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今月のワンポイントアドバイス
 睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸の停止を繰り返す病気です。その多くで鼾を伴うこと、自覚症状が殆どないことが特徴で、新幹線の運転手による居眠り事件をはじめとして、ここ数年来テレビなどの各メディアでも取り上げられ、社会問題ともなっています。
 今月は単なる鼾だとをくくっていると意外と恐ろしいこの睡眠時無呼吸症候群を取り上げ、その対策法を解説しました。 
睡眠時無呼吸症候群


睡眠時無呼吸症候群
【1】危険な鼾と睡眠時無呼吸症候群
【2】睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病 
【3】睡眠時無呼吸症候群の診断と治療法
【4】睡眠時無呼吸症候群を予防するために


【1】危険な鼾と睡眠時無呼吸症候群

 本節では、まず初めに危険な鼾について解説し、その上で睡眠時無呼吸症候群について簡単に解説します。
危険ないびき〜大鼾は生活習慣病の一因〜

 睡眠時無呼吸症候群について触れる前に、本項では睡眠時無呼吸症候群と深い関わりのある鼾そのものを取り上げて解説します。
鼾のメカニズム

 鼾とは、睡眠中に気道が狭くなり、呼吸の際に気道の粘膜が震え、音が鳴る症状です。正常な呼吸は空気が鼻から上気道を通って気管へと入ってゆきます。気道は通常筋肉で支えられているので狭くなることはなく、充分な気道が保たれていますが、しかし、睡眠中は身体が休んでいる状態なので筋肉が弛緩しているため、充分な気道の確保ができない状態になります。この上気道が狭くなった状態で空気が流れると、空気が流れるスピードが速くなると共に空気抵抗が大きくなって、呼吸時に軟口蓋や口蓋垂(のどちんこ)、咽頭の震動が起こり、鼾音を発生させます。これが鼾の仕組みです。
鼾の要因

 鼾をかくということには何かしらの原因があります。その原因は一時的な要因と慢性的な要因とに分けることができます。


一時的な原因
 以下に挙げる一時的な原因による鼾は誰にでも起こり得る症状です。
  • 疲労
     疲れていると筋肉が通常よりも弛緩し、気道がより狭くなってしまうために鼾をかくことがあります。また、疲労時は身体が回復するために酸素を多く取り込もうとして、鼻で呼吸するだけでなく口でも呼吸するようになります。口呼吸をすると気道が狭くなってしまうので、これも鼾の原因となります。

  • 飲酒
     飲酒をしてアルコールを摂取すると筋肉が弛緩します。また、身体はアルコールを分解する際に大量の酸素を必要とします。アルコールの分解によって酸素が不足すると、酸素を多く摂り込もうとして激しく呼吸をするようになります。そして、気道を流れる空気抵抗が大きくなるために粘膜が震えやすくなります。以上の理由で飲酒は鼾の原因になるのです。

  • その他
     疲労や風邪による鼻づまりでも鼾をかきますが、咽頭扁桃や口蓋垂、軟口蓋、舌などの肥大や顎の骨格が原因の場合もあります。また、アルコ-ルの飲み過ぎや睡眠剤の服用により、舌や軟口蓋の筋肉が緩んで上気道を狭くさせます。

慢性的な原因
 慢性的な原因は、睡眠時無呼吸症候群へと繋がる可能性があると共に、肥満及び口呼吸は他の病気や疾患の原因ともなるので治療することがオススメです。
  • 肥満
     肥満の場合、内臓脂肪と呼ばれるように身体の中にも脂肪が蓄積されます。そして、喉全体にも脂肪が付くため上気道を圧迫して狭くさせています。

  • 口呼吸
     吸普段から口呼吸をしている人は舌の筋肉が衰えているため、睡眠時に舌が気道側に沈下して気道を狭くしてしまいます。


参考:良性の鼾
 良性鼾は原発性鼾とも呼ばれ、仰向きで寝た時に発生し、レム睡眠時に強まり、回数も増えるものの、睡眠障害もなく睡眠パタ-ンも正常です。しかし、肥満や飲酒、睡眠剤の服用などは原発性鼾の誘因ともなり、睡眠時無呼吸症候群へ移行する可能性もあるので注意が必要です。

鼾は呼吸障害のひとつ

 鼾をかいていると、よく寝ていると思いがちですが、実はその逆だということを知っている人は意外と少ないようです。

 鼾は睡眠中に喉(上気道)が狭くなった時にそこを通る空気が発する振動音です。寝ると舌の付け根が奥へ下がり、周辺の筋肉も緩むため、誰でも少しは喉が狭くなります。健康な人の場合、極端に狭くなることはないので、寝息といった程度の音しかしませんが、何らかの以上があると喉の狭まりがひどくなり、鼾となるのです。たとえばお酒をたくさん飲んだ時や疲れている時、風邪をひいた時などにも鼾をよくかきますが、こうした一時的な鼾は必ずしも異常なものではありません。しかしながら慢性的に鼾をかくような場合には注意が必要です。
 鼾は空気の振動音ですが、それではなぜ大きな音がするのでしょうか? それは、喉が狭くなると空気(特に酸素)が上手く取り込めないため、睡眠中でも苦しく感じます。つまり、呼吸が上手くできないのと同じ状態になるわけで、そうなると無意識に空気を取り入れようとします。それが喉の振動を促し、大きな音すなわち鼾となるのです。そのため、この手の鼾には「睡眠時呼吸障害」という病名が付けられています。また、鼾をかく人は睡眠時の血液中の酸素量が低下しています。人により、鼾の程度によって違いますが、健康な人と比べて血液中の酸素量が30%も低下する人もいます。こうした呼吸障害が日常生活に支障を来したり、生活習慣病の原因やリスクとなっていることが最近になって分かり、注目されています。
睡眠時無呼吸症候群と居眠り

 山陽新幹線の運転手が走行中に数分間も居眠りをしていたというニュースを覚えている人もいると思いますが、その原因として指摘されているのが睡眠時無呼吸症候群です。この病気は睡眠時呼吸障害のうち最も症状が重いもので、睡眠中に何回も呼吸が止まってしまいます。ちなみに、病院では「7時間の睡眠中に10秒以上の呼吸停止が30回以上、もしくは1時間に5回以上の呼吸停止がある状態」を睡眠時無呼吸症候群と診断します。

 睡眠時無呼吸症候群になっている人の多くが大鼾をかきますが、大鼾をかいていて急に音が消えるので、一緒に寝ている人は静かになったと思うのですが、ところがその時、喉が塞がって呼吸が止まっているのです。こうした状態を繰り返していると、寝ていても脳や身体の疲れが取れないため、翌日の仕事や家事にも影響が出ます。その典型が居眠り運転で、交通事故の大きな原因となっています。海外では、アメリカのスリーマイル島の原発事故やロシアのチェルノブイリの原発事故なども睡眠時無呼吸症候群による係員のミスから生じたものだとされています。また、事故にはならないまでも、大切な会議中につい寝込んでしまったり、仕事上でもぼんやりミスを重ねたりすることにもなりかねません。大鼾をかく、或は昼間我慢できないほどの眠気に襲われるといった症状が続く時は睡眠時無呼吸症候群を疑って受診した方がよいでしょう。


睡眠時無呼吸症候群に見られる主な自覚症状
  • 睡眠中に大鼾をかく(家族から指摘されることが多い)
  • 睡眠時間は充分なのに、朝起きた時に熟睡感がない
  • 朝起きた時に頭痛や頭重がある
  • 日中に強い眠気が起こる
  • 仕事中の集中力が低下し、うっかりミスが多くなる

大鼾と生活習慣病の関連

鼾 鼾をかくのは全体の3割弱程度の人です。ところが、男性に限定すると4割強にも上ります。特に中高年男性では、毎日のように鼾をかく人が多く見られます。ちなみに鼾をかく人のうち、毎日のように鼾をかくという男性は20代(46.7%)、30代(56.7%)、40代(83.4%)、50代(46.7%)、60代(70.0%)となっています。

 中高年の鼾について最近注目されているのは生活習慣病との関連です。それというのも、大鼾をかく人は高血圧や狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病などの合併症を起こしやすいのです。それでは、どうして大鼾が生活習慣病と関係あるのか。最も関連が深いとされる高血圧を例に説明しましょう。大鼾をかくと酸素が上手く取り込めないため血液中の酸素濃度が低下しますが、そうすると体内に酸素を補給するために心臓が血液を多く送り出そうとし、心拍数が増えます。これだけでも血圧上昇の原因となりますが、さらに血液中の酸素濃度が低下すると二酸化炭素濃度が高くなり、そして、それが引き金となって血管の収縮が起こり、そのためさらに血圧の上昇を招くことになるのです。実際に高血圧症の人には大鼾をかく人が多く見られるわけです。こうした血圧の上昇や血管の収縮を繰り返すことが狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの原因ともなるのです。次に糖尿病との関連については、まず血液中の二酸化炭素濃度が上昇することで血液が酸性化しますが、そうするとインスリンの分泌が抑えられ、血液中のブドウ糖のコントロールがうまくできなくなるためだと考えられています。
鼾をかきやすいのはどんな人?

 鼾をよくかく人には、たとえば太っているとか仰向けに寝る、口を開けて寝る、首が短く太い、お酒をよく飲む、顎が小さい(女性に多い)、鼻炎や喉の病気があるなどといった幾つか共通点があります。このうち中高年の鼾の原因で最もよく見られるのが肥満です。肥満になると、舌や喉の内側にも脂肪が付くため、喉が狭くなりやすいのです。また、仰向けに寝ると舌の落ち込みが大きくなり、喉が狭くなります。さらに口が開き、口呼吸になると、余計に大きな鼾になります。特に肥満体型の人は、寝る時に横向きになりにくく仰向けで寝ることが多いので、鼾をかきやすくなってしまいます。なお、お酒による鼾は一時的なものならば異常ではありませんが、慢性的にお酒を飲んでいると鼾そのものも慢性化しやすいので注意が必要です。
鼾を解消して生活習慣病を予防しよう

 鼾は軽いうちなら自分で治すこともできます。もっとも簡単な方法は横向きに寝ることです。身体を横向きにすると、仰向けの時ほど喉が狭くなりません。横向き寝によって鼾が消えたり軽くなったりする人は少なくありません(ただし、肥満の人は横向き寝が苦手ですし、まずは肥満を解消するようにしましょう)。また、寝入る時は横向きでも直ぐに仰向けになってしまう人もいるでしょうが、これは夜中に何度も寝返りを打つのである程度は仕方ありませんが、まず横向きに寝る癖をつけるようにしましょう。それには抱き枕を使ったり背中に丸めた毛布を当てておく方法もあります。睡眠薬を常用していると鼾をかきやすくなります。そうした場合は薬を止めたり、病院で軽い薬に変えてもらうことも必要です。また、最近はドラッグストアなどで鼾防止グッズが販売されています。その多くは口呼吸を防ぐためのもので、マウスピース型のものが多いようです。こうしたグッズを試してみるのもひとつの方法ですが、マウスピース型のグッズは自分の歯型などに合わないと意味がありません。歯科の中には専用のマウスピースを製作してくれるところもあるので、試しに受診し、効果や価格などを訊ねてみるのもよいでしょう。
 なお、睡眠時無呼吸症候群のように睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう重症の場合は、横向き寝や市販のグッズでは中々治せません。放っておくと突然死の危険もあるので、早めに受診して下さい。鼾の治療には呼吸器科や耳鼻咽喉科を受診します。最近は「いびき外来」のような睡眠障害専門の機関や部署も増えているので、受診前に病院に訊ねてみるようにしましょう。
睡眠時無呼吸症候群とは?

 睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、睡眠中に度々呼吸が停止したり弱くなることで、充分な酸素を取り込めなくなったり熟睡できなくなったりする病気です。この病気がもととなり、様々な症状が出てくることで日常生活に支障を来します。また、睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病とも深く関係しており、放置すると生命の危険に曝される恐れもあり、早期に適切な治療をすることが大切です。

 睡眠時無呼吸症候群とは、一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上、レム&ノンレム期(※レム睡眠とは眼球が速く動く時期で筋肉を休める眠り、ノンレム睡眠とは眼球は動かず大脳を休める眠り)の両方に現われる病態で、医学的な定義では10秒以上の間気道の流れがない状態、すなわち10秒以上の口と鼻での気流の停止を無呼吸とします。このような状態が毎日のように続くことで充分な睡眠が摂れず、日中の眠気や集中力の低下、活力の喪失などが起こります。心血管系の合併症(不整脈、心不全、高血圧、脳血管障害)や糖尿病が多く見られ、様々な問題を引き起こします。
 医者に罹って睡眠時に10秒以上の無呼吸ないし低呼吸状態が1時間に5回以上起こることが確認されれば睡眠時無呼吸症候群と診断されます。1時間当たりの無呼吸ないし低呼吸回数を無呼吸低呼吸指数(AHI:Apnea Hypopnea Index)と言いますが、これが睡眠時無呼吸症候群の重症度の目安となります。潜在患者は人口の1〜2%と言われますが、その殆どの場合において自覚がなく、居眠り運転で事故を起こしたりして発見されるケースが多くあります。この病気が広く一般社会に知られるキッカケとなったのも患者が起こした事故のニュースで、交通事故や災害事故の原因との関連から社会的に問題になっていることは先にも触れた通りです。
男性ばかりではない、女性も睡眠時無呼吸症候群には要注意!
50歳以上の発症率、男女大差なし

 眠っている時に呼吸が頻繁に止まる睡眠時無呼吸症候群は、今まで太った男性の病気のイメージが強くありましたが、実際には女性にも意外に多いことが最近分かってきました。睡眠時無呼吸症候群は昼間に強い眠気を感じて運転事故などの危険が高まるのに加え、生活習慣病にもなりやすいため、気になる人は早めの対処を心懸けましょう。
肥満でなくても

 睡眠時無呼吸症候群の診断基準は、睡眠中に10秒以上の呼吸停止が1時間当たり5回以上あり、日中の眠気などの症状が伴うことで判断されます。大半は空気の通り道である気道が塞がれることで起きます。大きな要因は肥満で、太ると喉や舌などに脂肪が付いて気道が狭くなりますが、眠って口の中の筋肉が緩むと舌の根や軟口蓋が下がって気道を塞ぐことで、必死で呼吸を仕様として鼾が起こるのです。特に日本人の場合は、顎が小さく、下顎が後ろに下がっているなどの骨格的な問題もあり、肥満ではない患者も3割程度は睡眠時無呼吸症候群の患者がいるとされています。
閉経後に増加

 男性の睡眠時無呼吸症候群発症率は成人の9%程度であるのに対し、女性は少ないとは言え、その2分の1から3分の1はいると言います。女性の発症率が低いのは、女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)が呼吸中枢を刺激し、上気道を拡張する働きを持つためだとされます。女性が鼾をかきにくいのもそのせいです。そのため、女性ホルモンの分泌が大幅に減る閉経後には睡眠時無呼吸症候群の発症が増え、たとえば50歳以降だと発症率の男女差はそれほどなくなるという。ただ、睡眠時無呼吸症候群は男性の病気だとのイメージが強いことや健診を受ける機会が限られることもあり、女性で治療を受けている人の割合は男性に比べて大幅に低いのが実情です。自分が睡眠時無呼吸症候群の症状に該当するようなら医師に相談しましょう。
睡眠時無呼吸症候群の危険性

 睡眠時無呼吸症候群は治療せずに放置すると、患者さん本人にも社会的にも悪影響を及ぼします。


交通事故
 突然の眠気が自動車の居眠り運転の原因になります。交通事故の発生率は一般ドライバーの約7倍というデータもあるそうです。一般の自動車だけでなく、鉄道やバスなどの運転士も発症しており、実際に事故も起きています。たとえば2003年の山陽新幹線運転士の居眠り運転は睡眠時無呼吸症候群による眠気によって起こったことでした。睡眠時無呼吸症候群は、この時の事故をキッカケに広く知られるようになりました。また、酩酊に近い飲酒状態の人よりも睡眠時無呼吸症候群の重症患者の方がハンドル操作ミスが多かったとのデータもあるそうです。このように睡眠時無呼吸症候群に特有の昼間の眠気は居眠り運転事故や労働災害などに繋がります。もっとも睡眠時無呼吸症候群による眠気ではないものの、スリーマイル島の原子力発電所の事故やスペースシャトルチャレンジャーの事故は睡眠障害によって引き起こされたそうで、何れにせよ、が眠気と侮っていると大事故などを起こしかねません。幸い睡眠時無呼吸症候群による眠気は睡眠時無呼吸症候群をしっかり治療することでコントロールすることができるので、心当たりのある人は早期に専門施設を受診されることをオススメします。

合併症
 睡眠時無呼吸症候群は、昼間眠いだけでなく、生活習慣病を引き起こす要因になることも指摘されています。血圧は通常は夜になると下がるものですが、無呼吸で目が覚めてしまうため血圧が下がらないままになります。頻繁な無呼吸で血液中の酸素濃度が下がることは、動脈硬化や自律神経の乱れ、糖代謝の異常などを起こします。高血圧や脳卒中、糖尿病などを招く上、治りにくくなるのです。

睡眠時無呼吸症候群は流産の原因にも!?
 睡眠時無呼吸の殆どが閉塞性睡眠時無呼吸で、睡眠中に舌や喉の筋肉が沈下して空気の通り道を塞いでしまうための無呼吸です。その原因としては、口蓋垂(こうがいすい)の肥大や口蓋扁桃(こうがいへんとう)、下顎の形態異常など数多くありますが、今日最も多いのは肥満を原因としたものです。そのことからも、睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病が引き起こす疾患とも言えるのです。そして、肥満は当然女性にも同じように起こります。それでは睡眠時無呼吸症候群の女性が妊娠した場合どうなるでしょうか? 
 睡眠時無呼吸症候群の人は、眠っている間に実は大変な酸欠状態に陥っており、たとえば重症の睡眠時無呼吸症候群のケースでは何と8000メートル級の山にいるのと同じ酸欠状態を示すのだそうです。エベレストの山頂を思えば大変な状況であることは充分理解できるでしょう。本人は酸欠状態で苦しいので覚醒して再び正常な呼吸を取り戻しますが、ところが、妊婦が睡眠時無呼吸症候群になると、それと同じ状態すなわち酸素の届かない状態が胎児で起きているのです。そして、この低酸素血症が胎児に大きな影響を与えていて、これが流産の原因になっていると考えられるわけです。低酸素血症から胎児を守るべく声をあげているのです。その証拠に、今まで流産を繰り返していた女性が睡眠時無呼吸症候群の治療を行ないながら妊娠したところ、元気な赤ちゃんを抱くことができたそうです。なおその治療とは、後で詳しく触れますが、肥満を改善するダイエットと共にCPAP(鼻マスク式持続陽圧呼吸装置)療法を行なうことで、その女性は昼寝をする時も夜眠る時もこのCPAPを使ったのです。この装置は空気の通り道である上気道が塞がらないように適当な圧力で空気を送り、強制的に上気道を広げるもので、これによって充分な睡眠を得るという治療法です。つまり、この女性はCPAP治療で自分自身だけではなく胎児も低酸素血症にならずにすんだことになるわけです。睡眠外来や睡眠センターを設けている病院が現在少しずつ増えてきているので、昼間眠くて堪らないといった睡眠時無呼吸症候群と思われる人は一度受診されることをオススメします。


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【2】睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病

 本節では、睡眠時無呼吸症候群の原因と症状、生活習慣病との関係を取り上げ解説します。
睡眠時無呼吸症候群の原因

 睡眠時無呼吸症候群は睡眠時の無呼吸が主な病態であるため、その検査は睡眠中の呼吸動態のモニターが必須となります。睡眠中の様々な生理学的指標を測定するポリソムノグラフィーによって検査が行なわれ、これによって、睡眠時無呼吸症候群は、(1)呼吸運動が停止するために無呼吸となる中枢型、(2)呼吸運動は持続しているが、上気道が塞がるために無呼吸となる閉塞型、(3)両者の混合型の3型に分類されます。中枢型は呼吸中枢(延髄)の障害によって起こりますが、極めて稀な病態で、一般に問題になる場合の殆どは上気道が塞がる閉塞型です。

 睡眠時無呼吸は上気道(空気の通り道)が閉塞することで起こりますが、閉塞の原因は、首周りの脂肪の沈着や扁桃肥大、アデノイド、気道へ舌が落ち込む、舌が大きい(巨舌症)、鼻が曲がっているなどが挙げられます。また、小児ではアデノイド、成人では肥満が重要な原因です。なお、欧米人の睡眠時無呼吸症候群の患者は肥満している人が殆どですが、日本人は顎が小さ目であるために気道が塞がれやすく、痩せているのに睡眠時無呼吸症候群である方もいます。なので、睡眠時無呼吸症候群の患者全員が太っているわけではありません。
睡眠時無呼吸症候群の症状

 睡眠時の症状として、鼾や無呼吸、寝相が悪いなどがあります。日中の覚醒時には頭痛や眠気、性格の変化などが認められます。なお、鼾は睡眠時に発生する粘膜の振動音で、睡眠時無呼吸症候群を疑う重要な症状です。肥満、アルコール摂取時、睡眠薬などのある種の薬物の服用、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの鼻疾患の存在、咽頭扁桃部の炎症などが原因となるので区別する必要があります。


睡眠時無呼吸症候群の症状
  • 睡眠中の鼾、10秒以上の呼吸停止。時に呼吸停止が1分を超えることも
  • 夜中に目が覚める(途中覚醒)、夜間尿回数の増加
  • 起床時の頭痛、熟睡感がない
  • 昼間の眠気や倦怠感、居眠り
  • 集中力や記憶力の低下
  • 勃起不全(ED)

睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病

 鼾や無呼吸はパートナーに迷惑をかけますが、この疾患が臨床的に重要視される理由は生活習慣病と密接に関連しているからです。たとえば高血圧を発症する可能性は健康な人と比較して2倍、狭心症及び心筋梗塞は3倍、脳血管障害は4倍、糖尿病は1.5倍と言われています。その他にも高脂血症や高尿酸血症の合併も多いことが分かっています。先にも触れましたが、睡眠1時間あたり20回以上無呼吸が記録された患者を治療せずに放置すると、9年後には10人のうち4人は心臓病・脳血管障害などで亡くなってしまうという衝撃的な報告もあるくらいです。また、睡眠時無呼吸症候群は特有の眠気を引き起こすため交通事故や労災災害の発生にも繋がります。交通事故は自分のみならず他人にも迷惑をかけてしまいますが、健康な人がほろ酔い、ないし酩酊くらいの飲酒をした場合よりも、重症の睡眠時無呼吸症候群の患者の方がハンドル操作ミスが多かったという報告もあります。しかしながら、睡眠時無呼吸症候群はきちんとした治療を行なえば、眠気や鼾はもちろんのこと、合併症についても改善することが分かっています。心当たりのある人はこの際専門の医療機関を受診することをオススメします。もしかしたらあなたの鼾や日中の眠気は身体が出している赤信号なのかも知れません。
睡眠時無呼吸症候群の合併症(生活習慣病)

 睡眠時無呼吸症候群の患者の多くは高血圧や心臓病、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病を合併しており、放置すると生命に関わります。重症睡眠時無呼吸症候群の患者は合併症などのために、約4割の方が9年後に亡くなっているというデータがあります。そのため、最近では肥満や糖尿病、高血圧、高脂血症のいわゆる死の四重奏に睡眠時無呼吸症候群を加え、死の五重奏と言われることもあるくらいです。それほど睡眠時無呼吸症候群は生命に関わる疾患なのです。しかし、睡眠時無呼吸症候群を治療することで生活習慣病を軽減できたり予防することもできます。患者の中には睡眠時無呼吸症候群の治療をすることで高血圧のお薬を減量できた人もいます。そんな訳で、適切な検査と当人に適した治療を行なうことが大切です。
 睡眠時無呼吸症候群を発症すると、次のような合併症を併発する場合があります。なお、これらは生命に関わる危険な合併症です。治療を受けずにいると、10年以内に3分の1の人がこれらの危険な合併症を発症、或は死亡するとされています。


睡眠時無呼吸症候群の合併症の種類
  • 高血圧症(危険性は健康な人の2倍)
  • 糖尿病
  • 高脂血症
  • 肥満などの生活習慣病
  • 動脈硬化
  • 心臓の冠動脈疾患(危険性は健康な人の3倍)
  • 心筋梗塞(危険性は健康な人の4倍)
  • 脳血管障害(危険性は健康な人の4倍)

高血圧と睡眠時無呼吸症候群

 高血圧症は睡眠時無呼吸症候群と密接に関係していることはご存知でしょうか?


血圧とは
 血圧とは血液を全身に送り出すための動脈にかかる圧力のことを言い、心臓はその圧力を作り出すポンプの役割をします。血圧値は心臓の拍動と共に変化しますが、心臓の収縮時(血液を送り出した後の状態)の値を収縮期血圧または最高血圧と言い、心臓の拡張期(血液を心臓に溜め込んでいる状態)の値を拡張期血圧または最低血圧と言います。血圧値はmmHg(水銀柱)で表されます。

高血圧とは
 高血圧とは血圧が何らかの原因によって高くなっている症状で、血圧値が140/90mmHg以上となっている状態を高血圧と言います。血圧はいつも変動しているので、1〜2回計測して高いだけで高血圧と判断されるわけではなく、繰り返し測定して高い値を示す場合に高血圧と判断されます。現在ではWHOや日本高血圧学会などで決められたガイドラインに基づいて定義及び程度や分類が為されています。

高血圧の原因
 それでは、なぜ高血圧になるのでしょうか? 高血圧症の方の多く(90〜95%)は本態性高血圧症と呼ばれる原因不明の高血圧ですが、残る約5%はある種の疾患に附随して生ずる二次性高血圧症と言われるものです。これは腎臓疾患や内分泌異常や心疾患などによって起こります。一方、本態性高血圧症の方は、塩分過剰摂取などの食事に起因するもの、遺伝的要因やストレスなどの環境要因が相俟って発症すると考えられています。

高血圧の症状
 高血圧症の方はどのような症状を訴えるのでしょうか? 実は殆どの場合、無症状で気がつかないことが多く、高血圧症はサイレントキラーだと言われています。一部では頭痛や目眩、肩こりなどの症状を呈しますが、実際のところ特徴的な自覚症状に乏しい疾患と言えます。高血圧症はこのようにじわじわと身体を蝕んでゆく怖い疾患なのです。高血圧はサイレントキラーであると言いましたが、高血圧が知らず知らずに進行してくると他の臓器にも悪影響を及ぼし、様々な合併症を併発します。その段階になって、さすがの当人も何か身体がおかしいと気がつきます。合併症の主なものとしては、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、腎機能の低下、解離性大動脈瘤などが挙げられており、最近では睡眠時無呼吸症候群も合併する率が高いことが知られています。合併症の中には進行すると重篤で致命的なものもあるため、自己測定や健康診断での血圧値の推移にも気をつけるようにしましょう。 

高血圧の診断
  • 血圧値の測定
     それでは、どのようにして高血圧と診断されるのでしょうか? 血圧計で測定した血圧が130mmHg未満/85mmHg未満である場合を正常血圧としており、血圧値が140/90mmHg以上の場合は高血圧と定義されますが、その中間の130〜139/85〜89mmHgについては、正常高値血圧として将来高血圧症に移行する可能性があるため進行に注意を要する範囲になります。なお、収縮期血圧と拡張期血圧のどちらかが正常値に入っていても正常ではありません。また、現在は様々な血圧計が販売されており、家庭で簡単に測定できますが、測定の姿勢などが原因で正確に測定できていない場合や精度が悪いことがあります。健康診断などで指摘された人は医療機関でしっかり診断してもらうようにしましょう。なお、高血圧症もさらに血圧値によって、(1)軽症高血圧(140〜159/90〜99mmHg)、(2)中等症高血圧(160〜179/100〜109mmHg)、(3)重症高血圧(180/110mmHg以上)と分類され、程度に応じてコントロールや治療法が異なってきます。

  • 本態性高血圧と二次性高血圧の鑑別
     血圧値が高いことが分かった後、高血圧のタイプの鑑別を行ないます。血液検査や尿検査、場合によってはCTなどの検査を実施することで二次性高血圧症の可能性を鑑別します。二次性の疑いが除外されると本態性高血圧症と診断されます。

高血圧の治療
 高血圧症の治療法には、(1)生活習慣の改善をすることと、(2)薬物による治療法よがあります。これらは対処療法で、心臓や脳、腎臓、血管などの合併症を防ぐことで死亡率を低下させる目的があります。生活習慣をまず見直して血圧以外の問題点を併せてコントロールし、危険因子を排除します。一般的には食塩摂取制限を含む食事コントロール、減量とアルコールの制限、適度な運動、禁煙を心懸けることになります。
  1. 生活習慣の改善

    • 食事療法
       日本人は食塩を多く摂りがちで、高血圧治療のガイドラインでは食塩摂取は1日6g未満とされています。また、野菜や果物を積極的に摂ることや、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控えるように心懸けます。

    • 減量
       肥満は血圧に密接に関係しており、そのため適正体重に近づけるように心懸けます。適正体重はBMI(ボディー・マス・インデックス)で表わされますが、これは身長(m)2×22で計算され、標準体重の20%を越えると肥満となります。

    • アルコールの制限
       毎日多量のお酒を飲んでいる人は高血圧や脳血管障害を起こす可能性が高いと言われており、また、睡眠時無呼吸も悪化させる原因となります。特に寝る前のアルコールは控えるようにしましょう。

    • 運動療法
       太っている人は減量のためにも適度な運動を心懸けましょう。運動は拡張期血圧(最低血圧)を下げる効果があります。今まで運動不足だった人は、急激に激しい運動を行なうのは逆効果になることもあるので、適度な運動から始めるようにしましょう。なお、狭心症を合併している人は過度な運動は危険なので、そのような人は医師と相談して適切な運動についてアドバイスを受けるようにして下さい。

    • 禁煙
       タバコは心疾患の危険因子であり、さらに薬物療法の効果を弱めることがあります。また、気道の炎症を増強させるとも言われ、睡眠時無呼吸を悪化させる可能性があります。この機会に禁煙するようにしましょう。

  2. 薬物療法

     血圧を下げる薬剤は幾つかの種類があり、患者の血圧の程度や合併症の有無により適切な薬剤が選択され処方されます。処方通りにきちんと服用することで合併症が改善されたり死亡率が低下します。どこまで血圧値を下げるかなどの管理目標は年齢によって多少異なりますが、中高年以下では130/85mmHg未満、高齢者では140〜160以下/90mmHg未満程度が設定されます。血圧コントロールの状態によっては薬剤を減らすこともありますが、決して自分で判断せずに主治医の指示に従うことが肝要です。


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【3】睡眠時無呼吸症候群の診断と治療法

 本節では睡眠時無呼吸症候群の診断と治療法について取り上げ解説します。
検査と診断
睡眠時無呼吸症候群の検査と診断

 鼾が強く、鼾の後に呼吸が止まるようであれば、睡眠時無呼吸症候群の疑いがかなり濃いと言えます。また、若い頃に比べて体重増加が著しい場合にも注意が必要です。何れにせよ、無呼吸を指摘されたり睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合は、専門医療機関などへ受診しましょう。専門医院では、まずは問診時に睡眠や自覚症状についての問診があり、その後で検査方法を決定します。
 問診などで睡眠時無呼吸症候群の疑いがあると判断された場合は、診断装置を用いた検査に進みます。当然ながら診断には睡眠検査が必要です。睡眠時無呼吸症候群は本人が眠っている間に起こるので、本人が自覚することは余りありません。従って、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、夜間の睡眠状態をしっかり測定するために通常は夜間に入院検査で行ないます。もっとも最近は、睡眠検査には入院をして行なう精密睡眠ポリグラフ検査(睡眠ポリソノグラフィ検査)以外にも、自宅で行なう簡易睡眠検査があります。


終夜ポリグラフィー(PSG)
 終夜ポリグラフィー(PSG)とは、患者の睡眠状態(眠りの深さや睡眠の質)と呼吸状態を同時に測る検査で、終夜に渡って患者の脳波や心電図、胸部及び腹部の動き、鼻からの気流、動脈血中の酸素の量を連続してモニターし、その結果をトータルに医師が判断し、無呼吸が一晩に30回以上か、1時間当たりの無呼吸の回数が5回以上の場合に診断が確定します。或は呼吸運動が低下し、かつ酸素飽和度が低下する時には無呼吸と同等な病的意義があると考えられます。なお、この検査は体に電極やセンサーなどを付けて行ないますが、決して痛い検査ではないので安心して受けることができます。

簡易検査
 簡易検査とは夜間睡眠中の呼吸状態を測る検査で、本格的なポリソムノグラフィーを実施する前に簡易的に検査をする必要がある場合や、緊急性のある場合などに用いられます。携帯用器械で操作が簡単なので、場合によっては器械を自宅へ持ち帰って自宅で検査することもできます。この検査では次のようなことについて調べることができます。
  • 口鼻の呼吸:呼吸はどの程度止まっているか弱っているか?
  • 気管の音:鼾はどのくらいあるか?
  • 動脈血中の酸素飽和度:どれだけ酸素を摂り込むことができているか否か?
  • 脈拍:


参考:睡眠時無呼吸症候群チェックリスト
- 日本医科大学呼吸器内科 睡眠時無呼吸症候群ホームページ
http://www.nms.ac.jp/nms/4med/sas/

受診について

 もしも他人やパートナーから鼾や呼吸の停止を指摘されたら受診をするようにしましょう。また、夜寝ている時の様子はご自分では分からないので、可能であればパートナーに同席してもらうのがよいでしょう。問診では、自覚症状や生活習慣や合併症、交通事故やニアミス経験などについて質問されます。また、現在服用しているお薬についても聞かれますので、日頃服用している薬を持参するとよいでしょう。なお、初心に適した診療科としては呼吸器科や耳鼻咽喉科が挙げられます。


参考:全国診療施設一覧 - 睡眠時無呼吸症候群ガイド
http://www.sleep-mukokyu.com/list.html

参考:ネットで申込む睡眠時無呼吸症候群の検査

 鼾がひどい人や眠っている時に呼吸が止まる人は睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。病院で診察や検査を受ける時間が中々取れないというような人は、自宅で睡眠時無呼吸症候群の検査を受けることができます。鼾が大きいは、まずはこのような簡易な検査でもよいので、睡眠時無呼吸症候群の検査を受けることをオススメします。


検査の申し込み
 日本には睡眠時無呼吸症候群の患者が200万人以上いると言われますが、そのうちのごく一部の人しか病院での治療を受けていません。そこで、より多くの睡眠時無呼吸症候群の患者を発見するために、平成24年夏から日本自動車連盟(JAF)と運輸・交通SAS対策支援センター(SASサポートセンター)が自宅で簡易検査を受けられるサービスを始めました。この検査は個人だけでなく会社などの団体でも申し込めます。交通機関で運転に従事している人は、自分の健康だけでなく他の人の安全のためにもこのような検査を受けることをオススメします。検査の申し込みは、運輸・交通SAS対策支援センターのサイトから必要事項を入力するだけで、個人で申し込んだ場合の費用は検査費用5,000円と代引き手数料315円、それに送料です。また、JAF会員は200円の割引を受けられます。申込みが受け付けられると、運輸・交通SAS対策支援センターから日程調整のメールが来るので、メールにある専用のサイトにアクセスして検査機器を届けてもらう日時を決めます。

検査の仕方
 指定の日時に宅配便で検査機器のセットが届きます。セットには検査機器と検査の手引き、問診票が入っています。問診票には、検査当日の健康状態や睡眠の記録、日常生活についてのアンケートを記入します。日常生活についてのアンケートなど書けるところは検査の前に書いておくとよいでしょう。なお、検査機器は届いてから3日後に宅配業者が取りに来ますので、検査は3日間のうち都合がよい時に行ないます。検査時間が4時間未満だと正しい判定ができないことがあるので、4時間以上眠れる時を選んで検査します。検査当日の食事や喫煙、飲酒、服薬は、普段通りに行なって構いません。
 まずは眠る前に検査機器を身体にセットします。まず本体はマジックベルトで腕時計の位置に取り付けます。本体から出ているプローブ(指を挟むセンサー)は人差し指・中指・薬指のどれかに装着します。プローブには指の形がついているので、爪の形がある方を爪側にして指を挟みます。マニキュアをしている場合は必ずマニキュアを取ります。また、プローブに指を入れすぎると、検査中に痛くなりますし、逆に浅すぎても正しく検査できないので、プローブの発光部が爪の生え際辺りに来るように深さを調整します。次に、検査機器を取り付けたら電源スイッチを入れます。正しく動いていると本体に脈拍数と酸素飽和度(血液中の酸素の量)が表示されます。上手く表示されない時は、プローブの向きを確認したり別の指で試して下さい。検査の準備ができたら、後は眠るだけです。眠っている途中にプローブが外れたら、もう一度きちんと付けて検査を続けます。また、指が痛くなってきたら別の指に付け替えます。朝起きたら電源を切ります。スイッチを入れてから10時間経つと自動的に電源が切れます。

検査結果の見方
 検査機器を返送してから3週間ほどで検査結果が届きます。結果票には血液中の酸素の状態(低酸素の程度と回数)や脈拍の平均・上昇回数とその程度がプリントされています。特に大切なのは酸素飽和度(血液中の酸素の量)の変化で、健康な人の酸素飽和度は平均98%以上で、最低でも95%以上あります。酸素飽和度が基準の値から3%以上低下した1時間当たりの回数を「ODI3」と言いますが、これは1時間当たり何回無呼吸ないし低呼吸の状態に陥ったかを表わしています。このODI3が1未満であれば正常です。ODI3が1以上5未満は正常範囲内ですが、睡眠呼吸障害が少し起こっています。ODI3が5以上15未満は軽度の睡眠呼吸障害と判定されます。生活習慣の見直しなどを行なっても日中の眠気が強ければ睡眠専門の医療機関を受診しましょう。さらにODI3が15以上30未満の人は中等症の睡眠呼吸障害で、ODI3が30以上になると睡眠呼吸障害も重症となります。これらに判定されたら、検査結果票を持って早めに専門の医療機関を受診して下さい。

睡眠時無呼吸症候群の治療
治療の方法

 睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、まずは治療法を決定します。治療は内科的治療、歯科装具、手術に分けられます。患者に適した治療法を患者と相談しながら医師が選択します。なお、治療を効果的に行なうためにも生活習慣の改善に心懸けることが必要です。たとえば肥満に対しては体重の減少を図ることが第一で、多くの場合はこれだけで病態の改善を期待することができます。また、薬物療法により呼吸を促進させることもあります。

 睡眠時無呼吸症候群の治療には幾つか種類がありますが、最も一般的な治療法としては、睡眠時にCPAP(シーパップ)という機械を使用するものが挙げられます。CPAPによる治療は、睡眠中に鼻マスクを装着し、そこから一定圧で空気を送り込むことで、睡眠中に緩んだ喉の筋肉によって喉が塞がってしまうのを防ぐ方法です。睡眠時無呼吸症候群の治療法の中で最も有効性が高く、安全かつ確実な方法と言われ、健康保険も適用になります。なお、アデノイドや口蓋扁桃肥大や形態異常など上気道の閉塞の原因が明らかなケースでは手術が行なわれます。
睡眠時無呼吸症候群の治療法


CPAP(シーパップ:鼻マスク式持続陽圧呼吸療法)
CAPA治療 CPAP(Continuous Positive airway Pressure:経鼻的持続陽圧呼吸療法)は鼻から専用のマスクを介して空気を送り気道を広げる療法です。CPAPは現在世界中で一般的に行なわれている睡眠時無呼吸症候群の治療法で、これは鼻マスクから気道に空気を送り込んで圧力をかけることで気道が塞がること(気道閉塞)を防ぐという対症療法のひとつです。この治療法は睡眠時無呼吸症候群に対して最も有効性が高いだけでなく、安全かつ確実な治療法とされています。また、重症であってもしっかり治療効果を出すことができます。ただしその反面、軽症の方には余り向いていません。



  • 効果
     CPAPを使うことによって熟睡できるようになり、昼間の眠気から解放され、仕事や運転などでも眠気がなく集中できるようになることが多いとされます。重症の患者の場合は虚血性心臓病や脳血管障害による死亡のリスクを軽減することができると言われます。
    治療効果としては、翌朝から劇的な効果を実感できる場合もありますが、そうでなくても徐々に効果を体感できる人が多いようです。導入当初のマスクや空気圧の違和感などは、個人差がありますが、たとえ当初違和感が強くても徐々に慣れてしまうことが多いでしょう。治療成功の鍵は適正な空気圧設定とマスク選択/フィッティングで、そのため専門医療機関を受診し睡眠ポリグラフ下で適正圧を設定及び効果確認することが重要です。日本では健康保険で中等症以上の睡眠時無呼吸症候群の方が保険適応ですが、無呼吸が軽症であっても日中眠気が強い人は健康保険適応外であっても試みてみるべき治療法であると言えます。

  • 費用
     中等症以上の睡眠時無呼吸症候群の場合(一時間当たりの無呼吸ないし低呼吸指数が20回以上)は健康保険が適用されており、自己負担は3割負担で月に約5000円弱程度です。ただし、健康保険でこの治療を受けられる場合、毎月必ず外来受診することが必要となります。


マウスピース(スリープスプリント)
マウスピース 主に鼾症の方や軽症の無呼吸症の方に有効な治療がマウスピース療法で、歯科医院へ行って顎の位置を固定するマウスピースを作ってもらい、睡眠時にこれを装着する治療法です。マウスピースを作って睡眠時に装着するだけなので簡単で費用も安くなります。しかし、睡眠時無呼吸症候群の治療の知識・経験を持った歯科医が少ないこと、日数がかかることが問題となります。また、軽症には有効であっても中等症以上には効果が余り期待できず、残念ながら適応範囲が限られてしまいます。無呼吸症の方に適応されるマウスピースは、一般の歯ぎしり防止用やスポーツ選手が使用されているものと異なり、下顎を前方に数mm突き出して噛み合わすようにするものです。これにより咽頭部が広がり、睡眠中に喉が狭窄・閉塞することを防ぎます。当然鼾症の方にも有効で、個人の歯形に合わせて製作します。作製には経験が必要で、睡眠の専門医療機関と連携のある熟練した歯科医に受診されることをオススメします。副作用として顎の痛みや違和感がありますが、数ヶ月の使用で徐々に慣れてゆくケースが大半です。睡眠時無呼吸症候群の人は、マウスピース作成後その治療効果をポリグラフ検査で確かめることをオススメします。総入れ歯やひどい顎関節症の人は使用できません。簡易検査などで無呼吸が軽症で治療が必要でないと診断された人の中にも睡眠の障害が比較的強い場合があり、一度専門施設を受診して治療を試されることをオススメします。平成16年4月より健康保険が適用になり、睡眠時無呼吸症候群であるという診断書があれば保険が適応されます。

手術療法
 無呼吸の責任部位が明確な場合に適応されます。小児の睡眠時無呼吸症候群の大半は扁桃肥大が原因で、そのため扁桃摘出術が有効です。全身麻酔で行なう手術です。成人の場合は責任部位が明確でないことが多く、肥満を合併されているケースも多いため、手術適応には慎重な判断が必要になります。また、肥満合併の重症の方の場合は手術そのもののリスクが高いことも念頭においておく必要があります。ただCPAPやマウスピースで治療を行なう場合でも、鼻の通気が良好なことがより不快感を減少させるため、さらに鼻詰まりが無呼吸の悪化要因になっているケースもあり、鼻の治療には積極的に取り組むことが必要です。耳鼻科手術を考慮される場合は鼾ないし睡眠時無呼吸症候群を専門に扱っている耳鼻咽喉科への受診をオススメします。
  • 咽頭口蓋形成
     喉(気道)の狭くなったところを広げる手術で、全身麻酔の手術と外来での局所麻酔の手術があります。気道が狭くなっている部分によっては手術的な治療が適応となります。全身麻酔の手術は苦痛などの負担も大きく、合併症の危険性も伴います。さらに効果の確実性(再発の可能性)にも問題があるため、現在では第一に選ぶべき治療法ではなくなりました。しかし、気道の狭くなっている場所や状態によっては即効性もあります。また、NCPAPの装着を苦痛に感じる患者にとっては選択肢となる治療法です。この他に、入院を必要とせず、外来で簡単にできるレーザー手術もあります。こちらは苦痛も少なく、危険性や合併症の可能性も低くなります。

  • 下鼻甲介切除術/鼻中隔矯正術/レーザー手術
     鼻づまりによる睡眠時無呼吸症候群に対しては鼻から空気を送り込むNCPAPを利用することができないため、鼻閉の改善手術を行ないます。

減量
 減量は睡眠時無呼吸症候群の根本的な治療となり得ます。しかし、睡眠時無呼吸症候群を発症しているほどの肥満を症状が改善するほどに減量させるのは現実的には不可能に近いことです。また、それだけの時間も必要になってきます。実際のところ、他の治療法を行ないつつ減量に努めることになります。


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【4】睡眠時無呼吸症候群を予防するために

 本節では、日頃から日常的に行なうべき睡眠時無呼吸症候群の予防法を取り上げ解説します。
自分でできる睡眠時無呼吸症候群の予防法

 自覚症状が分かりにくいため病院へ行かない睡眠時無呼吸症候群予備軍の人がたくさんいると言われています。しかし、睡眠時無呼吸症候群は一歩間違えると生命に関わることもある病気です。もちろん自覚症状がある場合は病院で検査することが大切ですが、日常でも自分でできる対策もあります。まず第一に、睡眠時無呼吸症候群の人に多いと言われている肥満の解消が挙げられます。肥満を解消しただけで軽度の睡眠時無呼吸症候群の場合は症状が改善する場合もあるのです。また、治療が始まっても、当然ながら肥満を改善しなければ余り効果が出ないことが多いとされます。睡眠時無呼吸症候群の心配がある場合には、まず肥満解消は大きな課題になります。次に寝る時の身体の向きも大切です。仰向けに寝ると、睡眠中に重力のために舌が喉の奥に落ちやすくなってしまい、そのため舌が上気道を塞いでしまうのです。それを簡単に防ぐ方法が横向きに寝ることで、この場合、寝返りを打って仰向けに戻ってしまわないように枕の片側半分に折り畳んだタオルを入れて傾斜をつけるとよいでしょう。また、自分の頭に合った高さの枕を使うことも大切です。また、寝る前のアルコールも実は睡眠時無呼吸症候群の症状を悪化させます。これは、アルコールによって筋肉が緩んでしまい、舌によって上気道が塞がれやすくなるためです。寝酒の習慣がある人はますはそれを控えてみましょう。さらに、日中もできることはあります。普段日中に口呼吸で暮らしている人は当然ながら寝ている時にも口呼吸になります。口呼吸は大量に空気が入ってくるので、狭くなった上気道をと通る際に喉が振動して鼾になることがあるのです。普段から鼻呼吸を心懸けるだけで、睡眠時にも自然に鼻呼吸ができるようになってゆきます。以上はあくまでも予防策として考え、もしも睡眠時の無呼吸や大きな鼾などを家族などに指摘された場合などは早めに受診して適切な治療を行なって下さい。

 睡眠時無呼吸症候群は生活習慣と密接に関係しています。従って、睡眠時無呼吸症候群の治療の第一歩は生活習慣を見直すことから始まります。それに、睡眠時無呼吸症候群は、軽度の人であれば自宅での対策だけで大きく改善する場合があります。たとえば肥満の人は生活に運動を取り入れたり、晩酌をする人はその量を減らすことで無呼吸が軽減する場合があります。もちろん睡眠時無呼吸症候群には適切な治療が必要な病気ですが、受診前や治療中などに自分でもできる対策があります。治療のその効果をさらに上げるためにも自宅での対策を取り入れてみたらどうでしょうか。


肥満の解消
 肥満を自覚している人はもちろんですが、舌や喉の周囲にも余分な脂肪があると上気道が狭くなりやすいので、まずはダイエットで余計な脂肪を落とすところから始めましょう。肥満によって喉の脂肪が増え、その圧迫で気道が狭くなって睡眠時に無呼吸になりやすくなりますので、治療を行なう時も肥満の解消は必須です。その他の生活習慣病のリスクも高まりますので、肥満解消は早期に取り組むのをオススメします。

血糖コントロール
 既に糖尿病と診断されている人はもちろんですが、予防も兼ねて血糖コントロールもシビアに行ないたいものです。睡眠時に起こる低血糖が睡眠時無呼吸症候群の原因の一つではないかとも言われています。睡眠時の低血糖は交感神経を刺激し、ますます喉の緊張も起こりやすくなります。血糖値が気になる人は同時進行で治療を行ないましょう。

横向き睡眠
 睡眠時無呼吸症候群は舌の肥大も原因の一つになっていて、これは特に仰向けに寝ることで起こりやすくなります。大きな鼾をかきやすい人は仰向けで大の字になって寝る人が多いとされます。舌が上気道を塞いでしまうのを防ぐために出来る一番簡単な対策は横向きに寝ることです。仮に真横を向くことができなくても、首や体が少しでも傾けば上気道に空気が通りやすくなります。気道を確保できる態勢で睡眠を摂ることも大切です。

鼻呼吸の習慣
 睡眠時無呼吸症候群の人は口呼吸をしている人が大半だと言われます。口での呼吸となるからこそ鼾が大きくなるので、口から息を吸い込むと非常に大量の空気が入って来ることになって、狭くなった上気道を通ろうとした時に喉を振動させて鼾が発生するのです。本来人間は鼻で呼吸する作りになっています。睡眠時に口呼吸だからこそ口の中が乾き、さらに気道が狭くなるのです。鼻呼吸は普段の習慣なので、口がぽかんと開いているなど自覚があれば治してゆきましょう。特に鼻炎がある人は睡眠時無呼吸症候群になりやすいと言います。鼻炎の治療も行ない、鼻呼吸を意識するようにしましょう。鼻で呼吸するようにすれば症状は大分変わってくることでしょう。

アルコールを控える
 飲酒後に鼾が大きい人は睡眠時無呼吸症候群の傾向があります。睡眠時無呼吸の症状のある人は、アルコールによって筋肉の緩みが増長され、舌によって上気道が塞がれやすくなるため、アルコールを飲んで寝た時の方がより症状が悪化します。また、アルコールによってむくみやすい体質の人は要注意で、飲酒によって喉がむくみ、気道が狭くなりやすくなります。さらに、アルコールは低血糖も招きやすくなります。このように時に様々な悪影響があるアルコールは控える方が得策だと言えます。

禁煙する
 タバコは上気道炎症を起こさせたり上気道の筋力を低下させ悪化させるとの報告があるので、睡眠時無呼吸症候群の疑いのある人は禁煙をしましょう。

睡眠薬
 睡眠薬の中には却って無呼吸を悪化させるタイプのものがあります。睡眠薬を服用している人は一度医者に相談してみましょう。無呼吸を適切に治療することにより睡眠薬が不要になる場合もあります。

参考:小児の睡眠時無呼吸症候群

 昔から「寝る子は育つ」と言われ、子どもの心と体の健全な成長には良質な睡眠を摂ることが重要になります。そのためにはまずは生活環境や睡眠環境を整える必要がありますが、小児の鼾や無呼吸は正常な睡眠や成長に悪影響を及ぼすことがあります。鼾や無呼吸の原因は、鼻閉やアデノイド(※鼻の突き当たり、すなわち鼻から喉に繋がるところにあるリンパ組織のひとつで、咽頭扁桃と呼ばれる)の肥大や口蓋扁桃(※喉の奥の両脇から飛び出しているように見えるリンパ組織の塊)の肥大に伴うことが多いのですが、肥満も原因となります。小児の睡眠時無呼吸症候群は発達の遅れや成長障害を引き起こします。
 小児の睡眠時無呼吸症候群のサインは、鼾をかくことです。鼾をかくというのは気道が狭くなっている可能性を意味しています。鼾がある小児は夜間に無呼吸になっていることが多く、睡眠時無呼吸症候群が重症で未治療な場合、成長や発達に影響を及ぼすことがあります。小児の睡眠時無呼吸症候群は治療によって症状の改善や睡眠及び日常生活の質を向上させることができます。お子さんの病状が気になる人は、耳鼻咽喉科 専門医師の所属する医療機関での受診をオススメします。


原因
 小児の睡眠時無呼吸症候群の原因としては、アデノイド肥大や口蓋扁桃肥大、アレルギー性鼻炎に伴う鼻閉によることが多いとされます。アデノイド肥大は3〜6歳、口蓋扁桃肥大は5〜7歳で最大となり、学童期の後半に次第に退縮します。個人差はありますが、好発年齢は2〜6歳で、成長や発達の時期に関係しています。また、近年スギ花粉症の患児の増加も睡眠時無呼吸症候群との関連が指摘されています。また、肥満や下顎や上顎の顔面の形態異常も鼾や無呼吸を引き起こします。

症状
 夜間の口呼吸や苦しそうな鼾、無呼吸が主な症状ですが、小児の胸郭は未発達のため過度に呼吸を行なうことで陥没します。夜尿や起床時不機嫌、長時間に渡る昼寝(幼稚園、小学校での居眠り)、発育の遅れも見られます。また、落ち着きがない、多動、人格の変化による攻撃的な行動を引き起こすこともあります。長時間の睡眠時無呼吸症候群が続くと、胸郭変形(鳩胸・漏斗胸)が生じたり、慢性的な低酸素症に伴う精神遅滞、睡眠中の成長ホルモンの分泌低下に伴う低身長になります。

検査
 小児の睡眠時無呼吸症候群の検査では鼻や咽頭の観察が重要となります。耳鼻咽喉科では肉眼での鼻や咽頭の観察が可能で、アレルギー性鼻炎や口蓋扁桃肥大がないか診断します。また、レントゲン撮影でアデノイド肥大や口蓋扁桃肥大、小下顎(※下顎の成長が悪く舌が後退するため咽頭が狭くなること)がないかを調べます。睡眠時無呼吸症候群の正確な診断には、脳波や、眼の動き、心電図、鼻と口の気流の測定、胸腹運動などを記録する終夜睡眠ポリソムノグラフィーが必要です。様々なモニターを装着することで眠りの体位や深さ、時間、睡眠障害の有無、無呼吸ないし低呼吸の有無、脈拍の変動などを入院し測定します。ただし、この測定装置は日本全国どこにでも備わっているものではなく、ある特定の病院や睡眠障害を専門とするクリニックにしか備わっていないのが現状で、そこで家庭に貸し出して検査を行なう簡易ポリソムノグラフィーや家庭での睡眠時のビデオ撮影なども有用となります。ビデオ撮影では鼾や口呼吸や無呼吸の状態、寝ている時の体動を観察します。

治療
 睡眠時無呼吸症候群の治療方法には、手術治療と保存的治療とがあります。手術治療は、小児の睡眠時無呼吸症候群の治療の第1選択です。アデノイド切除と口蓋扁桃摘出術により鼾及び無呼吸の症状は著明に改善します。手術時期はアデノイドと口蓋扁桃の生理的肥大時期である3〜6歳に行なうことが多いですが、3歳未満でも早期に診断されれば手術を行ないます。手術は全身麻酔下に行ない、入院期間は約1週間です。一方の保存的治療は、高度な肥満や顎顔面形態異常、神経筋疾患などがあって手術困難な小児が対象になります。保存的治療には、成人例で最も汎用されている経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)があります。CPAPは小児においても高い治療効果が得られますが、小児は自覚症状と治療の必要性に対する理解が乏しいため、如何に治療を継続してゆくかが課題となります。

参考:睡眠時無呼吸症候群に関する参考図書


◆参考図書
石塚洋一『「死」をまねく睡眠時無呼吸症候群』ハート出版
石塚洋一・著
『「死」をまねく睡眠時無呼吸症候群 新装版』
ハート出版・2003年04月、1,300円
「たかがいびき」「いびきは健康のシンボル」などと思っていませんか。いびきをかく人は、睡眠中に寿命を確実に縮めているのです。
坂田英明、小山悟『危ない!子どものいびき 突然死をまねく睡眠時無呼吸症候群』芳賀書店
坂田英明+小山悟・著
『危ない!子どものいびき 突然死をまねく睡眠時無呼吸症候群』
知って!シリーズ10、芳賀書店・2001年08月、1,800円
いびきが引き起こす危険な病気「睡眠時無呼吸症候群」その最新情報を第一線で取り組む「小児いびき外来」医長がわかりやすく解説。
古賀良彦『睡眠と脳の科学』祥伝社新書
古賀良彦・著
『睡眠と脳の科学』
祥伝社新書356、祥伝社・2014年02月、760円
はじめに睡眠のメカニズムをわかりやすく説明し、快眠できる環境を示しました。そのうえで、徹夜をする時、早朝に起きる時、一夜漬けで効率的な勉強をしたい時、半年後の試験に向け記憶力を高めたい時、飛行機などに長時間乗る時、熱帯夜に熟睡したい時、かぜを引いた時…など、それぞれに効果的な睡眠法を紹介します。快眠を得る“守り”の睡眠から、睡眠を効果的に活かす“攻め”の睡眠までを網羅した決定版。
白濱龍太郎『ビジネスマンの睡眠コントロール術 睡眠改善のヒント』幻冬舎メディアコンサルティング
白濱龍太郎・著
『ビジネスマンの睡眠コントロール術 睡眠改善のヒント』
経営者新書059、幻冬舎メディアコンサルティング・2013年04月、740円
ストレスや生活環境など様々な要因で発生する睡眠障害。睡眠中の様子は自分ではわからないため、病気だと自覚する人は少ないが、現代社会において約300万人が「睡眠時無呼吸症候群」といわれている。呼吸器内科専門外来の知識から、睡眠と体の関係、質の高い睡眠をとることで得られる仕事のパフォーマンス向上について公開。


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