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 昨今、数年前と同様ノロウィルスによる食中毒被害が騒がれています。
 今月は、ノロウィルスとロタウィルス感染症について取り上げ、今の季節に食中毒にならないように家庭で出来ることを中心に解説しました。
写真(ノロウィルス)


ノロウイルスとロタウイルス
【1】ノロウィルスに注意しよう〜ノロウィルス感染症の症状と原因〜
【2】ノロウィルス感染症に罹らないようにするには?〜治療法と予防法〜
【3】ロタウイルスにも気をつけよう〜ロタウィルス感染症の原因と予防法〜


【1】ノロウィルスに注意しよう〜ノロウィルス感染症の症状と原因〜

 今の季節、ノロウィルスによる食中毒が増えています。
 本節では、ノロウィルス感染症とはどんな病気なのか、その症状や原因等について取り上げ解説しました。
冬の食中毒とノロウィルス
写真(ノロウィルス)
 この冬、ノロウイルスが全国で猛威を振るっています。健康な大人が感染した場合は、2〜3日で回復しますが、体力の弱ったお年寄りなどは、場合によっては死に至ることもありますので、注意が必要です。

 食中毒の原因は、一般にサルモネラや病原性大腸菌O-157などの細菌性食中毒、或はフグやキノコなどに含まれる自然毒食中毒が知られています。また、食中毒と言えば湿気が多く細菌の繁殖しやすい梅雨から夏の時期というイメージがありますが、しかし冬季にはウイルス性食中毒が頻発し、その大多数はノロウイルスというウイルスが原因です。毎年10月頃から1 〜2月をピークに全国的に流行しています。
 ノロウイルスはヒトの腸内でのみ増殖するため、患者や感染者の糞便や吐物には大量のウイルスが含まれています。海水中のウイルスを二枚貝(アサリやカキ等)が溜め込む(=濃縮する)性質があります。[ヒト→糞便・吐物→トイレ→下水処理場→河川→海→二枚貝→ヒト」と自然界を循環しています。感染力が非常に強く、食中毒の他に糞便や吐物・手指を介してヒトからヒトへ感染します。また、ノロウイルスは乾燥すると空中に漂い、これが口に入って感染することもあります。特に保育園や小・中学校、病院、老人ホームなどの施設でヒトからヒトへの感染が多く、冬〜春季(11月〜4月)に多発します。
ノロウイルス感染症の特徴

 ノロウイルスとロタウイルスは共に下痢、嘔吐を主徴とする胃腸炎をおこしますが、ノロウイルスはロタウイルスに比べ幅広い年齢層に罹患する傾向があります。秋から年末にかけてはノロウイルスが、そして、1〜4月にかけてはロタウイルスが主に流行します。
 ノロウイルスは、カキ等の二枚貝の生食による食中毒がよく知られていますが、僅かなウイルスが口の中に入るだけでも感染する、つまり人から人への感染力も非常に強いウイルスです。乳児期から成人まで幅広く感染します。嘔気や嘔吐、下痢が主症状で、一般に症状は軽症です。ただし、老人や免疫力の低下した乳児では重症化して死亡することもあります。保育所や幼稚園、小学校などの小児や、病院や老人ホーム、福祉施設などの成人でも集団発生が見られることがあり、とにかく注意が必要です。
ノロウイルスによる食中毒はどこが違うのか?


新鮮でもダメ! 冷蔵してもダメ!
 新鮮だからといって安心してはいけません。カキに限らず食べ物がノロウイルスに汚染されていれば感染の可能性があります。冷蔵してもウイルスは死んだりしません。

非常に少量で発症
 非常に少量(数個から100個程度)でも感染しますから、“ちょっと汚したぐらい”と思っても安心できません。

人から人に移ります(感染症)
 人間の体内でのみ増え、糞便の中に多量に出てきます。感染力が強く、トイレの後の手指や嘔吐物の飛沫(=空気中に飛び散ること)からでも感染しますから特に注意が必要です。

消毒薬が効かない
 消毒アルコールや塩化ベンザルコニウムなどの逆性石けん液(※洗面所等にある薬用石鹸液)では消毒効果が低いので、熱湯または次亜塩素酸を使用しましょう。

感染しても発症しない人がいる
 米国での実験例では、ウイルスに感染しても症状が出ない人(=不顕性感染者)が32%であったと言われています。


ちょっと専門的に
 ノロウイルスは、1972年に米国の小学校で発生した集団胃腸炎患者の糞便から直径約30nmの小型の球形ウイルスとして発見され、電子顕微鏡でなければ観察できないほど小さいウイルス粒子の形から、従来は「小型球形ウイルス(Small Round Structured Virus :SRSV)」と呼ばれていた古株のウイルスです。なお、SRSVという名称は最近まで用いられ、2002年夏の国際学会で最初に患者が出た米国の町の名前を取ってNVと名づけられました。また、日本でも平成9年5月に食品衛生法の改正で、小型球形ウィルス(SRSV)が食中毒の原因物質に追加されました。アメリカと同様、日本でも従来は「SRSV(小型球形ウイルス)」とされてきましたが、近時の遺伝子解析や学会の状況等を踏まえて、さらに平成15年8月の食品衛生法により、病因物質が小型球形ウィルスから「ノロウイルス」に改められました。お陰で、以前は原因が分からず、いわゆる「おなかの風邪」のひとつとされていたケースがノロウイルス感染と分かり、以来にわかに患者数が増加したという次第です。
 ちなみに、小型球形ウィルスは電子顕微鏡で観察したとき小さな球形の構造をしている一群のウィルスを総称していますが、実際にはウィルス性食中毒の殆どはノロウィルスが原因で、行政的に小型球形ウィルスはノロウィルス(ノーウォーク様ウィルス)を示していました。従って、食中毒事例で小型球形ウィルス、ノーウォーク様ウィルスと従来呼ばれていたものはノロウィルスということになります。

ノロウイルス感染症の症状

 主な症状は吐き気や嘔吐、そして下痢です。通常は便に血液は混じりません。また、熱も余り高くならないことが多いです。通常これらの症状が1から2日続いた後治癒し、後遺症もありません。また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の時もあります。ただ、小児では嘔吐が多く、嘔吐及び下痢は1日数回から、ひどい時には10回以上の時もあります。
 感染してから発病するまでの潜伏期間は短くて10数時間〜数日(平均1〜2日)で、症状の持続する期間も数時間〜数日(平均1〜2日)と短期間です。元々他の病気があったり、大きく体力が低下しているなどのことがなければ、重症になって長い間入院しないといけないというようなことはまずありませんが、ごく稀に嘔吐したものを喉に詰めて窒息するというようなこともありますので、くれぐれも注意が必要です。また、激しい嘔吐や下痢によって急激に水分を失うこともあるので、特に乳幼児や高齢者では脱水症状に特に気をつける必要があります。
ノロウイルス感染症の原因

写真(カキ) ノロウイルスによる食中毒は、以前はノロウイルスに汚染された牡蠣やアサリ、シジミなどの二枚貝によるものが最も多いと言われていました。ただし、ノロウイルスは貝類自体には感染しないと考えられていて、ウイルスが貝の体内で直接増殖するわけではありません。実際には貝は大量の海水を取り込み、プランクトンなどの餌を体内に蓄積するのですが、それと同じメカニズムで海水中のウイルスも体内で濃縮・蓄積されると考えられています。ところが、近年はこういった二枚貝が食中毒の原因となることは減少しており、牡蠣が食材とされる集団食中毒も激減しています。疫学的には牡蠣以外の食材、或は直接・間接的なウイルスへの接触による、原因の余りハッキリしない感染経路が圧倒的であると考えられています。
 人から人への感染は糞口感染とも呼ばれます。経口感染の場合、ノロウイルスは口から入ってきて、食道や胃を通って小腸の壁で感染し、増殖します。そして、増殖して多くなったウイルスが腸の中で便と混じってゆくわけですが、その結果ウとともイルスは感染者の糞便と共に排出される他、嘔吐がある場合は胃に僅かに逆流した腸液と共に嘔吐物にも混じって排出されます。そうして出て来た糞便や嘔吐物の一部は目に見えないような少量ですが、これが広範囲に飛び散ります。また、手洗いを充分にしないと、ウイルスは手の指の間などにしぶとく残っています。知らず知らずのうちに、衣服や食器など様々な経路で広がったウイルスがごく僅かに混入した食品などを介して再び経口的に感染して広がってゆくことになるのです。なお、しばしば聞かれるのは、まず子どもが感染性胃腸炎に罹って家で吐いたり下痢をしたりして、それを世話したお母さんが同じような症状を訴えて病院にゆくということです。またノロウイルスの場合、少数のウイルスが侵入しただけでも感染・発病が成立すると考えられており、僅かな糞便や嘔吐物が乾燥した中に含まれているウイルス粒子が空気を介して経口感染することもあると言われています。


■ノロウイルス感染症の感染経路
 ノロウイルスは口から人の身体に入って感染します。主な感染経路は次の3つに分けられます。
人から人へ:
 感染している人の便や嘔吐物が手につき、ドアノブやタオルなどを介して感染することがあります。
人から食品を介して人へ:
 ノロウイルスの感染した人がウイルスの付いた手をよく洗わずに調理したため、食品にウイルスが付き、この食品を食べることで感染することがあります。
食品から人へ:
 ノロウイルスを取り込んだ二枚貝を生で、或は充分に加熱しないで食べることによって感染することがあります。


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【2】ノロウィルス感染症に罹らないようにするには?〜治療法と予防法〜

 ノロウィルスに罹らないようにするにはどのようにすればよいのでしょうか? 
 本節では、ノロウィルス感染症の治療法と共に、これを予防するために家庭で出来ることを中心に取り上げ解説しました。
ノロウイルス感染症の検査

 下痢や嘔吐の症状があっても、ノロウイルスによる病気かどうか症状からだけでは中々特定することが出来ないので、医者はウイルス学的に診断をつけことになります。通常、患者の糞便や吐物を用いて検査を行ないます。そして、ウイルスというのはとても小さいもので、通常の顕微鏡では見ることが出来ないので、そのため、より細かい粒子を見ることが出来る電子顕微鏡を用いて調べたり、或はウイルスの遺伝子を増幅して間接的にウイルスを検出する方法を使ったりします。また、酵素を用いて簡便にウイルスと反応させることでで検出を行なうスクリーニング検査もありますが、これは少量のウイルスでは検出されないこともあります。ただし、現時点ではこのノロウイルス検出方法は何れも保険で認められていないため、外来で検査をしようとなると簡単な検査で数千円、精密検査だと1万円から2万円ほど費用がかかってしまいます。何れにせよ、医師の立場から見ると、原因がはっきりしたとしても治療法が変わるわけではないので、一般の内科の外来で診断確定のために検査をすることはまずありません。しかし、少量のウイルスでも感染の原因となること、そして、高齢者や乳幼児では重症になることもあるため、病院や老人施設、給食関連施設等では、ノロウイルスは職場管理上問題となってきます。職種によっては、ノロウイルス感染症の可能性がないか、もしくは可能性が低いことを確定する必要性も考えられます。そのため、そういった時には上記で触れたような検査をする意味もあるわけです。
ノロウイルス感染症の治療方法

 現在このウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません。すなわち、ノロウィルス感染戦傷に対する特効薬はない状態なのです。症状の持続する期間は短いですから、その間に脱水症にならないように出来る限り水分の補給をすることが一番大切で、必要に応じて市販のイオン飲料等で水分を補給する必要があります。水分を補給しても吐いてしまうような場合は、 早めに医療機関を受診して、場合によっては病院で点滴をしてもらうことも必要になるでしょう。
 また、抗生物質は効果がありませんし、下痢止め薬は下痢の期間を遷延させることで却って病気の回復を遅らせることがあるので、通常は使用しません。その他は吐き気止めや整腸剤などの薬を使用する対症療法が一般的です。下痢が長びく場合には下痢止めの薬を投与することもありますが、上記の理由から最初から用いるべきではありません。なお、体力の弱い高齢の方や乳幼児は誤って吐いた物を喉に詰まらせて窒息する危険性もあるので、充分に注意が必要です。
ノロウイルス感染症の予防方法

 日頃からの予防方法としては、食事前やトイレの後などにおいて、まずは石鹸を使ってお湯などでしっかりと手を洗うことが大切です。また、食品中のウイルスは、加熱により感染性をなくすことができます。食品の中心温度が 85℃ 1分以上になるようにしっかり熱を通して食べましょう。さらに、下痢や嘔吐などの症状がある人は食品を取り扱う作業を控えましょう。

 感染経路を考えると、手洗い及び調理器具の衛生管理が重要です。手洗いは、調理を行なう前、飲食業を行なっている場合は食事を提供する前、食事の前、トイレに行った後、下痢等の患者の汚物処理やオムツ交換等を行った後などに、手袋をして直接触れないようにしていても必ず行ないましょう。石鹸を充分に泡立て、手の指の間、爪の間、手首などまでしっかり洗うことが大切です。石鹸自体にはノロウイルスを直接死滅する効果はありませんが、通常の水洗いでは落としにくい手の脂等の汚れを落とすことでウイルスを手指から剥がれやすくする効果があります。また、ノロウイルスの活動性を無くすための温度と時間については、現時点で正確な数値はありませんが、同じようなウイルスから推定すると、食品の中心温度85度以上で1分間以上の加熱を行なえば感染性はなくなると考えられています。そのため、特に子どもやお年寄りなどの抵抗力の弱い方は、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱することが予防として有効です。
 なお、家庭内や集団で生活している施設においてノロウィルスが発生した場合、集団感染を防ぐためには、ノロウイルスに感染した人の糞便や吐物からの二次感染、人から人への直接感染、飛沫感染を予防する必要があります。ノロウイルス感染による嘔吐や下痢では、嘔吐物や糞便ともに大量にウイルスが存在しているので、その取り扱いには十分に注意が必要になります。無造作に手で触ったりすることのないようくれぐれも注意しましょう。また、ノロウイルスは乾燥すると容易に空中に漂い、これが口に入って感染することがあるので、吐物や糞便は乾燥しないうちに床等に残らないよう速やかに処理し、処理した後はウイルスが屋外に出て行くよう空気の流れに注意しながら充分に喚気を行なうことが感染防止にとって重要になります。殺菌には熱湯或は家庭用に販売されている液体の塩素系漂白剤、殺菌剤を使用します。ただし、アルコールや逆性石鹸には余り殺菌効果はありません。さらに、汚れてしまった洋服や布団類は、付着した汚物中のウイルスが飛び散らないように処理する必要があります。まず使い捨てのマスクと手袋を着用し、便や嘔吐物はペーパータオル等で取り除き、ビニール袋に入れます。残った糞便や嘔吐物の上にペーパータオルを被せ、その上から50〜100倍に薄めた市販の塩素系漂白剤を充分浸るように注ぎ、汚染場所を広げないようにペーパータオルでよく拭きます。そうした後で洗剤を入れた水の中で静かに揉み洗いします。下洗いした洋服類の消毒は85度以上、かつ1分間以上の熱水洗濯が適していますが、家庭であれば普通に洗濯をした後、乾燥機にかける、スチームアイロンを使用するなどの手段も有効でしょう。


■予防の基本は手洗い
 予防の基本は手洗いです。充分な時間(30秒以上)をかけて洗いましょう。
  1. まず水で洗う
  2. 石鹸をつけてよく泡立てる
  3. 手の甲を伸ばすようにこすって洗う
  4. 指の間を洗う
  5. 指先や爪の間を念入りに洗う
  6. 親指はねじるように洗う
  7. 水でよく洗い流し、清潔なタオルなどで拭く
■予防の基本は手洗い
 ノロウイルスは湯通し程度の加熱では死滅しないので、中心部まで充分に加熱(85℃&1分間以上)しましょう。

ノロウイルスに関するQ&A - 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html

二次感染を防ぐために

 患者の下痢便や嘔吐物には大量のウイルスが含まれていますので、その処理には充分に注意する必要があります。 乾燥した嘔吐物や下痢便のかけらが風に乗って舞い上がり、そばを通った人が吸い込んだり、その人の身体に付着して、最終的に飲み込むことによって感染する場合があります。その上、下痢の症状がなくなった後も、患者の便には暫くウイルスの排出が続くと考えられるので、症状が治まっても安心は出来ません。汚物を処理する際には使い捨ての手袋を使用し、用便後や調理前の手洗いを徹底しましょう。なお、殺菌には熱湯ないしは0.05から0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを使用します。そして、調理器具や衣類、タオル等は熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効です。また、市販の塩素系漂白剤(通常は5〜10%次亜塩素酸ナトリウム)なら50〜100倍に薄めて(※原液10ミリリットルを1リットルの水で薄めるなど)使用します。


有効な消毒の方法
  • 85℃以上の熱湯で1分間以上加熱消毒する
  • 塩素系漂白剤(※次亜塩素酸ナトリウム液)を適切に薄めた消毒液で消毒する
  • 消毒用アルコールは余り効果はない
消毒が必要なところ
  • ドアノブや蛇口、手すり、子どものオモチャなど手の触れるところにウイルスが付着する可能性がある
  • 感染した人の嘔吐物や便には1g中に100万個〜10億個の多量のウイルスが含まれている。トイレや床など嘔吐物や便で汚染された箇所は徹底して消毒をすること
どうやって消毒するのか
  • 調理器具やオモチャなど:よく洗った後、消毒液に10分くらい漬けてから水洗いする
  • ドアノブや蛇口、手すりなど:消毒液をよく染み込ませたペーパータオル等で拭いた後、10分くらいしてから水拭きする
お風呂に入る時に気をつけること
  • 下痢などの症状がある人は1番最後に入るか、シャワーのみにする
  • 症状のある人が浴槽に入った後は、湯船等をよく洗い、消毒する

汚物の処理方法
  1. 患者の便や嘔吐物を処理する時は使い捨ての手袋とマスクを着用する
  2. 便や嘔吐物はペーパータオル等で取り除き、ビニール袋に入れる
  3. 残った便や嘔吐物の上にペーパータオルを被せ、その上から50〜100倍に薄めた市販の塩素系漂白剤を充分浸るように注ぎ、汚染場所を広げないようにペーパータオルでよく拭く
  4. ウイルスは乾燥すると空気中に漂い、これが口に入って感染することがあるので、便や嘔吐物を乾燥させないことが重要


■調理と配膳に関する注意点
 人によってはノロウィルスに感染しても発病せずに(※これを不顕性感染と呼びます)、ノロウイルスを便から排出し続けている場合があります。保護者などの大人の方が知らないうちに子どもにノロウイルスを感染させてしまう可能性も決して低くありません。そのため、家庭では以下の注意点を守るように心懸けましょう。
 調理の前と後で流水や石鹸(※液体石けんが推奨されます)による手洗いをしっかりと行なうこと
 貝類をその内臓を含んだままで加熱調理する際には充分に加熱して調理し、貝類を調理した俎板や包丁は直ぐに熱湯消毒すること
 食事を配膳する際にも手洗いをすることが推奨される。特に自分が下痢や吐き気がある場合は必ず行なうこと

■家庭における注意点
 学校や職場、施設内でノロウイルス感染による嘔吐や下痢が発生しても、その最初の発端は家庭内での感染による場合が多いと言われます。特に子どもや高齢者は健康な成人よりもずっとノロウイルスに感染し発病しやすいですから、家庭内での注意が肝要です。
 何度も言うように、最も重要な予防方法は手洗いです。帰宅時や食事前には、家族の方々全員が流水や石鹸による手洗いを行なうように心懸けること
 貝類の内臓を含んだ生食は時にノロウイルス感染の原因となることを知っておくこと。特に高齢者や乳幼児は避ける方が無難
 調理や配膳は充分に流水及び石鹸で手を洗ってから行なうこと
 衣服や物品、嘔吐物を洗い流した場所の消毒は,次亜塩素酸系消毒剤(※濃度は200ppm以上、家庭用漂白剤の場合は約200倍程度に薄める)を使用する。(※なお、次亜塩素酸系消毒剤を使って手や指など身体の消毒をすることは絶対に止めるようにしてて下さい。) 

参考1:適切な手洗い&うがいの方法

 手洗い及びうがいは様々な感染症の予防の基本です。日常の健康管理はもちろん、感染症の予防のためにも、日頃から手洗いとうがいの励行をオススメします。


■手洗いの方法
 外で様々なものに触れることを通して、手は想像以上に細菌等に汚染されています。手を洗うことで、知らないうちに手に付着した細菌等を洗い流してしまうことは、非常に効果的な感染症の予防方法です。
  1. 手を水で濡らし、石鹸を泡立てる。また、固形石鹸の場合は水で濯いで元に戻しておく
  2. 手の甲、そして手の平から親指、指の付け根、指と指の間を丁寧に洗ってゆく
  3. 爪の隙間を注意して洗う。このとき歯ブラシなどを使って洗うと効果的
  4. さらに10〜15秒以上揉み洗いをする。この作業が手についた細菌等を洗い流すのに効果的
  5. 清潔なタオルで手を拭き乾かす
■うがいの方法
 喉も手と同じように外の空気に直接さらされる部分です。喉は細菌等を身体の中に進入させない働きを持っているのですが、そのため喉には驚くほどの細菌等が付着しています。従って細菌等を取り除くためには、適切な方法によるうがいが必要です。
  1. うがいがしやすい量(20ml)の水ないしはうがい薬を希釈したもの、またはお茶(お茶には殺菌作用があるので意外と効果的)などをコップに取る
  2. まず残った食べ物などを取り除く目的で、口に1)で用意した水を含んで強くうがいする
  3. 次に、上を向いて喉の奥まで液が回るように15秒程うがいする
  4. (3)と同様に15秒程度のうがいを何度か繰り返す

■手洗いの方法
調理の前
生の肉や魚、卵に触った後
盛付けの前
食事の前
トイレやオムツ交換の後
動物に触った後

参考2:家庭で出来る食中毒予防のポイント


■食中毒予防の3原則
食中毒予防3原則

 食中毒の大部分は細菌によるものです。
 食中毒を予防するためには次のことを守ることが大切です。
細菌をつけない〜洗う・分ける・包む
 食中毒菌が手や調理器具を介して食品に付着し、増えることで食中毒を起こすことがあります。
 やはり、基本は手洗いです。自らが細菌の運び屋にならないように、こまめに手を洗いましょう。もちろん調理器具もしっかりと洗いましょう。さらに包丁・マナ板は肉用・魚用・野菜用に分けて使うとより効果的です。また、肉や魚などを保存する時は、他の食品に肉汁がかからないよう袋や容器に小分けしてしまいましょう。
細菌を増やさない〜冷凍・冷蔵・室温で長く放置しない
 一般に食中毒菌は室温状態(10℃〜40℃)の時に急速に増殖します(※腸炎ビブリオは8〜10分で2倍に増えます)。従って、冷凍食品の解凍を室温で行なうことは禁物です。中心部が解凍されるまでの時間に表面温度は室温と同じ状態が続くので、細菌を増やすことになります。従って、冷凍された食品の解凍は、冷蔵庫内で行うか、電子レンジを使いましょう。
 なお、冷蔵庫で保存しなければならない食品を買った場合は、寄り道せずに、帰ったら直ぐ冷蔵庫に入れましょう。また、冷蔵庫や冷凍庫の詰めすぎにも注意しましょう。そして、作った料理は早めに食べるように心懸けましょう。
>細菌をやっつける〜中心まで加熱・調理器具の殺菌
 加熱して調理する食品は、中心部が85℃以上で1分以上充分に加熱しましょう。また、残った食品を温め直す時も充分に加熱します。さらに、調理器具は漂白剤や熱湯などで定期的に消毒するとよいでしょう。

※注意:ただし、加熱できる食品は限られています。また、食中毒菌が作り出す毒素の中には熱に強いもの(黄色ブドウ球菌が作り出すエンテロトキシンなど)もあるため、加熱したから大丈夫という過信は禁物です。


■家庭で出来る食中毒予防の6つのポイント

 家庭での食事が原因の食中毒も数多く発生しています。もっとも、一般に食中毒と言うと、レストランや旅館などの飲食店での食事が原因と思われがちです。しかし、いささか旧聞に属しますが、学校給食等が原因となって過去に例を見ない規模の腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒が多発した1996年の事件にも見られるように、毎日のように食べている学校の給食や家庭の食事でも食中毒が発生する危険性はたくさん潜んでいます。実際、食中毒は家庭でも発生しているのです。ただ家庭での食中毒の発生の場合は、症状が軽かったり発症する人が1人や2人のことが多いことから風邪や寝冷えなどと思われがちで、食中毒とは気づかれずに重症になったり、場合によっては死亡する例もあるので、こちらも充分な注意が必要です。

 食中毒予防のポイントは以下で挙げる6つです。そして、食中毒予防の3原則は、食中毒菌を「付けない・増やさない・殺す」です。「6つのポイント」はこの3原則から成っています。これらのポイントをきちんと守ることで家庭での食中毒をなくしましょう。簡単な予防方法をきちんと守れば食中毒は必ず予防できます。
■1: 食品の購入をする時
 消費期限などをよく確認して購入し、温度管理が必要なものは早く持ち帰ることが大事です。
■2: 食品を保存する時
 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はマイナス15℃以下で保存し、詰めすぎないように注意しましょう。
■3: 下準備の時
 生の肉や魚・卵を取り扱った後は必ず手洗いをし、包丁やマナ板・フキンなどの台所用品は使った後で直ぐに洗剤と流水でよく洗うことを心懸けましょう。
■4: 調理の時
 調理の前は必ず手洗いをして、食品を冷蔵庫から出したら早く調理し、加熱調理する場合は中心までしっかり火を通すように心懸けましょう。
■5: 食事の時
 調理した食品は室温で長く置かないで、早めに食べるように心懸けましょう。
■6: 食品が残った時
 残った食品は、速く冷えるように容器に小分けをして冷蔵庫で保存します。食べる時は再加熱をし、怪しいなと思ったら思い切って捨てるように心懸けましょう。


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【3】ロタウイルスにも気をつけよう〜ロタウィルス感染症の原因と予防法〜

 ノロウィルスと似たものにロタウィルスというものがあります。
 本節では、参考までにこのロタウィルス感染症について取り上げ解説しました。
ロタウイルス感染症の特徴

 ロタウィルス感染症とは、乳幼児の冬の急性下痢症の最も主要な原因がロタウイルスによる感染症です。
 秋から年末にかけてはノロウイルスが、1〜4月にかけてはロタウイルスが主に流行します。特に生後6ヶ月〜2歳の乳幼児に多く見られ、5歳までに殆どの小児が経験します。通常1歳を中心に流行が見られますが、保育所や幼稚園、小学校などの小児や病院や老人ホーム、福祉施設などの成人でも集団発生が見られることがあります。米の磨ぎ汁のような白色の下痢便が特徴で、そのため白痢または仮性小児コレラとも言われていました。主な症状は嘔吐と下痢ですが、ノロウイルスよりも発熱を伴う場合が多く、重症度が高いとされています。
ロタウイルス感染症の感染経路とその原因

 ノロウイルスと同じように人から人への経口感染が大部分で、秋から冬にかけて大流行します。患者の便1g中には10〜100億個ものウイルスが排出されます。ロタウイルスは感染力が非常に強く、10個以下のウイルスで感染が起こります。このため、患者の便中のウイルスが何らかの形で他の人の口に入って感染します。また、ウイルスは環境中でも安定なので、汚染された水や食物を介して、或は汚染された物の表面、たとえばドアノブや手すり等を触った手などから口に入ることで感染します。
ロタウイルス感染症の潜伏期間と症状

 感染性胃腸炎を起こすウイルスという意味ではノロウイルスと同様ですが、主な違いとしては、まず一般にノロウイルス感染症と比較して、ロタウイルスによる胃腸炎は大人では余り症状が重くないことが多いということが挙げられます。そして、嘔吐や下痢、発熱が主な症状ですが、大体3〜8日程度で治まると言われています。

 潜伏期間は約2日で、ノロウイルスよりも発症までの時間が少しばかり長いことが特徴として挙げられます。特に挙げられる症状としては、ノロウィルスと同様やはり嘔吐や下痢、発熱が主な症状です。ロタウイルス胃腸炎は、嘔吐で始まり、発熱や腹痛の後に下痢が始まります。ロタウイルスによる嘔吐は1日3〜6回のことが多く、1〜2日で大体治まります。発熱も半日から1日程度で、2日を越えて発熱が続く例は余り聞きませんが、ただし、ノロウイルス感染に比較して発熱の頻度が高く、重症度が高いと言われています。その後の下痢は、白色水様性下痢になることが多いのが特徴で、白色便下痢症または仮性小児コレラとも呼ばれています。下痢はしばしば5〜7日間続きます。特にロタウイルスに初めて感染した場合に下痢が長引くことが多いとされます。また、ロタウイルス胃腸炎は、生後6カ月〜2歳の乳幼児が最も多く発症しており、次いで6カ月未満の乳児が多く発症する病気で、特にロタウイルス感染の2分の3は2歳未満と言われています。また、ロタウイルスのように局所感染を起こし、潜伏期間が短い感染症では、感染後の免疫が不完全か、或は免疫が成立しても持続しない(1年以内)ので、度々再感染を起こします。ただし、ロタウイルスは、母親がロタウイルス胃腸炎の子どもから感染することもありますが、発熱することはあっても、嘔吐や下痢などの胃腸炎症状は軽く、数日で治癒することが多いと言われます。このように一般に年長児や成人では、たとえロタウィルスに感染しても発症しない(不顕性感染)場合が多いようです。なお、激しい嘔吐や下痢によって急激に水分を失うので、特に乳幼児では脱水症状に気をつける必要があります。
ロタウイルス感染症の検査

 ロタウィルスの場合は、ノロウイルスと異なり、便の中のウイルスを簡単に検出できる検査キットが開発されています。外来で少量の便から10分ほどでロタウイルス感染の診断がつきます。子どものロタウイルスによる胃腸炎は脱水から重症化することもあるので、その判断をするためにも診断の意義があります。
ロタウイルス感染症の治療方法

 ノロウイルス感染と同様、ロタウイルスに効果のある抗ウイルス剤は現在のところまだ開発されていません。そのため、脱水症を防ぐために水分補給をすることが治療の中心となります。そのため、市販のイオン飲料等で水分を補給する必要があります。少しずつ何度も飲ませてあげましょう。飲んでも吐いてしまう場合などは 早めに医療機関を受診することが必要です。特に嘔吐が頻回に続いて食事が出来なかったり、或は下痢の回数が多く、脱水の程度が重い時には点滴治療(補液治療)が必要になることもあります。特に小さい子どもは体全体における水分の割合が高く体力もないため容易に脱水になりやすいので、普段よりもぐったりしていたり、また尿が出ていないなどといった状況では、早めに病院に連れてゆく必要があるわけです。なお、ノロウィルスの場合と同様、下痢止め薬は却って病気の回復を遅らせることがあるので、通常は使用しません。
ロタウイルス感染症の予防方法

 ノロウイルスと同様、手洗いが大切です。
 ロタウイルス胃腸炎の場合、下痢症状が出る前から下痢症状が終わって2〜3日後までは周囲の人に感染する恐れがあります。二次感染を予防するためにも汚物を処理する際には使い捨ての手袋を使用し、排便後や調理前の手洗いを徹底するよう心懸けましょう。調理器具やオモチャ、衣類、タオル等は85度以上の熱湯で1分以上の加熱が有効です。なお、日頃からの予防方法としては、食事前やトイレの後などにおいて石鹸を使ってしっかりと手を洗うことが大切です。

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