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 マイナンバー制度が来年の1月から始まります。今回は、マイナンバーとは何か? その利点とリスクについて取り上げました。 マイナンバーカード


マイナンバー
【1】マイナンバー制度とは何か?〜その目的と意義〜
【2】マイナンバー法の成立と意味
【3】マイナンバー制度の利点とその問題点


【1】マイナンバー制度とは何か?〜その目的と意義〜

 ついにマイナンバー制度が始まります。
 本節では、そもそもマイナンバー制度とは何なのかについて解説しました。
マイナンバーとは何か?



いよいよマイナンバー制度が開始
マイナンバー通知

 最近、新聞やTV、雑誌などで話題になっているマイナンバー制度。今年の10月下旬より11月にかけて、全国の住民票の住所に通知カードが送付され、平成28年から運用が開始されます。
 マイナンバー制度とは、日本国内の全住民一人一人に12桁の番号を通知し、社会保障と税、災害対策などの分野で効率的に情報を管理し、活用されるものです。従来は税務署や社会保険事務所など行政毎に個人情報が管理されていましたが、これをマイナンバーという一つの番号で管理をすることを目的としています。

マイナンバー制度の概要
 マイナンバーとは、社会保障・税番号制度のことで、国民一人一人に12桁の固有の番号が割り当てられ、この番号を元に国民全員の収入を正しく把握して公平に税金を徴収したり、社会保険の加入手続きや保険料の徴収、給付手続きなどを行なったりします。また、行政手続きの効率化を図ったり、福祉分野の給付を正しく行なうためにも利用されるとされています。これらを実現するために全国民の収入や社会保険の加入情報等を行政が把握する必要があるので、サラリーマンであれば会社に自分のマイナンバーを提出し、会社は源泉徴収や社会保険の手続きにおいて各社員のマインナンバーと会社に割り当てられた法人のマインナンバーを記載することになります。扶養家族がいる場合は、家族のマイナンバーも会社に提出します。さらに、もしも副業などをしている場合はバイト先の会社にもマイナンバーを知らせなければなりません。つまり、誰がどこから・どれだけ収入を得たかということを国が把握することができる制度です。まるで全てが監視されているみたいで、疚しいことがなくても嫌な感じがします。さらに年金情報の流出事件のように、マイナンバーやそれに紐付けられた情報がもしも流出してしまったとしたら重大な問題となります。各省庁や自治体、年金機構等の行政関連機関ももちろんですが、社員のマイナンバーを保持する民間企業においても情報のセキュリティはしっかりと強化してもらいたいところです。

なぜマイナンバー制度を作ったのか?

 日本のマイナンバー制度は世界の中でもかなり後発の制度となります。殆どの先進各国で同様の制度が取り入れられてきた理由は、行政の管理コストが大幅に削減できるからです。要するに、一人一人に固有の番号が振られて、それを様々な個人情報に紐付けておけば、税や社会保障、引越しなどで必要な申請や手続き、調査がとても簡単にできるようになるわけです。また、マイナンバーは、社会保障と税、災害の分野のみに利用が当面は限定されています。
 住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が構築されてから10年余りになりますが、さほど期間が経っていないのに、それでは一体なぜマイナンバーという制度を新たに作る必要があったのでしょうか? 

マイナンバー制度
総務省HPより)


年金記録問題
 2007年、社会保険庁の年金の記録の管理が杜撰なことから持ち主が不明な年金が5000万件あることが発覚しました。その後の調査などで持ち主が判明したものもありますが、2014年時点で2000万件が行方不明のままになっています。その原因のひとつは、年金記録を紙で行なっていたことです。既にぼろぼろになってしまった紙では、記録の内容が解読できなくなってしまっています。管理するにはデータで、かつ一生変わらない番号での管理をする必要があるということになります。しかし、住基ネットは市町村毎で管理するため、住所が変わると番号が変わってしまいます。それでは年金の管理ができないのです。

生活保護の不正受給問題
 生活保護とは、生活が困窮する方に対して最低限の生活が送れるようにするための支給制度です。要件に当て嵌まらければ支給が受けられないのは当然ですが、収入や貯蓄がないように偽装して不正受給する人も多くいます。その原因のひとつに、生活保護の要件の審査にあります。しかし、その調査には限界があるのです。不正受給をさせないためにも、その人の収入や資産が役所間で共有、調査できるような仕組みが必要になります。

震災時の身元確認
 震災時に被災者に支援金を給付しようとしても身元確認手段がなく、金融機関の作業に支障が生じてしまいました。マインバーを通じて本人確認ができればスムーズに災害支援ができることになります。

マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)は何のために導入されるのか?

 マイナンバーとは、住民票を有する国民一人一人に12桁の番号を一つ付すことで、(1)行政を効率化し、(2)国民の利便性を高め(3)公平かつ公正な社会を実現する社会基盤です。


行政を効率化
 行政機関や地方公共団体などで様々な情報の照合・転記・入力などに要している時間や労力が大幅に削減されます。複数の業務の間での連携が進むので作業コストの削減に繋がります。

国民の利便性を高める
 行政手続を行なう際に国民に求められる添付書類が削減され、手続が簡素化されます。また、行政機関で行なわれるサービス情報も受け取りやすくなるので、負担軽減と充実したサービス受給が実現します。

公平かつ公正な社会を実現する
 国民一人一人がマイナンバーを所有することで各人の所得や他の行政サービスの需給状況を把握しやすくなります。少し前に話題となった不正受給や負担を不正に免れる行為を防止し、逆に本当に支援を必要としている人へ適切なサービスを供給することができるようになります。

マイナンバー制度は誰が使うのか?

 企業は、従業員の健康保険や厚生年金の加入手続き、従業員の給料から源泉徴収して税金を納めています。マイナンバーは社会保障・税・災害対策の手続きのために国や地方公共団体、勤務先、金融機関、年金、医療保険者に提供するものですから、企業において個人のナンバーを運用するのは主に雇い主である企業であるということになります。このことを考えると、従業員のマイナンバーを管理する企業に対してはより一層厳格な安全管理措置が求められることになります。制度が導入された後は、源泉徴収など税に関する書類や健康保険など社会保障に関する書類へのマイナンバーの記載が義務付けられます。そのため、企業は雇用している従業員からマイナンバーを集めなくてはいけません。しかし、秘匿性が非常に高い個人情報なので、厳罰規定が設けられています。故意に不正行為を行なった場合は、監督官庁からの是正勧告は行なわれず、直接に刑事罰が課されます。また、従業員が不正行為を行なった場合、当人だけでなく雇い主の企業も罰金刑が課せられるという両罰規定も存在します。

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【2】マイナンバー法の成立と意味

 マイナンバー制度導入に当たって、マイナンバー法が改正されました。
 本節では、マイナンバー法案の改正点について解説し、併せて住基ネットとマイナンバーの違いについて解説しました。
住基ネットとマイナンバー制度の違い


住基カード、マイナンバー制運用の陰でひっそり交付終了、普及率はたったの5%
住民基本台帳カード 国民一人一人に12桁の番号を割り当てる税と社会保障の共通番号(マイナンバー)制度が2016年1月から運用されるのに伴い、氏名や住所といった個人情報が記載され、各自治体で身分証明に使われていた「住民基本台帳カード」(住基カード)の発行が年内で終わります。マイナンバー制度の運用によって、住基カードとほぼ同じ機能を持った個人番号カードが新たに交付されるためです。ちなみに住基カードは2003年から交付が開始されました。旅券発行やインターネットを使った納税や転入転出などの手続きに使われました。しかし、総務省の資料「住民基本台帳カードの交付状況」によると、2013年3月31日までの普及率はたった約5%に留まりました。

とかく批判の多かった住基ネット
 総務省によれば、住基ネットは、住民の方々の利便性の向上と国及び地方公共団体の行政の合理化に資するために居住関係を公証する住民基本台帳をネットワーク化し、全国共通の本人確認ができるシステムとして構築するものだとされていました。しかしながら、国民にとって住基ネットの実際のメリットは、身分証明書になる他、パスポートや年金関係の届け出をしたり、eタックス(税金のネット申告)を利用したりする程度で、使い道は非常に限られていました。総務省によると、住基ネットの運用に毎年かかるコストは約130億円です。ちなみに、民主党政権時の事業仕分けの際には、運営法人が官僚の天下り先になっているとか、運営コストが高すぎると言った指摘もありました。このコストに対し、パスポートを申請する時の住民票や年金管理に使う現況届などを省略することで事務の効率化や郵送料の削減が実現し、約160億円の直接的な費用対効果があるとしています。また、書類の記入や投函を省略することで住民の機会費用等や交通費の削減として約350億円の間接的な効果も発生するとも言われていました。しかし、直接効果はまだしも間接効果は根拠が曖昧で、本当にこれほどのメリットがあったのかは意見が分かれるところです。そのため、個人情報保護の観点等などから住基ネットへの参加に難色を示す自治体も少なからずありました。その一方で、住基カードは今のところ情報漏洩などのトラブルが少ないという肯定的な意見も散見していますが、たった5%の普及率では問題など起きなくて当然という声もあります。もっともトラブルが全くなかったわけでもなく、このように住基ネットの10年を振り返ってみると、とにかく批判が非常に多かったことを改めて思わされます。

住基ネットとマイナンバーの違い
 それでは、散々な評価だった住基ネットと、これから始まるマイナンバーの違いは一体どこにあるのでしょうか? 最も大きなポイントはその利用範囲の広さです。住基ネットの情報は氏名、生年月日、性別、住所だけに留まり、閲覧も役所内部に限定することを前提としていました。一方マイナンバーは、国民一人一人に固有の番号を割り当て、希望者にはICカードを配布、社会保険に関する情報照会や確定申告など様々な手続きが個人向けのインターネットサービスを通じてできるようになる見込みです。マイナンバーでは税分野や社会保障、災害対策といった多岐に渡る情報が共通の番号で管理され、行政事務の効率化の他、税や社会保障に関する不正の防止も期待されています。また、法律の施行から3年後を目処に民間での利用も視野に利用範囲の拡大が検討されます。
 マイナンバーの導入には、初期費用だけで住基ネットの数倍となる約2700億円もの費用がかかると推定されています。運営費は年間200億〜300億円と言われており、IT業界を儲けさせるだけという批判も聞えてきます。管理は住基ネットを運用する地方自治情報センターを格上げして設立される地方公共団体情報システム機構が担い、早くも天下り問題を指摘するメディアもあります。もっとも、制度自体はIT基盤を活用し行政の効率化が量られるとして評価する向きも少なくありませんが、ただ、こういった電子政府化への動きはメリットがある反面リスクも多く、たとえば住民登録番号を導入している韓国ではネットを経由した詐欺事件が多く起きているとも報じられています。また、国が個人の情報を把握し過ぎることに対する不安の声も多く聞こえます。マイナンバーを活かした電子政府化の推進が掲げられる中、解決すべき課題も数多く残っています。

改正マイナンバー法が成立

 今年の9月3日に改正マイナンバー法が衆議院本会議で成立しました。この改正マイナンバー法は来年の1月より始まるマイナンバーの利用範囲を広げるものであるとされています。それでは、具体的に、どのような用途が追加されるのでしょうか?


マイナンバーの利用範囲が広がる
 来年の1月から始まるマイナンバー制度では、大きく3つの使用用途(社会保障・税・災害対策)が示されていました。しかし、今回の改正マイナンバー法では、使用用途として新たに銀行口座と特定健康診査・予防接種記録との紐付けが組み込まれることになりました。銀行口座にマイナンバーを紐付けすることによって、税務局などは個人の資産を把握することが可能となり、脱税の発見や年金の不正受給の防止に繋がることが期待されています。こんなことを言うと、「銀行口座の情報が勝手にマイナンバーと紐付けされるのではないか?」と不安になる人も多いと思いますが、現段階では口座との紐付けは任意となっています。よって、直ぐさま口座の情報が流出したり閲覧されてしまう心配はありません。また、予防接種記録や特定健康診査(いわゆるメタボ検診)などの健康管理の記録は転居時に自治体や健康保険組合の情報共有に利用されます。

年金とマイナンバーの紐付けは先送りに
 その一方でマイナンバーと年金が紐付けされることは当面の間見送りとなりました。これは今年の6月に日本年金機構がサイバー攻撃によって個人情報が大量に流出してしまった事件を受けたことによる措置で、最大でマイナンバーの取り扱いを1年5ヶ月、基礎年金番号との紐付けを11ヶ月遅らせることを決定しています。

個人情報保護法も同時に改正された
 マイナンバー改正法と同時に改正個人情報保護法についても成立しました。改正個人情報保護法は、いわゆるビッグデータと呼ばれるような膨大な電子情報の活用を目的として改正が行なわれました。具体的には、名前や住所、生年月日、顔写真などを個人情報として定め、これらの情報を特定できないように加工をすれば本人の同意がなくても情報の利用・活用が可能であるというものです。マイナンバーやマイナンバーが特定できる内容のものは特定個人情報という個人情報より更に厳しい情報の保護措置が必要になります。

マイナンバー制度のスケジュール

 マイナンバーが行政の手続きで必要になるのは来年の1月からで、それまでの手続きなどはこのようになっています。
  1. 2015年10月〜
     通知カードの発送、マイナンバーの通知が始まります。対象は住民票を有する全ての人で、送付されるのは住民票の住所です。

  2. 2015年10月〜12月
     個人番号カードの申請の受け付け開始、その対象は希望者のみ。写真は自分で準備します。スマホで撮ったものをオンラインで送ることもできます。交付料は不要。

  3. 2016年1月以降
     マイナンバーの使用開始、個人番号カードの交付開始。

  4. 2017年1月
     マイナポータル開設(※機能の詳細は検討中)、インターネットで自分の個人情報をいつ・誰が・なぜ提供したのか確認できるようになります。また、行政機関が持っている自分の個人情報の内容が確認できるようになります。

個人番号カードの使い道

マイナンバーカード 個人番号カードは運転免許証やパスポートのように身分証明にも使うことができます。ただし、個人カードの情報は漏れたら大変危険なので、身分証として使うのは控えた方が安全でしょう。
 個人番号カードは電子申請を行えるICチップが搭載されています。加えて図書館の利用証や印鑑登録証など各自治体のサービスに使うこともできます。とても便利な反面、個人番号カードで個人情報が分かってしまうのではないかとと心配される人がいるかも知れませんが、個人番号カードに搭載されるICチップには、カードの両面に書かれている情報(住所・氏名等)と電子証明書のみ記録されます。所得や病気の情報などは記録されませんので多少安心ではあります。


個人番号カードの有効期限
 個人番号カードには写真が記載されているので有効期限があります。20歳以上の方は10回目の誕生日まで、20歳未満の方は5回目の誕生日までです。


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【3】マイナンバー制度の利点とその問題点

 マイナンバー制度には、その利点に加え、様々な問題点が指摘されています。
 本節では、マイナンバー制度の利点とリスクについて詳しく取り上げ解説しました。
マイナンバー制度の問題とリスク

 政府筋の話を聞くと、よいことずくめのようなマイナンバー制度ですが、必ずしもそうとは限りません。現在は行政サービスベースで運用の話が進んでいますが、将来は民間サービスにも次々と適用されてゆくことが予定されています。たとえば銀行口座がその一例ですが、マイナンバー制度が始まったら銀行の預金口座にはマイナンバーを任意で紐付けらることができます。任意ならまだよいのですが、口座とマイナンバーの紐付けは将来的に義務化される可能性もあり、そうなると行政、特に税務署や国税庁からお金の流れが丸見えになってしまいます。不正を行なっていなければ問題ないとも言えますが、たとえば気軽に行なってきた親族間でのお金の振込みも税務署にいちいちチェックされ、ある日突然、贈与税の納付通知が届くといった事態も考えられます。そして、税金をきっちり払うか、適切な説明をしなければ、もちろん税金の滞納ということになってしまいます。また、別に疚しいことは何もなくても、突然収入が増えたり、友人に貸していたお金が振り込みで返ってくることなどがあれば、税務署からいちいち説明を求められることも考えられます。

 そもそもマイナンバー制度は、財務省が国民の資産状況を把握しやすくすることが主目的ではないか、などという陰謀説なども一部では囁かれており、監視を嫌う富裕層の資産が将来的に海外に流出してしまうこともあるかも知れませんが、そうなると、日本経済全体のマイナスにも繋がりかねない事態になります。また、クレジットカード、携帯電話などにマイナンバーが紐付けられると、それはそれで便利な面もあるでしょうが、今度はマイナンバーを不正に利用したなりすましの被害が懸念される。なりすましは今でもありますが、マイナンバー制度を悪用することで、同時により多くのことができてしまう可能性があります。あなたの偽物が、偽造したマイナンバー付き身分証明書ひとつで住居を借りたり、クレジットカードを作ったり、或は携帯電話を契約したりして、後日大量の請求書があなたのところに届くという事態にもなりかねないのです。
個人情報を守るために必要なことは?
古典的な詐欺が巧妙化する恐れ〜心配な情報流出!詐欺グループは「千載一遇のチャンス」と手ぐすね!〜

 マイナンバーは、日本で住民票を持つ人全てに与えられる12ケタの番号で、10月から住民票の住所宛てに届けられます。送られてくるマイナンバーの通知書には番号カード(マイナンバーカード)の申請書がついており、切り取って、氏名、住所、生年月日など書き込み、裏に顔写真を貼って郵送ないしはQRコードを使いカメラ付携帯電話で送ることになっています。来年1月以降に個人宛てに番号カードの交付窓口を知らせるハガキが届き、そのハガキと本人確認のための免許証などを持参して指定の窓口に行けば番号カードの交付が受けられますが、しかし、番号カードは必要な人が交付申請するというもので、たとえば子どもなどには必要ないのないものです。

 もちろん、この12ケタの番号だけが漏洩しただけでは直ぐにセキュリティーのリスクがあるとは言えないものの、今後産業利用が進み、個人番号と名前、住所、銀行口座、病気の治療情報等々の情報が番号とセットで漏れる事態が起きれば当然ながらその危険性は高まってゆくことになります。今後産業利用が進めば個人になりすまして還付金を受け取るなどのなりすましのリスクも高まるわけですが、マイナンバーの用途が限定されている現時点での当面の危険性は、これまで起きていた古典的な詐欺の手口がより巧妙な形で出現することでしょう。たとえばメールによる還付金詐欺という従来からある手口の詐欺でも、名前・個人番号・メールアドレスがセットで漏れた場合、そのメールに騙そうとする相手のマイナンバーや氏名を明示して書くだけでより信憑性の高いメールを送ることも可能です。このように、これまで起きていた詐欺事件を、その人のユーザープロフィールに特化した攻撃に変えてより巧妙化させることも考えられるわけです。実際、詐欺グループは、この制度の複雑な仕組みに付け込んで、「千載一遇のチャンス。間違いなくマイナンバー詐欺が大流行する」と手ぐすねを引いていると言います。その証拠に、既に高齢者などに不審な電話がかかって少なからぬ人達が既に被害に遭っていることは日々のニュースでもご存知の通です。
 何れにせよ心配なのは番号情報の流出で、1か所でこれが漏れると全て漏れてしまう危険もあります。たとえば消費税が更に10%に増税された場合の軽減処置として、その還付にマイナンバーカードを使うなどという案が出されましたが、これが実際に行なわれるようになって、消費税の軽減を受けたい人は、いつも自分のカードを持ち歩い歩いていなければならなくなります。当然ながらカードを紛失する不安もあるし、子どもに持たせておくとセキュリティーも心配になります。そもそも全国の全ての小売店にマイカード読み取りの端末を設置する膨大な費用は誰が持つのでしょうか。そのような批判に対して、あろうことか、麻生財務相は「嫌なら家に置いて持ち歩かなければいい」と暴言に等しい発言をしました。1円でも安いスーパーを探している主婦に向かってよく言えるものですが、「そんなに面倒臭いなら還付はいらない」と納税者が言い出すのを狙っているんじゃないかとすら勘ぐりたくなります。ちなみにこの案は現在取り下げられましたが、その時の言い分が「還付の案を出せと言われたから出しただけだ」と言うのですから、呆れたものです。マイナンバー制度に対して国はこの程度のリスク感覚しか持ち合わせていないことが、このことからも明らかになりました。
個人情報盗む様々な手口

 それでは、マイナンバー制度を使った詐欺には一体具体的にどんな手口が考えられるでしょうか?

 マイナンバーがまだ配布されていないにも拘らず、国民生活センターには早くもマイナンバー制度を口実に個人情報を聞き出そうとする事例が各地から報告されていますし、そのような詐欺のニュースもよく報道されています。同センターに寄せられた報告例では、「マイナンバーには手続きが必要で、早くしないと刑事問題になるかも知れない」などと電話がかかってきたり、「マイナンバー制度の導入で個人情報を調査している」と個人宅を訪問し、資産や保険加入情報などを聞き取られたりする人もいたと言います。何れもマイナンバー制度にかこつけて、電話やメール、直接訪問といった形で個人情報を盗もうとするもので、マイナンバーが配布されて以降は更により多くの事件が起こる可能性は否定できません。
 その手口としては、不正なサイトを設けてマイナンバーを入力するよう求める手口の他、たとえば「マイナンバーを利用して税金の還付を受けるには口座番号と暗証番号が必要です」などと嘘を書き、マイナンバーそれ自体ではなく、銀行の口座番号や暗証番号を盗もうとする手口も考えられます。また、2017年から始動予定のインターネット上の行政サービスである「マイナポータル」の偽サイトなど、マイナンバーを使ったサービスを装うサイトが作られることは十二分に考えられます。その他、たとえばマイナンバー占いなど一見制度とは関係のない面白そうなサービスを装って個人番号や氏名などの個人情報を入力させようとするサイトにも注意が必要です。
気をつけるべきこと

 国民全員に配布されるマイナンバー。個人情報を守るために、何に気をつければよいのでしょうか?

 その大前提としては、役所や勤務先の手続きに必要な時以外、他人に「マイナンバーを教えてほしい」と求められても絶対に教えないことです。マイナンバーの通知カードや個人番号カードを受け取った時、twitterやFacebookなどのSNS、LINEなどにマイナンバーや個人番号カードの写真を掲載してしまったり、或はインターネット上で巧妙に個人番号を聞き出そうとするサービスに騙されて番号を入力したりしてはいけません。
 その上で対策として考えられるのは、一つは詐欺の手口を知っておくことです。銀行のネットバンクではサイト上に詐欺の注意喚起が大きく書かれているように、官公庁のサイトでも「メールでマイナンバーを伺うことはありません」などの忠告が書かれていますが、マイナンバー詐欺に騙されないためにも、それらの警告に目を配り、その時々の詐欺の方法や特徴を事前によく知っておくのが大事です。また、マイナンバーを利用してe-Taxで納税するなどの必要性からパソコンにマイナンバーを保存しておく場合、そのパソコンがウイルスに感染すれば、当然ながらマイナンバーやパスワードなどの様々な個人情報が盗まれかねません。従ってそのためにも、パソコンのOSのバージョンやウイルス対策ソフトをいつも最新の状態にし、セキュリティーの高い状態を守っておくのが大切です。
マイナンバー制度のリスク〜詐欺、なりすましだけではない!〜

 殆ど国民にその全容を知らされないままにスタートしようとしているマイナンバー制度ですが、実は信じられないほど多くのリスクを抱えているのです。それでは、一体どんな危険があるのでしょうか?


通知カードが届かない
 10月中旬から簡易書留で発送される通知カードは5千500万通もあると言いますが、これだけの簡易書留が発送されるのは初めてで、正確に届くか心配されています。また、住民票と別の場所に住んでいたり、DVで身を隠している人などには当然ながら届きません。その数はたとえば東京都新宿区などで20%、住民全体の5%と試算されています。

通知カードが盗まれて偽造される
 あなたが「まだ来ないな」と思っているうちに誤配達などによって盗まれている可能性もないとは言えません。他人が通知カードの申請書を使って個人番号カードを偽造して悪用することが今一番のリスクだとされています。通知カードは番号と住所、氏名などが書かれているだけで、それ自体に余り大きなリスクはありませんが、しかし、申請して作る個人番号カードは顔写真付きでICチップ内蔵、運転免許証と同じ身分証明書になるのです。

マイナンバー教えて詐欺が頻発
 今後5年を目処に、マイナンバーはクレジットカードや銀行口座など直接お金と関わる分野との一体化が進められます。この時になると、個人の番号意識も高くなり、簡単に漏洩しにくくなるだろうとは考えられるので、マイナンバー情報を悪用しようと考える人間は、世の中の人の意識が低い今のうちに多くの番号を集めて4〜5年後に活用しようと考えているはずです。

勤め先からの個人番号が流出する
 2016年1月からはマイナンバーは納税事務に運用されます。企業は社員全員と扶養家族の番号を集める義務が生まれるのです。マイナンバーを企業が流出させた場合、刑罰がありますが、マイナンバー担当社員が借金などを抱えていて、お金のために流出させる危険はどの企業にもあります。もしもこれが流出した場合、マイナンバーは一生涯不変が原則ですから、常になりすましや詐欺に怯えて暮らさなければならなくなります。もっとも番号の流出などの被害があれば変更可能なのですが、それが実証されない限り変更不可なのですから、被害に遭って初めて変更可能になるという危険が存在するわけです。

ある日突然自分の預貯金が何者かに引き出され、ゼロになる
 マイナンバーが銀行口座と繋がると、ハッカーに銀行口座が乗っ取られてしまう危険性も大きくなります。ウイルスによる遠隔操作によって、知らないうちに自分のパソコンが乗っ取られたケースが既に起きていますが、マイナンバーから銀行口座をたどられ、気がついたら、銀行の預貯金を全部引き出されていたという被害も起きる可能性も否定できません。

リスク回避の方法
 何とも恐ろしい話ですが、こうしたリスクから身を守るにはどうしたらよいでしょうか? 
 現状は通知カードがあれば不都合はないので、要は個人番号カードを申請しないことが最大のリスク回避となります。

マイナンバー制度に伴う企業のセキュリティ


企業におけるマイナンバーの取り扱い
 マイナンバー制度が始まると、企業は、税金や社会保険の手続きにおいて従業員などからマイナンバーを本人確認を行った上で収集し、書類などに記載しなければなりません。マイナンバーの収集対象者は、役員はもちろん、パートやアルバイトを含む従業員だけではありません。その扶養家族や、更には研修などを依頼した場合の講師に対する謝礼や原稿料、不動産使用料、配当などの支払い先なども含まれます。 また、収集したマイナンバーは法律で定められた目的以外には利用できないため、その収集から保管・利用・破棄に至るまで個人情報保護法以上に厳格な管理が義務づけられることになります。

危惧されるマイナンバー情報の漏洩や不正利用
 企業では多くのマイナンバー情報を管理することになりますが、危惧されるのは情報漏洩や不正利用の問題です。対策を怠り、マイナンバーを含む個人情報(以下、特定個人情報)の情報漏洩が発生した場合、信用の失墜や企業イメージの低下はもちろん、損害賠償やマイナンバー法による厳しい刑罰が待っています。

外部からの攻撃リスクと内部からの情報漏洩リスク
 マイナンバーは将来的に利用範囲も拡大し、より個人のさまざまな情報と結びつくため、狙われる危険性が高まります。また、情報漏洩による影響や被害も大きくなることが想定されます。従って、企業はマイナンバーの管理に当たって様々なリスクが伴うことを認識しなくてはなりません。悪意ある外部からの攻撃リスクに加え、内部からの情報漏洩リスクにも目を向ける必要があるわけです。

海外でもマイナンバー情報(社会保障番号)が漏洩
 既にマイナンバー制度のような社会保障番号制度を運用している国々では、社内外の不正行為による個人情報の漏洩や改竄、社会保障番号そのものの悪用事件が多発しています。制度の開始を控えた日本企業にとっても最早他人事ではありません。

個人番号カードとそのリスク


個人番号カード、コピーするのもされるのも注意!
 個人番号カードの表面には、氏名、住所、生年月日、性別、顔写真と本人確認のための情報が揃っています。また、マイナンバーすなわち個人番号は表面には記載されておらず、裏面に記載されています。この個人番号こそ多くの企業がマイナンバー対応に苦しめられている元凶で、これを適切かつ安全に取り扱うため、様々な作業とルールが取り決められようとしています。
 マイナンバー対策は企業だけがやればよいものだと思っている人も多いかも知れませんし、確かに現在話題になっているのは正にその部分であるため、個人がマイナンバーとどう付き合っていくべきかという点はまだまだ情報が少ないのが現状です。もちろん個人番号カードもそれらルールの例外ではありません。たとえば個人番号カードの裏面をコピーできるのは行政機関や雇用主など法令に規定されたものに限定されており、それ以外の人は、コピーのみならず、番号を書き写すことも禁止されています。特にこの点はもっと国民に知られるべき点でしょう。

身分証明として個人番号カードを使うリスク
 ありそうなシナリオは、レンタル店や携帯電話契約における本人確認でしょう。これまで本人確認を求められた場合、運転免許証や健康保険証を提出し、そのコピーを取られることに多くの人が同意してきました。すると当たり前のように運転免許証などの証明書の両面がコピーされます。しかしながら、今後個人番号カードを本人確認用に使う場合、裏面がコピーされないように注意しなくてはなりませんし、当然ながら従業員やアルバイト側にも裏面のコピーが厳禁であることを教育しなければなりません。このようなことを考えると、個人番号カードを本人確認書類として持ち歩くことはかなりのリスクとなることは間違いありません。運転免許証を持っている人はこれまで通り運転免許証で、もしも持っていないという人も、これまで通り健康保険証を使うか、何れにせよ個人番号カード以外のものをなるべく本人確認として使うのよいということになります。もしも個人番号カード以外に本人確認書類がなかった時は、認知が浸透するまでの暫くの間、相手に「裏面はコピーしないで下さい」と一声かけるくらいの注意は払った方がよいでしょう。

マイナンバー制度のメリット
マイナンバー最大のメリット

 まいなんばーの最大のメリットは、税金の負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止することで、本当に困っている人にきめ細かな支援を行なえるようになるということです。具体的には、確定申告書や源泉徴収票、支払調書などにマイナンバーを記すことで、所得の漏れがないように突合できるようになります。正しく税金の申告をされている人にとっては、公正・公平な社会が実現できることになります。また、目に見えるメリットとしては、役所に対する各種手続きが簡素化されることも挙げられます。具体的には、新たに用いられる以下のような仕組みを使い、様々な手続を省略できるようになります。

 マイナンバー制度の導入は、社会保障・税制度の大きな転換点とも言えます。従来は国民の共通番号がなく、また、役所間の情報共有も殆どなかったため、一つの書類を役所に提出するために別の複数の役所から添付書類を取り寄せなければいけませんでした。まさに縦割り行政です。マイナンバー制度はこれらの不便から解放されるというメリットがあります。しかしながら、一方では国による国民の個人情報の把握が強まる不安が指摘されているのも事実です。マイナンバー制度には、以上見てきたように、行政手続きの簡略化や必要な情報の把握、災害時での活用等様々なメリットがあります。しかしながら、私達も今後は、自分の情報が適切に収集・利用されていることをマイポータルなどで監視・監督する責任が出てきたと言ってもよいでしょう。


身分証明として個人番号カードを使うリスク
 2016年1月から希望者に無料で個人番号カードが交付されます(※住基カードの発行は原則有料でした)。このカードは本人確認書類として利用できます。また、住民票の写し、印鑑登録証明書のコンビニ交付サービスが利用可能になります。

マイナポータル
 2017年1月から利用が予定されている個人のポータルサイトのようなもので、行政機関がマイナンバーをどのように利用したかを確認できます。たとえば引っ越しがあった場合に、電気やガス、水道の連絡などがワンストップで行えること、納税などの決裁をキャッシュレスで電子的に行なうサービスが予定されています。

添付書類の省略
 確定申告などに添付する源泉徴収票や住民票を省略したり、医療費控除を受けるための医療費の領収書を不要にすることが可能になる予定です。

事務手続きの簡素化

 マイナンバーのメリットの一つは、事務手続きが簡単になることです。従来は添付書類が必要だった手続きがマイナンバーひとつで完了することになるのです。

 住民票には住民登録番号、年金には基礎年金番号、健康保険には保険者番号、税金には整理番号と言った具合に、私達には実は既に様々な番号が割り振られています。これらは既に個人毎に割り振られ、個々の役所で使われているわけですが、それぞれ番号が違うために役所間での情報共有には不向きでした。そのため、私達はある役所に書類を提出するために別の役所から別の書類を取得し、添付するという不便さもこれまで味わっていたことも事実です。マイナンバー制度の導入により、社会保障及び税分野において統一の番号ができ、役所間の情報共有が容易となります。これにより、従来のように手間のかかる行政への手続が簡単になります。これがマイナンバーの第一のメリットです。
扶養控除・配偶者控除の適正化

 扶養控除とは、税金納税者と生計を共にする親族(別居も可)を養う場合、税金が安くなる制度です。
今までは、別々の町に住む子どもが年老いた親の扶養控除を兄弟それぞれで申請し、二重取りしているケースもありました。扶養控除の確認は従来は氏名や住所でするしかなく、非常に手間のかかる制度でしたが、マイナンバーを利用すれば簡単に二重申告を発見できるようになり、適正な納税が行なえます。
 配偶者控除とは、配偶者の給与収入が103万円以下の場合に夫の税金を安くすることができる制度です。今までは配偶者の所得の見積額を書いていたため、実際には配偶者の収入が103万円を超えてしまうこともありました。それに対してマイナンバー制度では、夫の会社でも配偶者の番号を申告し、配偶者の勤め先でもマイナンバーを申告するので、所得の付け合わせをすることでより適正な納税が行なえるようになります。
生活保護の適正化

 マイナンバーは、生活保護費の不正受給を防ぐ効果もあるとされます。生活保護費の不正受給の手口は、収入があるにも拘らずそれを隠して無収入と偽って不正に受給するものや、住居を転々とする最中に各自治体で生活保護を申請して不正受給を繰り返す、身分証明書を偽造して別人になりすまして重複受給するものなどありました。なぜこのようなことが行なわれていたかというと、自治体間で保護費の受給実態情報が共有されていないという制度上の穴があったからです。それに対して、マイナンバーがあれば勤務先にマイナンバーの提出が義務で付けられているので、無収入と偽ることはできなくなりました。また、幾つもの自治体で何度も受給することもできません。
個人に合った情報が受け取れる

 マイナンバー制度の導入に併せて、マイナンバー制度に関する個人のポータルサイト、「マイナポータル」が数年後に開設されます。マイナポータルでは、自分の情報がどう保有され、どう利用されているかを表示することができ、また、自分に合った必要な情報(予防接種、受給できる手当や年金、介護などに関する情報)を受け取ることができるようになります。これもマイナンバーの大きなメリットだと言われています。


マイナポータルにおいてできること
  1. 自己情報表示
     自治体などが保有する自分の特定個人情報の閲覧

  2. 情報提供等記録表示
     国や自治体などの間で交わされた特定個人情報のやり取りの記録の閲覧

  3. お知らせ情報表示
     予防接種や年金、介護など自治体からのお知らせの受け取り

  4. ワンストップサービス
     引っ越しなどライフイベントに関する手続きの官民横断的なワンストップ化

  5. 電子私書箱
     行政機関や民間事業者が発行する支払証明書などの各種電子データの受領

  6. 電子決済サービス
     納税や社会保障などの決済をキャッシュレスで行なえるサービス

災害時にも活用

 東日本大震災では、被災3県で15,786人の死者が発生したとされています。そのうち60歳以上の高齢者は10,085人と、死者数の65.8%を占めています。このことから分かることは、災害時における正確な要支援者情報の重要性であり、その前提となる要支援者リストの整備・維持の重要性です。マイナンバー制度導入により、自治体は必要に応じて家族の状況、個人の健康保険や介護保険の利用状況などを確認することで、個人個人の持病や障害等の把握ができるようになり、要支援者リストの整備を行ないやすくなります。また、災害後の被災者生活再建支援金などの給付においても、個人の資産状況や健康状態を把握して、これまで以上に適切な給付ができるようになります。これもマイナンバーの大きなメリットだとされています。
マイナンバー制度導入による企業へのメリット

 厳罰規定が設けられたことにも窺えるように、企業にとってマイナンバーを管理することの負担は大きなものとなることが容易に予想できます。しかし、それ以上に企業に対するメリットも期待できます。
 マイナンバー制度では、個人一人一人に番号が付されるだけでなく、法人に対しても番号が付されます。付された法人番号は利用範囲の規定がなく、幅広い分野で活用することができるようになります。


取引先の情報の集約や名寄せ作業を効率化できる
 企業や部門を超えて取引情報などを共有・連携する時、コードの変換や人手による企業名での名寄せ作業が従来は必要でした。それが、法人番号があれば、取引先などの企業情報に取引先の法人番号を紐付けて管理することで分散する取引情報を効率よく集約することができるようになります。

新設事業者への営業の効率化
 現状では、新規の営業先を探すために登記所や信用調査会社の情報を入手するなどの手間やコストがかかっています。しかし、今年10月以降に設立登記される法人については「法人番号指定年月日」による絞り込み検索が可能になるので、効率的に新規設立法人を見つけることができるようになります。

新規取引先の実績・資格確認の簡素化
 マイポータルの法人版が稼働すれば、資格許認可や行政処分・勧告、表彰実績や補助金交付実績などの情報がオープンデータとして集約されます。企業が新規取引先にこうした自社情報を求めた時、新規取引先が自社情報をダウンロードし要求先に送付するだけで要求元の裏付け調査の手間が省けます。

柔軟な検索・閲覧
 法人等の名称や所在地が変更された場合、利用者が過去の名称や所在地で検索する場合が想定されますが、検索条件に変更履歴を記載しておけば、称号や所在地が変更された法人の情報を変更前の称号や所在地で検索することが可能になります。

マイナンバー制度のデメリット
マイナンバー最大のデメリット

 マイナンバーの最大のデメリットは、マイナンバーの管理の問題です。すなわち、個人情報がつまったマインバーが安全に管理されるのかどうかという問題です。マイナンバー制度が始まれば、否が応でも、大小を問わず、一般の企業や事業主が従業員や取引先のマイナンバーを取り扱うことになります。企業や事業主にとっても、情報管理を徹底しなければならず、その事務負担が非常に重くなっています。当然ながら情報漏洩の危険性は否定できません。違反に対しては重い罰則規定が設けられていますが、果たして情報の漏洩がそれだけで防げるものでしょうか。ブラック企業などに自分たちのマイナンバーを預けても大丈夫でしょうか? 当たり前の話ですが、他人の個人情報を手にすることで簡単になりすましができるのです。実際、番号管理をしているアメリカや韓国では、番号流失によるなりすましによる事件が多発しています。しかもその上、2018年1月からは預金口座の情報とマイナンバーの紐付けが開始予定となっています。新たな詐欺が横行することは火を見るより明らかですい。


情報流出の可能性
 マイナンバーでは社会保障と税、災害対策の分野での効率的な情報管理を目的としているため、マイナンバーには個人の様々な情報が詰まっているのです。そのため、先にも述べたように、マイナンバーの最大のデメリットは、当然ながらその情報が流出してしまう危険性です。
 それでは、マイナンバーが人に知られてしまった場合どういうことが起こるのでしょうか? マイナンバーに詰まった情報が他人に知られてしまうのでしょうか? マイナンバー制度では、制度とシステムの両面から特定個人情報(マイナンバーを含む個人情報)流出の予防のため、次のような措置が取られています。特に今回のマイナンバー制度では、特定個人情報を特定の機関に集約する一元管理方法が採用されず、それぞれの機関がそれぞれの個人情報を管理し必要な時に情報の連係を行なう分散管理方法が採用されたことで、万が一、何れかの機関で特定個人情報等が漏洩した場合でも、その被害が限定される可能性が高くなり、デメリットの低減化が図られていると考えられています。


制度面における保護措置
  • 本人確認措置
  • 番号法の規定以外での特定個人情報の収集・保管の禁止
  • 番号法の規定以外での特定個人情報ファイルの作成の禁止
  • 第三者委員会(特定個人情報保護委員会)による監視・監督
  • 特定個人情報流出に対する罰則の強化
  • マイナポータルによる情報提供等記録の確認

システム面における保護措置
  • 個人情報の分散管理
  • 個人番号を直接用いずに符号を用いた情報連係
  • アクセス制御による閲覧者の制限・管理
  • 通信の暗号化

なりすましによる不正利用の可能性

 アメリカや韓国ではマイナンバーのなりすましによる不正受給が多発しました。当然ながら日本でも不正利用が心配されています。

 アメリカでは社会保障番号が多くのIDなどと関連付けられ、社会保障番号自体が身分証明書としても用いられていますが、そのためになりすましの被害も少なくありません。これもマイナンバーの大きなデメリットの一つです。実際、最近アメリカで最大1万3千人分、3900万ドル(約47億円)の税金還付金詐欺が発覚し、なりすましは大きな社会問題となっています。このデメリットの大きな元凶として挙げられているのが、社会保障番号が本人認証の手段として用いられていることにあると言われています。
 一方、日本のマイナンバー制度においては、社会保障番号のデメリットの反省を活かし、マイナンバーを口頭で伝えるだけでの本人認証は行なわない予定です。日本のマイナンバー制度では、写真付きの個人番号カードが発行され、カードは強固なセキュリティ機能を持っており、券面を偽造してもそれが発覚する仕組みになっています。従って、本人認証が必要な場合には、個人番号カードや運転免許証等の顔写真付きの身分証明書によって本人確認を行なうことが法律に厳格に規定され、行政の関係各機関に義務付けられています。ちなみに、カード自体にはプライバシー性の高い個人情報は付与されていないので、カード本体から詳しい情報が漏れることはありません。さらに、一般企業等の民間事業者においても、番号法の規定以外でのマイナンバーの収集・保管が禁止されているため、マイナンバーのみが本人認証として用いられることはありません。このため、日本のマイナンバー制度ではなりすまし被害のデメリットが発生する可能性は低いと考えられています。なお、また、2017年1月からはインターネットで情報が閲覧出来るマイナポータルが始まりますが、これもマイナンバーだけではログイン出来ず、個人番号カードの電子証明書が必要になります。そして、自分のマイナンバーがいつどこで何に利用されたかも確認出来るようになっています。
政府による監視

 政府などが国民の個人情報を勝手に使い、プライバシーを侵害することが懸念されています。このような心配から、マイナンバー制度では、国民の個人情報を一元管理する方法ではなく、従来通り分散管理する方法を採りました。そして、個人情報を保有する各機関では、個人情報のやり取りを勝手に行なうことはできず、必ず情報提供ネットワークシステムを介してやり取りをするというルールになっています。また、社員などのマイナンバーを扱う会社や民間企業も、個人情報を保護するためのセキュリティ管理が義務付けられています。さらに、インターネット上で情報が閲覧できるマイナポータルにアクセスすれば、自分の情報がいつ・何の目的で、どこから・どこへ提供されたのかという記録を確認することができるようになる予定です。
国内財産が正確に把握される

 マイナンバーの利用は金融機関にも広がる予定です。金融機関でのマイナンバーのひもづけは2018年1月からで、この時はまだ任意申告になります。2021年1月からは義務化が検討されています。預金口座の全てにマイナンバーが付与されると、個人の資産は確定申告や相続税申告をするまでもなく税務署に知られてしまうことになります。ただ、故人が家族に内緒で作っていた預金なども、マイナンバーひとつで直ぐに見つかるので、その点はメリットもあります。特にネット銀行などは通帳もない場合が多く、故人一人が管理していた口座の確認にはマイナンバーが便利でしょう。
参考:参考図書と情報


◆参考図書
みずほ情報総研株式会社『図解マイナンバー法のすべてQ&A』中央経済社
みずほ情報総研株式会社・編
『図解マイナンバー法のすべてQ&A 
企業の実務対応がどう変わる!? 規則・ガイドライン対応版』
中央経済社・2015年8月刊、2,200円
2015年10月には通知が始まり、2016年1月から利用が始まるマイナンバー制度が企業での実務において、どのような影響があるかを、Q&A形式で図表をふんだんに用いて分かりやすく解説。施行規則や特定個人情報ガイドライン等で明らかになってきた企業のマイナンバーの取扱いについて、重点的に解説した。99のQと3つの基礎用語でよくわかる!
三森敏明『これだけは知っておかないと怖いマイナンバー』双葉社
三森敏明・監修
『これだけは知っておかないと怖いマイナンバー』
双葉社(新書版)・2015年9月刊、600円
マイナンバーは“便利”と“危険”が紙一重!!会社員も主婦も、経営者も要注意!!個人資産もバレバレ!!情報を漏らすと厳しい罰則!!20分でスッキリわかる!!
大村大次郎『元国税調査官がズバリ教える マイナンバーで損する人、得する人』ビジネス社
大村大次郎・著
『元国税調査官がズバリ教える
マイナンバーで損する人、得する人』
ビジネス社・2015年8月刊、 800円
ついに始まる“全財産ガラス張り”時代!サラリーマンに待っているのは「天国」で、自営業に待ち受けるのは「地獄」!?制度の裏にある国の本当のもくろみを暴き出す!国が狙っているのは、「富裕層」の資産だ!!あなたのお金の未来が変わる!
影島広泰『小さな会社・お店の早わかりマイナンバー制度 基礎知識から対応策まで』実業之日本社
影島広泰・著
『小さな会社・お店の早わかりマイナンバー制度 
基礎知識から対応策まで』
実業之日本社・2015年7月刊、1,200円
最低限、知っておくべきことは?いつまでに、誰が、何をする?総務・人事・経理・システム部門の視点でやさしく解説!
特集-マイナンバー - 政府広報オンライン
http://www.gov-online.go.jp/tokusyu/mynumber/index.html
マイナンバー社会保障・税番号制度 - 内閣官房
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/
マイナンバー制度と個人番号カード - 総務省
http://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/index.html
社会保障・税番号制度(社会保障分野) - 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000062603.html
マイナンバー(社会保障・税番号)制度に関する文部科学省からのお知らせ - 文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/zeisei/1362172.htm
社会保障・税番号制度<マイナンバー>について - 国税庁
http://www.nta.go.jp/mynumberinfo/
個人番号カード総合サイト - 地方公共団体情報システム機構
https://www.kojinbango-card.go.jp/


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