすることにあります。しかし、多くのガス会社がある地域は大都市部に限定されていて、地方では競合するガス会社はまだ殆ど存在しない状況です。そのため、競争によって価格が安くなるような恩恵を受けられるのは、今のところ競合する会社がひしめく都市部に限定されていることが問題として挙げられます。また、都市ガスの普及率は2013年で東京・大阪・京都などの都市部では100%を越えていますが、低いところでは沖縄の35.7%や青森の36.5%などとなっています。こうした数字から見ても、都市ガス自由化でより安いガス会社を選べると言っても、都市ガスが普及していない地域が未だ半分ほどあることになります。従って、都市ガスが普及していない地域の人にはガス自由化の恩恵はなく、都市ガスよりも2倍近い価格差があるLPガス(プロパンガス)を今まで同様に使わなければいけないことになります。電力自由化のように殆どの地域の人が自分が気に入った電力会社と契約して電気を買えるという状況と比べると、都市ガス自由化はまだまだ課題が多いと言わざるを得ない状況です。
 電気の小売り自由化、ガスの小売り自由化と続き、エネルギー業界はメガコンペティション(大競争)期に突入します。少なくとも今までのガス・電力会社には多くの変化やチャレンジが必要になるでしょう。競争が生まれるので、その結果価格が下がるということが市場の原理により予想されており、消費者の意見や意向が企業により反映されやすくなることも確実です。
ガス自由化詐欺に要注意

 新たな制度が導入されると、便乗する詐欺が横行するのが定番です。事例としてよく見られるのが、ガス会社の営業と称して他の商品やサービスを売りつけるものです。自由化に伴い新たなガス機器が必要などと言ってガスコンロを販売したり、ガスの点検のためと称して作業費用を請求したりする手口が考えられます。自由化に機器の購入や有料の点検は必要ないので、奨められたらきちんと断わるようにしましょう。
 また、大手ガス事業者の関連会社や公的機関を装い、料金調査やガス点検のためと偽って個人情報を聞き取ろうとする詐欺もあります。電話や訪問で立ち入った質問をされた場合は、安易に情報は伝えず、会社名の確認と身分証の提示を求めるとよいでしょう。
 さらに、強引に乗り換えを奨める業者にも警戒したいものです。現在のガス料金よりも大幅安い料金を提案する業者には、期間限定の優遇価格であることや細かい条件が設定されていることを伏せているケースが少なくありません。契約後に料金が割高であることが判明し、解約を申し出ると高額な解約違約金を請求されるパターンです。
 早期割引等で早く契約を迫る事業者が後を絶ちませんが、ガス自由化は今後も続くので何も焦る必要はありません。徐々に新規参入企業が増え、新たなプランやサービスが出揃ってからでも決して遅くはありません。

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【3】ガス会社乗り替えとその手順

 それでは、ガス会社の乗り換えにはどんな手続きが必要でしょうか?
 本節では、ガス自由化に対する不安を取り上げた上で、ガス会社乗り替えの手順を解説しました。
ガス自由化に伴う不安
都市ガス自由化で安全面は大丈夫か?

 これまでもガスは爆発事故など危険なイメージがありましたが、それだけに都市ガス自由化でガスの安全性に不安を感じている人も多くいるかも知れません。しかし、ガス自体はガス事業法という法律によってしっかりと品質管理されているため、今までより安く供給されているからと言って品質が悪いガスが供給されるようなことはありません。万が一ガス管の破損などによってガス漏れなどが発生したとしても、今までと変わらずそれぞれの地域のガス会社が責任を持って対応してくれるので、そういった不安は不必要です。
都市ガス自由化してもそのままにしていても大丈夫か?

 都市ガスの自由化が行なわれたとしても、今のガス会社を変更する予定が無ければ特別な手続きや連絡などは一切必要ありません。今まで通り変わらずガスの供給を受けることが出来るので、安心して使用しましょう。電力自由化の時と同じく、自由化になると変更が必要というような詐欺紛いの勧誘業者も現われる可能性があるので十分に注意して下さい。
ガス会社の乗り替えに工事は必要か?

 新しい事業者と契約しても、今まで使っていたガス管をそのまま利用するので、基本的に工事はしなくて大丈夫です。ガス会社を変更するには、今まで供給していたガス管の交換・コンロや給湯器の設備の交換などは一切一切必要ありません。今まで使用していたガス管は、自由化によって共同使用が可能になるために、ガス会社を変更してもガス管の交換は不要で、もちろんコンロも給湯器の交換も必要ありません。従って、基本的に自由化後のガス会社変更に伴う乗り換えのための工事は不要と考えて構いません。ただし、都市ガスをLPガスに変更したり、LPガスを都市ガスに変更したりする場合は、ガス器具はそのままでは使えなくなることがあるので、その場合は部品の交換などが必要になります。
ガス会社を乗り変える時には工事費用などはどのくらいかかるのか?

 ガス料金が安くなったとしても、乗り換えるための費用に数万円の費用がかかるのでは中々簡単には乗り換えできません。しかし、まず第一に、ガス会社の乗り替えに伴う工事が必要ないので、工事費用は当然かかりません。ガスメーターをスマートメーターに交換する可能性はありましが、この場合も設置工事が必要なければ費用はかかりません。
 ただし、ガス会社を切り替えるための契約事務手数料などが多少かかることがあります。しかし、その場合でも、その費用はせいぜい3000円程度で、しかも手数料を無料で対応する会社も予想されているため、乗り替えの費用としては0円~3000円程度と考えておいてよいと思います。なお、ガス漏れ警報器の設置については基本的に設置は義務ではないので、警報器の設置のための費用負担は考えなくてもよいです。ただ、3階建て以上の共同住宅や立消え安全装置がないガスコンロを使用しているなど、条件によっては設置が義務化となる場合もあり、そういった時は別途設置費用が発生します。
戸建ての持ち家や分譲住宅はガス会社を乗り変えることができるのか?

 戸建ての持ち家や分譲住宅の場合でも、ガス会社を乗り変えを行なうのには特別な制限などはなく、自由にガス会社を選んで乗り換えることが出来ます。新築の戸建ての持ち家や分譲住宅だと、エネファームやエコウィルを使用した発電設備を導入しているケースが多いですが、エネファームやエコウィルを使用していても、乗り変えには何ら支障はありません。なお、多くのガスを必要とするエネファームやエコウィルだけにエネファーム専用プランといったよりお得なプランが新規参入会社から提案される可能性があるので是非活用したいところです。
マンションや賃貸でも切り替えられるか?

 自宅がマンションや、或は一戸建てであっても、自宅にガスメーターが設置されていれば問題なくガス会社イスの切り替えができます。賃貸の場合も問題ありません。大家さんや所有者に伝えて下さい。


分譲マンションはガス会社を乗り変えることができるか?
 分譲マンションに現在入居しているケースでも、既に都市ガスを使用しているのであれば、ガス自由化に伴うガス会社の乗り換えは問題なく可能です。現在使用している都市ガスの導管をそのまま利用することが出来るので、特別な工事の必要もなく、申し込みを行なうだけで乗り換えられます。

賃貸住宅や賃貸マンション・アパートはガス会社を変えることができるか?
 賃貸住宅や賃貸マンションや賃貸アパートなどの場合、他の人から借りているから勝手にガス会社を変えることは出来ないと思われがちです。しかしながら、そんなことはなく、元々乗り換えに工事などは不要なので、現在他の都市ガスを使用しているのであれば問題なく好きなガス会社を選んでの乗り換えが可能です。ただ、供給されているガスが都市ガスの場合は乗り換えは問題ありませんが、LPガスの場合は管理会社や大家さんにガス会社の選択権があるために自由に乗り換えを行なうことは出来ません。

新しい事業者でもガスの質や安全性は変わらないのか?

 都市ガス用のガス管の中を流れるガスの品質管理は徹底されており、新しい事業者も高品質のガスを供給しなければなりません。従来からあるガス管をそのまま使用する以上、ガス管を管理する事業者が品質を厳密にチェックするので、質の悪いガスが混じることは考えられません。緊急時のガス漏れなどは従来通り地域の都市ガス会社が対応することになっているので安心です。
万が一新しいガス事業者が倒産したりしたらどうなるのか?

 ガス自由化後に契約したガス会社が万が一突然倒産してしまったら、ガスの供給はどうなるのか心配に思う人がいるかも知れません。しかし、仮にガス会社が倒産した場合でも、電気と同じく、ガス管を所有している導管会社は最終保障供給約款というものを準備しているので、契約した事業者が倒産したからと言って、直ぐに自宅のガスが止まってしまうということはありません。ただ、最終保障供給約款というのは緊急事態に対応した一時的な措置なので、新しいガス事業者が倒産等によって事業を廃止するような状況になる場合は、導管会社から1ヶ月後にはガスが停止するという通知が利用者宛てに告知することになります。告知を受けた方では、通知が届いてからガスが停止するまでの1ヶ月の間に他のガス小売り事業者を選んで契約し直す必要が出て来ます。
ガス会社の乗り変えとその手順
ガス会社の切り替え&乗り替え
ガス自由化


 ガス会社の乗り変えの手順としては、まずは乗り換えるガス会社はどこが一番よいか決まったら、次にそのガス会社に電話やWEBページなどで申し込みを行ないます。これには今まで契約していたガス会社への切り替えの連絡は不要で、また、現在既に都市ガスを利用していればガスの元栓の開閉の必要もありません。新しく契約したガス会社より切り替わる日の通知があるので、その日から新しいガス会社へと移行することになります。乗り換えの手続きは何かと面倒と考えている方も多いようですが、決して面倒な手続きなどなく、簡単に乗り変えができます。
今からできるガス自由化の準備


現在のガス使用量や契約内容を確認
 ガス事業者の選定や料金シミュレーションを行なうには現在のガス使用量や契約種別が不可欠なので、まずはそれらをガス検針票やWEB明細で確認しておきましょう。ガス使用量は総量だけでなく、どの季節や時間帯に使用量が多いのか知っておくとよいでしょう。今後利用状況に応じた料金プランが出てきた時に使えるからです。

参入企業の情報を得る
 自分の住んでいる地域で選択できる事業者は、面倒くさがらず全て把握しておきましょう。とは言っても、そんなに身構える必要はありません。経済産業省の調べによると、新規でガス小売業に登録されている事業者は2017年3月時点で23社しかないからです。380社以上新規参入した電力自由化に比べると盛り上がりに欠けるものがありますが、供給予定地域を絞ると、該当する事業者は2~3社ということになるでしょう。

今のガス会社の契約プランを確認する
 今のガス会社のままでも、契約プランを見直すだけで割安になるケースもある。たとえば東京ガスでは、ガス給湯器エコジョーズを使うプランに変えることでガス料金が通年3%割安になります。また、家庭用燃料電池エネファームの契約をすることで、冬季のガス料金を18%削減することが可能だそうです。このように契約内容を変更するだけでガス料金を下げることができることも記憶にとどめておきましょう。

ガス会社の選び方


地域で絞る
 ガス会社の供給地域は限られます。まずは最初に自分が住んでいる地域にガスを供給している新ガス会社があるか調べます。新規参入企業がある地域についても、新規参入の企業が少ないため、電力会社の1社ぐらいしか候補にならないケースが多いはずです。そのため、必ず自分が住んでいる地域が対象になっているか調べるようにしましょう。

料金プランを比べる
 次に現在契約しているガス会社のプランと新ガス会社のプランを比べます。現在一般契約で、特に割引などが適用されていない場合は、特に何も考えずに切り替えてもお得になる可能性が高いでしょう。しかし、エネファームなどを使っていて、割引プラン(特別プラン)が適用されている場合は、乗り換えによって損になってしまうこともあるので注意が必要です。

料金を計算してみる
 自宅の使用量で料金を計算してみます。ガスの料金は基本、使用量が増える毎に料金が高くなり、使用料金は安くなってゆきます。月の使用量によって、適用される基本料金・使用料金が毎月変わるので注意が必要です。自宅の平均料金を参考にして切り替えをするかの判断に役立てましょう。

参考:ガス自由化に関する参考文献と参考サイト


◆参考図書
川本武彦『電力・ガス自由化の話 知っておくとメリット絶大』幻冬舎メディアコンサルティング
川本武彦・著
『電力・ガス自由化の話 知っておくとメリット絶大』
幻冬舎メディアコンサルティング・2015年09月刊、1500円
「自由化」を最大限に活かす「電力×ガス」の戦略的組み合わせを専門家が分かりやすく解説。
チェジョンウン他『電力・ガス自由化の衝撃! 暮らしも価格も大きく変わる』毎日新聞出版
チェジョンウン+本橋恵一・著
『電力・ガス自由化の衝撃! 暮らしも価格も大きく変わる』
毎日新聞出版・2016年05月刊、1100円
安くなるだけじゃない!スマートメーター、HEMS、デマンドレスポンス、地域ケアシステムなど生活を変える新概念のサービスを徹底解説。
『知って得する! 知らなきゃ損する! 電力自由化完全ガイド』学研プラス
学研プラス・編
『知って得する! 知らなきゃ損する! 電力自由化完全ガイド』
Gakken Mook、学研プラス・2016年03月刊、690円
2016年4月から電力自由化がスタート。本当に得するのは、続々と名乗りを上げる新電力なのか? はたまた既存電力の新プランやセット割プランなのか? 電力各社や専門家へのインタビューを通じて、本当に得する電力の選び方をていねいに解説。
トマ・ヴェラン+エマニュエル・グラン『ヨーロッパの電力・ガス市場 電力システム改革の真実』日本評論社
トマ・ヴェラン+エマニュエル・グラン著
山田光・監訳+エァクレーレン・訳
『ヨーロッパの電力・ガス市場 電力システム改革の真実』
日本評論社・2014年12月刊、5500円
EU全体にエネルギーネットワークをはりめぐらし、自由化でも、再生エネでも世界のトップをひた走る欧州の情況を詳細に紹介する。
ワンポイントアドバイス 電力自由化
http://www.yamato-gr.co.jp/ans/16-04/index.html
料金シミュレーション - 祝!ガス自由化 - ニチガス
http://www.nichigas.co.jp/freedom/simulation/
自由化に伴うガス会社の家庭向けガス料金比較 - エネニュー
http://enenew.net/


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